ゆるふわオーディオ日記

日常の気になった事や思う事、気に入ったオーディオ機材のレビューを思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。

レビュー:LETSHUOER D13 結論:18000円でソリッドな音色で装着感とのバランスが良いリスニングイヤホン。海外の実勢価格に落ち着けば強い(提供:LETSHUOER様)

こんにちは

 

今回はLetshuoer様より提供いただきました平面駆動イヤホンS12に続いてダイナミック駆動型「D13」のレビューです。毎度ながら断りとして、提供いただいたレビューではありますが思ったことをそのまま書いていますので動機が異なるだけで基本的に通常のレビューと内容は変わりません。


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要約(結論)

12,000~13,000円程度の価格を参考価格とすれば音場が広く質の良いソリッドな低音と中音に彩られたグルーブ感のある音色のコストパフォーマンスが高いリスニングイヤホンです。本体は軽く装着感が良い上にサウンドバランスも優れており、ノズル変更やリケーブルなどで音質変化も楽しめ、玄人から初心者まで満足できるオールラウンダーです。ただし、現在のAmazonの価格は約6000円の価格差があるはずのS12と値段が同じ18000円程度になっており、これではバランスが良いイヤホン止まりでしかありません。このD13が気になる方は海外通販を使う事やや国内価格が落ち着くのを待たれると良いと思います。Amazonで今購入を検討されている方には駆動力が取れないアンプを使わざる得ないなどの特段の事情がなければD13よりもS12を強くオススメします。

■動機付けなど

今回のレビューは2万円以下で圧倒的な音場表現と解像度などの基礎力を持つイヤホンS12をレビューさせていただいた流れで引き受ける事になりました。あそこまでレベルの高いS12というイヤホンを出したメーカーが作る新作のダイナミックドライバのイヤホンがあると聞いて聴いてみたくないわけがありません。事前情報ではS12よりも50$(6000円)ほど安く販売する予定とのことでS12によってA20Kクラスの認識が変わった様に、D13もA10Kクラスでも同様の期待をして到着を待っていました。もちろん期待値が高いところにあるので不安もあったのですが久しぶりに届くD13がどの様な音になるのかワクワクする機種でした。

実際に届いてから聴き込んで素晴らしい機種だと確信したのもつかの間で日本での実際のD13の販売価格はS12の価格と全く同じ(または高い)19000円とA20Kのラインナップに加わる価格帯で、かなり困惑しました。それ故にこのレビューをどのように書けばよいのかを少し思い悩むことになりました。

■付属品とか本体とか


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〇パッケージ

パッケージはS12と同様にかなりコンパクトにまとめられており、簡素でありながら必要十分な高級感があります。この価格帯での開封体験としては特筆すべき点はあまりありませんが、ここにコストがかかっているよりはイヤホン本体にコストをかけて欲しい部分ではあるので十分かと思います。f:id:el_snow:20220801221822j:image

今回のD13にはS12には無い2種類のノズルが付属しており交換できる仕様なのですが、説明資料には全くその件の記載がありません。ちょっとこのあたりは不親切だなと思います。補足すれば最初から付いているSilverのノズルは外から見えるダストフィルターの網目の内側、ノズル内部にフィルターが貼ってあり、高音を少し減衰させるようになっています。Goldのノズルはこの網目の内側には何も無く、高い音がほぼ減衰せずに鼓膜に到達するようになっているようです。f:id:el_snow:20220801221845j:image

FFさんの中にはこのフィルターが貼っていない不良品を掴んだ方もいらっしゃるので見て確認するのが良いかもしれません。


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〇筐体


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筐体はかなり小さいです。S12と同等のサイズをイメージしていたのですが、比べてみても一回りほど小さいです。ケーブルのコネクタは円形に縁どられているのですが2pinタイプです。採用している磁石が強いのか磁力が筐体から漏れているようで、一般的な格安中華イヤホンの様に本体同士がくっつきます。あまり良い面は無い様に思えるのですが何かとイヤホンをしまう際にはイヤホンが散らばらないので個人的には便利です。

