イヤホンを買いまくった2020年を振り返って 雑感①finalとintime

あけましておめでとうございます(2回目)

続く限り毎日更新していこうと思います。

 

今回は2020年を振り返って印象的だった出来事や買ってよかったものなどを書いていきたいとおもいます。

1回目はfinalとintimeのイヤホンを購入した理由、日本企業を応援しようと思った理由をこれまでの経緯を振り返りながら書いていきます。

 

正直ずっと私はオーディオファンではありましたが、スピーカーがもっぱらでここまでポータブルオーディオにハマるとは思っていませんでした。Twitterの影響が大きい気がしますが、イヤホン関係の技術の進化に驚かされたことが一つの要因です。

以前、ポータブルオーディオにはまっていた時期は2000年代の初めでしたでしょうか、SHUREがコンシューマに乗り出した黎明期でカナル型イヤホンが出たばかりの頃でした。

iPodの流行りに乗ってイヤホンでもよい音が聴けるんだという一般常識を打ち立てて、新しい音楽の価値観を作っていったように思います。

それから少し時間を空けて2020年、イヤホンをたくさん買ったのははやり音の質が10年かけて徐々に洗練されていった集大成を感じたからにほかなりません。30万円以上の市場はまだよくわからないですがそれ以下の価格帯はどのイヤホンも価格なりの価値を提供しているように思いました。

 

色々と1年かって聴いてみて思ったのは装着感や遮音性、音場、どれをとっても10年前では考えられなかった高音質を実現していることです。そしてその中でも際立ってすごいなと思ったのはfinalやintimeといった日本のメーカーが低価格(3000円~1万円)のイヤホンでもよい音で音楽を聴けるという価値観を提供しているということでした。日本のモノづくりは終わったといわれて久しいですが、大企業だけではなくこういう中小の企業があたらしい価値観をコンシューマに提供するということのすごさを実感しました。

また、中国企業の激しい追い上げにも度肝を抜かれました。もちろんqdcなど高価格のメーカーもあるのですがfiioやtrn、水月雨などなど中国の中でも様々な振興メーカーが新しいイヤホンを開発してその会社でしか出せない音作りを始めているという事実はなかなかに市場の元気よさを物語るにふさわしい状況だとおもいました。一方でこの状況は先ほどのintimeやfinalといったメーカーに対して思ったのは非常に難しい局面に来ているということです。

かつてのコンピュータ市場で起こったイノベーションジレンマのような価格破壊がすぐそこに迫りつつあるということを危惧したのです。良い音は価格が高いイヤホンでしか作れない、この常識はもしかするとここ数年の一過性のものになるかもしれないということです。10年前に感動する音質を得るには2万円必要だったものが、今は4000円のE3000で体験できる。。。という事実は非常に良いことではあるのですが、感動する音作りの値段はこの10年で大きく下がったのだと実感しました。低価格でよいものをということを突き詰めれば、次は1000円で感動する、さらにやすく・・・っということが実現されていくということです。。。

なぜならヘッドフォンやイヤホンは自動車のようにノウハウの擦り合わせではあるものの、パーツの数が限られていることと中国で生産されることやマスの大きさから、部品の大量生産と外注がつづき、ノウハウの流出は避けられないように思えたからです。

さらに状況が悪いのはイヤホンの市場価値を高めたのは3.5mmジャック付きのスマートフォンが無くなりつつあるということです。これは低価格イヤホン市場、もといイヤホン市場の入り口がなくなりつつあるという厳しい現実も迫っていることになります。(もちろんその分TWSが売れているのでしょうが)

これらの危機感はわたしがここのBlogで書く以上にfinalやintimeの経営陣が、大企業のイヤホン部門長が恐れていることだろうと想像にたやすいでしょうか。

 

