ゆるふわオーディオ日記(blog)

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レビュー:FPS ヘッドスピーカー F01W(eイヤホン衝撃特価3000円)結論:疑似サラウンド機能が強制ONのヘッドホン、部品どり、改造用

こんにちは

 

今日はeイヤホン衝撃特価3000円で投げ売りされているFPS社のヘッドスピーカー F01W(https://fpsinc.co.jp/product/headspeaker-f01b/)の簡易レビューです。本来であれば終売しているのかと思ったのでレビューを書いても意味がないかなと思っていたのですが、どうも再度在庫が追加されたようで秋葉原以外の店舗でも3000円で売られているようなのでレビューを書いておくことにしました。

結論を先に書きますと、ヘッドスピーカーという名前ですが一般的な言葉で言えば疑似サラウンド機能が強制ONのヘッドホンで、銭湯に配置したスピーカーのような音を再現します。平面駆動ヘッドホンとしての部品どり、改造用に良いと思います。3000円で無線機能がありますのでオンライン講座などの聞き取りに使うのも良いかもしれません。残念ながら一般的なヘッドフォンの基準で言う定価3万円の音質目的で購入すると3000円でも高いと感じると思います。

今も疑似3D機能を常にONにしてヘッドフォン聴いている方やヘッドフォンの部品取りをしたい、改造して遊んでみたいという方にはかなりお買い得な商品だと思います。

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fpsinc.co.jp

■音質とか

○環境

 M17(AppleMusic)DC(Tank)→標準ケーブル→F01W

○ファーストインプレッション

 籠っている、音場が横に不自然に広く、中央がスカスカ、音の芯が弱く音色に付加された残響の方が強い。銭湯で弾いているかのような濁りのある残響が耳につく。定位が中央に無いため迫力が無い。

○帯域バランス

 低域がややブーストされつつ中域が落ち込む籠った音、低音過多の100均のハズレイヤホンの音をヘッドホンにしたかのようなバランス。

○音色

 やや暖色より、音色の8割は直接音ではなく反射してくる間接音だとは言われるがそれを体現したかのような反射音っぽい音色が頭を包む。反射を想定している場所が悪いのか滲んだ音色で聴くに堪えない。

○音場

 左右については非常に広大、上下はあまりなく音色は天井に張り付き気味、前後感の音場も広いが前後に滲んで広がる音。

字ずらだけ見ると広いと表現しそうになるが、どちらかというと広く広がっているだけという意味で一般的な広さとは異なる。

○定位

 一般的なヘッドホンで言う定位はほぼ無いと言って良い、恐らく頭の中での定位からはみ出すようにDSPで加工された反射音によって音の芯が捉えにくくなっている。反射音はDF的なものをイメージしたのかもしれないが、所詮は使い古された疑似3D音響手法と変わらない印象で不自然極まる音。

目を瞑って反響音の広がりから直接音を推察するような聴き方をすれば、おぼろげに演奏者が浮かんでくるが、やや無理がある。
また、ベース音などの低音域だけが頭の中で定位することも不自然で逆相かとも思わせる。

○解像度

 非常に低い、DSP加工により付帯音が大幅に付加されているのだと思われる。全ての音がぼやけており、8K、4Kなどの高精細テレビなどを度数の合っていない眼鏡をかけて見ているようで、解像度が出ている出ていないという基本的な音の評価ができない。

○低域

 非常にブーミーで量感だけはあるチープな音、各帯域で唯一音が近く、それ以外の帯域との鳴り方が異なることも違和感につながっていると思われる。低音は指向性が少なく、強ければ強いほど肌で感じるとは言われているが中高域と異なる頭内定位の低音は相当な慣れが必要だと思われる。

○中音

 とても籠った音、DSPにより反射音をシミュレーションした結果の音作りなのだと思われるが、ボーカルが天井いっぱいから聞こえるような反響音でかつ質が悪いので、ふろ場サウンドと言われても仕方が無いと思われる。ボーカルなどのモノラル音源は全て天井から聞こえることにも慣れが必要。

○高音

 自然な音場を目指したDSP処理のおかけが中高音にみられるサ行の刺さりは微塵も無い。むしろこの補正処理が強すぎるのではないかということを実感させられるような高音。高音が吸収されやすいことを考慮してか高音は量感が少なく全く伸びないし定位も高音ほど後ろ側に行きがち。