ただ、中華イヤホンにも言えるのですが、磁気健康器具ばりに磁力が漏れているのは健康的にどのような影響がでるのかはわかりません。健康になったりするのでしょうか?。

実際に装着してみると本体が小さいので耳への収まりはかなり良く重さも軽いこともあり、良好です。ただしステムが長めで耳との固定をイヤーピースで行うタイプになるので装着できる人は多いものの、音質目的のイヤーピース選びや最終的な装着感の優劣は変化しやすいイヤホンかもしれません。

 

〇ケーブル


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ケーブルはS12と比べても一回り細く取り回しが更に良いものになっています。見た目や手触りなどの質感は十分で、軽いこともあってS12以上に使い勝手が良いケーブルになっているかと思います。特に変な癖が付きにくい上に低反発なのでとても取り回しが良いです。特に実感するのはケースに丸めて片付ける際で、ケーブル同士が絡まらないのは当然で、一度丸めた形からほぼ変化しません。これが癖があるケーブルだったりするとケースに入るのを嫌がるように丸めた円が広がったり癖のある方向に縦横無尽に広がりケースに入るのをいやがります。このような小さなストレスが無いだけでも使っているケーブルやイヤホンを大事に使おうという気持ちが高まるので、この様な高品質のケーブルは使っていて気持ちが良いです。

プラグ側は3.5mmと4.4mmプラグを選べるようになっています。今回私ははS12と比べたいこともあり4.4mmを選びました。4.4mmの黎明期では奥まで刺すとL側が鳴らないなどプラグの相性などもあったのですが、M17やBTR7などではこの価格帯の4.4mmプラグでも相性があったことは無く、品質が上がっていること実感します。価格差も無い様ですし好きな方を選んで良いかと思います。

ちなみに音色については後述しますが、A10Kクラスとしてはまずまずのものが付いているかと思います。悪くはないのですが、さらなる音質を求める場合や、ケーブルを交換して遊ぶこともできるものが付属しています。

〇イヤーピース


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S12からコンフォートタイプと黒色のタイプが無くなり別のタイプがSMLの3種類付属し、計6種類のイヤーピースが付属します。イヤーピースはフィットしないとメーカーの意図した音を出せないのでS12同様に、イヤーピースについては種類よりもサイズ展開を増やして欲しいと思っています。実際にこの新しい黒色のタイプは初日はかろうじてLサイズが私にフィットしたのですが、体調によって耳の穴のサイズが変化するようで翌日はフィットしませんでした。このため、今回もS12同様に社外のイヤーピースを用いて音質の評価をすることにしました。

尚、黒色のイヤーピースがフィットするときにSpiralDot++と聴き比べたのですが、もちろんSpiralDot++の様な広い音場と低音と高音の音のレンジの広がりは無かったのですが音の傾向としてはまとまりがあり、フィットする方はまずはこれでも十分な品質があると思いました。

〇寝フォン

本体が小さいこともあり、寝フォンにはかなり向いている機種です。S12などはやや厚みがあったので耳を圧迫する力が強かったのですが、D13は薄いので外耳の側部内側への圧迫は少ないです。ただしステムが長いため耳の穴への負担は強めなので押されても音像が変化しずらいイヤーピースを選ぶと良いと思います。

 

〇付属品

付属品は、このクラスのイヤホンを購入する層としては必要十分な付属品が入っているかと思います。繰り返しになりますが、ノズルについての説明書は付けて欲しかったです。恐らくは普通にイヤホンを購入しただけの人は絶対にわかりません。後述しますが、ノズルでの音の変化はわずかで、ケーブルやイヤーピースでの変化の方が大きく感じますので、最後の味付けとして使う程度かと思いますのでそのままでも良いかと思います。一方で問題もありまして、このノズル部分ですが回すことで緩みます。この交換機構をしらないでイヤーピースを交換していると緩んでしまうことがあり、緩むと音漏れが発生して音質が変化する可能性があります。

いずれにしても使う際にはこのノズルについてはきっちり締めて使うのが良いかと思います。f:id:el_snow:20220801221659j:image

〇遮音性、音漏れ

ノズル部のイヤーピースを指でふさいで確認してみたところ、音漏れは少しはありますがかなり小さくちゃんと装着できていればほぼありません。遮音性についてはイヤーピースにもよりますが適度な遮音性で一般的なレベルかと思います。

