ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー:FiiO K9 Pro LTD(AK4499 x THX AAA 788+ 据え置きDAC兼HPA)のレビューというか感想

こんにちは

 

今日は雑記なのですが、予告通りFiiO K9 Proのレビューというか感想について、動作チェックも兼ねて機能を確認しながら徒然と書こうと思っています。

結論とかは特に無いのですが、強いて言えばAK4499の最後の有終の美を飾る機種たちの中でも、FiiOのフラグシップアンプ回路のTHX AAA 788+のコラボレーションを唯一実現している素晴らしいDACアンプです。音質に関しては何も文句は無いのですが、私には機材が物理的に大きすぎてお買い物としては失敗した機種になりました。

購入動機とか
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購入の動機としてはメーカーが謳い文句としているAK4499とTHX AAA 788+の音を高コストパフォーマンスで体験したかった事にほかなりません。

基本的なスペックとか売りというかそういうのはいつも通り公式サイトを参照してもらうほうが良いでしょう。

追加で特筆する特徴はFiiOとしては最大級とも言えるほど巨大な筐体ですね。内部を解体したFFさんによれば電源部はリニア電源、いわゆるトランスで構成されているようです。GaN充電器などに代表される最近の小さな据え置き機器は、スイッチング素子による電源回路の小型化が大きく寄与しています。しかしことハイエンドオーディオ機器ではスイッチングノイズを嫌って音質の為にリニア電源、トランスによる電源回路構成を良く採用していると言います。FiiOの歴史には詳しくないのですがポータブルオーディオ機器から参入しているFiiOとしてはほぼ初めての採用(設計)なのかもしれませんね。何れにしてもFiiOとしては異例な電源回路へのこだわりが入っている機種だと言えると思います。

電源の重要性

っというのもバッテリーが内蔵されているDAPやポーターブルアンプを使うポータブルオーディオ界隈ではあまり馴染みがありませんが、据え置きオーディオでは常識的に音質と電源の関係性が語られています。私自身の今までの実体験でも音質に電源が大きく影響するというのは頷けるところではあります。当然ながら諸説あるのですが、中にはオーディオ機材の中で最も重要なのが電源だという方も沢山いらっしゃるのも事実です。

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実際にK9 Pro LTDで大きく感じたのはM17DCと同じで、使用する電源の品質により音色が変化することです。特に私の電源環境ではNTT-ATのノイズ/雷サージプロテクタの効果は絶大で、この機材の有無でヘッドホンやイヤホンの音色の広がりや音場感が大きく変化します。

ACコンセントだけでなく、100VAC出力対応バッテリーと合わせて持ち歩きされている方もいるとのことで今回敢えてAnkerのHouse100を使ってバッテリー駆動などもしてみましたが私の所感ではK9 Pro LTDの本来の音質はあまり発揮できていない様に感じました。もちろんその他のポータブル機材と比べてどうか?っという意味では十分に高音質ではあると思います。ADI2DAC fsを一時期持ち歩いていた身としてはあまり大きな声ては言えませんが、音質の為とは言え2.8kgという赤子ほどのアンプを持ち歩くとは恐れ入ります。尚、当然ながら据え置き機材を持ち歩くというのは素子や内部の固定などの部品が持ち歩き前提としていないものも多く、設計想定外の物理的な負荷がかかり断線など故障の原因になるため推奨はしません。

電源での変化はプラセボではないか?っという意見もあるかと思いますが、一応自分としては試聴時に目を瞑ったり、電源部の設置と試聴のタイミングをずらすなどの工夫をすること、そして何よりブラインドテストでも当てられるよね?っという変化と感じた場合のみ効果があったと言うようにしています。もちろん糞耳なので他の方にも間違いなくオススメとは言い切れないのですが💦。ちなみにその様に思う理由としてM17のDCモードとK9 Pro LTDを比べるとどうしても今まではK9 Proが一段階ランクが落ちる印象があったのですがノイズフィルタを付けてからはほぼ同等だと感じていることも大きいです。

尚、このあたりのノイズフィルタは使用される住居環境などにも左右されるので(最初からコンセントの電源品質が良い地域も当然あるはずですし)必ずしも効果があるわけではないですのでその点はご留意ください。

据え置きオーディオ機材のおまじないとか

別に据え置き機材だからと言ってポータブルと違いがあるかと言われると特に無いはずではあるのですが、おまじないとして「暖気運転が必要であるとか、振動対策を行う」などが推奨されます。 振動対策については諸説ありますが個人的には音波が筐体に到達する使い方、つまりスピーカー用のプリアンプやDACとして使うときだけ考えれば良いかもしれませんね。

