お久しぶりです
暫くオーディオ熱が冷めていたのですが、とある事情からKZ ZASで熱が戻ってきまして久しぶりにBlogを更新していきたいと思います。久しぶりなのでちょっと徒然と書いてみたいと思います。
手始めに最近発売されて巷で高コスパで話題のGEOゲオの1980円(税込み2178円)のTWS(GRFD-SWE100GT13 or SWE-QT13)通称T13、GEOホン、ゲオホンを購入してみました。
以下が実物の写真です。
ご存じかと思いますが現在の中華TWS市場は苛烈さをきわめていて、音質はある程度不明ながら防水でAACに対応したまともそうなTWSは大体3~4000円から、ANCが付いたモデルでも5~6000円ぐらいからラインナップがあります。SONYやAppleなどがノイズキャンセルを付けて2万円以上の値段を付けて売れている高付加価値市場ととは一線を画す低価格帯です。
ではこれらが安かろう悪かろうなのかと最近は以外とそうでもなく、近年有線のイヤホン市場が老舗主体から中華メーカーに侵攻され始めているようにTWSも同じく猛烈な進化を遂げているという意見が多く、侮れないという意見が業界内外で散見されます。
これは中華メーカーのイヤホンのドライバを作る技術が上がっていることと、電気自動車などと一緒でアナログ技術の塊だった商品ではなく、ある程度ノウハウが詰まったチップや回路を流用することで商品ができてしまうという特性も関係しているかと思います。チップメーカーがリファレンスデザインを出していたりしますし、最初はわからなくてもそこを梃にアナログ技術をチューニングしていくという事は0から作るよりかなりたやすいところで、さらには回路部に至っては流用するなど開発イニシャルコストが低そうというところもありそうです。また老舗に勤めていた技術者が新しく立ち上げたブランドで一旗挙げようなんていう新興メーカーも増えている様に思えます。実際twsはあの小さな個体にバッテリーからDAC、アンプまで詰め込むわけで技術的に積み上げられた実績が少なく、老舗メーカーとの差が少ない事は明白です。更にはバッテリーを積んだ消耗品であるということは今までのイヤホンよりも買い替えのサイクルが早く継続的な市場維持成長が約束されているようなもので買い手はたまったもんでは無いのですが売り手から見れば魅力的です。これらの市場特性、新興メーカーのキャッチアップチャンスという事実が結果として投資家や銀行なども巻き込んで開発投資を強烈に後押ししていると思います。ということで、昨年などは令和最新版や、稲妻の表示など馬鹿にされていた5000円以下の価格帯でも、最近はまともな商品が増えてきたのだと推察されます。実際にEarfunやsoundpeats等の商品を買って聴いてみたのですが値段を考えると有り得ないほど高音質で驚かされます。
ただこれらのECサイトで売られている激安商品は外資かつ実店舗を持たないことも多く、故障した際のサポートもあるのかわかりません。実際に2年保証なんて書いてあっても販売店や開発会社が1年後に無いという事もざらな世界です。また、TWSは小さくてもバッテリーを積んだ機械だという事を忘れてはいけません。耳の近くで事故が起こるなんて事を考えればコストをケチった事で大事な聴力さえ失う危険すらあると言うことです。
いい意味でも悪い意味でもこのような激安TWSは博打的な要素が強くあまり人にはオススメしにくいのがこの激安中華TWSなのですが、日本のメーカーGEOから1980円という激安価格でありながらその様な激安中華と遜色無い音質を実現していると言うのです。また最後にリンクを貼っていますが販路もAmazonまで拡大し、納期は長いですが気軽に購入できるようになりました。GEOと言えば3980円雑音一撃のキャッチコピーで有名なTWSを売っていますが、ノイキャンは(XM3と同じチップという噂もありますが・・・)良いとのことですが音質は余り良い噂を聞きません。今回はそのイメージを払拭できるのか確認したく購入してみました。
■外観、機能とか
