こんにちは
今日は先日JSHiFiから発売されましたイヤホン用ケーブル「銀月」のインプレ(簡易レビュー)です。簡易とはいえケーブル単体のレビューは初めてなので至らぬ部分がありましたらコメントなど頂ければ幸いです。写真は水月雨MoonDrop Aria SnowEditionと銀月の組み合わせです。
〇ケーブルレビューの注意
注意:ケーブルについては科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありませんので、オカルト的な要素を過分に含みます。幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。
その点が気になる方は読み進めるのを中断いただければ幸いです。
■音以外の要素
〇動機とか
少し前に発売しましたJSHiFiのLionというケーブルの評判がすこぶる良かったこと。そしてケーブルの見た目がものすごく綺麗で良かったこと。太くても取り回しが良いという情報があったことでしょうか。
個人的にNICEHCKのフラグシップクラスのイヤホンケーブルを購入してからというもの解像度などのケーブルの音色の傾向として約5000円以下のクラスと明確な性能差を感じることが多く低価格のケーブルは出来る限り衝動買いしないようにしてきました(もちろん値段だけで決まるわけではないのですが)。
このため同じJSHiFiでもLionは良さそうではあったのですが見た目がそこまでそそられなかったこと、白龍というケーブルの2pin端子が0.79mm(ノギス実測)とやや太くイヤホンをガバらせたことがあり、その上で今回新しいプラグを採用してその点の改良が不明であったこと、そして先ほど述べた「きっとフラグシップクラスの音色には敵わないだろう…」という思いが強く見送りました。
しかしながらすこし前にZebraを購入したのは見た目の好みもさることながら新メーカーの実力が知りたかったという気持ちが強かったからです。結果、そこでBIGMANGO社の実力を知り、JSHiFiの実力もどこまできているのか気になる思いは強くなっていました。
そこで登場したのがこの銀月です。Lionの音色と使い勝手の両方の評判が良かったことに加えて価格はJSHiFiの中では最高峰クラスと強気です。初期購入者の評判もかなり良く、私の中でフラグシップクラスではないかという期待が高まり、そうでなかったとしてもJSHiFiのケーブルがどのようなレベルになってきているのかも知れると思い、購入してみることにしました。
〇スペックとか
個人的には同軸構造の見た目、銀線ではないということ以外はあまり興味がありませんのでAmazon公式の販売サイトなどをご覧ください。
購入したのは4.4mmプラグ2pin仕様で配送されてきたパッケージはこんな感じでした。
〇重さ
ケーブル単体の重さを測ってみましたが実測46gでした。
FOURMIXが39g、KBX4937が38g、NX7 MK4デフォルトが23g、S12デフォルトが30g、白龍が53g、KATOデフォルトが33g、AriaSnowデフォルトが13gですのでかなり重めになるかと思います。
〇コネクタ
プラグは外側に溝が無い埋め込み2pinには対応していないタイプでした。ノギスでピンの外径を測ると0.78mmと仕様通りでした。幾つかイヤホンに挿してみましたが硬すぎたり緩すぎたりということはありませんでした。
〇プラグ
NICEHCKのFOURMIXっぽいと思ったデザインでしたので比べてみました。上段が銀月、下段がFOURMIXです。見ての通りプラグのデザインは少し違いますし、FOURMIXは良く見ると傷だらけですが銀月は綺麗です。また断線しやすいとされる接続部も2重で保護してあり見た目だけにはなりますが銀月の方が断線にも強そうです。
幾つかDAP等にプラグを指してみましたが接触不良なども無く挿し心地も良好でした。
〇導体
導体をマクロ撮影したものがこちらです。銀メッキ?された細いケーブルが綺麗に束になっている構造がわかります。この構造のおかげか見る方向や角度によって微妙に色つやが変わり高級感があります。
被膜は柔らかく手触りもよい上にしなりがあり太いのにしなやかで低反発です。太いですがかなり取り回しが良い部類になるかと思います。
太さ(直径)は分岐前で4.87mm、分岐後で3.24mmでした。
〇スプリッタ&スライダ
スライダは摩擦で止まっているだけのものですが、被膜の適度な摩擦でホールドできるようです。室内利用でざっと使った感じは滑り落ちてくることはありませんでした。
〇その他、まとめ
銀色ということで、白や銀のイヤホンに良く合うケーブルだと感じます。
パッケージは簡素ながら全体として6600円という価格に納得ができるほどビルドクオリティが高く通常利用においては太さと重さ以外は満足度の高い仕様かと思います。
■音について
〇環境
M17(DC) -> 標準ケーブル -> イヤホン ->SpiralDot++
M17(DC) -> 銀月 -> イヤホン ->SpiralDot++
基本的には上記の様にイヤホンに標準で付属するケーブルを基準にした音の変化を記載しようと思います。
〇水月雨MoonDrop Aria Snow Edition ⇒ 結果:◎
