ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー:BQEYZ Autumn 結論:A20Kで開放感と残響感を極めたリスニングイヤホン(提供BQEYZ様)

こんにちは

 

今回はBQEYZ様より提供いただきましたAutumnのレビューです。断りとして、提供いただいたレビューではありますが忖度なし、思ったことをそのまま書いていますので動機が異なるだけで基本的に通常のレビューと内容は変わりません。

結論としてAutumnは、A20K(アラウンド2万円)クラスで卓越した開放感を持ちつつ音の残響と余韻に優れた音色を持つイヤホンです。帯域バランスをカスタマイズできるユニークかつ実用的なギミック構造と、高いビルドクオリティ、鳴らしやすいスペックを併せ持つ高い完成度を誇ります。DAPなどの高価かつ特殊な環境は持っていないが2万円クラスのイヤホンに初挑戦しようとされている方や、沢山イヤホンを持っていても開放感や響き、余韻などの音色の傾向が好きなに方や特化したイヤホンを探している方にも強くおすすめできるイヤホンです。

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■レビューの動機とか

中国のイヤホンメーカーであるBQEYZはSummerなどの四季シリーズの完成度が高いことで有名なイヤホンメーカーですね。BQEYZという名前は耳馴染みが無いかもしれませんが噂によれば大手メーカーの下請けとして長年イヤホンを作っていた老舗らしく四季シリーズの前からイヤホン製造を長年手掛けており、その技術を用いて満を持してBQEYZ四季シリーズイヤホンを世に出した様です。その四季シリーズイヤホンの最新作であるこのAutumnは気になる存在ではあったの上で今回のオファーを頂き、レビューさせていただく運びとなりました。

 

■パッケージとか特徴とか

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2万円クラスのイヤホンとしては平均的なパッケージかと思います。イヤホン本体に3.5mmプラグのケーブル、イヤーピースが2種類3サイズ(S,M,L)の計6ペア、ケース、音響フィルタ3種類(BASS, NORMAL, TREBLE)とその調整用スティック、掃除道具が入っています。

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イヤホン本体は片側6.2gと軽くはありませんが金属製であれば概ね軽い部類かと思います。厚みこそそこそこありますがサイズが小ぶりなこともあり装着感は良好でした。気になったのは本体内側の金属フィルター交換ギミック部が1mmほど突起しており角ばっていることと本体上部の外耳に沿う突起がやや鋭利ということです。

金属フィルターについてはAutumn独自の機構として円形リングの部分が64 AudioのAPEXモジュールの様に着脱式になっており、嵌めるモジュールによって低音の量感などを変更できるギミックになっています。構造を考えるとイヤホン内側の円形のリング部分のモジュールの下中央には空気穴があり、ダイナミックドライバのフロント側につながっているように見え、この穴をどの程度塞ぐのかを調整できるようです。機構そのものは違いますがダイナミックドライバのフロント側のチャンバーの機密性を変更する手法は他社でも実績がありかつ効果的な低音調整方法の一つですが、この価格帯のイヤホンに搭載しているという点ではかなり意欲的なアプローチだと思います。特許を回避するためだと思われますが磁石でのフィルターを固定するアプローチは斬新ではあると思います。一方でこのためかフィルターの突起が残ってしまったのは少し残念です。また少し心配事として磁力の思わぬ副作用としてフィルタが取れたり他の機材にくっつくなどの影響が無いかは少し心配です(幸いながら1ヶ月ほど使いましたが無くしかけただけで大きなトラブルは起きませんでした)。ということで本体を耳に押し付けるとやや金属との接触感を感じます。大きさについては1DDというスペック的な部分が良い影響をさせている一方、装着感に少し影響があるので効果と天秤にかける仕様かと思います。

本体は汎用的な2pinタイプでケーブル交換が可能です。ケーブルについてはかなり質感と取り回しが良いタイプが付属しています。見た目は4芯の編み込みケーブルではあるのですが線材はかなり柔軟性があり、屈曲に対する反発力が極めて少なくしなやかでどの様な形状にも追従します。皮膜の材質もすべすべしており手触りがよく、手を滑らせても抵抗感が無いので快適な上にケーブル同士も滑らかで絡まりにくいようです。その上ケーブル自体がある程度細く軽い点も使い易くタッチノイズが少なく、ケーブルスライダやプラグ部の品質が高くて高級感がある点も満足度が高いポイントです。暫く使っていたのですが(後述しますが音も良いため)かなり上質なケーブルを採用しているのかと思います。