暖気運転については自分が使っていても実感するところで、機材がほんのりと暖かくなるまでは音色がいまいち乗りがわるく、高音がピーキーに鳴っている印象があります。気の所為ではないか?とも思うのですが、AK4499チップ自体のTHD+N等のスペックが安定して発揮できるようになるまで10分ほどかかるという話もありますし、電源の投入後に慣らし運転をさせて少し機材を温めてから目的の音楽鑑賞を始めてやるとより高音質でK9 Pro LTDを楽しめる様に思います。

そいういう意味でなのかはわからないのですが、K9 Pro LTDは本体後部の主電源をOFFにしなければほんのり本体が温かい状態になっています。もしかするとそれを想定している設計なのかもしれません。勿論長期的に使わない場合は主電源をOFFにすれば良いと思いますが、普段遣いでは全面電源のONOFFするぐらいのほうが使い勝手が良いように思います。

アンプとしての使用感

イヤホンの場合

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基本的にK9 Proシリーズはヘッドホンを駆動することを想定しているとは思うのですが当然ながらイヤホンも駆動できます。TINHiFiのP2 Plusのような能率が悪いイヤホンを音場を広く駆動することからCampfire AudioのSolarisのように高感度のイヤホンをノイズレスで駆動することまで上手く設計してあるように感じました。もちろんGainの切り替えH M Lの3段階を切り替えることにはなるのですが、M17の様に高感度のイヤホンではLにすることでしっかりとノイズが減ってくれます。若干気になったのはHとM Lとの音の変化の差が大きいことで、どうやらHゲインのときだけTHXAMPの供給電圧が最大値14.5Vになり、MLでは10.5Vになっているようです。イヤホンでHにすることはあまり無いと思いますが、音色の傾向が少し違いますのでイヤホンによってはHの方が相性が良いイヤホンもあるように感じました。

若干使いにいと思うのは3.5mmステレオ標準プラグが無いことで、6.3mmジャックから変換プラグなどを使って聴いてやる必要があります。本体サイズがこれだけ大きいのですから3.5mmジャックを付けてくれても良かったのではないかとは思います。FiiOとしてはヘッドホンを鳴らすことを目的としているというメッセージなのかもしれませんね。

K9 Pro LTDで最も使ったイヤホンは何と聞かれれば、FFさんからお借りしていたCampfire AudioのSolarisと手持ちの64 AudioのNioになるかと思います。どちらも10Ωと6Ωという低抵抗の機種なのですがLゲインでノイズレスかつ広大な音場表現をAK4499らしい美音で鳴らしてくれました。M17などとも比べて特に素晴らしいなと感じたのはSolarisやNioで適度な音の厚みに艷やかな音の鮮やかさを付加してくれるところだと思います。音の繊細な表現を拾い上げて細ややかかつ美麗に描写する様はM17の高解像度の情報量と厚みという力で押す表現とは正反対で面白いです。

総合的に見ればM17のDCモードとどちらで鳴らすほうが好きかと言われると本当に甲乙付け難く気分で聴きかえたいというレベルの差でしかありませんでした。

その2つのイヤホン以外の機種でも大体はM17 DCとK9 Pro LTDどちらも僅差で甲乙つけがたい素晴らしい音色でFiiOのTHX788+アンプの素晴らしさを実感する次第でした。極端に相性があった機種もあり、具体名を出せばfinalのA8000、JVC FW10000(両機種デフォルトケーブル構成)で、これらについては圧倒的にK9 Pro LTDの方が美しい音色で奏でてくれたと感じました。一つのアンプがあればすべてのイヤホンが鳴らせるというのは難しいというのを実感する次第です。

尚、どちらでも良い音色っとなってしまうとどうしてもM17の方が軽く小さいためどの様な場所でも聴けてしまうのでほとんどの場合でM17で鳴らすことになってしまいます。このためA8000とFW10000以外ではK9 Pro LTDは中々出番がなかったというのも手放す理由になります。

ヘッドホンの場合

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ヘッドホンでは4.4mm端子、6.3mm端子のみを使用しています。XLR4pinについては機材を持っていないこともあり使っていません。それほど良いヘッドホンを持っているわけではないのですが愛機のK812やHi-x55などに加え、最近購入したHD800sなどを鳴らしてみて思うのはAKMサウンドと言われる美音要素をリスニング向けとして最高峰の艶やかさを正確な音色を損なわないギリギリまで載せたサウンドだということを強く意識します。

