ゆるふわオーディオ日記

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ機材のレビュー等を思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。

インプレ:Truthear HEXA 結論:A10K Tier1 傑作イヤホン(簡易レビュー)

今日は、先日届きましたTruthear 初のオリジナルイヤホンのHEXAのインプレ(簡易レビュー)です。ざっくりとしていますがメニューから気になる部分を読んで頂ければ幸いです。

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■動機付けなど

HM20が望外に素晴らしいイヤホンであったことで、同時期にイヤホン筐体と音導管を3Dプリンタで作ったというTruthear のZEROに興味がでて購入しました。ZEROは価格にしては良いイヤホンではあったのですが筐体の大きさやステムの太さなどが足を引っ張った上で価格なり程度の解像度だったことでHM20には届かないという評価になりました。また、良いイヤホンではあるのですが今のところCrin氏のチューニング結果がどれもあまり自分に合わないということも気になる点でした。

経験的にダイナミックドライバの機種は価格に比例して解像度が上がる傾向が強く感じるところであったり、音導管は構造上BAドライバにこそ活きる構成という理解もあり、その点DD構成のZEROはやや不利なのかもしれないなど勝手な考察をしていました。

ZEROのレビューはこちら

el-snow.hatenablog.com

しかしながらHEXAはTruthear独自のチューニングになったことに加えて、中高域にBAを採用したこと、そして筐体が小さくなったことでこのHEXAに一気に興味が湧きました。また、周波数特性グラフなどから心鏡Pro同様に水○雨のBlessing2などとのただならぬ関係を噂されていたりしており、その実力を程を知りたいと考え発売日に購入してみました。

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ちなみにパッケージの裏にはこのように周波数特性が記載されています。

■SPECとか

Truthear HEXA 1DD+3BA Hybird Earphones with 0.78 2Pin Cable Earbudsja.shenzhenaudio.com

例の如くSPECなんかは公式サイトや上記のパッケージの裏の画像を見てくださいと言いたいところでしたが、検索してもヒットしませんね。なのでとりあえずZERO同様にシンセンオーディオのサイトを貼っておきます。

簡単に私からいくつかポイントを紹介すると

・HeyGears社製の3Dプリンタによる音導管一体型筐体

・1DD+3BA構成でTruthear初のオリジナルチューニングイヤホン

になります。その他は一般的でしょうか。

700円高い方はスタンドが付いているようですね。私は不要なので安い方を買っています。

また、スペックと言って良いのかわからないのですがアクリルスタンドが付くVerも存在し、そちらは800円ほど高いようです。個人的にはこちらは納期が長かったこともあり無しで購入しましたが、アクリルスタンドを集めている方はこちらの方が良いかもです。ただ、印刷が粗いらしく品質を気にする方は注意が必要かもですね。

■箱とか付属品とか本体とか

開封体験

パッケージはZEROとほぼ同じで女の子が大きく書かれたパッケージです。大きさなども同じですしデザインが横と縦で異なりますが同等系統のパッケージですね。

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個人的なデザインはHEXAの方が好きですが、ZEROの方がエッチですね(違)。外装の紙を外すとHEXAのマークが出てきます、このあたりも共通のデザインですね。

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箱を開けてもZERO同様ですね。音量への注意文などが入っている面が上なのですが映えるので逆向きにして写真はとりました(笑)

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中身はこんな感じで付属品もZEROとほぼ同じです。
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イラストケースをスタンドにするカードに加えて、マニュアルはちゃんとHEXA用になっていました。特に極性は音質に大きな影響を及ぼすので初心者向けにこの様な記載があるのはZERO同様にとても好感が持てます。
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〇筐体

筐体のはフェイスプレートが合金で本体が樹脂製になっています。

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デザインはZEROから比べるとかなりシンプルですので高級感が減って見えるようにも思いますので賛否あるかもしれませんが私はこちらのほうが機能美にあふれていて好きです。

ケーブルの端子付近にはダイナミックドライバの後方用ベントと思われる穴がありますね。気になるのは汚れの付きやすさでHM20同様に3Dプリンタの積層痕らしき縞が光の加減と汚れの付きやすさによって目立つことがあります。他のイヤホンに比べて耐久性的なところは少し心配しなければならないところかしれませんね。f:id:el_snow:20221122191342j:image