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イヤーピースについては耳の穴の深さに応じて使い分けして欲しいのか濃いグレーの傘が高いものと薄いグレーの傘の低い2種類があるようです。個人的にはイヤーピースのフィットは音質に大きな影響があるので形の異なる2種類を準備ぐらいならば1種類でサイズのバリエーションを増やして欲しいと思っている派なので最初は意図を理解できなかったのですが、どうやらイヤーピースの長さが適切でないとイヤホン本体内側のフィルタ部の角が耳に当たるようで音質調整というよりは苦肉の策という気がします。私は濃いグレーの長いステムの方がよりフィットしたのですが、寝ホンをして横からの圧力を受けたりすると外耳に痛みを感じる場合がありましたのでイヤーピースが適切でない状態で長時間装着したりすると寝ホン時の様に痛みを伴うかもしれませんね。「よりフィットした」とは言え、SpiralDot++やTypeEなどの定番イヤピと比べるとややフィットが甘く、聴いていると低音が抜けている感覚が否めず、試聴では標準イヤーピースは使用しませんでした。このあたりは2万円クラスであれば自前のイヤーピースを持っていない場合もあるのでもう少しサイズ展開を増やして欲しかったところです。

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ケースについてはAutumn用として丁度よいサイズのものが付属しており、付属品一式を持ち歩けるように設計してあります。中にはまったく使い勝手を考えていないポーチをつける会社もありますのでかなり考えられた作りだと思いました。

尚、フィルター交換については付属のスティックを使うのですが、コツがいるので最初は戸惑いますが慣れると簡単に操作できます。気になったのは付属のポーチに入れて持ちあるくことができるのですが、スティックにあたったりしてフィルタが行方不明になることがありました。幸い磁気があるスティックの先端についていたので問題は無かったのですが、イヤーピースを取り外さずにフィルター変更できるので気軽に交換できる一方で小さな部品なので取り扱いに注意しなければならず、ポーチに入れず持ち歩くのであれば注意を払った方が良さそうです。

 

っということで、ギミック部とイヤーピースなどやや気になる部分はありましたが全体を通して見ると2万円クラスとしては必要十分以上と思いました。勿論これ以上コストをかけて豪華に見せることなどもできるかと思いますが一番大事な音質には影響しない部分になりますので私としては好感が持てる内容です。

 

■音質とか

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フィルター交換のギミックがあるため、どの様な書き方が良いのかは迷うところはあったのですが、一旦いつもの定形文に当てはめて記載していこうと思います。特にこの価格帯では私自信の手持ちとしてもTRN BA15, QoA Adonis, KBEAR Aurora, Letshour S12, Tinhifi P1Plus, NiceHCK Loftyを持っており、加えて手元にはSeaAudio YumeMidNightをお借りしている状況です。勿論今は手元にないですがKATOやLegacy4など試聴はしたけれど購入はしていない機種を踏まえると2万円周辺は激戦区と言って過言ではないと思います。2万円という予算を考えた時にこれらの競合機種と比べた特徴などを重点的に書いていこうと思います。

 

○環境

2万円台のイヤホンのプレイヤーについては実はとても迷うところで普段使用するM17ではプレイヤーとイヤホンとの価格のバランスが不釣り合いであり、実際に購入を検討している方のプレイヤーはもう少し機動性やコスト重視の機種の場合が多いかと思っています。ただ2万円のイヤホンともなると多BAドライバーの機種も増えてきており、Xperiaなどのスマホやエントリークラスのプレイヤーではやや力不足感こともある微妙なラインです。BA15のレビューが書く書くと言ってからかなり放置してしまっているのもそれが理由で、プレイヤーに対してイヤホンの出音が過敏に変化するため、評価を定めにくいためだったりします。このためAutumnについてもいくつかの再生環境で試聴させていただきました。全部というわけではないのですが、代表的なものを下記に記載します。

 

 ・Xperia10ii(AppleMusic) -標準ケーブル -> Autumn(Normal) -> SpiralDot++

 ・M17 (AppleMusic) -標準ケーブル -> Autumn(Normal) -> SpiralDot++

 ・MBP15 L2013(AppleMusic) -ADI2DAC-> L50 -標準ケーブル-> Autumn(Normal) -> SpiralDot++

 ・AGPTEK A19X -標準ケーブル -> Autumn(Normal) -> SpiralDot++

 

