タイトルの通りです。
すでに有名なSandal Audioさんがシリアルナンバー00001で詳細なレビューをされているので書くことも無いかなぁと思っていたのですが余りにも完成度が高くまたAKGファンとして求めていた音色だったので一個人が感じた差分を書こうと思います。
まず私が購入したのは日本での発売の1週間後10月30日、私のシリアルNo.は4300ほどでした。現在はどこも在庫切れでバックオーダー状態になっている様です。
正直どのぐらいの規模のベンチャーになるのかはわからないですが1週間にして既に4300本は売れているというのは驚異的だと思います。AKGがハーマンに、SAMSUNGに買収されてコンシューマーよりになりオーストリアのチームの新作を望んでいたマニアは多かったのだろうと思わされます。
定価ベースではありますが39600円とある程度の価格のヘッドフォンですし、商売としては軌道に乗っている様に思います。
音の評価について
ADI2DACfsでの評価は非常に良く完成されたモニターヘッドフォンです。
付け足すとすれば私としてはリスニングとししても面白く聴けるという点を大にして言いたいです。
たしかに非常に正確に音を出すのでちょっとした音のズレや録音ミスや粗なんかが他のヘッドフォンの比ではないほどに目立つ。
けれどそれらの音は録音現場、スタジオの緊張感を克明に現してくれる。いままで気づかなかった、息づかい、ギターのリフ、ベースのメロディを肯定的に聴かせてくれるのだ。
これはk812から採用されている3次元構造のハウジングの効果により録音されている音の位相を表現することで密閉型でありながら立体的な音像を実現し、今までにない音の分離により新たな音の発見が可能になっているだと思われる。
これによりいままで聴き慣れていた楽曲たちも新しい音の発見に胸を踊らされた。「こんな音が隠れていたのか」と実感することがイヤホンのすばらしさの1つの指標にもなっているがこのヘッドフォンは別格だと感じた。
また、k872譲りの音の透明度もある程度引き継いでいる様に感じた、特に歌声の妖艶さはまるで持ち運べるk872の様な印象さえ持っている。
ただ残念なのはこの体験はある程度アンプに依存することだAdi2dacやL1000といった据え置き機器では非常に楽しく聴くことができるのだがES100クラスで聴く限りは少し音場の広いモニターヘッドフォンという感想にしかならない。前後の広がりも薄く音色の輝きすら失われる印象だ。Q5sAM3Dクラスでやっと片鱗が見えるなという印象。モバイル用途として使える設計ではあるがかなりの駆動力を要するヘッドフォンであることも間違いなさそうだ。
また、装着感については私は非常に良好につけられたのだが、ヘッドバンドの長さを一番縮めた状態だった。900stなどでは3、4ほど広げるので頭の小さい方は適切な装着ができない可能性がある。
特にこのヘッドフォン密閉型であり、遮音性が高いことを考えると装着が合わなければ意図した音が出ていない可能性が出てくる。
ちゃんと装着できれば耳の周りのイヤーパッドが遮音材の役割にもなりかなり音漏れは少ない、このレベルであれば外で使っても問題ないと思えた。このサイズ価格感でモバイルできるのは非常に面白いと思う。
特に昨今はDAPの駆動力も上がってきており、それらを見据えた設計なのだろうと思わされた。
同じ価格帯を見ればゼンハイザーのhd660s(開放型ですがw)なども買える値段ですが私としはこちらの方が俄然気に入りました。
長らく密閉型でモバイルでき、遮音性が良く音も良いヘッドフォンに出会えず、持ち歩けるヘッドフォンを持っていませんでしたが聴くほどに面白くお気に入りの一台になりました。