〇その他、総評

全体を通して十分ではあるのですが、ノズルの説明についてはやはり必要かと思います。説明しないのであればこの機構は不要だったのではないかとも思います。個人的にこのようなギミックは最初こそ変化させて楽しむことはあるのですが、大体はあまり大きな変化ではないこともあり、決め打ちになってしまいます。1万円前後の価格だからまだ良いのですが、できればメーカーにはこれが私たちが推している音色だという構成で販売して欲しいものです。

 

■音質とか

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〇参考価格:13800円(S12の価格-6000円)

〇ファーストインプレッション

構成としてはM17のDCモード、標準ケーブル、SpiralDot++で聴いたのですが、感想は「空間表現が一般的で超高音域が伸びない低音のキレが良いS12」というものでした。音場表現や低音の深さとキックのキレなどは違うのですが全体の音色の傾向が全く持ってS12と同じで、統一されたLetshuoerのサウンドシグネチャを感じてうれしくなりました。コストをかけた平面駆動で実現していた音色をダイナミックドライバで同じように落とし込み、長所と短所を使い分けることでダウングレード感を少なくしているのも魅力的だと感じました。

A10Kをやや上回る価格の手持ちの競合を上げると、最近購入したMoondropのAria SnowEditionやKBEARのMeteor、少し古いですがNICEHCK NX7 Pro、レビュー予定のBQEYZ TOPAZなどがあり、また有名どころのfinalではE4000や、A3000、A4000シリーズなどもある価格帯ですが、それらを踏まえてもD13はS12の影が見えてなかなかに好感色なスタートでした。

エージングとか

最初に聴いたバランスでそれほど問題を感じなかったので試聴を繰り返しながら100時間ほど鳴らしているかと思います。大きな変化も感じませんし、表立った注意点も少ないイヤホンだと感じています。

〇環境とか

MacbookPro15 L2013 AppleMusic -> BTR7 -標準ケーブル-> D13 -> SpairalDot++

M17DC(TankS4) AppleMusic -標準ケーブル-> S12 -> SpairalDot++

本来であればあイヤーピースは標準の物が使えればよかったのですが合いませんでした。後述しますが他にも幾つかイヤーピースを試していますがSpiralDot++はS12同様に相性が良く、自分の耳によくフィットしました。

ノズルについては何回か聴き比べてみたところ中高域が明瞭で解像感が高いGoldノズルを使用しました。両者の差は少ないのですが、音色としては少し低音よりということもあり、初期のSilverノズルよりもGold版の方がバランスが良い様に思います。

帯域バランス

気持ちの良いリスニングサウンドを実現する弱ドンシャリのバランスです。S12と同様にとても整ったバランスでどの帯域が突出してリッチなどかプアだとかそのような過度な特徴は感じません。S12などと比べると超高域が物足りない部分はあるのですが、その分低音のアタックは強いため全体的なサウンドバランスはS12よりもやや低音よりだと感じます。低音の量感は適度なので過剰と感じる人は少ないかもしれません。他のLetshuoerのイヤホンの音色は聴いたことがないのですが、このメーカーの特徴なのかもしれません。

音色(寒暖、明暗、響き、固液)

S12同様にやや寒色よりで明瞭かつ適度な響きがあるソリッド(固体的)な音色がします。コンクリートや鉄板や氷塊のような冷たいが気持ちの良い抜ける音色はS12の系統を強く感じます。S12との大きな違いは響きの厚みと抜け感で、S12が頭内の空間に音色が表れては空間の外に響いて消えて行く音と、部材に吸収されて消えて調和のとれた濁りの無い音色のイメージなのに対して、D13は音色が頭内に抜け出す成分よりも部材で吸収されず反射してしまう成分で反響が多い音色のイメージです。どちらが素晴らしいというのは優劣が付けにくいのですが、反響音は音色の濁りにもなり音の芯の捉えにくさに直結していますので、同じ音色のバランスだからこそS12の上手さはここにあるのだと実感する音色です。

音場(広狭、重心、遠近)

