ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

インプレ:TANCHIJIM NewHANA 結論:艶やかで高域表現が上手いA20Kの中堅イヤホン(簡易レビュー)

こんにちは

 

今日はFFさんから長期的にお借りしているTANCHIJIM NewHANAについてのインプレ(簡易レビュー)です。f:id:el_snow:20221031145110j:image

■SPECとか

TANCHIJIMのHANAのリニューアル版として発売され、KATOと並ぶA20K付近の実力はイヤホンです。お借りしたものなのでケーブルと本体以外は無いのでAmazonの販売ページや公式サイト等に詳しく記載があるかと思います。

www.chikyu-sekai.com

■本体とか

〇筐体

本体は非常に綺麗なゴールド色です。1DDのためかかなり小さい部類のイヤホンになり、装着感は良好です。

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RLは分かりにくいのですがフェイスプレート面の刻印が違うので覚えればすぐに見分けられます。KATOなどの様に直接金属面がでていないので傷が目立ちにくそうに見えますが、初代のHANAもそうだったのですがフェイスプレート面のプリントが剥げやすそうで、見た目以上に気をつかいそうなイヤホンです。


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フライングガールを正面から見たようなTANCHIJIMの会社ロゴが印刷されています。2pin端子を採用しておりケーブル交換は可能ですが、半分埋め込まれた構成なのでフラット2pinは刺さらなそうです。

〇ケーブル

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ケーブルはかなりしなやかで細目のしっとりしたケーブルが付属しています。太過ぎず使いやすいのですがややタッチノイズがあるのでそこは注意がいるかもしれません。ちなみに初代のHANAのケーブルと同じものの様です。

〇寝ホン

筐体が小さいことと、前方のベントがあるため圧がかかっても鼓膜への圧迫が無く快適でした。

〇遮音性、音漏れ

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ベントのせいかイヤホンにしてはそこそこ漏れます。思いっきり開いている様に見えるCCA HM20やHzSoundの心鏡Proと同程度、coffeebeenの6割程度でしょうか。

■音質について

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〇ファーストインプレッション

想像どおりTANCHIJIMらしい音色と2万円台に期待される性能を有している質実剛健なイヤホンという印象でした。艶っぽいのですが透明感もややありTANCHIJIMのメーカーに期待する音色のエッセンスが詰まっているかのような印象です。

〇環境とか

M17DC -標準ケーブル-> NewHANA  -> SpairalDot++

11TPro -> LDAC -> BTR7-> 標準ケーブル-> NewHANA -> SpairalDot++

折角なので数千円高水月雨MoondropのKATOや最近登場したSPL周波数特性が近い心鏡Proなどとも比べていきたいと思います。

帯域バランス

概ねフラットバランスだと思います。どの帯域も比較的丁寧に鳴っています。KATOや心鏡Proはやや低域が強調されている感覚がありましたのでこの3つの中では一番フラットに近いと思います。

音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み)

寒暖はほぼニュートラルですが低音のみ少し暖かめかと思います。明暗としてもほんの少し明るめかとは思いますがほぼニュートラルです。響きは一般的で強調しすぎたり少なすぎたりも無いですが全体の傾向としてやや艶っぽく滑らかで透明感がありほんの少しだけ色っぽい雰囲気のある優等生サウンドです。音の厚みは1DDであれば一般的かと思います。まとめてそれぞれのイヤホンの特徴を一言づつで言えば美音なKATO、元気な心鏡Pro、淑やかなNewHANAという感じでしょうか。

音場(広狭、重心、遠近)

音場は横に広いタイプですが奥行き上下は価格帯なりでしょうか。音の重心も目頭の高さ程度からやや下で適度な距離感があり自然です。同価格帯のKATOと比べるとほんの少しだけ狭い様に感じます。

定位、音像

定位や音像は価格帯に求められる十分な実力を持っています。音像も整然として解像感の高さからも掴みやすく音場の再現性も相まって高いレベルに纏まっています。このあたりが得意な同価格帯のKATOに比べるとやや劣りますが、QOAのAdonisなど他の競合と比べると良いレベルに纏まっています。

解像度、分離

分離や解像度は値段相応に高いです。A20K1DD機の値段帯に求められる基本的な部分を抑えている性能です。価格が少し上のKATOなどと比べるとやはり一歩劣る印象はあるのですが僅かな差です。ケーブルの影響かもしれませんが滑らかな印象が先行するためか若干分離性能は気になりました。とはいえ音の一体感は高いのでこういった表現はこれで満足という人もいそうなチューニングです。

低域の質について

聴感上はサブベース、ベース両方とも量感も質も値段帯では普通という印象です。アタックなどの立ち上がりなど低音のスピード感は価格帯を考えるともう少しという気持ちもありますが十分な表現力だとは思います。どちらかというと中域と高域に華をもたせるためのバランスとしての低音というイメージです。

やや暖色ぎみな低音を魅力と取るかによって評価が変わりそうですが私としてはここを求めるのであれば別のイヤホンを選ぶだろうと思うのであまり気になりませんでした。

中域の質について

この価格帯では十分な中域表現だと感じます。全体として整っていることと高域の表現力が高いことであまり目立たない帯域ではあるのですが十分な表現力を持っています。音色の部分で挙げたような特徴は中域から高域にかけて持っている特徴なのですが男性ボーカルなどの分厚く力強い表現などはやや物足りなさがあります。

高域の質について

このイヤホンの一番の魅力と思える帯域です。シンバルやピアノの高音域は音色に癖はありますがキラキラして美しいです。バイオリンなどの弦楽器の音色は素晴らしく細やかな表現まで描写できる実力があります。音色の伸びはあまり良くないのですが金属質でありながら刺激音が無く、表現の好き嫌いはあれど見事だと思います。刺激音が少ないことも特徴でいわゆる聴き疲れしにくいサウンドに分類されるかと思います(まぁ私はあまり聴き疲れはしないのですが)。