このような状況下で今年中盤に出てきたのがイヤホン価格破壊の通称セリホンAT-ES11でした、110円でまともなイヤホンはまともに流通していないという常識を破った恐ろしい製品です。100円でもまともな音がするイヤホンが手に入る。イヤホンの価値の破壊が起きました。恐れていた現実がすぐにやってきたのです。私はこれを聴いた経営陣がどのような感想を持ったのか興味は尽きません(まだ大丈夫と思ったのか、ついに来たと思ったのか、案外遅かったと思ったのか)。ただこのときはまだ、不良率も高くボーカル以外は聴けたものではなかったので安心できたかもしれません。

しかし無慈悲な現実は年末に現れました。DAISOで登場した高音質シリーズAL-00Xシリーズです。セリホンが抱えていた問題(故障率が高い他に作りが安っぽくケーブルも短くお世辞にも使い心地がよいイヤホンではありませんでした)が、このシリーズはすべて解決してきました。普通に売っている1000円レベルの外観や使用感を合わせもっているのです。音は確かに全体を通してこもりがちな音色でセリホンほどにチューニングのうまさはありません。しかし適当なメーカーの1000円のイヤホンを買うよりよっぽど満足度が高い完成度です。これにより、イヤホンの低価格化の流れは決定付られたように思います。

おそらくですが、もう1年ほどすれば有線イヤホンなんて100円で買えば十分なものが手に入るっという価値観が世間に浸透するだろうと思われます。この時代にfinalとintimeは4000円のイヤホンの価値を一般層に訴求して売り上げを上げていかなければなりません。企業としては非常にまずい方向です。

*ちなみになぜこのような高音質のイヤホンが100円ぽっちでできたのかはわかりません。ただ、分解してわかることはセリホンはドライバそのものがほかの100均のイヤホンと異なるということです。つまり、1000円のイヤホンで作っていた工場のラインのノウハウが流出した。。。とか、そういう事態が考えられます。ただ、部品だけであれば100円で作ることが難しくないほどコモンの技術となりつつあるということです。

 

そのような時代の変化に企業として、ビジネスモデルをどうするか・・・ですが、より高い価値観(音)をさらに安い値段で提供することがまず考えられます。intimeでいえば碧Lightの値段で碧Ti3の音を実現していくというような企業努力が必要になります。もう一つの方向性としては嗜好品としての価値観を付けるという方向性でしょうか、宝石や時計のようなビジネスモデルですね、イヤホンを楽器の一つとして見立てて、定期的にオーバーホールするような顧客とのつながりを作っていく形です、サブスクリプションという形も考えられますね。

アップルは別の方向を打ち立てました(むしろジャック廃止とセットにした戦略的投資でしょうが・・・)。TWSという電池付き使い捨てイヤホンをより使いやすいという価値観で売っていくスタイルです。これはなかなかに信号処理を含めたソフトウェアとの協調技術が必要となります。小さなメーカーでは難しいかもしれませんが大手のSONYやBOSEなどのメーカーはイヤホンのマス市場を狙ってTWS商品を投入しています。

 

どちらにしてもイヤホンを取り巻く市場は変わります、なので企業が生き残るには普通に考えればこの3つのどれかしかないのです。変わりゆくマス市場に追従する、現市場の淘汰に打ち勝つためにさらに良い音を追求する、イヤホン以外の価値観を提示する。

finalやintimeがどのようなビジネスを実現していくのかは経営者の腕と判断次第です。TWSを開発するのか、今までにない音を実現していくのか・・・、少なくともフラグシップイヤホンを聴かせていただき、素晴らしい音を実現できる音作り、モノづくりをやってきていることに感謝し、音作りに向き合い、共感できる部分に感動しました。なのでそのうえで今後も2社の音を聴いていきたいと思い、購入することで応援したいと考えたのです。もちろんハイエンドイヤホンですのですべてのイヤホンに勝るものではありませんが、日本人として日本音楽もつ音への共感を感じ、これらが日本から開発されたことを誇りに思うことができました。それぐらいA8000と翔は素晴らしいイヤホンだと今でも思っています。

 

最後に、ビジネスに簡単な判断はほとんどありませんが、難局にこそ活路があると思っているのでイヤホンを買うことでこの2社の行く末を応援しています。

(販売しているすべてのイヤホンがよい音、おすすめできるとは言っていませんのあしからずw)