el_snowの日記

日常の気になった事や思う事、気に入ったオーディオ機材のレビューを思うままに書いています。

レビュー:TRN Knowls製BAドライバ採用のTA1, TA2 結論:Tier3, Tire4

こんにちは

お久しぶりです。少し体調を崩していまして更新が遅くなりましたが今回はTRNのダイナミックドライバとKnowls製BAドライバのハイブリット構成を採用したTA1とTA2です。今回のTA1については自腹で購入したものなのですがTA2についてはVX Proに引き続きHIFIGO様からの提供で、今回は最新機種であるこの後者を中心としたレビューになります。

先に結論を書きますと、TRNのTA1は重量など装着に問題がなければ鳴らしやすくコストパフォーマンスも高く総合的に完成度の高いイヤホンです。音質は暖色寄りで概ねフラットで中低域の音色の表現力はこの価格帯では秀逸です。TA2は逆にTA1の装着感を改善した機種ですが鳴らすには駆動力のあるアンプが必要になるタイプのイヤホンです。音質はTA1から低音を強化して抜けを良くした改良版でDAPなど機材がそろっている方にはお勧めできる機種です。両機種共に音質と機種の傾向を理解していればお勧めできる機種です。f:id:el_snow:20211226090955j:image

TRN TA2 2BA+1DD Hybrid In-Ear Monitorshifigo.com

さて、この機種の購入理由ですが単にTA1の背面の絵柄が変わっていて独身の日、AliExpressのセールで安かったからっというのが本音です。そこにHifiGo様よりTA2のレビューの打診があり、せっかくであればこの2機種を比較しつつレビューしてみたいと思い立った次第です。実際のところTRNの技術力が侮れないということをVX proで思い知らされていましたので「では最近発売されたエントリー機種はどうなのか?」というところに興味が無かった訳ではありません(旧エントリー機種ST1などの音質は酷いことをは知っているので候補から外しています)。実際に調べてみるとVXProのダイナミックドライバのと同様のカーボンナノチューブ(CNT)振動版を採用しているようです。さらにKnowles製のBAドライバを2基採用しているなど技術的にはTRNの最新の技術を詰め込んでいるように思えます(どのようなCNTなのかについての詳細は不明ですが)。

にしてもこのアニメ柄のイヤホンというのは水月雨やtanchjimなどの躍進に続いて中華ではかなり増えつつあるように思います。最近ではNICEHCKのDB1などもパッケージに女の子のイラストを載せています。しかしながら大事なのは水月雨はキャラクターの魅力だけで躍進しているのではなくイヤホンの完成度が高いこと、そしてイラストも絵としてレベルが高いという基本的な部分ができているからこその人気であり、その片方でも欠けては魅力は大きく薄れてしまうという所を売り手が理解している必要があるかと思います。そのあたりは今回のTA1の商品のパッケージからは見受けられない部分があるのは残念ですが、実際大事なのはどちらかというとイヤホンの完成度ですのでそのあたりは曇りなき眼で見定めていきたいと思っています。

 

■インプレ(要約)

さて、この2機種については感想を要約した「インプレ」をTwitterに上げていますので短い要約だけで良いという場合はそちらを参照いただければと思います。ちなみにこれらの機種ですが、TA1は発売してから時間が経っていることもありセールなどで3k未満で入手できることが多い様です。一方でTA2については最終的には4k後半程度で落ち着くように思いますが現段階では6k程度とTA1の2倍以上の値段が付いているようです。当然ながらインプレについてはこれらの値段を考慮した書き方になっていますので若干TA2についての評価が辛口になっていることをご容赦ください。

 

