こんにちは
オーディオ熱があるうちに手持ちの機器をどんどんレビューしていきたいと思います。
今回はタイトルの通りAmazonでのみ購入できる激安のTWS SOUNDPEATS Mini(以下Mini)を買いましたので使ってみた使用感や音質について徒然ながら書いていきます。
仕様などは下記のリンクから見ていただくのが速いかとは思いますのでとりあえずリンクを貼っておきます
前回に引き続いてTWSなのですが今回のMiniを買った理由がTwitterのFFさんが音質が良いと強く進めておられて、EarFunに続いて久しぶりの激安TWSがどの程度、気になったのが理由です。時系列的にはGeoのQT13、ゲオホン(GEOホン)を手に入れる前に購入していたのですがEarFun以外の比較対象が欲しいこともあり記事にしたのがこのタイミングになりました。大体4000円前後で売られておりANC付きのEarFunのFreeProの価格と比べれば1000円ほど安いですし、GEOのQT13と比べれば2000円弱高いことを考えればサイズか音質に振った高級機種と考えてよいかもしれません。一方で音質重視のNobleのFalcon2などと比べれば4000円は激安です。
さてこのMiniは激安中華TWSなのかと言われると議論の余地はあります、SoundPEATSという会社は調べると2011年に中国の資本で生まれた会社の様ですが現在HPではその経歴は隠され2013年からUSで始まった会社と記載されています。現在記載を信じればアメリカの会社であり中華TWSという範疇ではないのかもしれません。では怪しいのかといわれればそうでもなく、Ankerなどの会社に代表されるように1900年代後半にUSに留学していたアジアの学生達がいわゆるGAFAMなどの企業経験を積んだのちにこのような会社を興して高品質なプロダクトを作っている例がいくつもあります。特に新しいモノづくりをする際に重要といわれているのは試行錯誤の回数で中国国内などのマーケットを活かして資金を回しながら品質を上げていく様は昔の戦後の日本企業とあまり変わりません。実際に届いた商品の写真が以下のものですが、非常に質感も良くよくできているように感じました。
ちなみにこのSoundPEATSはAmazon限定で販売網を持つため試してみるということができません。このためJPRIDEと同様に30日間の返品フリーを掲げています。このため、買って試してみて気に入らない場合は返品ができますので気軽に試してみることができます。このあたりはECサイト限定にすることで販管コストが下げられるのでこのコストを返品用に充てているのだと思います。実際のところどちらが最終的に製品コストを下げられるのかはわかりませんが、ECサイト限定であればこの手法はどんどん広まって欲しいところです。激安の中華TWSと違う点としてあげられることはいくつかありますが、まずはVGPアワードに選ばれているという点でしょう、モンドセレクションとも揶揄されていますが、VGPアワードに根回しできるほど企業戦略がしっかりしているとも考えられます。各種メディアに取り上げられている利点も大きいですし、技適やPSIなどの認証などがしっかりとしているというところも違いかと思います。ただ買うまでに少し気になったことがあり、商品説明がAmazonのサイトの記述ルールを守っていないところでしょうか(Amazonでは商品名が商品タイトルの最初にこないといけないようです)。もちろんVGPアワードなど目につく言葉を最初に入れる方が目に留まりやすいのかと思いますが、品位は下がっていることを伝えたいところです。
また、よくわからないのですが、現在在庫は白のみで黒を手に入れることができません。コスト的に大量に作って売り切るという方針なのでしょうか?実際中華のTWSのモデルチェンジスピードは速く、その方が不良在庫などにもならないのかもしれません。実際にこのメーカーも商品のモデルチェンジスピードは速くT3モデルなど半年に1度程度で更新している印象です。
■外観とか使い勝手とか
外観についてはケース、及び本体共に非常にコンパクトです。特に本体についてFalcon2を一回り小さくしたようなデザインなのがわかります。
左QT13、中央Falcon2、右Mini
左Falcon2、右Mini
QT13と一目してわかるところは全体的な高級感があるところでしょうか。Sの字が目立つところは賛否があるかもしれませんが、艶消し加工の筐体からはチープさはありませんしインジケータを兼ねているLEDの光り方も散乱した光を出すようにされていて若干洒落ています。QT13では味気ない真っ赤の光でしたし、艶消し加工のため皮脂などの汚れも目立ちにくいです。
