ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー:BQEYZ TOPAZ - ハチドリ蜂鳥- 結論:A10K Tire2(条件付きTire1)中域の豊かで厚い音色が魅力の中級者向けイヤホン(提供:BQEYZ様)

こんにちは

 

今回はBQEYZ様より提供いただきましたTOPAZのレビューです。毎度ながら断りとして、提供いただいたレビューではありますが思ったことをそのまま書いていますので動機が異なるだけで基本的に通常のレビューと内容は変わりません。尚、レビューと銘打っていますのである程度の分量があるため、結論(Abstract)と目次から気になるところだけ読んでいただければ幸いです。

尚、今回から数があまりにも増えてきたこともあり結論でのTire1~5を価格帯別に区分けすることにしました。あくまで私の超個人的な主観ですが、Tire1は価格帯を大きく超える魅力がある、Tire2は価格帯でも特に優秀で魅力的、Tire3は価格帯で普通に強い良イヤホン、Tire4は価格帯水準並みかやや下回る魅力で購入者を選ぶもの、Tire5は基本的には人には勧められないものという基準ぐらいだと思ってください。競合はあくまでレビュー記載時の基準になるのでその点もご注意ください。
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結論(Abstract):A10K Tire2(条件付きTire1)参考価格:11999円

BQEYZ TOPAZはA10K(約1万円)のイヤホンの中でも基本性能が高いだけでなくクラスを超えた中域の厚みと響きが素晴らしい極めて優秀なイヤホンです。標準の構成ではボーカル重視のリスニング寄りのサウンドで、音場表現との掛け合わせでユニークな魅力を持ちます。イヤホンとしての基本性能が高く、リケーブルやイヤーピースで大きく音を変えることもできます。特にC12ケーブルとSpiralDot++を使う条件では個人的なA10KクラスでTire1に入る音色だと感じます。鳴らしやすく標準構成の音色も多くの人に勧められる素晴らしい音色ではあるのすが、リケーブルなど中華イヤホンとしての楽しみ方ができる中級者は更に満足度の高いイヤホンになると感じます。総合的にみてかなり良いイヤホンですので多くの人におすすめできるイヤホンです。

 

■動機付けなど

前回BQEYZからAutumnのレビュー依頼をいただき、BQEYZのイヤホンのレベルの高さに驚いたことを今でも覚えています。今回のTOPAZはその興奮冷めやらぬ時にレビューの依頼をいただき、二つ返事でOKしました。正直に言えば依頼物や個人で購入したもの問わずエントリークラスのイヤホンのレビューについては中々に良い点を見つけることに苦労することが多く、以後は断ろうと思っていたのですが、このメーカーの作る新作がどのようなものなのか気になるという好奇心が強く快諾させていただいた次第です。

にしてもBQEYZのイヤホンは四季の名を冠したイヤホンを春夏秋まで出していた流れから打って変わってハチドリ(蜂鳥)のTOPAZの名前のイヤホンが出てきたので少々驚きました。最初は宝石の方の意味かと思ったのですがどうやら鳥の方の意味の様です。

とは言え今までの四季のシリーズでもドライバ構成などは基本的に異なっており四季シリーズの統一した設計思想があったのでしょうか。TOPAZの価格帯は四季シリーズとほぼ変わりありませんが強いて言えばやや低価格という特徴はあるようで、エントリー価格帯に落とし込んだイヤホンという見方も多いようですね。

■SPECとか

BQEYZ については公式HPが見当たらないためAmazonの商品リンクを貼っておきます。

 

■付属品とか本体とか

〇梱包

パッケージは1万円クラスとしては一般的な大きさで、使われている紙の品質も上質で硬い紙なので昔の中華イヤホン特有の安っぽさが無いところが良いですね。
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このため開封体験としてまずまずで、BQEYZのロゴの下には”Best Quality Earphone for You”の文字があり、ブランド名の由来が知れます。まだ2つしかBQEYZのイヤホンを聴いていないのですが品質にこだわりが伺い知れますね。

