こんにちは
今回はBQEYZ(ビーキューアイズ)様から依頼のRimeケーブルについてのレビューです。写真はこのケーブルが同梱される四季シリーズイヤホンWinterとの組み合わせです。
〇ケーブルレビューの注意
注意:
ケーブルについては科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありません。
貼り付けや置物の様なオカルト的な要素を過分に含みます。
幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。
その点が気になる方は読み進めるのを中断いただければ幸いです。
■音以外の要素
〇モチベーション
このケーブルは同時期に発売予定の四季シリーズイヤホンWinterの付属ケーブルでもあります。今回Winterのレビュー依頼と同時にケーブルについても同様にレビューを依頼されたというのが動機ではあるのですが、Winterを聴き込む途中で様々なイヤホンにRimeを付けて聴いて見たところ、どのイヤホンでも本当に素晴らしい音色で良いケーブルだと実感しました。このため順序はWinterよりも先になってしまいますがRimeケーブルについてのレビューもすることにしました。Winterのレビューについては追って作成しておりますので暫くお待ちください。
ケーブルレビューはJSHIFIの銀月に続いて2回目ではあるのですが至らぬところがありましたらコメント等でご指導いただければ幸いです。
〇スペックとか
以下Makuakeページからの転載です。
Rime 3-in-1 earphone cable
交換可能な2.5mm/3.5mm/4.4mmプラグ付きのイヤホンケーブルも応援可能です。
【製品仕様】
ケーブル素材:単結晶銅銀メッキケーブル
コネクタ:2Pin 0.78mm
プラグ:2.5mm/3.5mm/4.4mm
個人的には中華超多ドライバ的なものぐらいしかスペックはあまり興味が無いのが本音なのですがケーブルについては本当に語ることも無いので公式の画像を引用ようと思います。今回私がレビューしているのはWinter付属のものなので単体販売ケーブルとはコネクタ側が最近流行りの変換可能タイプになっています。
予定価格は9800円でMakuakeでは20%OFFの7840円で販売されています。一般販売での実売価格はクラウドファンディングより少し高い程度でしょうから今回の区分はA7Kとしています。
〇販路
〇外観
グレーの胴体とプラグのデザインまでが統一されておりとても美しいフォルムです。実際の見た目や手触りもかなり良好です。
同価格帯のケーブルと並べて写真を取ってみたのがこちらです。
左上からRime、右上JSHIFI 銀月、左下NICEHCK SpaceCloud、右下 Fourmixです。どれも各中華メーカーのフラグシップクラスのケーブルですがRimeは細くスリムなデザインなことがわかります。
〇重さ
ケーブル単体の重さを測ってみましたがタイを含んで実測24.4gでした。
他社のフラグシップクラスのケーブルであるSpaceCloudが41g、FOURMIXが39g、KBX4937が38g、銀月が46gなので、それらと比べるとかなり軽量です。
A30K付近のイヤホン付属としてはS12デフォルトが30g、KATOデフォルトが33g、Loftyデフォルトが35.5gですので、それと比べてもかなり軽めのケーブルになるかと思います。
〇耳掛け部分
耳掛け部分は熱収縮チューブで癖が付いているタイプです。角度はあまり急なタイプではないのでフィットはしやすいタイプかと思います。
〇コネクタ
プラグは外側に溝がある埋め込み2pinタイプです。ノギスでピンの外径を測ると0.73mmと仕様より少し細かったです。細すぎたりするのかと幾つかイヤホンに挿してみましたが硬すぎたり緩すぎたりということも無く問題ありませんでした。
〇プラグ
折角なので手持ちのNICEHCKのSpaceCloudと比べています。上段がRime、下段がSpaceCloudです。断線しやすいとされる接続部も保護があります。SpaceCloudの方は線が細い事もあって2重になっていますね。SpaceCloudと比べると導体がしなやかなので2重の保護は不要そうなので十分に思います。