実際に装着してみるとかなり小型なこともありFalcon2よりも明らかにフィット感が良いです。厚みも少ないため寝フォンにも使えないことはありません。ただ厚さだけで言えばQT13の方が薄いので寝フォンもQT13の方が向いているかもしれません。本体の操作はタッチセンサー式で軽く触れるだけで操作が可能です。特にタッチセンサー式のものの中には感度が極端に低かったり触る場所がわかりにくかったりするのですが、このMiniはやや感度が高いぐらいで操作したいときに操作できないということはありませんでした。Falcon2などは物理ボタンでなかなか操作がしにくいのでこの操作感は気持ちいいです。ただ一方で機能としてひあースルーモードなども無いので外出時や話しかけられたとき、本体を外すことになるのですが、その外した時に反応してしまうのは困りものでした。曲送りぐらいであればよいのですがボリュームが上がりっぱなしとかになるので一度耳が壊れるかと思いました。人により操作はボリュームが良かったり曲送りが良かったりするかと思いますが、頻繁に付け外しする場合はアプリでOFFにできるなど何かしら対策したいところですがそれもありません。そのような用途には向かないのかと思います。
防水はIPX5と一般的な用途であれば十分な性能を持っており、実際に一度シャワーを浴びてみましたが問題ありませんでした。稀に水で誤動作する機種があり、タッチ感度が高いので心配でしたがそれも問題なさそうです。
イヤーピースについてはSMLの3種類が付属しており、悪くもなさそうですがあまり品質が高い感じでもありません。ケースの深さも最低限なので社外イヤーピースでもTWS用は装着できますがFalcon2の様に通常のイヤーピースは接続できません。2000円まで下がっている時代にクラスの値段であればコストパフォーマンスを維持するためにもイヤーピースはできれば標準のものを使いたいところです。尚、FFさんおすすめはCP360で実際に装着したところ問題なく装着充電することができました。
使い勝手で問題があるとすればケースでしょうかケースは前述のような楕円型で、平面で安定して置くにはあのように置くしかないのですが、そのケースの背面にUSB-Cの充電端子があります。このせいでここに充電ケーブルを指すと写真の様に自立しません。このタイプの充電器の場合はQi規格の無線充電に対応していることが多いのですが、Miniは残念ながら対応していません。つまり充電しているときはケースがごろごろと不安定な状態に晒されてしまいます
また、私の個体の不具合かもしれませんが、最初の1名目写真に示したように本体の右側ドライバの表示LEDの輝度が極めて低い状態でした。ただ音質には影響していないと思われますので音のレビューを優先するためそのまま利用しています。(30日返品交換できるようなので相談予定です)
遅くなりましたが以下追記です
まず使い勝手などに関する追記ですが、遅延について「低遅延を発揮する最新チップセットAB1562Mが搭載され」っとありまして実際に太鼓の達人などをやってみました。結果はかなり良好でもちろん有線と比べれば違うのかもしれませんが素人がやってみた感覚では問題ありません。Falcon2などでは明らかに遅延を感じていたので1年でかなり進化したものだと驚かされます。体感ではゲオのQT13での低遅延モードと遜色ありません。特別な機能として低遅延モードは搭載されていないのですが標準のままで問題なく、この三機種の中では一番優秀だと思いました。
続いてマイク性能についてですがTwitterのスペースやディスコードでFFさんに確認していただいたところQT13に比べるとやや音が遠いです。これはうどん型タイプではないという欠点を覆せていないというところです。ただ、声の音質はFalcon2やQT13より良く、雑音も少ないため全体とすれば小型TWSとしてかなり良い様で、リモートワークなどのテレビ会議などでも重宝しそうです。
接続性については室内はもとより街を歩いてみたのですが接続が切れるということはありませんでした。混雑したところには行かなかったので満員電車など厳しい状況では不明ですが室内など通常使用においてはかなり安定しているようです。
■音質とか
結論から言えばタイトルの通り、このサイズとは思えないほど質感の良い締まった低音を出す一方で抜けの良い爽快な中高音を併せ持つ完成度の高い音質です。
試聴構成としては以下になります
iPhone12ProMax -> Mini -> 標準イヤーピース
まず一聴して驚くのは低音の質と量です。音質の傾向としてはややドンシャリでかなり気持ちよく聴けるリスニングタイプです。一般に低価格のイヤホンはフィッティングの低音抜け問題があることと、低音の量感自体への音質信仰から低音が強いことをアピールしがちです。有線イヤホンではアンプ次第な事もあり真偽は不明なのですが、激安TWSはイコライザが内蔵できることから素では重低音が出ないドライバでも無理やりイコライザで低音を盛り、歪まくっていることがザラです。しかし、このMiniは低音苦手なFFさんが推していたこと、サイズが極端に小さいこと、そして低音の量感を謳っていないため、珍しく低音が出ないタイプなのかなと潜入感を持ってたのですが全く違いました。この4.2gという軽さ、サイズ感からは想像できないほど締まった低音が出ます。特に低音の中でも特定の周波数が強くでてしまうという事は無く、全体としてバランスの良い低音をほど良く鳴らします。この辺りのもQT13には無いバランス感です。また低音の量感こそQT13に負けますがスピード感も悪くなく、余韻もダレないためかなり優秀です。中~高音域にかけてもこの価格にしてはほぼ隙がなく、解像度も高く、定位や音色の質も上々です。女性ボーカルについてはほんの少し刺さりが気になる場合もありましたが一般的に許容範囲かと思います。強いて欠点をあげればこの帯域の音がやや軽い点はでしょうか、天井の高さと抜けの良さと引き換えに身に迫る様な音の強さや迫力を求めると物足りなさを感じるかと思います。