見ての通り中身もかなりシンプルで必要十分なものが無駄なく入っています。

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〇筐体

筐体はフェイスプレートが金属製、内側が樹脂製になっています。拡大しないとわかりにくいのですがフェイスプレートのQの文字の内部が空気穴になっているのは洒落ています。
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コネクタは2pinタイプで内部のコネクタ部品としてはQDC規格の様な形状をしています。ぱっと見としては埋め込み2pinでフラットタイプ以外は刺さるような形ですが埋め込み2pinは最後まで刺さり切らない深さになっています。1万円前後の中華イヤホンですのでリケーブルする可能性もありますからこのあたりはちょっと気になる変わった仕様の様に思えます。

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ステムはかなり太いタイプで細軸タイプのイヤーピースは嵌らないかと思います。

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手持ちのA10Kイヤホンや最近話題のS12などと比べてみました。

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このクラスとしてはやや大きめの形状ですね。内側に突起ががるタイプなのが良くわかり、ここについては装着感に影響がある人もいるかもしれません。

筐体はやや大きめですがプラスチック筐体なので片側5g程度で見た目の大きさほどは重くはありません。個人的には装着感自体は良好で特に問題はありません。

〇ケーブル

C13という名前のハチドリ用のケーブルが付属するようです。購入時に4.4mmと3.5mmが選べるようになっているのですが、今回も私は4.4mmを選びました。

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1万円クラスのイヤホンとしてはかなり見た目的にも太さ的にも豪華なケーブルが付いています。銀色のケーブルは銀メッキの様ですがかなり色合いが美しくこのクラスのイヤホンケーブルとしてはかなり上質です。太さは少しあるのですが手触りも良く、絡みにくい表面なこともあってしなやかで低反発で取り回しは上々です。スライダー部分やジャック周りの加工も品質が良く太さに不満がなければケーブル交換の必要性は全く感じません。勿論4.4mmジャックの品質も言うまでもなく問題ありません。

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気になるのは本体と合わせた時にコネクタ部分が浮いて隙間ができてしまうことでしょうか。埋め込み深さとケーブルの仕様が合っていない様で、本当にこのイヤホン用に作ったケーブルなのかは少し疑問思いましたがAutumnを確認するとAutumnも同じように少し浮く仕様だったのでBQEYZはこのような造りなのだと思います。Autumnの時にはプラグ内部の樹脂色が同じ黒系統だったので気にならなかったのですが、TOPAZは色が明るいので気になります。この様なケーブルの色味の合わせが悪いイヤホンは低価格のイヤホンの特徴の一つなので少し残念に思いました。

〇イヤーピース

イヤーピースは3サイズ2種類で6セット入っています。入っている場所がイヤホン筐体の下なので初心者は見つけにくいかもしれませんね。

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付属しているイヤーピースは残念ながらやはり私にはフィットしませんでした。どのレビューでも言っていますがFinal E typeの様にできれば5サイズ展開のイヤーピースを添付して欲しいです。
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恐らく音のチューニングが異なる二種が入っていますが装着できないため比較できていません。

〇寝フォン

本体がかなり厚いこともあってあまり寝フォンには向きません。実際にやってみたところ意外と問題は無かったのですが長時間付けていると突起が当たって痛かったです。また、音像が乱れるので寝フォンとしては期待しない方が良いかもしれません。

〇付属品

そのほかの付属品に特筆すべき点はないですが、ケースや掃除道具など含めてこの価格帯のクラスに必要なものは全て揃っているかと思います。
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〇その他、総評

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少し気になったのはユーザーガイドで、イヤホンの装着に関する説明は何もありません。エントリークラスち近い価格のイヤホンですので初めて高価格帯のイヤホンを買う人も多くいる気がします。このためケーブル接続などについてなど簡単な説明があると初心者にも進めやすいイヤホンになると思いました。勿論このBlogを読んでいる方であれば不要な説明ではあると思いますが(笑)。