この中で一番驚きだったのはAmazonで5000円以下で売られているAGPTEK A19XとAutumnの組み合わせがコストパフォーマンスという相対指標だけでなく絶対的な音質としてもかなりバランスが良かったことです。このA19Xは以前Twitterでインプレ的に紹介したプレイヤーで駆動力は低く、低音域は薄く、やや位相に不自然さがある機種ですがこの価格帯にしては過度な味付けが少なくロスレス音源であればフラットな音を出す極めて稀な機種です。Autumnはスペックでは42Ωとイヤホンとしては高めの抵抗値ではありますが感度が110dBと高いためか1DDという特徴からかこの様な激安プレイヤーでもかなり音場も広く音を鳴らせる様です。

イヤーピースについてはいくつか組み合わせを試したのですが、自分は耳の形状の制約からそして、音場の広さからJVC SpiralDot++が好ましく思いましたし、ボーカルを重視する場合はFinal TypeE Softなども良い様に思いました。

 

○ファーストインプレッション

 初めて聴いた上流構成はM17だったのですが、一聴してわかるほこに音像が高く響きが豊かで開放的なサウンドでした。上流の音をそのまま届ける方向のイヤホンではなくどちらかと言うと人間が好ましいと思える付帯音付加してくるタイプで、似た傾向のイヤホンではQoAのAdonisなどが思い浮かびました。Adonisが音に艶をのせて横に広がる音場を持つタイプに対してAutumnは音に響きをのせて縦に広がる音場を持つタイプで音像が高い割にボーカル音が近いので歌い手の迫力や生感がありありと感じ取れるビビットサウンドでありながら音の広がりが開放的なため暑苦しさが無いという絶妙なバランスです。このタイプの味が濃いイヤホンは上流との相性が出やすい印象が強いため警戒する一方で、イヤホンとしての解像度など基礎能力の高さを驚きと共に受け止めていました。

BASS, NORMAL, TREBLE、無しのフィルタについては変更してみると設定に応じて低音の量感が少なくなっていき、フィルタ無しではほぼ低音が無い状態になります。ただしフィルタ3種類の内だけで言えばサブベース帯域の変化がメインなので地味な変化感じるかもしれません。個人的な好みで言えばTREBLEでは物足りなく、BASSかNORMALであれば楽しいバランスで聴ける様に思えたので基本的には標準のNORMALフィルタで聴き込むことにしました。

リケーブルの効果や、標準ケーブルとの相性などを確認したかったのでSHADOWやSpaceCloudなどの適当なケーブルを装着してみるとAutumnの一番の特徴と思っていた残響感や開放感といった要素が薄まる印象があります。同様にAutumnのケーブルを他のイヤホンにつけるとAutumnの特徴と思っていた残響感や開放感を装着したイヤホンの音色に感じてしまい、特徴的な部分の一部はケーブルによる味付けの様に思いました。FinalのA8000やQoAのAdonisなどケーブルを含めた完成度の高いイヤホンと同様に、このAutumnもケーブルとセットできっちりと音作りをしている完成度の高さを感じさせられました。ことAutumnに関してはリケーブルはできますが全体のバランスを維持しつつ音質を上げられる構成を見つけるのは難儀かもしれません。それならばリケーブルなんて不要では?っと思うかもしれませんが、味の濃いケーブルがついているということはケーブルを普通のものに交換するだけで音を味変させることが可能です。さらに2万円のイヤホンは一般的には高価ですので断線のリスクを考えればリケーブルできるのはプラスでしかありません。

っと、ざっと聴いただけでも数千円の中華の適当なケーブルをあわせた様な構成ではなくAutumnというイヤホンの音作りを細部まで計算されて音作りをされていることを実感するイヤホンでした。

 

○聴感上の帯域バランス

 フィルタ設定にもよるがNormal設定で概ねフラットと感じました。K3003などに用いられているステム内のノズルのフィルターとは異なり低音の量感を直接変化する音響フィルタチューニングそのものに近いのか自然な変化でバランスが変更できる点は嬉しいと感じた。特にこの様なチューニングでは低音の量感と締まりが相反する関係になることは多いのですが、BASSに設定してもボワつきすぎることなく良好な点もフィルター設計の絶妙さを認識させられます。