解像度番長とも言えるToppingのE50, L50セットと比べてしまうと解像度はほどほどでやや劣っている部分はあるのですが、音色のバランスが抜群に良く音色全体から漂う妖艶で美しく滑らかな艶やかさはE50, L50には出せない音色だと認識しています。特にK812などの美音系のヘッドホンではすべての音色が美しく、質の悪いソースも本当に楽しくそして気持ちよく聴けてしまいます。

だからといって全てのヘッドホンでそうなるかと言うとそうではなく、HD800sの様な録音の悪さに不寛容なヘッドホンではその悪さも美音ながらも克明に描写することで、音の問題点を包み隠すことなく詳らかにしてくれます。

私はそれほどDACの違いについて敏感ではない方ではあると思っていたのですが、このK9 ProはAKMの美音はこういうものだろ?っと言わんばかりの音色でとてもわかり易いです。特に女性ボーカルの歌声は綺麗という言葉以外を失うほどですし、逆に音の線が細やかで表現の機微も繊細です。ただこれは逆に言えば音色の細さが気になる人もいるかと思います。

ちなみにToppingに比べて解像度はやや劣ると言いましたがToppingが解像度に特化しすぎているだけでADI2DAC fsやM17 DCと比べると解像度はほぼ同等だと感じています。


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DACでの使用感

AK4499チップを使ったDACということで後段にL50などを繋いで聴いてみたことがあるのですが、ヘッドホンアンプ全体としての音色がDACチップとTHX788+の両方の相乗効果によって作られた音色だと認識させられる音色です。

手持ちのマシなケーブルはRCA用のQAX−102 LC-OFCしか無くRCA接続を前提としていますが解像度に関してはL50にすることでK9 Pro LTDからやや向上します。では音色がよくなるかと言われると難しい部分があります。というのもK9 Pro LTDにある適度な音の厚みは失われること、そして音色がかなり明るくなり、やや寒色よりに変わるためです。

ちなみにセットで売られているToppingのE50、L50の音色は解像度バキバキ、音色はとてつもなく明るく、音場が広大なことが特徴なのですがその音色とK9 Pro LTDの間の様な音色になります。当然といえば当然なのですが……。

DACをADI2DAC fs に変更したL50の音色と比べると自然で定位と分離が整然として良いのがADI2DAC fsで、解像度が高く艶感や音色の美しさはK9 Pro LTDという塩梅です。これがAK4493とAK4499の違いなのかはわからないのですがK9 Pro LTDのDACとしての性能も普通に良いと感じた次第です。

HPAとしての使用感

DAPを除いて手持ちのDACとしてはRMEのADI2DACfs(AK4493) やToppingのE50(ES9068AS)などがあるので先程のRCAケーブル、そして自作オーグラインの6.3mmTRSx2 to 4.4mmケーブルを使って聴いてみました。

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結果としてHD800sやN5005などで聴く限りはTopping E50とK9 Pro LTDと自作オーグラインケーブルの組み合わせではM17 DCモードとかなり酷似した音が出ました。やや解像度はM17の方が上とか音場感が少し違う等、細かくは異なるのですがケーブルなどで調整が可能な範囲と思います。

私は未聴なのですがK9 ProのESS版はM17の音色に近いというレビューが国内外で多数あるのを知っています。このESSチップのDACと組み合わせたK9 Pro LTDの音色を聴いてしまうと納得しかありません。K9 Pro LTDに比べて初売り価格が高いためか品薄のためかK9 Pro ESS版の方がやや高値で取引されていますが、個人的にこの音色を聴いてしまうと手に入りにくいAK4499チップが乗ったLTD版の方が汎用性が高く、発熱も少ないため使い勝手が良い様に思います。

尚、大枠としては似た音色なのですがNioなどを使うと細かい音場や解像度の違いが目立って見えてきます。音場の音像の高さが違ったり、強調される帯域が少し変わること、音に含まれる情報量にも差があります。全体的に言えば情報量が多く描写が細かいのがM17DCで、音場感や臨場感に優れるのがE50とK9 Pro LTDです。そして同じE50でケーブルをRCAしても少し音が変わります。解像度は少し落ちて艶がなくなる感覚がありますが、中低域の描写に迫力が出ます。左右の音場はやや狭くなるのですがボーカルにフォーカスが当たります。このような細かい違いはありますが概ねM17に近い音色です。M17と比べると解像度などやはり1枚落ちる感覚があるのはやはりDACとしての性能差、そして高解像度のバランスケーブルと比べるとあまり解像度は高くないためだとは思います。