全体と通して1万円クラスに必要なもの、求められる品質はクリアしており十分にお勧めできるレベルになっているかと思います。個人的にはそれ以外が完璧に近いだけにイヤホンとケーブルのコネクタ部分が惜しいと感じています。

 

■音質について

筐体の比較で出したように同時期に水月雨MoondropのAria snowやTRI Meteor、Letshuoer D13なども入手しているのでAutumnに加えてそのあたりとも比較して行きたいと思います。

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〇ファーストインプレッション

アンプはM17、イヤーピースは標準が付かなかったのでSpiralDot++を使いました。中音の厚みが印象的でリスニングに最適な弱ドンシャリのバランスのイヤホンという印象です。解像度はそれほどなのですが一つ一つの音が太く、聴き取りやすいバランスです。調和のとれたサウンドからは1万円クラスの音色に相応しい貫禄すら感じました。

上位機種のAutumnと比べると解像度などは劣りますが上手くまとめているという印象です。Aria snowやMeteorなどと比べても遜色無く一長一短があり、ここ数か月で出てきた優秀な1万円クラスののイヤホンの一つだと感じました。

エージングとか

インプレの様に好感色ではあったので、それほど長い時間エージングさせたりはせず、到着してから今日まで毎日少しづつ使用してきて今に至りますが音色の変化は殆ど無い様に思います。エージングの必要性の有無がイヤホンの大きな評価指標には成りえないのですが、エントリー価格に近いほどエージングへの理解が少なくなるので、エージングによる音の変化は少ないに越したことはありません。その点ではTOPAZはかなり優秀に感じました。

〇環境とか

Xaomi 11T Pro -> BTR7 -標準ケーブル-> TOPAZ -> SpairalDot++

M17DC(TankS4) -標準ケーブル-> S12 -> SpairalDot++

1万円クラスですのでBTR7を主軸にLDAC接続と有線接続の2種類を切り替えながら聴き込みました。

帯域バランス

聴感上のバランスは中低域がやや厚みがある弱ドンシャリです。サブベース帯域や超高域の楽器はあまり映えないのでレンジが広い感覚はありません。後から知ったのですがPIEZOとLCP(液晶ポリマー)振動版とのハイブリット構成でサブベースの深みに関してはなんとなく合点が行きました。しかしながら高域側のPIEZOが担当していそうな領域で超高域が伸びるという感覚は不思議とあまりありません。intimeなどのPIEZOもクロスオーバーが16kHzらしいので私の可聴域を超えた帯域で鳴っているのかもしれません。一方で中域はスーパーツイーターの効果か倍音が豊かな趣があり、厚みがありながら存在感があり、それを適度な弱ドンシャリのバランスが支えています。

感覚的なドンシャリ具合を順に並べるとD13、Meteor、TOPAZ 、Aria snowの順になるかと思います。

音色(寒暖、明暗、響き、粘度)

音色の暖かさはほぼニュートラルですが、細かく言えばどちらかというとやや暖色寄りです。またやや明るく華やかなな傾向の音色です。響きはAutumnほどではないかと思いますが中音の響きは豊かで中音の音の厚みにつながっています。

ちなみにイヤホン全体ではなく中華イヤホンという分野に限定すればかなり暖色傾向になるかと思います。

音場(広狭、重心、遠近)

一般的な横に広いタイプで上下前後共に価格に見合う特徴を持っています。重心も適度に高く軽やかで、前後の音はやや遠目ではあるのですが音の厚みのお陰で迫力不足を感じさせません。この辺りは上位のAutumnに近い鳴り方でこれを突き詰めるとAutumnになるのですがある種Autumnはやり過ぎ感があり好き嫌いが分かれやすいだろうと感じましたがTOPAZ は絶妙な塩梅で万人受けしやすいと感じます。

定位、音像

両方ともに価格に見合う音です。やや音の厚みが邪魔をして音像の芯は捉えにくいのですが凝らして聴けば定位もまずまずで音像は掴みにくいかもしれません。全体的に高水準なTOPAZですがこの辺りは競合イヤホンには一歩譲るところかと思います。

