こんにちは
今日は雑記です。
DITA DreamXLSをお借りして聴き込んだ件
モチベーション
まぁタイトルの通りなのですが、先月ぐらいからDITAのDreamXLSを長期的にお借りして聴き込んでいました。
最初にこのDreamXLSを聴いたのは2年ほど前の今は無きeイヤホン梅田EST店の店頭だったと思います。その時にはこのDreamXLSに加えてSONYのZ1RやUnique MelodyのMAVERICK IIなど様々なイヤホンを聴き比べ、最終的には最も音の消えゆく様が上質なホールに近いfinalのA8000を選びました。DreamXLSは当時は15~17万円程度で売られていたA8000やZ1Rなどのクラスと比べて1.5倍近い値段を納得させる説得力を感じなかったのですが、とても音場が広くその開放的な鳴りが素晴らしいと感じた記憶は未だ鮮明に覚えています。
それから2年の時を経てDreamXLSはほぼ終売に近い状態になってしまいましたがポタフェスで諸般の事情を経て、FFさんからご厚意でお借りできる機会をいただけ、今回1か月半ほど少しづつ聴き込んだ次第です。
最悪の第二印象
ということで、意気揚々とお借りしていつも通り装着の問題からリファレンスにしているスパイラルドット++を付けてM17につよねこケーブルを付けてDCモードで聴いた次第なのですが、その音色は最悪と言って良いものでした。特に酷いと感じたのは高音域で上擦ったような高音の鳴り方は不自然かつ不協和音の一言で2年前の第一印象とは程遠い音で頭を抱えました。
特に女性ボーカルはサ行以外の高めの音はほぼ上擦った感じに聞こえ、音色の定位も不自然かつ、広大な音場「eXtra Large Sound-stage」をまったく感じさせないこじんまりした鳴りです。
どうしても信じられない自分は一応イヤピースをSednaEarfit系やSpinfit系に変えたりアンプを変えたりして数日悪戦苦闘したのですが高音の不協和音は全く変わりません。許可を得て周波数特性を取得してみたのですが、どちらかというと高音の不自然な鳴り方が補強させられるかのようなグラフです。第二印象という言葉が一般的なのかは不明ですが、聴いてから口を開けば悪口が出そうなぐらいだったのでお借りして暫くはあまりの音の悪さに封印していたほどです。
重要なイヤーピース選び
ということで、第一印象の良さと打って変わって悪かった第二印象だったのですが、結果的にはイヤーピースを標準のfinal TypeEに変更することで最初の第一印象の良さと同じ程度まで回復しました。
というのも最近愛用しているTINHiFiのP2 Plusというイヤホンは故障を疑うほどに高い9KHz付近のピークを持っており、データ的にも聴感的にも非常に刺さりの強いイヤホンでとても聴いていられないほど酷い音でした。メーカーとも修理などの相談をしていた程だったのですが、外耳道共鳴の共振周波数を変更するようにかなり装着を深くするようにイヤーピースを選ぶことで9KHzのピークが適切なレベルまで落ちて圧倒的に素晴らしい音色に変化した経験があり、DreamXLSもイヤーピース選びが重要と言われていることから同様の可能性があると感じ、イヤーピース選びを再度やり直ししてみたという事になります。
DreamXLSの標準イヤーピースはfinalのTypeEがあるのでそれはそうだろうという話でもあるのですが私にとってTypeEはどうしてもLサイズでも小さくフィットしない日があるイヤーピースで、試聴などのどうしても選択肢から外してしまいがちだったことが仇となりました。
結果的に巷で言われているDreamXLSのイヤーピースへの不寛容さは自分も身をもって実感した次第です。今まで多少のイヤホンは聴いてきたかと思っていましたがここまでイヤーピースで音が悪くなるイヤホンは初めてでした。特にJVC SpiralDot++は他のイヤーピースの方が相性が良い事はあっても音が耐え難いほど悪くなるという体験はしたことが無かったのでこれもまた良い経験になりました。
音の感想とか
こちらについては出てから数年たち、著名な方のレビューも多くあるので今更標準の音色について書き足すことはあまりないかもしれません。一方で発売当初とは異なり、低価格帯のイヤホンは大きく進化を遂げましたし、高価格帯の1DDも増えました、そして何より高価格帯イヤホン全体の値段が大きくインフレした様に思います。A8000こそほぼ同じ値段を維持していますがSENNHEISERのIE900やSONYのZ1Rはその実力に見合う値札を付けるように値上げしましたし、為替の影響もあり各社のフラグシップの新製品は軒並みあの頃の2倍近い値札を付けているように思います。
DITAも2019年からフラグシップイヤホンとして君臨していたDreamXLSからPERPETUAが42万円で販売開始されました。約25万円だったDreamXLSに2倍近い値段でもありどうなるのかと思っていましたが、その品質の高さからか割と肯定的に受け止められているかと思います。大阪のポタフェスで試聴した際に個人的には素晴らしいと感じた一方で流石に40万越えであれば別の選択肢も見えてくると感じる悩ましい値段だったことを覚えています。
こういった事情も少し踏まえながら今持っている手持ちと比べてDreamXLSはどうなのか?っという話を少しだけしたいと思います。
素晴らしい音色、ただし唯一無二の音では無くなった?