○音色、響、艶

 傾向で言えばやや暖色寄りのバランスです。残響感と余韻が音色に付帯するため擬似的ではあるが音に厚みが乗るため耳障りが良く極めてリスニング傾向が強いです。録音の粗や細かなミスとも言える付帯音も心地よい響きと艶で塗りつぶしてくれるため、心地よい音を聴くためのイヤホンと言い切って良いと思います。同じリスニングとは言えゼンハイザーのIE900の様なフラットで原音の荒をありありと描写するイヤホンとは全く音色が異なるので着色の強さを実感させられます。この様なイヤホンでどこまでモニター用途で使うかはわかりませんが生録ソースで1音1音を拾ってその音の質を確認するという様な用途には使えない音色だと感じます。

○音場、重心

 音場は横は価格なりかやや狭い程度だが、上下は広く特に高さがある。ポップスでは重心も高く、音像は近く高さがあるので迫力があり反響音的な付帯音は少ないため開放感があります。一方で生録ソースでは音像が低くなりすぎてやや窮屈で圧迫感を感じる場合があり、録音やプレイヤーによっては上下の音が団子になりやすいことがあったので全般的にPOPSやROCKなどには向くが生録は向かない様に思います。いずれにしてもこの音場感は癖はありますが一般的には好まれるチューニングだも感じました。

○定位、音像

 他のA20Kのイヤホン達と比較すると、響きを持つサウンドが故に音のエッジや定位は緩く、細かい音像はやや掴みにくい。しかしながら音の粗を消して心地よいハッキリとした分かりやすい音塊を作ってくれる感覚があり、大味ながらも音像を掴むというリスニングで良ければ心地良い音にしてくれるとも言え、プレイヤーの解像度をあげてもリニアに伸びない一方で低価格機種でも一定以上の音楽体験が得られるのは素晴らしいと思えました。私はこの「生録の定位の正確さなど無粋」と言い切ってしまえるほどの大味で外連味溢れる大立ち回りは最初は好きになれない感じがあったのですが、聴き込んで2万円クラスではリスニングに特化してるほうが良いだろうと割り切れば、突き抜けて楽しいと思える様になりました。

○解像度、分離

 他のA20Kのイヤホンと比べて解像度はやや高いです。1DDという特性を考えればかなり良いと思います。分離については残響感と開放感という音色の特徴から考えると仕方が無い部分があります。音像の項目でも述べたが解像度の高さも細やかなディティールを響きで塗りつぶされている感があり、(普段の使い方とは異なるが)解像感が高いと表現するほうが良いかもしれません。特に再生機器が安くても解像度を感じやすいのでスペック以上に鳴らしやすく始めて2万円クラスのイヤホンを買った時に音質変化の効果を感じやすい様に思います。

○低域

量感はフィルター変更により心地よい塩梅で調整できことに加えて、アタック感、スピード感共にA20の中でも優秀なAuroraや比べても卓越した表現力を持っていると感じました。サブベース帯域まできっちり伸びる低音はアタック感だけでなく質感も良くエネルギシュで躍動感があります。Autumn独特の残響感があるにも関わらずリリースの遅さを感じさせない低域のチューニングは見事だと感じます。

○中音

ボーカルなどは音像の重心が高く、楽器も響きと余韻が美しく着色感はありますがAutumn1番の魅力的な帯域です。特にボーカルに関してはリップの動きや息づいかいや躍動といった表現が把握しやすい上に、その音色の多くが反響の無い開放的な空間に抜けていくような響きを持つのでこの開放感と残響感の中域表現はA20の競合の中でも頭一つ抜けています。

尚、イヤーピースに関して少しだけここで述べると中域に関してはSpiralDot++の方が少しボーカルが俯瞰的になり楽器に焦点が合うようになり全体の音のバランスが良い様に思っています。一方でもう一つのおすすめであるType E Softではボーカルの迫力と音像表現の大きさは随一でボーカルやバイオリンなどの中域が映える楽器を中心に聴きたい方には充実した迫力を維持しつつ外連味溢れるサウンドを堪能できるようです。ただType E Softは特に録音が悪く表現の粗さがSpiralDot++以上に気になりにくくなるので、流石にそれを嘘っぽいと取るか楽しいと取るかでどちらのイヤーピースを選ぶ評価基準にしても良いと感じます。

 