解像度、分離

解像度は価格帯以上に高いレベルですが、響きと音の厚みが音像を滲ませる感覚があり、分離はあまり良くなく苦手な表現だと感じます。

競合イヤホンで言えば同じ中域表現が得意なAria snowの分離よく響きの少ないサウンドと中域の厚みと響きで魅せてくれるTOPAZ というキャラクターの違いがあり正反対で面白いです。

〇低域の質について

量感としてはサブベース帯が並、ベース帯域がやや強めですが全体として存在感はあまり強くはありません。これは弾力を感じる暖かめの音色のためと思われ、アタックやリリースのスピード感としては価格並みかと思います。

PIEZOによる倍音成分のためか、低域は太めの音に響く付帯音を感じ、これがイヤホン全体としてやや暖色よりと感じさせる要因だと感じます。

後からスペックを見て気づいたのですがこれは正にLCPドライバという感じの音色です。よく聴き込めばサブベース帯までしっかりと出ている深い低音なのですが全体を通すと何故か弾む様な軽やかな音色に感じてしまいます。悪く言えば淡白な鳴り方ではあるのですが、中域高域の音色とのバランスが良いこととサブベース帯まで深く出る音が絶妙で全体としてはカバーできているのはBQEYZ のチューニングの上手さなのだと思います。

〇中域の質について

Autumn同様にこのイヤホンの最大の魅力はこの中音に詰まっていと言って過言では無いです。ボーカルやギターなどの楽器の質感は野太く迫力がありますが音が少し遠いため暑苦しさは全くありません。ほんの少し艶やかでかつ伸びやかで音が抜けて行く感覚もあるので解放感があり、狭さがありません。

特に響きが付加された全体的な中音の太さはこの価格帯のイヤホンでは随一と言って良い程だと感じます。一般に音の太さはボーカルや楽器の音色にエネルギー感や暖かみを与えてくれますし、音の密度を感じられます。

この音の太さ自体が音質の優劣に直結するわけでは無いのですが低価格のイヤホンではどうしても音が細いものが多くなりがちで、高価格帯のイヤホンほど様々な表現手法で上質な音の厚みを表現するものが増える傾向はあると思います。このTOPAZはその高価格帯の音の厚みにも似た表現を1万円の価格で実現しているところに圧倒的な強みがあると感じます。当然ながら解像度などの基本性能は1万円クラスでも優秀なレベルに仕上げているからこそであって、これがもし解像度など他の性能無しに厚みを出そうとするとただ単に濁った音になるだけなのでここでもBQEYZのチューニングが光っていると感じます。

ただ、この音色が原音に忠実であるかであったり、生感があるかライブ感があるか?っと言われるとそうでは無いという音色です。Autumnが響きが豊かな天井が高いホール感を感じさせる、突き詰めた音に対して、TOPAZはどこか近代的で人工的で地下のライブハウスや密閉型ヘッドホンの様な広さはあるもののエフェクタブルな音色に感じます。

高域の質について

高音は適度な量感と正確な表現で質実剛健という言葉が良く合います。特定の帯域が強く協調されたような派手な音ではなく、あくまで中域を引き立てる量感で目立ちません。とは言え、女性ボーカルなどの中高域から高域にかけて癖も少なく素直に綺麗な音色だと感じます。

伸びる高音というよりは、解像度が高くキレがあり、付帯音の少なさを感じさせます。他にも高音の定位だけは他の帯域より良いことも特徴的だと感じます。

もちろん平面駆動ドライバの様なリニアに伸びて行くストレートな超高域表現とまでは行かないのですが、PIEZO独特の高音が苦手という人にも問題だと感じさせない音色です。と言うのも聴き始めて数週間、会話の中で指摘されるまでドライバ構成を1DDだと勘違いしてたほどです。これはSPEC見てしまうと音の感想が引きずられることがあるためで、特別な事情が無ければSPECを見ないことが仇となりました(笑)。それほどまでに高域に癖を感じさせない鳴り方はある種、同じPIEZOを使うintimeと勝るとも劣らない出来だと感じます。