幾つかDAP等にプラグを指してみましたが接触不良なども無く、挿し心地も良好でした。
〇導体
導体をマクロ撮影したものがこちらです。銀メッキ?された細いケーブルが綺麗に束になっている構造がわかります。
被膜は柔らかく手触りもよいです。反発力が少なくしなりがありしなやかです。太いですがかなり取り回しが良い部類になるかと思います。
4芯編みなので太さ(直径)の測定は難しいのですが概ね分岐前で4.2mm、分岐後で2.9mmでした。
〇スプリッタ&スライダ
スライダは摩擦で止まっているだけのものですが、被膜の適度な摩擦でホールドできるようです。室内利用でざっと使った感じは滑り落ちてくることはありませんでした。
〇その他、まとめ
卒がないグレイカラーなので比較的どのようなイヤホンにも良く合うデザインのケーブルだと感じます。
3in1タイプのものとは異なる可能性はありますが、8000円程度のケーブルとして十分なビルドクオリティで使いやすい太さと重さで満足度の高い仕様かと思います。
■音について
環境
M17(DC) -> 標準ケーブル -> イヤホン ->SpiralDot++
M17(DC) -> Rime4.4mm -> イヤホン ->SpiralDot++
基本的には上記の様にイヤホンに標準で付属するケーブルを基準にした音の変化を記載しようと思います。比較対象は標準のケーブルとNiceHCK SpaceCloudです。
〇NiceHCK Lofty ⇒ 結果:◎
驚くほどにバランスの取れた音色の普通に素晴らしいイヤホンになります。癖の強い低音の素晴らしい響きは無くなってしまう一方で埋もれがちであった中域から高域まで非常に美しく明瞭かつきれいな音色で聴かせてくれます。全体としてすっきりとした音なので音像の見通しが良く、Loftyの解像度の高さも良く引き出してくれています。
また、音場が横に広くなる傾向があり、横に広く使った表現は秀逸です。標準の音色は味があって良いという感想になりますがこのRimeのLoftyはFD7やFDXなどに通じる方向の音色になります。
SpaceCloudと比べると解像度は互角、横の広さ上下も互角です。高域の表現やややSpaceCloudの方が明瞭で定位が良く、低域はRimeの方が深いところまで表現できます。音色としてはややドライで明るいのがSpaceCloud、ウェットでスッキリしているのがRimeです。
〇水月雨MoonDrop KATO ⇒ 結果:〇
ぐっと音像が近くなり横の音場が広くなります。KATOの繊細かつ大胆で美音な表現はそのままに低域から中域の量感と迫力を増したような音色と言ったら良いでしょうか。解像度は1〜2段上がる一方でキラキラする高域の音色の主張はやや少なくなる印象があります。
個人的にKATOは標準ケーブルのバランスはかなり完成されたものだと感じていましたが、これも素晴らしいと感じるバランスでした。
SpaceCloudと比べると似た方向性の変化を感じるのですがより低音と中音の主張が強く音像が近く迫力があるのがRimeで高域の主張が強く解像度が高いと感じるのがSpaceCloudという違いです。
〇LETSHUOER S12 ⇒ 結果:◎
音色がすこし遠く俯瞰的になるのですが音場が横方向に大きく広がり前後と上下の立体感と共に広大な音場空間が提供されます。音色の質が繊細かつ明瞭で奥まった定位になるのでイメージとしては球体を内側から見ているようなパノラマ感覚でしょうか。音色は繊細で遠くなることろはボリュームが下がった様な感覚もあって好き嫌いは別れてしまうかもしれませんが私はかなり好きです。
元々S12は標準ケーブルも良いは良いのですが、イヤホン筐体の基本性能が高くリケーブルすることでさらに能力が解き放たれる感覚があるのですがRimeでもその感覚が大きく感じられ、ケーブルの素性の良さを実感する次第です。
SpaceCloudと比べるとかなり傾向が違って面白いです。まず音色の近さは標準に近く横と縦は少し広がり高い解像度で聴かせてくれます。Rimeは横に広いが音が遠く俯瞰的で繊細なのですが、SpaceCloudはかなり近くて迫力があります。