RLの刻印は本体に彫刻してあります。すこし見ずらいですが大きいことや慣れれば形でわかるようになるので丁度良い塩梅だと感じます。

ZEROやCCAのHM20と比べた画像がこちらです。

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サイズ的にはZEROとHM20の中間程度でしょうか。かなり小型軽量かされていることを実感します。

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特にZEROで気になった厚さ方向の太さやステムは見た目に薄くなっている点は素晴らしいです。

・ステム

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ステムの最大直径をノギスで測ると6.25mmでZEROの6.78mmや水月雨 blessing2の6.5mmより細く、CCA HM20の5.8mmよりは太いです。これによってZEROと異なりSpiralDot++以外のイヤーピースも装着できるようになりました。

構造的に返しの部分は無いのですが外側に行くに従って経が太くなっていく構造にしてあります。おそらく3Dプリンタで作るには返しの部分の強度が確保できなかったのだろうと思われます。使ってイヤーピースが抜けたりしないだろうかと心配したのですがSpiralDot++などで使う分には何も問題はありませんでした。

 

気になるのはフィルターがステム内部の音導管にあるタイプでしょうか。

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ゴミが入ってしまうと素人では掃除する余地がほとんどありません。気になる方や耳垢が多いタイプの方は別途フィルターを貼り付ける方が良いかもしれません。

・重さ

重さを測ってみましたところHEXA は4.8gでZEROの 4.9g、CCA HM20の 5.7gより軽く、かなり軽量ですね。サイズ的にはHM20より大きいのでかなり密度的には低く、持った感じは想像以上に軽いのでこの結果は納得でした。

・リケーブル端子

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2㎜程度埋め込まれている2pin端子なのでフラット2pinは少し接触が不安定だと思います。こうやってアップで取った写真もやや積層痕がうっすらと出ているのですがわかりますでしょうか?

〇ケーブル

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ZEROと全く同じL型のプラグケーブルが付属します。軽く細くしなやかなタイプではあるのですがタッチノイズがある上に絡まりやすく癖がつきやすいタイプなのであまり使い勝手は良くありません。この価格帯としては品質的には必要最低限のレベルではありますが使い勝手やイヤホンの特性上(リケーブルの項目で後述します)交換する方が良いかと思います。

・重さ

実測15.9gですので軽い方です。

・クロストークチェック

片側にホワイトノイズを鳴らして逆側で音が聴こえるかチェックしましたが聴感上問題になるレベルのクロストークはありませんでした。

〇イヤーピース

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フォームタイプも含めて3種類、シリコンについては3サイズ計6セット付属しています。どのサイズも自分には合わなかったのでイヤーピースは未評価です。

〇寝ホン

筐体が小さく薄いため、個人的には寝フォンに向いている機種だと感じました。価格も手頃で癖もない音色なことから寝フォンに使っていきたいと感じています。

〇遮音性、ノイズキャンセル

ベントのせいか少し漏れます、ステム側を指でふさぐと大体1~2割漏れる感覚です。遮音性はベントのせいかあまり高くはありません。

〇ホワイトノイズ

気になるノイズはありませんでした。

〇ケース

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革製のオシャレなケースが付いています。サイズは小さ目ですが出し入れとしては使いやすい部類かと思います。ただ柔らかいのでイヤホンの防護の観点ではあまりそれほど効果はないかもしれません。このタイプのホックは締める際に内部のイヤホンにダメージが入る可能性があるので総合的に考えると個人的には実用性には乏しいかと思っていましたが、内側をうまく持つことでホック部分だけで閉じることができるようです。慣れれば実用上も十分かと思います。

〇その他、総評

この価格帯のイヤホンとしても必要十分な付属品だと感じます。パッケージも考えられておりイヤーピースのサイズ展開以外は納得の充実さです。10Kを超える値段のイヤホンになりますのでケーブルについてはもう少し絡まりづらいものを付属してほしかったところはあります。

■音質について

〇ファーストインプレッション

下記、記事で書いた通りで、同価格帯のマルチドライバ機種では相手にならずBlessing2と比較する土壌にあるレベルのイヤホンだと感じました。

el-snow.hatenablog.com

空間表現に優れるHEXAに対して音色の鮮やかさがあるBlessing2という違いはHEXAというイヤホンを良く聴いて判断したいという気持ちが強くなりました。同等価格帯のマルチドライバでは相手にならないので水月雨 Blessing2やJSHiFi Hi8を装着したCCA HM20などとも比べながら書いて行きたいと思います。