ジャンルの得意不得意

良し悪しをここまで書いては来たのですが基本的には1万円クラスとしてはかなり優秀なので、オールラウンダーではあります。特に得意なのはボーカルがあるロックやポップスで、ボーカルなど中域の音色の厚みを活かした楽曲はTOPAZの良さを引き立てると思います。Autumnと異なるのはクラシックなどの生録音の楽曲も破綻なく聴けることです。特に室内楽などは迫力や新しい音色の響き方を感じれるので聴いてみると意外とマッチして楽しく聴けました。

一方で苦手だと感じるのは低音のキックなどを要求するスピード感や音色の抑揚を重視する楽曲で、どうしても音色の厚さに押されて淡白な印象を受けます。

 

■測定とか

〇SPL周波数特性グラフ

折角なのでAutumnや競合イヤホンと500Hzで正規化して比較したグラフを取ってみました。

TOPAZ vs Autumn

流石に同じメーカーだけあってグラフの形が似ています。大きな違いは3~6KHz、10KHz以上でTOPAZの方が音圧が低いということでしょうか、相対的にAutumnより中域、低域が厚いと感じるイヤホンになるかと思います。

TOPAZ vs D13

D13とは全体的に似た傾向ですね。500Hzよりも1KHzあたりで正規化したほうがグラフが重なるかもしれませんね。D13の方がサブベース帯域、高域が強くなるのでよりデータ的にもドンシャリということになりそうですね。

TOPAZ vs Meteor

Meteorのサブベースの強さ、中高域の強さが分かりやすい比較になっていますね。

TOPAZ vs Aria Snow

Aria snowとは中高域以降が特に異なっているようですね。低音の量感としては似たようなものかもしれません。
全体を通してどのイヤホンと比べても10KHz以上についてはTOPAZの方が高域が出ていないという結果になりました。基本的にこのカプラは10KHz以上の超高域について信頼性がほぼ無いと言って良いのですが、TINHiFiのP1PlusやLetshuoerのS12など超高音が聴感上も出ていると感じる場合にはちゃんとグラフにSPLとして表れています。クロスオーバーはどのぐらいの周波数なのかは不明ですがPIEZOの音圧感度としてはあまり大きいものではないのかもしれませんね

■相性について

アンプによる印象の違いについて

Autumnでは20万円超のDAP M17と5000円以下のAGPTEKの音色の差がかなり少ないというあり得ないほど極めて優秀な調整でしたが、Autumnの様にどのアンプで鳴らしても同じ音色がするということはありませんでした。このため、最初はBTR7をメインで聴いていたのですが、途中からM17での音色の良さにひかれてそちらでのリスニングがメインになっていきました。

とはいっても比較的チープな環境でも十分以上に良い音色で鳴らしてくれる上に、アンプによる音色の違いも楽しめる意味でも中級者にもおすすめのイヤホンだと感じました。

ケーブルによる印象の違いについて(オカルト注意)

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幾つかリケーブルを試してみた感想を書きますと

〇Tripowin Altea 4.4mm

全体的に音色がクリアになった印象を受け、元々のC13ケーブルの音の傾向が近いのか変化は大きくありません。やや音の厚みがスッキリとしてシャープになるのでデフォルトの状態で音の厚すぎると感じている場合はよい選択肢になるかもしれません。その変化の量はあまり大きくありませんが、標準のC13ケーブルの音色の方向性が気に入っている場合はコストパフォーマンスは悪いですが良いアップグレード先になると思います。また、使い勝手や色味などのファッション的な部分で選ぶこともできる変化量だと思います。

