ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー:Kinera Celest PANDAMON 結論:A7K Tier2 繊細で淑やかな優しい音色のイヤホン(HiFiGo様提供)

こんにちは

 

今日はHiFiGo様からのレビュー依頼のKinera Celest PANDAMONのレビューです。提供レビューにはなりますが趣味でやっていますのでいつもと同じ基準で記載しております。f:id:el_snow:20221231084751j:image

結論:A7K Tier2 参考価格:8187円

PANDAMONは見た目とは裏腹に解像度が高く繊細で淑やかな音色と正確な音場表現を持つ優しい音色の真面目さを感じるイヤホンです。中華によくある弱ドンシャリの万人受けするサウンドバランスでは無いので、人は選びやすいかと思いますが小音量でも破綻が少ないばばかりか立体表現も適度に上手くチューニングの統一感があります。付属品は奇をてらったものになりますが本体やケーブルは価格を満足できる品質です。音色の好みはあるかと思いますが刺さる方には素晴らしいパフォーマンスを発揮できるイヤホンです。

 

Pros(優秀な点)

◎高い解像度、繊細な音色、個性的なチューニング

○優しい音色でフラットなサウンドバランス

○量感は少ないが良質な高音表現

〇リケーブルができ、中級者向のサウンド調整余地がある

〇個性的な意匠、統一感のある付属品、軽い筐体、装着感が良い

Cons(微妙な点)

• 敢えて言えば、マニュアルが英語のみでわかりずらい

△デザインが個性的なため人を選ぶ

△音漏れが多い

△主流とは異なる万人受けしずらいサウンドチューニング

いつもの通りそこそこ文量がありますので結論は上記の通りなので各論としては気になる部分だけ読んでいただければ幸いです。

動機付けなど

モチベーション

HiFiGo様からのレビュー依頼がきっかけになります。Kinera Celestのイヤホンを持っていない事、九尾での試聴はイマイチだったのですが販売後の評判はまずまずだったこと、そして平面駆動ドライバのイヤホンは好みのものが多いため依頼を受けて見ることにしました。

販路、購入先(サポート)

正式な国内代理店は無い様ですがHiFiGo様がAmazon及び正規サイトで取り扱いしています。

現在は画面右の「全ての出品をみる」から「カートに追加する」という手順が必要です。

このイヤホンを検討される方には不要な注意喚起かもしれませんが、HifiGoは保証などは付いていますが、英語でのやり取りがベースになります。Amazonの倉庫発送になった場合は初期不良対応なども日本語ベースになりますが20221231時点では海外発送となります。

SPEC

まずこのパンダみたいなPandamonって何?と気になたのですが下記のAmazonの購入リンクに書いてあります。

Celest Pandamon は、新開発の 10mm Kinera SPD (Square Planar Driver) を搭載したまったく新しいインイヤー モニターです。九尾狐と同様に、パンダモンの名前とデザインのインスピレーションは、中国のファンタジー文学「山と海の古典(別名シャンハイジン)」に最初に記録された鉄食い獣から取られています.このペアは、高品質の 304L ステンレス鋼のフェースプレートと、軽量で人間工学に基づいた樹脂のイヤー キャビティを備えた美しい外観を備えています。このペアは、生き生きとしたエネルギッシュなサウンドを提供するようにチューニングされています。 Celest Pandamon は、音楽リスニング体験を即座に強化する印象的なサウンドを提供します!!

とりあえず九尾の様にオリジナルキャラクターの様です。

詳細のスペックなどはAmazonに乗っていないのでHifigo様のサイトなどで確認できます。

Kinera Celest Pandamon 10mm Square Planar Driver In-Ear Earphonehifigo.com

英語がわからない場合は(Chromeなら)右クリックで翻訳ボタンを使うこともできます。

私はKZ以外スペックで音質を決めつけることは(あまり)しないのですが、特筆すべきことはスクウェア型平面駆動ドライバであること、そしてインピーダンスが9Ωと低めな事でしょう。

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私も詳しいわけではないのですが、いわゆる平面駆動するドライバ部分がダイナミックドライバでよく見るような円形ではなく四角くなっているものを指すようです。諸説あありますがICの様にバッチ製造する工程の関係で四角い方が無駄が少なく量産に向く(安価な)のではないかという噂があります。

箱とか付属品とか本体

開封体験

画像

パッケージはパンダモンが描かれたユニークなデザインでケースの穴から筐体が確認できるものになっています。残念ながら輸送でズレやすいようで、写真の様に筐体が見えない状態で届きました。店頭に並べる際に効果的なものだと思いますし、現在の様にECサイトから購入する限りは問題はないかと思います。

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本来なら開けて行くとこのような形で筐体が収まっています。

パッケージ下まで開けて中身を確認するとイヤーピース、説明書、ケーブルなど標準的なものに加えてクリーニングブラシやパンダモンのキャラデザインの金属製栞が入っています。

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マニュアル

マニュアルは英語のみですが図解で小さくイヤホンの装着方法が載っています。

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他にもスペックやサウンドの説明が載っています。英語だけなのは勿体ないのですが丁寧なマニュアルだと思います。

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筐体

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筐体は本体側が樹脂製、フェイスプレート側が金属製です。このクラスのイヤホンとしてはやや大きめの奇抜なデザインの筐体になるかと思います。見た目はには賛否はあるかと思いますがパンダモンのキャラクターをあしらったデザインになっており統一感があります。