エージング(バーンイン)

とりあえずDAP等で20時間ほど試聴用プレイリストの曲を一般的な音量で無限ループさせたりリスニングをました。これぐらいの時間では音色の大きな変化は感じませんでした。

〇環境とか

Xiaomi T11Pro -LDAC-> BTR7(FW1.85) -標準ケーブル-> HEXA -> SpairalDot++

M17DC(標準) -標準ケーブル-> HEXA -> SpairalDot++

iPhone12 -A1749->標準ケーブル-> HEXA -> SpairalDot++

帯域バランス

やや高域が目立つ弱カマボコバランスですがほぼフラットです。低域が強かったZEROと異なるチューニングで、Blessing2の中域重視の弱カマボコのほぼフラットバランスなことも概ね共通です。HM20が楽しいドンシャリバランスであったことを考えるとどちらが好きは好みだと言えます。

音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み)

概ねニュートラルな暖かさですが高域はやや冷たさを感じます。明暗としてはやや明るめですがほぼニュートラルと言って良いかと思います。響きは適度にあるタイプで密閉感も無く開放的でもない概ねニュートラルだと感じます。粘度も適度で、音の厚みは少なめです。

ZERO同様に個人的にはまさにニュートラルな雰囲気を持った音色で、ZEROを踏まえるとメーカーとしての狙い通りのチューニングなのだろうと感じました。特にニュートラルをどう捉えるかでそのイヤホンの魅力が変わってくるバランスです。

というのも味付けが少ない上流やイヤーピースと組み合わせたときの音色は面白みに欠ける少し物足りない音色だと感じるのはZEROとも共通するところです。特にイヤホンに味付けや個性を求めないユーザーに取ってみればかなり魅力的な音色ではないかと感じます。

とはいえ現実の楽曲制作で味付けや個性の無い環境下で作られたものは存在しないわけで、個性や味付けがあることを前提に楽曲が作られることも多いです。この点を踏まえても多数のイヤホンを持つような中級者やイヤホンしか聴かないユーザーには凄さが分かりにくい渋いチューニングです。

一方でBlessing2は熱気や迫力が伝わりやすい楽しい音色のチューニングでHEXAの音色の方向性とは真逆です。個人的なHEXAのイメージとしては極限まで音を良くしたAppleのEarpods的な音色と言ったら良いでしょうか。どちらが優れているということは断言しづらいのですが、オカルト的な要素も含みますがケーブルやイヤーピースなどで味付けができることも踏まえるとHEXAのチューニングの方が上手いと感じます。

また、HM20と比べるとドンシャリでサブベースを基調としたソリッドかつシャープなサウンドというKZの歴史で求められた要素のほとんど詰め込んだ個性的な味を持っていることに対してHEXAはどうしても無色透明という味のなさを気にしてしまいます。高価格のイヤホンがどれも開発元が体現しようとした個性的な魅力を携えていることを踏まえるとやや物足りない気持ちは感じてしまいます。

音場(広狭、重心、遠近)

左右の音場は広く、上下は一般的、前後は価格帯を考えると広めです。重心は一般的な高さより少しだけ低く、適度な近さです。素晴らしいのは横の音場表現でこのクラスではなかなかに優秀だと感じます。適度な音の開放的な響きと解像度と低位の良さが相まってこの価格帯では随一の表現力だと感じます。

Blessing2ではこのあたりは縦に展開する音場で価格帯を考えると狭い表現だったこともあり明確にHEXAが上回るところだと感じます。当然ながら縦に展開するZEROやBlessing2の方が好みという方もいるかと思いますが個人的にはオーケストラの様に広い方が評価が高くなりがちです。

HM20と比べた場合は音場表現はほぼ互角で、ややHM20が近く、HEXAが俯瞰性があります。このレベルになると好みの範囲かと思います。

定位、音像

価格帯を考えると定位はすばらしく、音像もしっかりとしており各楽器やボーカルなど位置の把握は容易です。解像度的な限界はあるので判断は難しいのですがBlessing2と同等だと感じます。HM20と比べると音色のシャープさや解像度の影響もありHM20に軍配が上がります。