また、1つ1つの音をFalcon2と比べると分が悪いのですが、全体的にリスニング傾向でありTWSという気軽に音楽を聴くという目的を考えれば音場感の好みの違いであってほぼ音質は互角と言っても差し支えないかと思いました。低価格帯に目を向けてQT13と比べると中高音の辺りの表現力は明らかに上回っており、QT13が多数の楽器を同時に響かせるときに響きが歪に埋もれてしまうことに対して、Miniはこの価格ながらある程度は楽器を分離して鳴らしてくれます。大多数の一般人にとってQT13は通常使用で満足できる高コスパ音質だとは思うのですがオーディオに興味を持つ人であれば値段が2倍ではありますがMiniの方を買う価値があると思います。ただ低音の量感が重心の据えた芯の太い音楽や、一般的なPOPSが好みの場合は低音の量感があるのでMiniの半額のQT13の方が逆に満足できるかもしれません。
次にサウンドステージですが、横に広く、重心が高く天井が高めで広々としています。前後感はややボーカルは近めで前後感に奥行きはありませんが価格帯を考えれば十分です。特に抜け感が良く、天井が高いホールで聴いているかの様なイメージです。透明感のあるボーカルを聴くとその音の広がりの美しさを体感できるところかと思います。とはいえもちろん有線の高級機などと比べて素晴らしいかと言われれば質量響き全てにおいて誇大広告になってしまうわけですが、このサイズ感にこのステージの抜けの良さを詰め込んだことは素晴らしいと思います。
最後に更に追加コストが必要になるのですが標準のイヤーピースからCP360に交換して聴いてみました。
CP360のコストが非常に高いということもありますが、音色の解像度が1ランクアップするほか天井の高さがより一層あがり解放感が増します。全体的に音に締まりが出て艶やかな音色に近づくという表現が合うかと思います。また低音の量感はやや控えめになりフラット寄りに近づきます。TWSとしてはとう言及はつきますが、元々サウンドステージが広いこともあり、MiniとCP360であればクラシックやジャズなどの曲も十分に楽しく聴けると思いました。このあたりはCP360を付けても高音が伸び切らないQT13との絶対的な差なのかと思います。勿論QT13も2000円という価格を考えれば化け物じみているとは思うのですが、イヤピの交換による伸びしろはMiniの方があると思いました。尚、TWS用のイヤピースは1000円を超えることが多いのでコストパフォーマンス的に悪いと思われがちですが、Miniの完成度と価格を考えると1~2ランク上の機種を買うよりもイヤーピースを交換する方が満足度が上がる様に思います。
装着感もCP360の素材は耳に吸着しているようで非常にフィット感が良く、外れにくいです。標準付属のイヤーピースはすこしサラサラしており、耳の中のイヤーピースだけで支えるMiniの形状だと激しく体を動かしていると外れてくることがありましたが、CP360は良好です。勿論同じタイプのFalcon2より軽くて小さいので標準でもそれよりも快適ではあるのですが、ステムが短い為人によってはうまくハマらない人もいるかと思いました。さらに装着感が良くなることに越したことはありませんのでイヤーピース交換はかなりオススメです。
さて、悪かった点なのですが、価格が価格なので全体を通して音質面で気になる点はあまり無いのですが、やはり前述した通り、中高音の音の軽さは重さが欲しい曲を聴く時にはやはり少し物足りないように感じます。
まとめですが、もちろん細かい点を見れば気になることも多いのですが、ややドンシャリで爽快なサウンドステージでボーカルが好みという方にはかなりおすすめできる機種だと思います。QT13はTWSの音と使い勝手に対するコスパは最強かもしれませんが、TWSは持ち歩くものですので見た目や質感と言った要素もある程度大事です。自分用に少し良い音楽を聴きたいというのであれあばゲオのQT13よりもこのMiniがおすすめできるかと思います。
TWSは商品の特性上、アンプとDACとイコライザまで内部に持っているわけで音響ステージの違いをイヤホンで表現するという事が出来る様になっていますので新しいチップを使い、その成果が音して如実に表れているように思います。一定以上の解像度があれば、あとは音楽性の違いとも言い切れる時代が今後来るのかもしれません。