〇NiceHCK SpaceCloud 4.4mm

笑ってしまうほど、音の鮮度と解像度が向上します。音はやや近く、そして上に移動してしまうのですが音場が左右と天井に大きく広がり、ワンランク上のイヤホンで聴いている感覚になります。若干音色は滑りが取れるたような明るい方向に変化し、もともとの響きより鮮烈な方向に活きてきます。定位や分離などは広がったからと言って良くなるまでは無いのですが、音の広がりが自然で、今まで以上に開放的になるので爽やかさすら感じます。問題はどう考えてもケーブルの価格でセール価格の1万円以下で入手できているのであればかなりお勧めのリケーブル候補だと思います。

〇Tripowin Jelly 4.4mm

SpaceCloudから変更してくると明らかに10%ほど音量が落ちます。音の重心がやや低くなり、ニュートラルだった音色の粘度が増してウェットな印象に変化します。解像度や定位も標準ケーブルと同等かやや悪い上に、上下の音場が圧縮され、窮屈に感じます。特殊な事情を除きTOPAZのリケーブル候補としてはあまりお勧めできません。

〇NiceHCK LitzPS 4.4mm

サブベース帯域の低音の量感が増し、全体的に音が細くシャープになり音像の質量が増す変化があります。高域も存在感が強くなり、特に鈴などのチャイム系の超高域を含む楽器の音色は際立って聞き取りやすくなります。そのうえで定位がはっきりして、残響が増すので全体として別物かのような音色になります。デフォルトの分厚い音色に不満がある場合には有力なリケーブル候補かと思いますし、個人的にはデフォルトはドンシャリではありますが低域と高域のレンジが狭く感じていたのでかなり好きな音色の方向に変化しました。

〇JSHiFi 白龍 4.4mm

横の音場が狭くなり、上下の縦方向音場が広がり、音の重心が高くなります。全体を通して付帯音が減り、響きも少し減り、適度な音の厚みはそのまま残ります。このため若干すっきりしてシャープな音色に変化した印象を受けます。帯域バランスとしては低域の量感が上がり、超高域の音像定位はやや下に下がります。一般的な白龍の音の変化とあまり相違ないのですが、音のアップグレード感はあまり大きくないかもしれませんね。

〇JSHiFi SHADOW 4.4mm

音場が中央の円に広がるSHADOWの傾向が現れます。音色は響きが減った上で粘度が下がり若干ソリッドな方向に変化します。ただ全体の印象としては音が丸く解像度と解像感はやや落ちる印象がありますのでゆったりとリラックスして聴きたい時などは味変として良いかと思います。今回のリケーブルのラインナップの中では一番安いケーブルなので期待していなかったのですが、意外と相性は悪くない様に思います。

〇BQEYZ C12(Autumn付属ケーブル) 3.5mm

BQEYZ AutumnのケーブルはC12という名前で販売されており、Autumnでのレビューでも書いた通り独特の解放感と残響感を持っていますのでTOPAZにも試してみました。

一聴して音色の解像感、解像度がワンランク上がり明らかに音色の質が上がったっという実感を感じます。Autumnで感じたような底抜けに高い天井に向けて開放的に響く音色の雰囲気がTOPAZでも感じることができます。やや粘度が下がりウェットな音色になることで、艶やかで音の生々しさが上がり、より音色全体のリアルになります。

音場としては横は少し狭くなってしまうのですがその分天井に向けて開放的になるので音の狭さは感じません。AutumnとC12の様に生録音の楽曲の定位と音場が狂うこともないので個人的にC12とTOPAZはAutumnよりも高相性という気がします。

なんとなく試したケーブルだったのですが、さすが同じメーカーのケーブルと唸らせるほどに音色の相性は抜群です。もちろんC13と全く違う音色の方向なのでそれぞれの良さはありますが、折角味変をするのであればこれぐらいのケーブルの方が良いかと思います。

 

〇リケーブルまとめ

っということで、明るく解像度が高く広い音場のケーブルを求めるならばSpaceCloud、生感と艶やかな音色でコストパフォーマンスが高いケーブルあればC12が良いという結果になりました。

PIEZOスーパーツイーターが搭載されたイヤホンはリケーブルの効果が大きく出やすいという通説がありますが結果としてもその通説通りだと感じました。それにしてもC12とTOPAZ相性は最高だと感じます。