○高音

高音は綺麗に伸びる上に大きな癖も少なく聴き取りやすくチューニングと品質の高さを実感できる帯域です。女性ボーカルのサ行などの中高音域はやや刺さるが敏感な人でなければ問題ないレベルです。鈴やシンバルなどの金物楽器も過不足無く定位よく表現できています。ただAdonisやBA15などのA20Kの機種の鋭い攻めた音色比べると他の帯域と調和した音色であり表現力としては並と言ったところかと思います。特筆すべき点は無いが逆に高音域については目立った弱点らしい弱点が無いほどの完成度と言っても良いかもしれません。

 

●F特性グラフ

Autumn BASS, NORMAL, TREBLEフィルタ

フィルタの変更により綺麗に500Hz以下の低域が制御されていることがわかる。また1〜5KHzあたりの中域は極めてなめらかな曲線になっており癖の少なさが伺えます。

○気になったこと

基本的に複数のアンプ構成を聴き比べて思うことはAutumnはチープな環境でも解像度が高く音色の本領を発揮しやすく、鳴らしやすさについては随一てす。音色の全体傾向は上流に左右されにくい特徴がある一方で、上流はなんでも良いかというとそうでもなく音場感や定位感については左右される傾向がある様です。例えばTopping L50であれば明るめの音になったり、AGPTEK A19Xでは音場が広いなど機種ごとに特徴は異なるのですが完全に相性的なものだと思います。

尚、昨日AGPTEK A19XがAutumnと良相性とツイートしたのですが1日聴き込みこの組み合わせはかなりピーキーな様に感じています。コスパとしては素晴らしいのですが特に相性傾向が強い様に思えてPOPSになどの曲では音場が広く非常に素晴らしいが、クラシックなどの生録では音像が一部が逆相の様な不自然さがあり気持ち悪くなってしまいました。相性は良いと思いつつもソースが限定される様です。格安DAPですので何かしら苦手な部分があるのは仕方ないかもしれません。同じ様にM17との組み合わせでも、生録ソースでら外連味溢れる誇張された表現がやや大げさで嘘っぽいと感じたのでAutumn自体が生録ソースでは人を選ぶ傾向があるように感じました。

○所感

総じてAutumnはA20Kのという価格で納得の完成度を保ちつつ、イヤホン唯一の音色をも持ち合わせている素晴らしい機種です。再生機器を選ばないことからエントリー機種からのアップグレードを考えている方、そして独特開放感と響きからくる音色の独自性から何台もイヤホンを持っている玄人のコレクションの一つとしても良いと思えました。このクラスの価格帯でこれほどまでに開放感の残響感を極めたリスニングイヤホンは無いのでないかと思えるほどでした。ビルドクオリティや付属品のレベルが高いため、この様な傾向のイヤホンを探している方としては最高の選択肢になると思います。特に初めてこのクラスを買う方は再生機器を選びにくいため旧機種からのアップグレード効果を感じやすいと思うのかなり満足できる選択肢になるのではないかと思います。

尚、今回レビューをさせていただくにあたり先方と話をした際にBQEYZとしてはこのAutumnをかなり推されており、自信の程を伺えたことを思い返します。実は実際に到着して聴き込むとファーストインプレッションにも書いた様に納得の完成度に最初の数日はただただ舌を巻いてました(笑)。

かなり長くはなってしまいましたが、Autumnが計算された素晴らしいサウンドであり良い機種で個人的には推せるイヤホンではあるものの、苦手な方もいると感じたサウンドと感じましたのでそのあたりの嗜好を今回のレビューで伝えられ、Autumnがより後悔の無い良い選択肢になればと思っています。

 

■まとめ

Autumnは、A20K(アラウンド2万円)クラスで卓越した開放感を持ちつつ音の残響と余韻に優れた音色を持つイヤホンです。帯域バランスをカスタマイズできるユニークかつ実用的なギミック構造と、高いビルドクオリティ、鳴らしやすいスペックを併せ持つ高い完成度を誇ります。DAPなどの高価かつ特殊な環境は持っていないが2万円クラスのイヤホンに初挑戦しようとされている方や、沢山イヤホンを持っていても開放感や響き、余韻などの音色の傾向が好きなに方や特化したイヤホンを探している方にも強くおすすめできるイヤホンです。

長くなりましたがご拝読ありがとうございました。ではまたあした。

 

■Appendix

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.5

INPUT:Scarlett Solo XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:ADI2DAC fs (3.5mm IEM端子、DJ44C併用)768KHz32bit 0dB

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:AET07 Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み