■付属品とか

まずTA2についてなのですが、結論から言えば前回レビューしたVX Proと同じ付属品です。なので特筆すべき部分は特に無いと言いたいのですが明らかに異質な6.3mm変換プラグについても同様に付属しています。この変換プラグについてはいろいろな見方ができるのですが「とりあえず付属品を充実させておけばよい」といういかにも中華を揶揄する発想を持つ方もいれば、自分の様に「これは据え置きクラスの高い駆動力が必要なアンプで鳴らして欲しいというメッセージだろうか?」っという穿った見方をしてしまう人がいます。まぁ1人の開発者のはしくれとしてイヤホンや音をレビューするからには「付ける」からには意味があると考えます。実際にVX Proでは駆動させるアンプの違いによる高音の表現の違いに驚かされました。その点も踏まえて駆動力のあるアンプで鳴らした時の音の変化なども見てみたいと思います。

TA1については古い機種でもありますので割愛させていただきますが、今回購入したのはアニメ柄のプリントがあるものなのですが、パッケージデザインについては全く持って通常のものと同じの様でした。せっかくの柄なのに残念ですが、他のイヤホンメーカーはパッケージと本体の関係が逆なのが少し気になる点です。

 

■外観とか

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まずTA2ですが一般的なIEMタイプの外観で背面がメッシュで開放になっています。この構造から見た目でかなり音漏れするのだろう・・・っと思っていたのですがほぼ音漏れはありませんでした。実際にこのメッシュ部分を指でふさいでみてもあまり大きな音の変化はありません。どうも内部の筐体内部でアイソレーションされる構造になっているようです。見た目に反して全面のチャンバーでほぼ音質のチューニングができており、大きな本体はほぼ飾りのようです。実際に本体は非常に軽く装着感はかなり良好なので後ろ筐体部分はほぼ装着感の為だけに存在していると考えてもよさそうです。

続いてTA1なのですがTA2とかなり異なる構造で某日本の有名メーカーの有名なIEMの意匠にそっくりです。端子もMMCXでTA2と異なります。このタイプの形状の場合は回転するタイプの方がフィット感を向上させ易いので賢明な判断の様に思えます。

TA1とTA2でかなり重さが違ったので近くにあった手持ちの機種の重量を貴金属用の秤で測ってみました

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結果としてはTA1はA8000に迫る重さですし、TA2は軽量なことで有名なcoffeebeen(DC1)とほぼ同じ重さです。装着感という点で言えばTA2はかなり良い一方でTA1はA8000同様にかなり人を選んでしまうかもしれません。

 

■音質とか

 

価格的にレビュー環境についてはかなり迷いました。実際に複数のアンプで聴き比べもしたのですが、価格を考えればあまり高級なアンプで使われることを想定していないと思いますので、基本的には最近入手したXperia10IIを中心にレビューすることにしました。Xperia10IIについては機会があれば別途レビューしたいと思っていますが、複数の機種を聴き比べした結果、スマートフォンというクラスではかなり高音質であることがわかりまして、イヤホンにもよりますがA105などの専用機種と比べてもそれほど遜色はないと感じています。また、イヤーピースについては残念ながら引き続き付属のものは全くフィットしなかったため、今一番よく使っているSpiralDot++を使用しています。

 

 Xperia-> NeutronMusicPlayer ->標準ケーブル-> TAx -> SpiralDot++

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まずはTA1について簡単におさらいで記載しておきたいと思います。

TA1

○音の帯域バランス

TRNとは思えない暖色寄りの機種でバランスはやや中低域が強いが概ねフラット

○音場表現

音場は横に展開するタイプ、上下、前後はこのクラスでは普通
若干音像が近いので暑苦しさはあるが密閉型の宿命かとは思う

○解像度、定位、分離

定位や分離もまずまずで悪くない

○低音

量感は十分、サイズや価格を考えれば超低域まで十分出ており、スピード感も悪くない

○中音

色艶があり、ボーカルはしっかりはっきり聞き取れ、中域の音の太さも相まって価格を考えればかなり良い

○高音

伸びと響きの余韻は今一つではあるがそれ以外は価格を考えれば十分な表現力

○総括
全体を通して突出して秀でた部分も少ないが弱点らしい弱点も少ない良機種
強いて弱点を上げれば筐体が8.6gと重い為、Shure掛けできなければ装着に難がある人もいるかもしれない

 