色は4色展開していたのですが、無難に黒を選びました。実物をGEOで見た限りかなりプラスチックの素材が安っぽくまるで100円のイヤホンの様な質感で赤や青などもあるのですがさらにチープな印象で色を選べるのは嬉しいところですが、質感などにコストをかける余裕はなかったのだろうと推察されます。かなり人気なのか全て在庫が最後の1個の状態で店員に確認してもかなり売れているようでした。本体はAirPosなどと同じタイプでいわゆるうどんが出ているタイプなので持ちにくさなどが心配だったのですが、実際に触るとかなり良好で、AirPosなどのケースと違い横に展開して充電しているので取り外しの際や装着の際にイヤホンを持った手を持ち替える必要がありません。AirPodsなどでは装着と充電の際に手で持つ場所を微妙に持ち替えなければいけないため、落とす人が多いのですがこの横に広がるタイプだとやや安心です。ただもちろんこの形状の欠点であるイヤホンの重心が片側に寄っているという事実は持ち替えなどの際には落としやすくいので注意が必要です。他方このタイプの利点であるマイク部分が口に近いことでマイクの音質はこのクラスの値段のものとしては良好でTwitterのスペースなどで確認したところ音質にやや不満はあるものの、音量については十分取れており聞き取りやすさはあるとのことで良好です。実際に装着してみてもかなり装着感も良く私の耳では外れにくいです。Falconなどカナル型のイヤーピースの先だけで固定するタイプと異なりAirPodsの様に装着感は自然です。付属していたイヤーピースはSMLの3種類で標準的、ステムがやや太いものの社外のイヤーピースも使えそうです。
実際に装着してみるとペアリングの際に良くある外人の音声が流れるのではなく、ピロっという無機質な音声だけで驚きました。安物の中華は中国なまりの流暢な英語を聴かせてくれて装着するたびにげんなりすることも多いのですが、ここは日本メーカーそのあたりは不親切さはありますが使い心地は良好です。GEOなのでマニュアルも日本語でかなり親切に記載があります。初めてTWSを使うような人にプレゼントするなどの用途でもマニュアルが丁寧なのはかなり安心できるかと思います。
とはいえ使用するまでも、iPhoneではありますがマニュアルも不要で難なく接続使用できたので一般的な使い方を知っていれば迷うこともありませんでしたのでこのあたりは不要と考える人もいるかもしれません。
保証は1年とあり、店舗で買えばレシートがあれば対応してくれるとのことでこのあたりは一般的な量販店で購入する対応と同じようです。
防水希望はIPX5とあり浸水以外は問題ない構造の様で、ダメ元で試しに装着したままシャワーを浴びてみましたが問題ありませんでした。見た目にも実際にもかなり防水性能はまとものようで、大雨でもなければ問題ないかと思います。充電ジャックはTypeCなのもうれしい仕様でDAISOの1100円(税込み)のTWSなんかだとmicroBだったりしたのでかなり便利です。
また、テレワークや家事をしながらなど片耳だけTWSを付ける用途でも安定して接続が行えていたのは非常に便利でした。
使い勝手で気になったのはケースの縦横比が同じ4角形であるため、ケースを開ける際の方向がぱっと見でかなりわかりにくいことです。一般的なTWSケースですとケースにブランド名や意匠で開ける方向がわかる様になっているのですがT13のケースは見た目も一色で迷ってしまいます。それほど手間では無いのですが少し気になりました。またケースや本体もテカテカの艶アリの加工なので皮脂がつくと目立ちやすく少し清潔感が感じられません。
(左からT13、Falcon2、SoundPEATS mini)
■音質とか
TWSの音質評価をすること自体がほぼ初回に近いのでなかなか緊張はしているのですが、音には芯がありかなり満足度の高い音質という事をまずお伝えしたいです。
環境としては標準のイヤーピースを使いiPhone12ProMaxから(恐らく)AAC接続されている状態で聴いていますが、安物にありがちな破綻したバランスの音、軽すぎる音色という事が無く、無難に音を聴くことができます。
帯域バランスとしては低音寄りでこの価格としてははるかにコシの量感のある低音が出ます。一方で高音域はやや雑味が多く、良く聴けば表現の粗さが目立つのですがたくさんの音がが入り乱れるような場合でない限り聴感上はあまり気にならないレベルです。これは完全に想像ですが、ありがちなかまぼこバランスのドライバに対してイコライザで無理やり低音を持ち上げた音作りというよりはもともと低域よりのドライバに対して高音を持ち上げるようなチューニングをしているのかなと思えました。このため中低域の表現が値段に対して十分な品質があり、このクラスの値段帯のイヤホンを買うユーザー層が求める低音の量感と質感に対して十分な性能があり、かなりの人が満足できるのではないかと思いました。また低音の量感は多いのですが特に日本の楽曲に多いサブベース帯域が特に強いことが特徴で特定の音だけが際立って強いと思える楽曲があるのはやや残念でしたが、その量感は他の帯域を食いつぶすほどでもなく、一般的には許容範囲内かと思いました。逆にベース音が好きな方にはお勧めできるバランスでこの価格を考えると悪くありません。中域やボーカルなどの音色も2000円という事を考えれば十分以上かと感じられ、バランスも良く、女性ボーカルのサ行の刺さりは少なめです。ただ、何故か男性ボーカルのサ行が刺さる楽曲があったり中高、高域はやや帯域バランスの悪さを感じるところがあります。
