ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

持論:AK SP3000の発表と数値オーディオへの重要性と警鐘

こんにちは

ここ数日ここ数か月分のいざこざを色々と逡巡した結果オーディオ熱が一気に冷めてしまっていたのですが今日は久しぶりにオーディオをしました。機材はXaomi 11T⇒BTR7⇒P2Pulsで、まぁ何も考えずに気軽にオーディオというやつです。そんなこんなで気になったニュースというか最近の話題についての持論というか雑記です。f:id:el_snow:20220914180831j:image

AKM AK4499EX 搭載 Astell&Kern SP3000発表…

www.astellnkern.com

遂にSP3000が発表されましたね。AKMが事故で復旧の見通しが立たない中で各社がフラグシップDACチップをESS 9038PRO等に乗り換える動きがあったのですがAstell&Kernは頑なにその動きを見せていなかったので恐らくAKMと特別な取引をしているのだろうという見方が強かったのですが、予想通りAK4499EXの初採用DAPとして大々的に発表されました。

予想を超えてきた点としてはバランスでのSN比130dBというSPECを大きく重視してきたこと、そしてDual DAC バランスとアンバランスで2回路、計4チップのAK4499EXを搭載してきた点でしょうか。

まぁなんというかAKMとしては折角広げたDACの市場とシェアをこの2年で大きく他社に奪われたのですからSP3000の設計は渡りに船という感じでしょうか。66万円という値段についてはかなりインフレしていると言う声もありますがドルベースではSP2000から100$程度しか値段が変わっていないという話もありますのでDACチップの部品の値段としてもかなり破格のものを提示してのではないかと思えます。

DAC 4チップとSPEC

実際のところ私自身が回路設計をしたわけではないのでバランスとアンバランスで完全にアンプを2回路搭載することの効果は良くわからないのですが、発表が事実であれば2つの切り替え回路によるスイッチのボトルネックが取り払われることでAK4499EXの性能を完全に引き出せたという話になります。このレベルの数字は意味が無いという意見も多いですが一朝一夕で実現できるレベルの数字ではないことも事実で、コストは置いておき、このサイズの機材で技術的に実現できていることは素直に賞賛に値すると思います。というのもDAPなどの機材はプレイヤーからDAC、アンプまでオーディオ機器としての機能をほぼ一体化しており、安定した電源などの周囲の機材を必要とする最近流行りのドングルDACや、据え置きオーディオ機器とは全く異なる性質の機材だからです。特にドングルDACはスペックが素晴らしいという声も多いのですが供給されている上流の機材と測定上のスペックが一致しているのかは未知数としか言いようが無い様に思います。

そして実際このレベルの雑音比の違いを人間が聞き取れるのか?っというのは古より議論されてきた問題で「聞き取れないレベルの数値など意味がない、オカルトだ」っという意見もあれば「ある程度であればブラインドでも違いを知覚できる」っという人もお多い様に思います。自分はどちらの立場でも無いのですが「THD+NやSNを聴き分けできるのであれば、悪い音は意図的に作れるので、SNやTHDを悪化させるノイズを付加したオーディオファイルを作り、オリジナルとブラインドテストをしてみればよいのに・・・」とはいつも思っています。まぁそれはさておき、その数値を実現するための回路は確実に音の方向性を変えて少なくとも良い方向に行っているのだろうという風に理解しています。

DACチップの音

このAK4499EX自社ファブではなくファウンドリに委託生産させたチップになっているようで旧来のAK4499ユーザーが求めていた音の方向性が実現されているかは未知数です。とはいえこのDACが音を決める要素の中で支配的なのか?っと言われればそれは下流のアンプ回路の作り方次第だと考えています。特にDACチップの音と聞くと一定数の方に「DACは音を決める支配要因ではない」と拒否反応があるように思うのでこれも持論を語りたいと思います。

el-snow.hatenablog.com

過去に書いた記事の通り、DACはアンプやイヤホンに比べて音を決める決定的な要素になりにくいのは確かだと思っています。特に癖の強いイヤホンやアンプなどを準備すれば上流の音などいくら変えようがほぼ変わらないということになります。