音場は横に広く、上下、前後は普通という至って普通の音場です。広さとしても一般的かと思います。重心の高さは概ね一般的な目から鼻のあたりの高さに位置しています。近さも一般的で、楽器は少し遠い位置ですがボーカルは適度な近さがあり、迫力があります。後述しますが低音の質が素晴らしいので音色の下支えがあるのかボーカルのパワフルさを補強しているように思います。

定位、音像

定位や音像は値段なりです。音の低域きっちりと掴むというより、音が心地よく響いて膨らんだ音像をグルーブ感たっぷりに感じる方向性の音色です。このため定位感はあまり良くないのですが、そのマイナス面をあまり感じさせないリスニング寄りのチューニングです。このあたりが絶妙なS12に対して、響きのある音色と合わせることで弱点をうまく隠すチューニングは見事だなと感じます。

解像度、分離

解像度は参考価格の値段なりでこの価格帯に求められる水準にあります。響きと定位に関しては前述した方向性の音色なので分離感はあまり強くありません。S12の様な価格を突き抜けたレベルを期待するとやや肩透かし感はあるのですが、ある程度高いレベルにあります。弱点としては全体としてやや寒色よりでソリッドな音色な部分も影響しているのか悪くないのですが、もう一歩透き通るような音色を求める人にとって物足りないかもしれません。

低域の質について

D13の最も素晴らしい音の表現は低域だと感じています。超低域のサブベース帯域からベース帯域までしっかり量感があり、そこに加えてアタックとリリースが素早くS12よりもパワフルです。ただし、若干チェロなどの音色が目立つのですがその質感やかぶり具合はS12と比べると劣るため、低音の量感でも苦手な帯域と得意な帯域が分かれているような形です。とはいえ、音の量感とエネルギーたっぷりに広がり、頭中心を包む空間表現はダイナミックドライバならではかと思います。

S12は平面駆動型で低域が出にくい機種のはずですが、実際の低域は素晴らしく出ていたので驚いたのですがあのボリュームのある筐体がポイントなのでしょうか。D13はスピード感はあるのですが筐体のハウジングをうまく使って増幅させている部分があり、その制動に歪みを感じてしまうところがあります。小さな筐体のためかS12の低音の質感と音色の広がりと中音、高音との調和表現に圧倒的に及ばない部分を感じます。

総合すると一概にD13の低音の方が良いとは言えず、S12, D13共に低音の表現は別方向で素晴らしいと思います。D13は競合のイヤホンと比べてもこの小さな筐体でアタック感とエネルギー感で言えば文句のない領域まで高められているので全体的なバイブスを重視して、パワフルなビートにゆだねるような曲調にはD13は素晴らしくマッチするように思います。

中音の質について

音色の厚みが十分にあるのでボーカルの厚みや迫力が欲しい楽曲などではうまく映えます。S12と比べてしまうと中音の繊細な表現は寂しく感じるのですが、男性ボーカルなど低域にかかる音色の迫力と表現力はS12では出せないリッチでパワフルな音色です。一方で管弦楽や女性ボーカルなどの音の分離や音色の伸びがマッチする楽曲ではやや響きに乗せた緩い音が気になります。

音色の傾向はS12と別にはなるのですがどうしてもサウンドバランスと似ている部分があるので中域に関してS12と比べてしまうとつらい部分はあります。ただ、値段を考えた時に競合製品と比べてもサウンドがしっかりしていることからも高いレベルにまでまとまっており、1ランク上のS12と比べなければ物足りないという感想にはならないレベルになっています。

高音の質について

超高域の表現を除けば十分に高いレベルに纏まっています。S12同様に女性ボーカルなどのサ行など歯擦音はギリギリ刺さるか刺さらないかの絶妙なチューニングです。電子音やピアノやシンバルなどは過不足鳴らしてくれます。ただこれは競合のイヤホンと比べた場合で、S12と比べるとシンバルや鈴などの超高域の音色は聴き比べるほどに痩せて伸びないことに気づかされます。音色の傾向が似ていると感じるからこそ足りないと感じるのですが、競合と比べてどうかと言うとそれほど悪い評価ではないので難しいところです。なお、TINHiFiのP1 Plusでもあったのですが平面駆動が得意とする15KHz以上の超高音域について、一定数の方で強すぎて気持ち悪いと感じる方がいるようです。そのような方については逆にこちらのD13の方が合っているかと思います。