解像度、分離

解像度は価格帯を考えると相当に優秀です、Blessing2やHM20には一歩及ばないですが相当に高く、良いアンプにつなぐほどにリニアに伸びて行きます。ZERO同様にどの帯域も同等の解像度になっており、HM20の様に中域の解像度に特化したようなチューニングではないバランスの取れた音になっています。

分離は価格帯を考えると良い方ですが上記の、その上で音色の一体感も重視していると感じれるほど調和を重視した鳴らしかたにも感じます。

低域の質について

ZEROほどではないですがやや弾力がある音色の低域です。サブベース帯もしっかりと存在感があり、ベース帯域は控えめです。マルチドライバーでありがちな低域のスピード感についても全く問題はありません。Blessing2の鮮やかさのある音色とは異なり、正確な低音を黙黙と鳴らす淡々のした音の雰囲気は低域でも感じられます。あくまで中域や高域を支える低域であってHM20の様なティンパニーを叩いたときの天地を揺るがすような振動感はありません。

中域の質について

中域の表現力と解像度はZEROから飛躍的に増しました。Blessing2の様な迫力やHM20の様なすべてを描写しきるような厚みのある圧倒的な解像度は無いのですが、A10Kとしては素晴らしい解像度を備えています。やや音が細い傾向はあるものの全体の音の調和が絶妙で低域と高域の良さを引き立てているように感じます。

Blessing2と比べてしまうとやや厚みが薄く俯瞰的で表現力が甘く感じてしまいがちです。個人的には中域表現の生々しさはBlessing2の方が良いと感じますが、他の帯域からの被りが少なく音が整理されているのはHEXAで、厚みを取るかスッキリさを取るかで甲乙つけ難いです。

HM20と比べると帯域バランスはHEXAの方が目立つものの解像度で劣ることもありやや地味な印象を受けてしまいます。とはいえHM20の中域の解像度はかなり高いことに加えて派手なため、個人的にはHM20の方が総合的に上手い表現だと感じますがHEXAの自然さの方が好みという方も居るかと思います。

 

高域の質について

このイヤホンの各帯域の中で最も素晴らしいのは高域だろうと感じます。しっかりと存在感たっぷりに鳴っているのですが耳障りな音色が少なく不快感が少ないことだと思います。女性ボーカルのサ行などの歯擦音の刺さりは若干ありますが高音全体の量感を考えると良好です。特に鈴などとチャイム系の音色は自然で聴きやすくリアリティがあります。

Blessing2と比べてHEXAは超高域ではより正確で自然な音色を奏でます。具体的には鈴の音などがスピーカーなどではシャンシャン鳴るべきところがカラカラと鳴るので違和感があり、HEXAの方が表現に優れていると言えます。一方で音色の定位はBlessing2の方がしっかりとしていることやイヤホンらしい音色の明るさがあり、刺さりも少ないので好き嫌いは別れやすいかもしれません。

HM20と比べると概ね互角と感じます。HM20が量感たっぷりにハキハキとした音色で刺さりも少なく鳴らす一方で、やや量感が多いために歯擦音や刺激音が目立ってしまいがちです。特に若年層の方にはHM20の高域はやや過剰に感じるかもしれず、その場合はフォームタイプのイヤーピースなどが必要かもしれません。HM20自体が高域のバーンインに時間がかかることも気になります。

逆にHEXAは最初から安定した音色で使いやすくかつ自然さやバランスの良さが光ります。ドンシャリのシャリの部分が好きであればHM20、フラットよりが好きであればHEXAが良いと思える結果です。

■測定とか

〇SPL周波数特性グラフ

公開されているグラフとほぼ同じですね。

Truthear HEXA

折角なのでHM20とZEROとを1KHzでAlignした比較グラフです。

HEXA vs ZERO vs HM20 @1KHz

1Khzを中心としても低域と高域はHM20が出ていることがわかりますね。ZEROとHEXAで比べるとサブベース帯はHEXAが強化されている一方でベース帯域はZEROより控えめになっています。中高域ではHM20の様に3Khzのピークから6Hzに向かうにつれてディップになるようなチューニングになっています。9Khzのピークの量感は3機種でほぼ一緒なのは面白いですね。10KHz以上はHM20が12KHzにピークがあって最も量感があり、HEXA、ZEROと続いています。