しかしながらDACで音が変わるっと言っている方は見えているもの考えているものが違います。考え方を180度変えて欲しいのですが、アンプやイヤホンが限りなく癖のない音を出すような高水準なものを揃えた時に、上流のわずかな違いが波紋が広がるかのように大きな変化として見えてくる(聴こえてくる)っというものです。これは実際にK9Pro LTD(AK4499)の上流のDACをESSに変えた時にも実感したことです。実際に現在のオーディオ機器のSN比やTHD+Nの数値で言えば本当に小さな数字で人間の聴覚能力を遥かに超えています。勿論これはDACチップそのもの音の癖ではなく周辺回路や推奨パーツを選んだ時の音の癖みたいなところも含めてDACチップの音が反映されているのかと思います。

っというところで話を戻すと、今回のAKのSP3000がどのような音なのかは未知数ですがAK4499のチップの良さを最大限に引き出すような音作りをしているのだろうと思います。値段が高すぎるのと駆動力がM17とは全く異なるので私が買う事は無いかと思いますがヘッドホン祭りなど様々な機会で聴くことができると思いますので聴いて確かめたいと思います。

 

SPECオーディオの危険性

話は戻りますがSN比130dBは特にSPEC偏重主義に迎合してきた点は今のポータブルオーディオのSPECだけを重視するトレンドを踏襲したものになりますね。このあたりは某有名Blogerが指摘していたように日本の様な実際の試聴環境で音を聴いて比較してみるような売り方は世界ではなかなかできず、自宅のパソコンなどでスペック表を並べてどちらの方が強いのか?っというような数値バトルをしている大多数に向けた売り方が必要になってきています。

 

実際問題としてTwitterでは無数のイヤホンを聴いて100戦錬磨の様な人にスペックに従って数十種類のイヤホンを聴いて数値とグラフを見ただけで「このイヤホンよりこのイヤホンが強い」や「この機材はスペックが低いのでダメ」と知った風なもの言いをして不興を買うばかりか、経験の無さ知識の無さを露呈して逆に馬鹿にされるという残念な姿が散見されるのも事実です。その姿はさながら車が最高時速やトルクや燃費だけのスペックだけで車の良し悪しが決まると言っているようなもので素人目線でも滑稽です。世の中に様々な目的の乗り物があり用途が異なる様に、オーディオ機器も様々な目的と用途のものがあるということは容易に理解できるはずです。

 

残念ながらこのような一つの指標だけで示すことができる価値というのは宗教の様なもので短絡的な思考だけを持てば楽になれるのでとても甘美ですが「数値が良ければ機材も良い」、そして「自分のやっていることが正義」、「他の人が間違っている」という考えに至りやすく危険です。特に自分が確信犯「自分に正義がある」と確信している時にこそ人間は最も凶暴で暴力的に成り得るというのは歴史が証明している事実です。某有名Blogerに言わせれば「妄想バトル」という言いようで、使って聴いてもいないのに数値だけで決めつけて言い争っている姿を見るとそのような感想も出てくるのだろうと思います。

 

数値とSPECの重要性

だからと言って数値で論じることが悪なのか?そしてナンセンスなのか?っと言われればそれは断じて違います。逆に「数字で表せない感性なのだから仕方が無い」というのは文明と科学の否定で、中世の様な根拠のない権力の強さで音の良さが決まる世界に逆もどりです。2000年頃に据え置きを中心としたオーディオブームは一度廃れましたがこれは根拠のないオカルトめいた謳い文句のオーディオ製品が跋扈した上に、オカルトを崇拝する心無い言葉が広がり、ユーザーの心が離れてしまったからだと思います。実際今でも根拠がわからない数十万円する機材を売りつけながら「この音の良さが分らないお前は耳が悪い」っというような心無い言葉が言われていたことや、同時に電柱と発電所のコピペが流行ったのは忘れられない事実です。