ジャンルの得意不得意

響きと音の厚みでバイブスを上げられるアップテンポな曲が合う様に思います。音の定位や分離を重視するような生録音の楽曲は付帯音の響きとのバランスが合うかどうかの博打のような形になるかと思います。

特にオーケストラなどの生録音系では音が近いこともありスケール感が変わるので室内楽などのほうが迫力がでて良いかもしれません。

 

F特性グラフ

D13 gold vs silver

D13 vs S12

S12 THD

D13 THD

今回は各周波数に対して、D13同士のノズルの音圧の違い、S12とD13の音圧違い、そして歪みを表示しています。

まずノズルの違いですが前情報通り、高域で少しだけ音色が変化するようですね。実際の聴感上ではどちらかというとシルバーは低域が強くなるイメージがあります。
続いてD13とS12の違いですが、かなり似たグラフになっていることがわかるかと思います。聴感上も音色のバランスや雰囲気はかなり近いと感じたのですがここまで同じだとは思いませんでした。それでも解像度や定位、音場表現や音色が大きく違うのはかなり面白い結果です。
そこで折角なのでTHDの結果も比較してみました。厳密に同じ音圧レベルで測定できていないので参考データにはなりますがD13とS12で歪みの量が大きく異なることがわかります。現在の測定環境でどこまで歪みを追い込めるのかはわかりませんがなかなかに面白い結果だと思っています。

 

アンプによる印象の違いについて

能率が高くインピーダンスも16Ωと普通なためかBTR7やM17、MacbookPro15 Late2013直刺しなどでもとても鳴らしやすいイヤホンで、あまり大きく印象が変わることはありませんでした。感覚的にS12よりもメモリを10~20%ほど絞ると同じ音量になるイメージです。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

幾つかリケーブルを試してみた感想を書きます

〇S12標準ケーブル

一聴してわかるのが低音の締まりで、低音の音色の微妙なふくらみが一気になくなります。全体的に音色のヴェールが一枚なくなる感覚があり、D13の標準ケーブルが取り回し重視で音色については1,2段落ちるものが付いていた感覚を感じます。オルタナティブ系の楽曲では音の分離が良くなり、標準のD13のケーブルにあったグルーブ感が無くなりミックスされた音の集合体というよりは音のシャワーを浴びる感覚が強くなります。こちらについてはS12のケーブルが良いものが付いているという見方もできますね。

〇JSHiFi Shadow 4.4mm


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JSHiFiの実売1850円のケーブルなので、音質アップは難しいかと思っていたのですが、想像よりも強くShadowのケーブルの音の変化を受けるようです。解像度は大きく変わらないのですが音の重心が中央に上がり、音像は少し奥へ前後感が現れます。横に広がっていた音場は真円を書くように中央同心円状に広がります。低音の質は弾力があるタイプに変化し、リリースの遅さや付帯音が少なくなったように感じます。鈴の音やシンバルなどの超高音域の高音も響きが明るくやや鮮明になるように感じます。全体としてグルーブ感を残しているので没入感があり、このShadowとの相性は良いように感じました。ボーカルの迫力を残したまま音場の密度が上がるのでバイブスの上がる曲には良いかと思います。

〇Tripowin Jelly 4.4mm


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解像度についてはS12のケーブルのように1段階上がります。音が空間にヌケていく感覚が強くなり響きよりも開放感が上がります。音色が明るくなりって音が艶やかになる感覚があります。S12同様に音場は横に広く、音色の分離感は上々です。若干ボーカルが遠くなり、エフェクタをかけたようにエコーがかかる感覚があるので音色の変化に合う楽曲かどうかがポイントになる変化です。結果としてハマる楽曲では歌声に生感が増して実体感のあるハッとする音色を出してくれたりします。毎回毎回、イヤホンの音色を大きく変えてくれる面白いケーブルではありますが今回も華やかでたまに聴きたくなる音色でJellyは面白いケーブルだと思います。