良く周波数特性と聴感的な感覚はずれることも多いのですが今回の結果については概ね合っているかなと思います。

HEXA vs Blessing2

続いてBlessing2とHEXAで比べたのがこちらです。概ね近い形状をしているのですが大きな違いはサブベースのベース帯域の上下関係と、6KHzがピークになっているかディップになるかの違いでしょうか。

■相性について

ジャンルの得意不得意

基本的にどのようなジャンルもいけるタイプだと思いますがZERO同様に全体として電子音楽より生音がある曲に合う様に感じました。音がゆったりとしているというわけではないのですが、ニュートラルな音色を体現させたようなサウンドはイヤホンらしい音というより、生音らしい鳴り方が合うように思います。

アンプ(上流)による印象の違いについて

前作のZEROの様なアンプによって音が大きく変わるということは多くなかったのですが、BAとDDを使ったハイブリットイヤホンのためか、HM20ほどではないですが上流の解像度を如実に反映させる傾向があります。

例えばA1749などを使うと高域がより目立つような帯域バランスになります。ZEROの様に5K前後であれば上流を要求するのはどうなのかという気持ちにもなるのですが、今回は10Kを超えるHEXAは価格も価格なので最低限度の再生環境は揃えたほうが良さそうです。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

注意:ケーブルについては科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありませんので、オカルト的な要素を過分に含みます。幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

構成

 M17DC(標準) -「____」-> HEXA -> SpairalDot++

〇デフォルトのケーブルについての補足

ZEROの時同様にTRUTHEARの設計方針を示すような本当に味付けの少ない最低限度の音色を出すケーブルです。最低限度の品質はあるもののZEROと異なりHEXAの実力が高いこともあり、個人的にはそこまで悪い組み合わせだとも思いませんでした。しかしながら上流などの癖が少ないと物足りないと感じる人もいるだろうと感じる組み合わせで、自分もリケーブルはしたいイヤホンだと感じます。もし、そう感じた人は是非リケーブルを試してみてほしいです。

〇BQEYZ Rime 4.4mm

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Winterに付属しているデフォルトケーブル「Rime」です。Winterのファーストインプレッションの記事でも書いたのですが組み合わせることで素晴らしい変化がありました。元々広かった音場感が上下に更に広がった上に、中域が生生しく、低域はよりタイトで深く沈み込み、高域はよりきらびやかでありながら派手すぎず。色のないモノトーンのHEXAが鮮やかに色付くような楽しい音色になりました。解像度の高さもより引き立っています。

www.makuake.com

ちなみにMakuakeの早期購入では7800円で購入できます。現時点ではイヤホン本体以上に付属ケーブルの評価が高いので気になって応援したい方はおすすめだと思います。

〇JSHiFi 銀月 4.4mm

最近買った品質の良いケーブルということでHEXAにも付けてみましたが音全体に銀月らしい個性が付加されて好きな傾向の音色に変化しました。音色に透明感がありボーカルからチャイムなどの超高域までが際立つバランスです。やや女性ボーカルのサ行が刺さりがちにはなるのですがボーカルに生々しい迫力と美しく伸びて広がる響きがのります。全体の音色の精細さや解像度も上がるため高相性だと感じます。銀月に関しては女性ボーカルものにかなり相性が良いのですがHEXAに関してもボーカルホンにしてくれるレベルで変化する素晴らしいケーブルだと感じます。

〇BIGMANGO Zebra 4.4mm

高域〜超高域の存在感が増してサ行の刺さりがキツくなり、あまり好きなバランスにはなりませんでした。相対的に低域〜中域、特にボーカルの圧は弱くなるのですが透明感が増すことで楽曲全体がスッキリとするのですがどうしても減った帯域が物足りなく感じる楽曲が多く、あまり相性が良いとは感じませんでした。解像度も標準ケーブルと大差無くその点もあまりおすすめできない組み合わせだと感じました。

水月雨Moondrop Blessing2付属ケーブル 3.5mm

個人的にはBlessing2の標準ケーブルはあまり好きな音色ではないのですが折角なので装着してみました。変化としては中域のボーカルがやや熱気や迫力を帯びて近く迫ってくる感覚があり、左右はやや狭くなるのですが上下の音場表現も広がるので横が広いZEROの特徴も相まって全体的に広い音場表現を実現します。解像度や定位などは決して良くなる訳ではないのですが、音色が色づく様な彩度が上がる変化があります。音としてもBlessing2とHEXAの良いところ取りというイメージで個人的には好きな音色に変化しました。