 

イヤーピースによる印象の違いについて

デフォルトケーブル(C13)で幾つか試した結果を書きます

JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)

今回のデフォルトイヤーピース

○Spinfit W1(中域、低域、解像度重視)

相性は良好です。中域と低域の解像度と質感が向上して音色としては1ランク上のイヤホンの音色と感じることができます。音場はSpiralDot++から比べると横も天井も若干狭くなります。若干高域の表現は雑になりますのでそこはトレードオフだと思います。

○Moondrop 清泉 Spring Tips(中域重視)

突起により装着不可でした

○AZLA SednaEarfit Vivid(コストパフォーマンス重視)

若干音が近づき上下、左右の音が狭くなりますが、その分迫力が増します。中域などのボーカルには少しだけウェットな艶が足されます。解像度は若干落ちますが音のまとまりは良くなるので悪くありません。上記のイヤーピースに比べて安く5サイズ展開されていることから、私同様に標準のイヤーピースが上手く装着できないと言う人は良い選択肢になるかと思います。

 

 

所感

全体を通してTOPAZは非常にレベルの高いイヤホンだと感じています。ケーブルによる音色の変化の大きさも驚きでAutumnと異なりデフォルトケーブル以外での伸びしろも大きくある様です。今回は7種類ほどしか試しませんでしたが遊びがいのあるイヤホンであるとも感じます。特にC12ケーブルと合わせたTOPAZはオリジナルのAutumnと合わせた音色よりもシャープかつ音色の厚みがあり好きな傾向で笑えました(笑)。intimeの翔などPIEZOイヤホンではリケーブルの効果が圧倒的に大きいことを身をもって知っていたのですが、今回のTOPAZも音作りの半分ぐらいはケーブルによるものなのかもしれません。思いがけなく見つけたC12+TOPAZは暫くメインイヤホンに混ぜて使っていきたいと思うほどに気に入っています。

にしても、TOPAZ以外でもAria snowやD13など1万円クラスの圧倒的なレベルアップを感じています。どの機種も自分の好みの方向性でさえあればかなり満足できる出来に仕上がっているかと思います。そういう意味でTOPAZは新時代の1万円台クラスの一角として君臨できる実力があると思います。

ちなみに私がレビュー記事に長くて1か月ほどかけるのはどうしても聴き始めた時の感想と1か月ほどたって冷静になってきた時の感想がズレることが往々にしてあるからで、TOPAZも例に漏れず最初の1時間の評価、2,3日後の評価、2週間後の評価、今の評価はそれぞれ異なります。勿論一聴してわかる素晴らしさもあり、それはそれで価値があるインプレッションでそのようなレビューを書かれている方を批判しているわけではないと言うことも言葉として添えさせていただきます。

■結論:A10K Tire2(条件付きTire1)

オススメのTOPAZ + C12 + SpiralDot++ *コネクタの接合部の色も目立ちません

BQEYZ TOPAZはA10K(約1万円)のイヤホンの中でも基本性能が高いだけでなくクラスを超えた中域の厚みと響きが素晴らしい極めて優秀なイヤホンです。標準の構成ではボーカル重視のリスニング寄りのサウンドで、音場表現との掛け合わせでユニークな魅力を持ちます。イヤホンとしての基本性能が高く、リケーブルやイヤーピースで大きく音を変えることもできます。特にC12ケーブルとSpiralDot++を使う条件では個人的なA10KクラスでTire1に入る音色だと感じます。鳴らしやすく標準構成の音色も多くの人に勧められる素晴らしい音色ではあるのすが、リケーブルなど中華イヤホンとしての楽しみ方ができる中級者は更に満足度の高いイヤホンになると感じます。総合的にみてかなり良いイヤホンですので多くの人におすすめできるイヤホンです。

〇最後に

今回レビューの機会をいただきましたBQEYZ様には改めて感謝申し上げます。

 

 

■Appendix

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.9

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み