〇Tripowin Altea 4.4mm

解像度が高いのですが楽曲によってかなり差がでる結果になりました。もともとのD13のリリースに残る残響感にAlteaのケーブルの付帯音と思われる音色が混ざり低音のリリースが極めて遅く感じてしまいます。BPMが1テンポ2テンポほど遅れている感覚が出てスピード感がほしい楽曲では特に顕著に感じます。逆にゆっくりと聴かせてくれるバラード系では解像度の高さや高音中音の音色の良さを引き立ててくれるので染み入るように聴かせてくれます。

 

〇JSHiFi 白龍 4.4mm


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2pinが最後まで刺さらないのですが、なんとなく合う予感がしたので聴いてみました。中域の厚みがかなり出てくる上にボーカル域の表現力が圧倒的に向上します。低域の量感は少なくなり、目立たなくなるのですが、質感が向上しており、エネルギーの密度が上がり締まった音に変化する感覚があります。白龍らしく音場は横に狭くなるのですが全体の密度があがり、分離も定位も向上するため凝縮された音でも音像がぐっとつかみやすくなります。この音色はこれでありだと思わせるバランスと音色なので個人的にはかなり好きな部類です。どちらにせよ問題としてプラグが最後まで刺さらないことでしょうか……

 

 

イヤーピースによる印象の違いについて(注意)

標準ケーブルにていくつかイヤーピースについてもいくつか試した結果を書きます。当然ながらケーブルが変われば感想も変わる傾向がありますのでご注意ください。

SpiralDot++(ドンシャリ、音場強化)

いままで記載してきたリファレンスになります。

Spinfit W1(中低域質感重視)

中音から低音の質がよくなり音色がシャキシャキになる傾向のイヤーピースなのですが、D13との相性としてはかなり悪かったように感じます。低音質がよくなる点は良いのですが、中域の音色がもともと寒色よりのソリッドな音色だったため、ボーカルがカサついてしまいやりすぎている音色だと感じました。

清泉 Spring Tips(ボーカル強化)


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低域の音量が大きく下がるためか、ボリュームを少し上げる必要があります。弱ドンシャリのD13がほぼフラット〜かまぼこバランスに変化します。ボーカルが前に出る迫力はそのままに声の透明感がますのでボーカルイヤホンに変化したと言っても良いかもしれません。個人的には意外と良い組み合わせだと感じました。

所感

円安の進行によってお買い得感が状態になっているがS12としっかり差別化されつつも廉価にLetshouerのサウンドを体現しているD13にはとても好感が持てました。実勢価格にS12との価格差が反映されていないのは残念ですが、S12のサウンドをうまくコストダウンを図りつつまとめた企業努力が見て取れます。ここ数年で競合犇めく他のメーカーの1万円台前半のイヤホンとしても特徴を確立しており、今後にも期待が持てると確信しました。付属している商品カタログには高価格帯のラインナップもありましたが、何かの機会があればそれらも聴いてみたいと思います。

 

■結論

12,000~13,000円程度の価格を参考価格とすれば音場が広く質の良いソリッドな低音と中音に彩られたグルーブ感のある音色のコストパフォーマンスが高いリスニングイヤホンです。軽く装着感が良い上にサウンドバランスも優れており、ノズル変更やリケーブルなどで音質変化も楽しめ、玄人から初心者まで満足できるオールラウンダーです。ただし、現在のAmazonの価格は約6000円の価格差があるはずのS12と値段が同じ18000円程度になっており、これではバランスが良いイヤホン止まりでしかありません。このD13が気になる方は海外通販を使う事やや国内価格が落ち着くのを待たれると良いと思います。Amazonで今購入を検討されている方には駆動力が取れないアンプを使わざる得ないなどの特段の事情がなければD13よりもS12を強くオススメします。

 

〇最後に

この様なレビューの機会をいただきましたLetshuoer様に改めてお礼申し上げます。

 

〇Hifigoリンク

尚、海外通販などに抵抗が無い方は8/1現在Hifigoでは12,000~13,000円程度で購入できますので、そちらも検討されると良いかもしれません。

LETSHUOER D13-Custom 13mm DLC Diaphragm Dynamic Driver In-Ear Earphonehifigo.com

 

 

■Appendix

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.9

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み