〇Tanchjim Zeroケーブル 3.5mm

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折角作ったので聴いてみました。音の全てが頭の中央に寄る感覚が強い狭苦しい音場です。一方で音の広がりや響きは伸びる自分が感じるTanchjim ZEROらしい音色です。ながら作業などには良いのですがあまり良い変化はありませんでした。

〇NICEHCK SpaceCloud 4.4mm

ここまで試したケーブルの中で随一の音場の広さと解像度の高さを誇ります。上下左右の音場の拡張に合わせて音色の重心が上がって軽やかな印象を与えてくれるます。アタック感などの音の余韻もハッキリとすることに加えて音色がやや寒色寄りになることと音色が明るくなることで華やかかつパワフルでゴージャスな雰囲気があります。基本のHEXAが無色透明で味付けが少ない方向性なのですが、そのHEXAの持つイヤホンの基本性能をSpaceCloudという媒介を通して大きく引き出している相性だと感じます。

SpaceCloudの音色の方向性が派手で高解像度で寒色的な中華イヤホンの良さを体現しており、この方向性が好きな方にはかなりおすすめできるケーブルだと感じます。

ハンダをさらに良いものに改良したUltraバージョンも噂されているSpaceCloudですがAmazonでは2万円ととてもおすすめできる値段ではありません。ただし、ブラックフライデー等では1万円以下に下がることがあるのでその時がおすすめですね。

〇NICEHCK Fourmix 4.4mm

Amazonでの取り扱いが開始されたFourmixも試してみました。値段がAliexpressとほぼ変わらない価格であることは嬉しいですがSpaceCloudと逆転している点は微妙な気持ちです。変化としてはSpaceCloudと同等以上に解像度が上がる点は流石です。情報の良が上がるかのような音量の変化も他のイヤホンに装着した時同様です。中音から低音のアタックとリリースのスピード感が増してキレがよくなる変化があります。マイナス面としてはどうしても音場表現が中央に寄りがちでHEXAの空間表現の良さが活きません。音場表現よりも解像度などを重視したい場合は良い組み合わせかと思います。

〇NICEHCK 龍鱗DragonScale 4.4mm

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価格が価格ですし比較対象とするイヤホンもかなりのものなのでせっかくなので付けてみました。結果としてはここまで来ると1桁万円のハイエンドイヤホンの標準構成と遜色無い音色まであります。高い解像度に上質な響きと空間表現、これ以上を望むのであればかなりの金額を積む覚悟がいるだろうという音色です。個人的には空間表現は十分なのでイヤーピースなどは清泉やW1などの解像度や中域重視のものに変えてやるほうが素晴らしい音色を奏でてくれるように感じました。HM20もそうなのですが個人的には上がりで良い組み合わせだと感じました。

 

イヤーピースによる印象の違いについて

デフォルトイヤーピースが装着できなかったこともあり、複数のイヤーピースを装着試してみました。なおBlessing2はSpiralDot++しか装着できないため比較の際にはHM20とのみ比較しています。

構成

 M17DC(標準) -標準ケーブル-> HEXA -> 「____」

JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)

今回のデフォルトイヤーピースです。ZEROのときには選択肢が無いためにわからなかったのですが、全体としてTruthearのイヤホンと相性があまり良くない様に思います。音場が広く解像度は高いのですが音色に華やかさや色がないTruthear のイヤホンやケーブルと合わせると全体で味気ない音になってしまうようです。HEXAは音場が広いのでまだ良いように思いますが確かにこの傾向であればZEROはイヤホンの基本となる音場が狭いこともありかなり相性が悪そうです。

○Spinfit W1(中域、低域、解像度重視)

かなりギリギリではありますが装着できました。W1らしい中域から低域にかけての解像度が上がりフォーカスが合う反面、高域がやや雑な表現になります。デフォルトの状態ではHM20と比べてやや解像度の面で負ける部分もあるのですがW1をつけることで迫ることも可能です。今回のデフォルトに使ったSpiralDot++と比べて迫力がある音色で、イヤホンの基本の音場が広いことから開放的な音色も維持しておりなかなかに好相性だと感じました。問題としてはステムの経がギリギリなことで、装着したあとW1の軸部分がかなり広がった感覚があります。徐々に元の経に戻っていきましたが長時間装着していると戻るのか心配になります。W1をHEXAに使うのであれば専用のつもりの方が良さそうです。