女性ボーカルの高音の歯擦音などのサ行もほぼ刺さららない上に音色で挙げたような艶っぽく滑らかで透明感がありほんの少しだけ色っぽい特徴があるので高音が美しいボーカルものは良く映えます。KATOの様なわかりやすい美音ではないのですがこれもまた違った女性ボーカルものの魅力を表現するイヤホンかと思います。心鏡Proなどと比べて明らかに勝っている点としてはこの帯域の正確な表現力だと言えると思います。

ジャンルの得意不得意

バランスはフラットなのですが音色の質はあきらかに中高域から超高域にかけての表現力に特化したイヤホンです。このため金属系のキラキラとした楽器を主体とした女性ボーカルものに良く合うように思います。

逆に低音を主体とした激しい曲調の曲などはかなり物足りなさを感じるかもしれません。

■測定とか

〇SPL周波数特性グラフ

HzSoundの心鏡Proと1kHzAlignで比較したグラフがこちらになります。

SPL周波数特性はそっくりで、音の量感のバランスはまさにそのままなのですが音色は対称的に異なるので面白いですね。

■相性について

アンプ(上流)による印象の違いについて

上流が良いほど音色も良くなる傾向はありますがそれほど大きな変化は感じないように思いました。AGPTEKなどのMP3プレイヤーに代表されるチープな環境でも素晴らしいサウンドを体験できます。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

注意:尚、ケーブルについては科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありませんので、オカルト的な要素を過分に含みます。幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

〇心鏡Proデフォルトケーブル(4.4mm)

全体に音色の傾向が荒々しくなり、低音の量感が増えます。解像度はほぼ変わらないのですが音の彩度が上がり派手な傾向に変化します。全体としてドンシャリなバランスに変化したように感じます。ただそれでも高域の表現力は高い上にやや艶やかなのでイヤホンの基本的な性能として高音の再生能力が高いのかと思います。

〇KATO標準ケーブル

KATOに標準で付属してくるケーブルで聴いてみました。中域から高域にかけての存在感と解像度が上がったように感じます。音色が鮮やかで上品になり美音系のKATOの雰囲気をはっきりと感じます。チャイムやシンバルなどの超高音を含む楽器の音色は鮮やかに美しくなり標準ケーブルに伸びしろがあったことを感じさせます。かなり良い変化があったと感じます。

〇デフォルトケーブル

今回のインプレの標準ケーブルですが感覚として2万円クラスに付属する標準ケーブルとしてはあまり品質が高くないと感じます。数千円クラスの中華イヤホンであればそれもまた味だと思いますがもう少し高品位なものを付属させても良いかもしれないと感じます。

〇NICEHCK FOURMIX

NICEHCKのフラグシップケーブルですが、解像度の向上、音色の艶と勢い、エネルギー感と全体のイヤホンのグレードアップ感を感じます。音場の広さはやや狭くなっている印象もありますが、それ以上に音色のグレードアップ感が強いです。ボーカルの迫力や息遣いや抑揚など物足りなさを感じた中域はパワフルで魅力的です。ケーブルを覗いたイヤホン筐体の基本能力も高いのだろうと思いますがFOURMIXとの組み合わせも良いのだろうと思います。

〇JSHiFi 銀月(4.4mm)

JSHiFiの新作ケーブルですが、ちょうど今日届いたので試してみました。FOURMIX同様に音圧が1段上がった感覚があります(恐らく抵抗値が小さいのだろうと思います)。全体に解像度が上がり音が濃密になります。ボーカルややや近くなるのですが音場は広いままではあるのですが全体の質感はさらさらして滑らかな音色なので爽やかであっさりしています。FOURMIXと比べると解像度とエネルギー感はFOURMIXが勝っていますが、繊細さと音場感は銀月が良いという感じでNICEHCKのフラグシップケーブルに迫る素晴らしいケーブルですしNewHANAとも良い相性だと感じます。

イヤーピースによる印象の違いについて(注意)

JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)

今回のデフォルトイヤーピース

○Spinfit W1(中域、低域、解像度重視)

相性は良好です。中域の解像度と質感が向上して特に中域の音色としては1ランク上のイヤホンの音色と感じることができます。ボーカルはやや近くなり迫力が増しますが、音場はSpiralDot++から比べると横も天井も若干狭くなる点は気になります。また高域の表現が代わりに雑になりますのでそこはトレードオフだと思います。ボーカル表現を重視する場合はかなり良い選択肢になるかと思います。

○AZLA SednaEarfit Max(中域の艶、低域重視)

相性はまずまずですがW1と比べると全体的に1ランク落ちるように感じます。SpiralDot++と中間のような音色なので折角であればどちらかの方が合うように感じました。

 

所感

NewHANAは完成度が高いと評判のKATOの陰に隠れがちではありますが、少しリーズナブルな価格で似た傾向のチューニングを味わえる良いイヤホンだと感じます。すこし勿体ないのは付属ケーブルで、もう少し良い相性グレードのものを付けていれば市場の反応も変わったかもしれないと感じます。付属品などはお借りしていないのですが中音から高音の表現力に魅力のある良いイヤホンでした。

周波数特性のチューニングはかなり近いですが心鏡Proとの音色の差はしっかりとありますので気になる方は買ってみると面白いと思います。ではまた明日。

CCA HM20はAmazonのHifigoからであれば(上記のリンク)全ての出品を見るから10290円程度で購入できます。

■Appendix

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み