続いてTA2ですが

TA2

○音の帯域バランス

バランスは低音が強い弱ドンシャリでTA1よりもさらに暖色寄りの音色。低音やドンシャリ好きな方に取ってはTA1の中域の音の太さなどの良さを引き継ぎつつ、正当進化した機種と感じた。一方でTA1に比べればやや中域表現と低域表現に癖があり、VXProなど寒色寄りのTRNサウンドを期待している人等には好き嫌いが分かれがちなサウンドかと思う。

○音場表現

音場はTA1から進化して横の広さはそのままに天井が高くなり、やや前後感も生まれている。一方で絶対的な表現をすれば横に展開するタイプで、音の重心はやや低く近い、上下や前後の広さはこの価格帯のクラスでは最低限の能力を有している。
TA1と比べるとやや音像が遠くなって抜けも良くなったことによりやや解放感が生まれているが、低音が強いために暑苦しいと感じる場面も多い、一方で逆にいえば迫力は十分でエネルギッシュなのでライブ音源等には合うように思う。

○解像度、定位、分離

音の定位や分離感などは現状の売り出し価格5k前後を考えればまずまずといったところではあるが、最終販売価格帯の4k前後を見据えればかなり良い。音場表現が良さに合わせて定位や分離も向上しているので音の見通しという意味ではTA1からのグレードアップを感じやすい

○低音

量感が大いに増してサブベースの存在感がグッと上がっている。音色の解像度、解像感を含めて描写力が上がっているので低音を主体とする音源では量感たっぷりの低音を浴びることができる。一方で立ち上がりを中心にスピード感は遅くなったように感じ、定位がゆるいので音の場所がはっきりしにくいため、生音を中心とした楽曲では他の帯域にかぶりがちと感じた。

○中音

ボーカルを中心に音色に色艶があり、声をしっかりはっきり聞き取れる。TA1と似た印象で音の太さと厚みがあり、このクラスのイヤホンでこの表現を求めるためだけに購入するのもありだと思う。一方で一般的なPopsなどの楽曲では強くなった低域が音色としてかぶってしまう場面も多い、せっかくのボーカルなどの音色が埋もれがちと感じることもあった。このイヤホンの良さが生きる楽曲ではハマったときの中域の美しさは価格帯を超えた驚きがある。

○高音

高域~超高域は量感と共に存在感が増して伸びがある。TA1では弱点ともいえた響きや余韻が明らかに改善されて、中高域の女性ボーカルなどの生々しさを引き立てている。TA1と比べても量感は上がっておりドンシャリのバランスではあるのだが低域中域に比べれば癖が無い。

○総括

第一印象としてはTA1の低域強化版でかなりピーキーな印象と感じたのだが、全体的な表現を俯瞰して考えてみれば、特定の楽曲-音場再現では使えるというまとまりのあるイヤホンだと感じた。特にクラブミュージックや劇場音楽や、80年代などの昭和歌謡など現代音楽とは少し異なる楽曲にてかなり迫力と表現力を持ったイヤホンで、具体的には何?っと言われれば、例えばではあるけれどジブリの「時の歌」のような静かなメロディラインと女性ボーカルが歌う楽曲などがあげられる。
全体を通してTA1と似てはいるが上位互換ではないためTA1とは使い分けできるイヤホンだと思えた。

 

■アンプを変えて

前述の通り、TA2については6.3mm変換プラグが付いていたので駆動力のある以下に環境を変更して聴きなおしてみました。

 

 Xperia-> NeutronMusicPlayer -LDAC->XD05bal(647) -変換プラグ-標準ケーブル-> TA2 -> SpiralDot++

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結果としてはやはり驚くほどの違いが見て取れ、可能であれば6.3mm変換を使って駆動力のあるアンプで聴く、又はリケーブルなどをして4.4mmバランス駆動で聴くとさらに良くなるイヤホンだと思われます。

 

音の変化については勿論アンプそのものの音の傾向はあるのですが、大きくバランスや音色が変わる部分をピックアップして変化を言いますと、一聴してわかったのは低音の表現の違いで、定位が緩く量感が多いと感じた低音は締まりのある音色になりスピードにもややキレ生まれている。