聴いて思うのは音場が広いイヤホンが本当に増えたなという事です。流行り廃りなどはあるかと思いますが音場の広さをユーザーが求めた結果市場にはDreamXLSに負けず劣らずの広さを持つイヤホンが増えたように思います。勿論イヤホンの細かい音色や音の広がり方などの鳴り方はそれぞれ異なるので全く同じにはならないのですがどうしても広大なサウンドステージを持つこと自体の価値は昔ほど高い値段を付けることができない時代になってしまったように思います。
これは私の音と値段に関しての持論ではあるのですが、食べ物の値段とイヤホンの値段の考え方はほぼ同じというものがあります。これは単に味の旨さは必ずしも価格に相関しないということです。特に重要視されるのは希少性で、その音色がどれだけ独自性があるのかで変わってきます。当然ながら化学調味料がたっぷり入ったジャンクフードは人間の舌を直接刺激できるので旨いと感じる人もいますし、複雑な調理工程を経た高級料理のような味が旨いと感じる人もいて、根源的にそこに優劣はありません。ただ、化学調味料は大量生産できるから安いし、天然の素材を使い人の工数をかけたものは必然的に高くなります。そして適正な価格というものは需要があるかどうか、値段を付けるときの説得力があるかどうかでしか決まりません。もし、化学調味料を生産できる技術が失われてしまうと天然素材の料理より、恐らく化学調味料の入った料理の方が高い値段が付く可能性すらあります。今まで工程が複雑で100万円の料理だったものも技術革新で誰かが1000円の値段を付けたらその日からその料理の値段は1000円になります。つまり実際にはあってないようなものだと感じています。
オーディオも同じ様に1万円のイヤホンと10万円のイヤホンに本来は本質的な違いは無いと思っています。音場は広い方がいいし、定位はしっかりしている方が良い、解像度は高い方が良い、原音に忠実な方がよいなどなど、ある程度価格に相関する要素があり、それが値段の基準になっていると考えています。
つまり何が言いたいかと言うとDreamXLSは素晴らしいイヤホンではあるのですがどうしてもIE900などの最新の機種たちと比べると定価ベースでは見劣りしてしまうということです。
特に気になったのは解像度で、どうしても25万円という価格を考えると同価格帯の競合機種と比べて見劣りする点は否めませんでした。気になったのは標準で付属するという単品で6万円もするOSLO CABLEで、他のイヤホンにも挿してみましたが個人的に6万円という値段の価値を感じるところまでは行きませんでした。特にケーブルは相性も多くあるので一概に断言できるわけではないのですが良いケーブルという先入観は捨てても良いのかもしれないと感じました。
一方で良いなと感じるのは音の空気感で解像度の低さからくるゆったりした音色と音場の広さが相まって音場のホール感が強いことでしょうか。音の統一感としてはこれもこれで有りだと感じるのでこれはDreamXLSのチューニングの上手さなのだと思います。
XLSはも少ししたら返却する予定ではありますがその時まで楽しませてもら謳歌と思います。
続okcsc IE300-MMCXアダプタの高さ調整
この前の記事の続きです。結局IE900では右側だけぐらついて音飛びした件ですが、intimeのMMCXダンパーを買ってこれで調整できないか試してみました。結果的に大失敗でMMCXの径が合わないのでダンパーとしても高さ調整としても使えませんでした。
仕方ないので最終手段、紫外線硬化樹脂BONDICで0.5mm程度の段差を円周状に3か所作り、グラつかないようにしました。写真ではわかりにくいのですが最初からこれでよかったのでは?っというぐらいグラつかなくなりましたのでかなり良い感じです。まぁ大した話でもないので同じようにIE900用でたまに音飛びして困っている方がいらっしゃり、リスクを許容できるのであれば私と同じようにBONDICでちょっとした高さ調整をするのもありかもしれません。
っと今日はここまでにしたいと思います。ではまた明日。