 

Toppingなどに顕著ですが数字を追求したことで他のメーカーも引きずられるようにスペックを上げてきているように思います。実際に今回のSP3000も各社でのSPEC競争の果てに生まれた技術の結晶のように思います。数字だけを過信してもいけませんし、数字が無ければ定量性が失われてしまいます。こんなことは言わずもがなですが、定量性が無く再現性もないものは科学でも技術でも無い事は確かで、定量性が無ければ定量性がある様にすることが科学の発展の礎になっています。Toppingが牽引しているのかはわかりませんが、少なくとも以前に比べて数値上の性能が定量的に上がり、録音されたデータをより忠実に再生できる環境は整ってきています。これは数値とスペックの賜物かと思いますし、実際にToppingのE50、L50の音の解像度は圧倒的なものだと理解しています(音色は別ですが)。

 

据え置きオーディオとポータブルオーディオの違い

それはイヤホンやDAPを圧倒的に比較しやいため経験値を積みやすいということです。

幸い、据え置きと異なるのはポータブルオーディオはいろんな人同士で条件を圧倒的にそろえやすいです。確かに耳の形状は異なるのですが、実際に両方やってみると据え置きオーディオに比べれば本当に些細な違いだと実感させられます。

っというのはどう考えてもスピーカーのセッティングと部屋の形状という要素よりもヘッドホンやイヤホンという要素が減っています。良く「ポータブルオーディオは耳の形が違うからみんな聴いているものが違う」なんて言いますがこれは据え置きのスピーカーでも同じ耳の形状なので同じ条件で要素が増えているわけではないはずです。そしてポータブルオーディオはプレイヤーなどの上流もDAPという一体化された再生機材が統一されていることも同じ条件で試聴体験ができる機会を増やしています。そして機材自身も小さい上に専門店に行けばイヤホンやDAPがズラリと並んでいます。

これはスピーカーでは絶対できない試聴体験です。無数にアンプを聴き比べたりすることも据え置きに比べれば容易です。もちろん立地の問題でイヤホンなどを聴き比べられない場所に住まれている方は仕方が無いのですが。

 

数値オーディオの重要性と警鐘

そうやって聴き比べて思うことはやはり数値で語ることはポータブルオーディオに置いて圧倒的に重要なのですが、それ以上に経験も重要だということです。また、据え置きとポータブルで共通することも多いのですが、個人的にはやはり文化も異なれば好まれる音の傾向なども異なります。据え置きの理論をポータブルに持ち込んでも異なる文化圏では素人になってしまうということを忘れてはいけませんし逆もまたしかりだと思います。

数値オーディオSPECや論文を引用することは重要ですがそれは自分の知識や手柄ではありませんし、相手は聴くことに関しては研究者、開発者以上に聴くことに関してはエキスパートの手練かもしれないということも忘れてはいけないと思います。研究結果でマジョリティだったからと言って相手がマイノリティであるとディスることは冷静さを欠いた悪手でしかありません。

逆に感覚でオーディオをやってきた人が数値やスペックを重視する方に合った時に数値で論じることに拒否反応を示す方も多いと思います。もちろん一人のユーザーとしての感想に開発者目線で良し悪しを語ってこられるとそれはナンセンスだと感じるとは思いますが、一つの指標としてイヤホンやアンプなどの特性を知ることができる成長の機会だと思います。実際周波数特性カーブを見ることができるようになると好みのイヤホンなのかどうかという音色の方向性がある程度見えてくるようになります(もちろん周波数特性に出てこない音色の変化は非常に多い様に感じることも事実なのですがそれもまた新たな発見に繋がるかと思います)。

 

っと、ここまで好き勝手きままに書いて長くなりましたので今日はここまでにしたいと思います。勿論異論や反論などもあろうかとおもいますのでその場合はDMやコメントなどを頂ければ幸いです。

ではまた明日。