他の帯域の音色にかぶりがちと表現した低音はしっかりと下支えする低音に変わり、被ることは無くなります。また、中音の音の厚みがやや減る傾向にはなるのですが癖の強さが無くなるのでかなり好印象です。
全体のバランスとしてやや低音が強い心地よいドンシャリというレベルになったことで楽曲とジャンルを選ぶというイヤホンからかなりオールマイティに使える1本になり、TA1とはやや傾向は違うものの上位と呼んでも差し支えないサウンドでかなり万人にお勧めできる音色になりました。ただもちろん概ね傾向はXperiaと同じなのでお勧めの楽曲やジャンル増えるイメージで良いです。

結果としてイヤホン自体としてやはり鳴らしづらい特性を持っているのではないかということ。そしてCNTドライバとBAドライバ両方共に新しい技術を採用しているが、これらを使いこなすにはもう少し時間が必要なのかもしれないという印象を持ちました。また、今まで良く使っていたQ5sTCなども低音のキレは良いのでそれほど高い駆動力が求められる訳ではない様ですが初心者にありがちなDAPを持っていない方やアンプを持っていない方にはお勧めしにくいイヤホンではありそうです。

 

■総評:TA1:Tier3、 TA2:Tier4

ということで今回はTRNのTA1とTA2を聴きこんだのですが、VX Proに引き続き様々な発見があったレビューとなりました。新しいドライバの採用ということでTRNの最新の音質追究の一旦を垣間見た2機種になりましたが、まだまだ粗削りではある一方で一歩一歩進化していることを実感しました。このような低価格の商品を販売して利益を出しつつ実験を繰り返す事ができる状況は開発メーカーや市場としての後押しになるので既存メーカーはかなりつらいところです。

個別の機種について語れば、TRNのTA1は重量など装着に問題がなければ鳴らしやすくコストパフォーマンスも高く総合的に完成度の高いイヤホンです。音質は暖色寄りで概ねフラットで中低域の音色の表現力はこの価格帯では秀逸です。TA2は逆にTA1の装着感を改善した機種ですが鳴らすには駆動力のあるアンプが必要になるタイプのイヤホンです。音質はTA1から低音を強化して抜けを良くした改良版で、DAPなど機材がそろっている方には良い機種です。
両機種共に音質と機種の傾向を理解していればお勧めできる機種です。

Tierについて補足しますと、TA1については現在価格がかなりこなれていることに加えて鳴らしやすさを考えるとTier3となりました。一方でTA2についてはXD05Balの音色だけで言えばTier3なのですが、この価格帯ということを考えるとアンプを選ぶ傾向はやや不利かと思いますのでTier4となりました。また、実を言うとこのTA2については着弾してから何度か聴きなおしています。最初に聴いた時の印象はXperiaを中心とした駆動力を必要としないアンプをメインで聴いていることもあり、低域の表現にかなり不満がありました。提供品ということもありどのようにレビューを書くか非常に悩ましいと感じていましたが、やはりそのままの書くことにしました。VX Pro同様に様々な条件で聴きなおしていく過程でアンプや曲という概念でこのイヤホンの音作りの方向性が見えてきたように思えたことはさらに良い経験になったと思います。

繰り返しになりますがTA2はHifigo様からの提供品ではあったのですが、実は目下Hifigoで別の商品(UTWS5と05Balのケース)を注文中でなかなか入荷しない(Fiio側の生産問題?)という状況下でした。到着してから十分にお勧めできるということを確認してレビューしたかったので遅くなったのですが、無事昨日商品が到着しました。遅延に関しての問い合わせについてのリプライも速く誠意のある対応をしていただきました。一方で日本の通販と異なるのは(生産の遅延などで)出荷が遅くなっている場合などではこちらからどうなっているのか問い合わせ必要なことでしょうか。購入して発送された場合はトラッキングナンバーと共に出荷の確認メールが届くのでなかなか出荷されない場合は確認することをお勧めします。