○気になったこと

 所謂、DSP処理により自然なスピーカーの音をヘッドホンで音を聴くことを目指したという所は嘘偽りが無いと感じた。一方で何十年前の技術かと思わせる程度の出来で、問題はこの処理をOFFできない仕様で電源が必須ということ。

○所感

 残念ながら総括すると反射音をシミュレートして付加した結果、音源によっては銭湯のような音場が形成されてしまっています。うたい文句通り、いままでのヘッドホンが合わないと感じた人にこそ刺さる商品かもしれないが、そうだとしてもあまり出来が良くないように思えました。現時点では特にそういった処理はヘッドホン側ではなくDAP側などで事前処理した方がより演算をリッチにでき、そういった機能は各プレイヤーで揃えていることが多い上に、あまり良い評判を聞きません。*恐らくこのような機能は一般的には最初の数回テストで使ってみて違和感を感じて普段はOFFにして使っている人が多いと思われます。

さらに、このような機能の決定版として多チャンネルの音源から2ch化するApple空間オーディオが普及し始めており、こちらの方がマスタリングから関与しているため完成度が高いと感じます。ただそうだとしてもイヤホンネイティブで育ったオーディオマニアの間ではイヤホンでの頭外定位をそれほど望んでいないという声をよく聴くため、カジュアル用途を除いくと流行るかどうかは未知数だと思われています。そしてヘッドホンに3万円も出すユーザーターゲットはオーディオマニアですのでこのような状況下でこのヘッドスピーカー(ヘッドホン)の立ち位置は非常に中途半端で市場受けが悪かったということは容易に想像できます。勿論、FPS社のサラウンド技術で既存のヘッドホンとは勝負しなくてよいようにしたいが故にヘッドスピーカーと名付けた気持ちは理解できますが、形や用途がヘッドホンそのままなので流石に無理があったのかもしれません。

一方で、この不要な機能は別にして3万円クラスの使い心地を3000円で手に入れたり、ヘッドホンの改造練習に使うなどの音質以外の目的で考えれば十分に音量も取れて無線機能もあるという意味では良いかもしれない。

FPSという会社が日本の会社ではあるので応援したい気持ちもあるのですが、あまりにも出来が悪いので流石にこれに関しては不可能かなと思っています。ただ、企業の情報を見るとサラウンド技術、業務用スピーカーという分野ではかなりの実績をもっているようですので今回の反省点を活かして次回作に期待したいです。

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■パッケージとか付属品とか外観とか使い勝手とか

パッケージは3万円クラスなので非常に豪華です。この値段では珍しいTypeC端子を採用しており、ケーブルも一般的な3.5㎜ジャックでコードも布製で絡まりにくいものが入っています。見た目も3万円クラスにしてはかなりチープな方ではありますが、3000円であれば考えられないほど上質なイヤーパッドです。折りたためる機構も持ち運びに便利で、各所の手触りも悪くありません。

問題点は有線で聴くためでも電源が必要なところです。電池が切れると普通のヘッドホンとしても使う事はできません。また、一般的な方だしコードは左側に端子を持ってくることが多いかと思いますが、F01Wは右側の方だしです。

Bluetooth用にマイクが付いてはいるのですが、音量がかなり小さいのでおまけみいなもので緊急用でどうしてもヘッドホンのマイクが必要な時以外は未対応でも良かったかもしれません。いずれにしても会議などでは発話用途には不向きかもしれません。

 

■結論

ヘッドスピーカーという名前ですが一般的な言葉で言えば、疑似サラウンド機能が強制ONのヘッドホンで、銭湯に配置したスピーカーのような音を再現します。平面駆動ヘッドホンとしての部品どり、改造用に良いと思います。3000円で無線機能がありますのでオンライン講座などの聞き取り専用に使うのも良いかもしれません。残念ながら一般的なヘッドフォンの基準で言う定価3万円の音質目的で購入すると3000円でも高いと感じると思います。

疑似3D機能を常にONにしてヘッドフォン聴いている方やヘッドフォンの部品取りをしたい、改造して遊んでみたいという方にはかなりお買い得な商品だと思います。