巷で評判が高い組み合わせの理由が良くわかります。横に狭かったAriaSnowの音場が横にグンと広がり、KATOなどの上位の機種の様に音に包み込まれる感覚に変わります。音像の正確さはそのままに全体の音がクリアかつ明瞭にになる感覚があります。音色もKATOのケーブルを付けたようないかにもな美音という方向ではなく少し落ち着いていながらも透明感と迫力の良い塩梅の味付けがされるイメージです。決して派手にならず全体をうまく底上げしており変更することでのネガティブなイメージ見当たりません。
個人的には元々AriaSnowの付属ケーブルは少しドライバに対してチープだと認識していたこともあって銀月に変更したときの音色のアップグレード感は顕著です。AriaSnowには銀月も合いますが他の組み合わせも良くなる変化が多いイヤホンだと感じていますのでリケーブルのやりがいのあるイヤホンだと思います。
〇水月雨MoonDrop KATO ⇒ 結果:〇~△
いわゆるKATOらしい美音では無くなるのですが、音像が近くなり横の音場が広くなります。音量が少し上がった感覚があるほど迫力が増します。中高音の迫力が増したことで低音の圧が弱くなり聴感上の帯域バランスもフラットからカマボコに近づきます。中域から超高域にかけての音色表現がやや暖かみを帯びて音が太くなり、ボーカルなどの音像はやや下に下がります。それにより解像感と低域の明瞭さは下がったように感じますがそれ以上にボーカルなどの中高域の存在感が増してKATOのボーカルイヤホンとしての新たな側面を見たような気持になります。個人的にはKATOは標準ケーブルのバランスの方が好きでした。しかしながらこれはこれで有りと思わせるバランスでもあるので好みに刺されば良いかもしれません。
〇TANCHIJIM HANA ⇒ 結果:◎
素晴らしかったです。詳細は過去のレビュー記事を参照いただければ幸いです。
〇TANCHIJIM NEW HANA ⇒ 結果:〇
素晴らしかったです。詳細は過去のレビュー記事を参照いただければ幸いです。
〇LETSHUOER S12 ⇒ 結果:〇~△
音色が近くなると同時に音場の広さが加わり、音色の質が全体に明瞭かつ残響豊かになります。元々の音の前後表現が得意なS12が圧倒的に広い音色になることで俯瞰的だった音場が音の中心にシフトすることで圧倒的な迫力に包まれます。中域、超高域にかけての音色表現がやや暖かみを帯びて音が太くなります。解像感はやや下がる傾向があるのと可聴域ではややカマボコバランスに変化し、音の一体感が上がるので一長一短の傾向はあるかもしれません。また、横の音場も少し広がる傾向があると思いますが、音の近さの変化が大きく、好き嫌いは出やすいかもしれません。
音色についても良い変化であると思う一方で、元々のS12のソリッドさが失われる変化でもあるため好き嫌いが分かれるかもしれません。私は曲目によって使い分けしたいと思えるほど大きな変化だと感じました。
〇NICEHCK NX7 MK4 ⇒ 結果:◎
まず初期ケーブルですがビックリするほどにボーカル(中域)重視イヤホンに変化します。中域が一気前に出てくるので迫力満点です。音色の鋭さと解像感はそのままに中域が滑らかになり存在感が強くなります。音色に暖かみが付加されることでほぼニュートラルになります。中域の存在感が増すことで高域と低域の存在感はやや減るのですがサブベースと超高域はそのままなので聴感上の帯域バランスとしてはW型になるかと思います。個人的にはこの変化をNX7 MK4の良いところを残した変化と感じました
〇音の変化まとめ
折角なのでNX7 MK4おすすめのリケーブル、FOURMIXとの比較なのですが、傾向がかなり違いますが、両方共に癖が強いケーブルでケーブルの特徴が良く出る変化があるかと思います。FOURMIXは音像が近くなり音がシャキシャキして中低域が明瞭に鳴る迫力とエネルギー感のあるケーブルです。速いテンポの曲に良く合い、ボーカルで言えば男性ボーカルに良く合うように感じます。
一方で銀月は音像がさらに近くなり、中高域を中心とした滑らかな表現と広い横方向の音場感による包み込まれる感覚が特徴でボーカルで言えば女性ボーカルに良く合うケーブルという雰囲気です。このボーカルと音場感の組み合わせは今のところ初めての変化で一度聞いてみる価値はあるケーブルかと思います。
また、その変化はどのイヤホンに合わせても比較的わかりやすく個性がはっきりしているので使いどころも決めやすいケーブルかと思います。
気になる点としてはややボーカルの音像が下に下がりやすいことと、個性が強すぎるのでイヤホンによってはまるっきり合わないということもありうるかと思います。ただ、そういう組み合わせと思える方が予期せず良い音だったりするので不思議だったりするのですが(笑)。
尚、解像度などの性能はFOURMIXなどと比べると約1段落ちる印象はありますがそれが今は約5000円ですからかなり破格かと思います。また、傾向としても1万円台以下のイヤホンに合わせるとアップグレード感が分かりやすいかとも思います。
■まとめ
全体の傾向をまとめるとかなり癖のあるケーブルで、音の変化を分かりやすく感じられるため初心者にもおすすめのケーブルかと思います。特に解像度などの基本的な性能もNICEHCKフラグシップにもう少しで追いつくほどの実力を兼ね備えており、ビルドクオリティも高いです。
ケーブルは発売開始時期ほど値段が安く、初動のフィードバックが好評な場合はすぐに割引率が下がっていく傾向があるので銀月については迷っているのであれば早めに購入される方が安いかもしれません。(Twitterのタイムラインなどはかなり好評なため)。
今回ケーブルのレビューは初めてでしたので至らなぬところもあるかと思いますが何かありましたらコメントやDMなどいただければ幸いです。