○Moondrop 清泉 Spring Tips(中域重視、サ行の刺さり防止)

かなりギリギリではありますが装着できました。ボーカルに厚みが出ることと引き換えに左右上下の音場はやや狭くなります。女性ボーカルのサ行などの歯擦音が減る事が最も良い変化です。清泉だからと言ってサ行の刺さりが必ず減るわけではないのですが、今回のHEXAに限っては大きく効果を感じました。個人差もあるかと思いますがZebraや銀月などの刺さりやすいケーブルと合わせるには相性が良いのではないかと感じます。ボーカルの熱気や暖かさも改善されるのでHEXAをボーカルイヤホンにしたい場合には第一候補となるイヤーピースではないかと思います。

○AZLA SednaEarfit Vivid(コストパフォーマンス重視)

個人的にはあまり良い印象はありません。悪くはないのですが今回のデフォルトで使ったSpiralDot++と比べると音場も狭いことや解像度などをを踏まえると下位互換な印象があります。あまり高いイヤーピースは使いたくはないが、標準のイヤーピースは装着できなかった場合などに良いかと思います。

 

 

■インプレの結論:A10K Tier1 参考価格:12000円

〇Pros(優秀な点)

・イヤホンの基礎能力が高い

・万人向けの概ねフラットな音色かつ正確な音場表現

・リケーブルや上流による変化が大きい

・高いビルドクオリティ

〇Cons(微妙な点)

・標準構成では面白みが少ない音色

・ステムが太く音銅管が剥き出し無しのため耐久性が心配

 

A10Kでありながら構成次第ではA30KのBlessing2クラスと遜色ない実力を持っている価格破壊のイヤホンです。A10Kにの枠に留まらない音色のチューニングは上級者向けではあるものの、本体の小ささやデザイン、解像度などZEROから着実に弱点を潰してきた隙も癖も無い傑作イヤホンです。音色の傾向としては前作ZERO同様にフラットなのでiKKOのOH2等系統の音色だと感じます。特に強い上流とリケーブルも組み合わせた音色は完全にジャイアントキリングを成し遂げています。

明確な弱点としてはフラットな音色なので面白みやイヤホンの個性が少ないと言う程度しかありません。もちろんこれは見ようによってはメリットでしかありません。HM20はその点KZ(CCAですが)らしい個性を持っており、その点や解像度やチューニングの差でややHM20の方が高評価ですが僅差です。

懸念点は3Dプリンタの筐体ということで耐久性やエージング程度で、本レビューをすることがそのあたりも含めての評価を固めたいと思います。

所感

様々な場面で使える万能性を持っており、標準状態でも素晴らしい性能を発揮する上に上級者用の遊び心もある正に万能機です。同価格帯のイヤホンは幾つか持っているのですがどう考えても相手になりません。

HM20やHEXAのプロダクトとしてのイヤホンの完成度は新しいステージに到達したことを強く実感させられます。先日参加したポタキャラではこれらのプロダクトがメーカーでも、音色に驚愕すると共にひっ迫した危機感を持つレベルだということを共有したりしました。いくらキャッチアップは楽だと言っても従来メーカーでは成し遂げられないコストパフォーマンスを実現し始めているのは確かです。

もちろんこれが終わりではありません、HM20に関してはKZなどからの別チューニング、Truthearに関しては更に上位モデルが控えています。ポータブルオーディオ好きとしてはこれらの最新動向も目が離せません。

そして現状のオーディオメーカーは価格と市場の維持のため、より一層に強い個性や新しい音の価値を提案していくことが要求されるのではないかと思います。無数に存在したポータブルオーディオメーカーではありますが、頭角を現しているメーカーはリスクを取って最新の研究や技術を大胆に導入したり、豊富で大規模低コストの製造経験を持つ所です。2023年は吐故納新を諦めたメーカーから脱落するように思ってしまいます。

最後にHM20もHEXAも現状はA10Kの価格ですがそれ以上の価値があるイヤホンであることに加えて、歴史の節目になるイヤホンだと思います。

 

 

■Appendix

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み