ADI2DACfsとつなげた場合ですが、接続がRCAのアンバランスとなるためか、やや解像度がぬるく感じてしまい、外部のDACを使う意義を見いだせない感じがしました。ADI2DACfsの傾向なのかまとまりが合って定位が良い一方で音色に輝きが少ない淡い音という印象が強いです。これはどのアンプに繋げてもそのように感じるのでADI2DACfsかAK4493の傾向なのかもしませんね。

ということで、HPAとしての実力を見てきたのですがESSチップのE50との圧倒的な相性の良さを感じました。E50はToppingでもミドルクラスのDACなので上のクラスでes9038proを使ったD90SEなどと組み合わせるとまた面白い結果になるのかもしれませんし、Topping以外のメーカーの音色も気になるところで、そういった遊び方も一興かもしれませんね。

その他良かった所とか

写真などではわかりにくいのですがボリュームノブや4.4mmジャックなど本体の細やかな質感は本当に素晴らしいです。ESS版のK9 Proもこのあたりは同じなので店頭で確認できるかと思いますが、肉厚で重厚感のある天板や印刷は質感が良くFiiOがフラグシップ機種として恥じない高級感を出して仕上げて来ていることがわかります。特に良いなと思うのは4.4mmなどのジャック部で、実用的に一番使う部分の品質が高いことです。ジャックの部材はどこのメーカーなのかは非公開で不明ではあるのですが、ジャックにプラグを刺した時の質感は安物のi○iのジャックなどと異なり独特のヌルっとした気持ちの良い抵抗感がある挿入感があります。安物のジャックの場合は加工精度が悪いのかジャックに刺した時の抵抗感に絶縁層と金属部の境目の変化にひっかかりを感じたり、クリアランスが無いのか異様にキツさを感じたり、金属が削れる様な異物感を感じる機種があったりしますが、K9 Pro LTDの6.3mm, 4.4mmジャックに関して高級機のジャックの質感そのものです。ボリュームを始めとして特に沢山使うであろう部分の品質にお金をかけている設計はとても好感が持てました。

その他気になった所とか

スペックで気になった点を上げれば、AK4499チップの不足から当初の計画ではDACチップは2枚構成だったのが1枚構成に変えられてしまったことでしょう。実際にDACチップ2枚は効果的なのか?っというのは諸説あるのですが計画として2枚だったものから1枚になってしまった事実としては2枚の音はどんなものだったのだろうか?っと気になるのは仕方ないかと思います。

ファームウェアの安定性も少しだけ気になりました。当然ながらONOFFなどを頻繁にするものではないのでそれほど問題があるわけではないのですが、まれにUSBが認識しなくなったりします。大体は再起動で治ったりするのですが、USBに関してはケーブルの品質の問題もあるので問題が切り分けにくいです。このあたりは本体右側という変な場所にあるUSBC端子など、USBが2系統あることも関係しているのかもしれませんね。ファームウェアのアップグレードの話は聞かないのですが、安定性を上げるファームウェアなどはそろそろでても良いのではないかという気はします。f:id:el_snow:20220720195450j:image

個人的に流石にこの場所にUSBを付けるならば前面パネルに付けてほしかったというのが本音です。

 

その他、要望というレベルではやはり操作性については少し気になる部分があります。無線の接続ができるのは良いのですが、表示も無く直感で操作できるものではないのでマニュアルは必須です。デザイン優先ということもあるのでしょうが、電源ボタンがinputなどと並んで同じ大きさのため覚えるまでは少し戸惑うところがあるかもしれません。このあたりはBluetooth接続ができるのですし、無線での電源ON,OFFができたりすると良いのかもしれません。これらの機能面については従来のHPAであれば不要なレベルなのでないものねだりなのかもしれません。

まとめ

っということで、今回K9 Pro LTDを手放すにあたり、今まで使っていなかったヘッドホンアンプやDACとしての使い勝手や音質をざっと確認したのですが、このK9 Pro LTDはかなり高いレベルでまとまっているアンプだと再認識しました。本当にもう2周りほどサイズが小さければ何も文句もなく手放す事も無かったのですが恐らくこの音質を実現している部分にはこの筐体のサイズなども関連していると思いますので難しいところだと思います。旭化成のチップに関しては年末にかけて新しいチップなどが予定されているのですが、ドイツで行われたハイエンド(展示会の名前)では元の音色とはかなり違うという噂も聴きますし同じ系統の音色が聴けるかは旭化成の技術者次第になるかと思います。プロセス技術と緻密に連携してなし得ていた音質かと思いますので難しいとは思いますが、今後の旭化成に期待したいところです。


では、また明日。