スピード感はやや遅い印象があり、アタック感は不足しがちですが、この値段帯では普通か無難に良いレベルではないかと思いました。
音場は横に広い事が特徴で、上下感は重心も含めて普通ですがボーカルはやや高い位置で、全体的に音が近いです。音色1つ1つの解像度は決して高くはないのですがこの2000円という価格を考えれば非常に高いと思います。普段使いレベルであればむしろこれで十分では?っと思えるレベルで、先日SoundPeatsMiniを4000円弱で買ったのですがバランスや音作りは全く違うもののその半分の値段で満足できる音が聴けることは驚きでした。
合う楽曲合わない楽曲という話に移せばやはり合うのはPOSでしょうか、ベース音の低音が強いため、低音の迫力が強く、楽曲の厚みをが増し、ボーカルを下支えすることで楽曲全体が非常に力強いハーモニーとなって聴こえます。特にオーディオ沼の住人でh無くiPhoneの標準イヤホンやセリホン以外の100円のイヤホンを使っていたユーザーからすればこの力強さはとても新鮮で気持ちよく楽しく聴こえることが多い気がします。
この価格帯で合わない楽曲を上げるのは酷なことかとは思いますがBPMの高い曲、クラシックなどの音色数が多い楽曲を聴き分けて聴くような楽曲には当然ながら合いません。とはいえば2000円では十分なほどなってくれるのは非常に優秀だと思いました。
また、無音時のバックグラウンドノイズや再生時のホワイトノイズも少なく静かなところでなければ気になりません。そのあたりも低価格品ながらそのあたりも優秀です。
全体を通してみると「この音作りが特徴で最高」っというよりは非常にレベルの高い低音強めの無難な音作りで非常に人にも進めやすい商品だと思います。
■追記(10/12)CP360イヤピ交換とか
イヤピの交換について書いておきたいと思います。エントリー価格帯のクラスの製品の特長として低音をとにかく強くする傾向がありますが、これは一般的に最もチープなドライバでは低音域の再生が難しいことから低域が出ない=チープという印象が一般に根深いことと、イヤーピース部分にコストをかけられないことから耳にフィットせず、低音が隙間から抜けてしまいスカスカに感じられがちでです。一方でそういう不満を持つ人ほどイヤーピースのフィット感には無頓着なため、ユーザー満足度が下がってしまうという問題があり、それを避けるために低音を盛りがちになってしまいます。
このため、低価格な商品ほどイヤーピースの交換に効果があるのですが、イヤーピースは比較的高価格な商品が多いため、交換してしまうと折角のコストパフォーマンスが落ちてしまいます。この辺りのバランスは難しいのですが、自分の耳に合うイヤーピースは持っていて損はないですし、このBlogの読者の方であればすでにイヤーピースをお持ちかと思いますので手持ちの物が流用できるかは気になるところだと思います。
ということでいろいろと試してみたのですが、追記タイトル通りTWS用のCP360が付きました。一方でCP100+やtypeEやSednaEarFitなどの通常のタイプは装着はできるのですが充電器の深さが足りず装着できません。このあたりはFalcon2など深さがあるケースだと嬉しいのですがこの価格ですし望むべくもありません。
音質の変化としてはかなり低域サブベース帯域の量感が改善されるところが一番の変化です。また、高域の音での複数楽器による混濁もやや改善されるようで見通しが良くなります。やはり付属のイヤーピースの品質はお世辞にも良いとは言えないようです。特に低域が強すぎるなと感じている方はCP360はかなりおすすめできるかと思います。また、当然ながら付属のものよりも質感も良くフィット感もかなり改善されることもQOLを上げるかと思います。
続いてせっかくなのでゲーム、低遅延モードも少し試してみました。
試したゲームは崩壊3rdなどのアクションゲーム、音ゲーの太鼓の達人ですが、通常モードでも崩壊3rdなどのゲームはほぼ問題ありません、一方で太鼓との達人となるとほんの少しテンポが遅れるので熟練していないとプレイは難しい感じがしました。低遅延モードにするとそのあたりはかなり改善され、素人レベルではなんとかプレイできる状態になったかと思いました。
総じて博打で買ってみた商品ではあったのですが音作り、品質、保証体制などなど全体を通して非常にクオリティの高いモノづくりの製品を見ました。惜しむべきはやはり安っぽい見た目でしょうか、ただこの値段であれば十分すぎるとも思えます。現在Amazonでは少し納期はかかるようですがかなり安いこともあり、かなりおすすめできる一品です。