両方ともに標準からはアップグレード感を感じることができる結果ですがRimeでの変化はあまり体験したことの無い変化でより希少性があるかと思います。
〇BQEYZ Autumn ⇒ 結果:◎
聴いてすぐに気づくのは横の音場の広さ、開放感です。もともとAutumnは音像が高く開放的な響きを持つことを特徴とするイヤホンではあるのですが、横の音の展開が狭い点と機材の相性によっては生音を録音音源は不自然になりやすいという苦手な部分もあるイヤホンでした。Rimeにすることでこの横の展開の狭さが全くなくなることに加えて生音の音源にも違和感が少なくなる変化があります。解像度も向上して1ランク上のイヤホンになる感覚があります。
SpaceCloudの場合もかなり横方向の音場が広がり音場のプレゼンテーションとしてはほぼ同じです。違うのは音色の傾向でドライで高音域が明瞭に目立つのがSpaceCloudでウェットかつダークな音色傾向がRimeです。どちらも素晴らしく個人的には甲乙付けがたい変化です。
ただ正直を言えば同じメーカーですしAutumnにも最初からこのケーブルを付属してほしいとまで思いました。Autumn付属ケーブルのC12はTopazにつけるとかなり相性が良いのですが同じ様な関係性になっているのは少し面白いですね。
〇BQEYZ Topaz ⇒ 結果:◎
折角なのでこちらも試してみました。解像度が数段上がった印象があることに加えて音像の滲みがなくなり定位と分離も向上しています。音色がやや暗めでウェットになってくれるおかげか全体のバランスがよくなり音色に落ち着きが出ます。C12も素晴らしい変化でしたがRimeもそれに輪をかけて素晴らしい組み合わせだと感じました。価格的にTopazにこのケーブルを付属させることは無いかと思いますがこの組み合わせも持っていればぜひ試してみてほしいほど相性が良いです。
〇CCA HM20 ⇒ 結果:◎
初期ケーブルの品質が酷いことから大きなアップグレードになるのですが、ウェットかつダークな音色に高い解像度と横に広大な音場がHM20に合わせられ、低音の深いところを引き出してくれる上に中音域は艶と迫力がありボーカルの生々しさは筆舌に尽くしがたいです。高域はHM20のキラキラ感がそのまま残りドンシャリの代表格であるHM20の概ね最適解の一つなのではないかと考えるほどに良いです。解像度が高いにもかかわらず滑らな音色であることも上品さがあり見事な表現だと感じます。
SpaceCloudは音場は広く解像度も高いのですが音色がドライで明瞭な傾向があります。SpaceCloudも最高に素晴らしく甲乙付けがたいのいですが従来のKZやCCA系統の延長線上の音色でだと感じます。HM20に付けたRimeはCCAからこんな上品な音が出るのかと疑うレベルなのでその変化を知るという意味ではRimeの方が一聴の価値がある音色だと思いますし(こう書くと語弊があるかもしれませんが)高いイヤホンの音色がすると思います。
〇Truthear HEXA ⇒ 結果:◎
詳細はHEXAの記事を参照ください
〇TRI x HBB KAI ⇒ 結果:◎
詳細はKAIの記事を参照ください
〇音の変化まとめ
全体の傾向をまとめると
・解像度が競合フラグシップクラスに高い
・横の音場が特に広い
・滑らかウェットでダークな音色(嫌なダークさではない)
・サブベース〜ベース帯域のキレと量感が良い
・中域の迫力とツヤ感がある
・高域は適度な量感がある
・試したものがほぼ良く、悪い相性が少ない
特に解像度などの基本的な性能もNICEHCKフラグシップに遜色無い実力を兼ね備えており、ビルドクオリティも高い上に、取り回しなども良いです。相性も少ないため非常に使いやすいですね。
■まとめ
改めて色々なイヤホンに使ってみて音を確認したところさらにお気に入りのケーブルになりました。Makuakeの早期購入では7840円で購入でき、この価格ならばかなり安いと感じます。www.makuake.com
Makuakeの応援購入は人数制限もあるためすぐの購入は控えますが、状況を見て追加購入したいなと考えるほど素晴らしいです。注意点としてはケーブルのみの場合は3in1仕様でプラグが異なるのでプラグの変化に敏感な方は注意が必要かもしれません。
最後に、このようなレビューの機会をくださったBQEYZ様に感謝申し上げます。