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本体は大きめですが肌に接触する部分は丸いためか装着感は良好です。内側にRLの記載がある他、ドライバ前方用のベントが付いています。

競合機種との比較

左側からIntime 碧lightぐんまちゃん, CCA PLA13, HM20, TRUHEAR ZERO, PANDAMONです。f:id:el_snow:20221231084803j:image

比べてみると奇抜なデザインではありますが一般的な大きさになっています。

直流インピーダンス 7.3Ω

テスタ―で実測したところ直流インピーダンスは7.3Ωでした。

ステム形状 6.44[mm]

ノギスでステムの最大径を測ったところ約6.44mmでした。やや大きめではありますがAriaSnowなどと違ってステムに返しが付いていますので一般的なイヤーピースであれば問題なく装着できるかと思います。

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フィルター形状は円形の特殊なデザインです。折角付属しているブラシですが、これでは掃除が難しい気がします。

重さ7.0[g]

本体の重量は両方合わせて7.0gと軽量です。同価格帯のイヤホンと比べてもZEROの9.8g、HM20の11.4g, PLA13の12.1gなどとくらべてもかなり軽いです。

リケーブル端子 フラット2pin

一般的なフラット2pin端子です。

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ケーブル

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A5Kクラスのケーブルとしてはやや太いですが絡みにくく扱いやすいしなやかなケーブルです。ケーブルのクセとしてねじれ方向の癖が付きやすい傾向があるのは少し使いづらいです。

重さ17.8[g]*タイ含む

一般的な重さです。

抵抗値(直流インピーダンス)0.7Ω

このクラスの付属品のケーブルとしては標準的でオーディオ用として最低限のものが付属しています。良い音で聴きたいのであればリケーブルを推奨します。

クロストークチェック ほぼ無し

手順*1に従って確認しました。

ほんの少しクロストークはありましたが、聴感上気になるレベルのクロストークはありませんでした。

付属イヤーピース

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マニュアルによればイヤーピースについてオールマイティタイプとボーカルタイプの2種類3サイズ、合計6種類付属しています。然しながらイヤーピース自体にそれがどちらのタイプなのかの記載が無く聴感で判別するしかありません。また、個人的には5サイズ展開の方がフィットする人が多いかとは思います。

付属ケース(充電、電池持ち)

 

その他(充電、電池持ち)

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使い勝手の評価

寝ホン

本体は軽く装着感が良いのですがやや厚みがあるので向いているとまでは言えませんんが個人的には十分できるレベルだと思います。

外使い(音漏れ、遮音性、ノイズキャンセル)

指でステム側を抑えて遮音してみました。メッシュ側から盛大に音漏れがあり体感で7割程度漏れています。外使いでも音漏れの注意が必要かと思います。

ホワイトノイズ

ホワイトノイズが出やすいLotooのPaw PICOに繋いで最小ボリュームで聴いてみましたが聴感上記になるレベルのホワイトノイズはありませんでした。

音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等)

全体としてA7Kのイヤホンとしては一般的なクオリティかと思います。デザインが気にいるか次第ですがビルドクオリティは良質です。

 

音質について

ファーストインプレッション

こちらで記載した通りかなり九尾とことなり普通に落ち着いて良い音色で驚きました。

el-snow.hatenablog.com

 

競合機種との比較について

競合で言えば価格帯が近く平面駆動のPLA13、ドライバ構成が違うものであればHM20やTRUHEAR ZERO、Intime 碧Lightぐんまちゃんなどがライバルになるかと思います。当然ながらHM20やPLA13は標準ケーブルのためかなり実力に制約がある状態にはなりますね。

エージング(バーンイン)

3時間ほど通常使用で使い込んだ後、400時間ほどAGPTEKで試聴プレイリストを連続再生しました。その後、再度10時間ほど普通に使ってみています。エージング前後に関してはそれほど大きな変化は感じませんでしたが全体としてやや音色の繊細さが増して中域の主張が強くなったように感じます。

試聴環境

標準環境*2を使っていますが。今回は特にXperia10ivやM17を主体に聴きました。

帯域バランス 「フラット」

やや高域が弱いと感じますが、概ねフラットバランスと感じました。ZEROは低音が強い弱ドンシャリですし、PLA13とHM20はドンシャリ、ぐんまちゃんは比較的似た帯域バランスですが比べると高域はやや強めになります。

 

音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み) 「◎」

寒暖はやや寒色よりで中華イヤホンの中ではニュートラルです。明暗はやや明るめで、細やかで歪の少なさを感じつつも適度に響きを感じられる繊細なサウンドです。粘度はさっぱりとしたソリッド感が強く、音の厚みもすっきりとした細く優しい音色です。

整った音色ですがいわゆる開放感があり圧がが少なく、小音量でも破綻が少なく緊張感が無いリラックスできるサウンドと言って良いかと思います。価格帯は異なるのですがS12の音場を狭くしてスケール感を小さくして優しい音色にしたイメージが近いです。

競合と比較すれば、ぐんまちゃんは中域を重視して音に艶と元気がある音で、PLA13はやや暖色で低音が強く高域が粗いです。HM20はドンシャリで音場が広く解像度が高いですが高域が粗くなります。ZEROはニュートラルなのですが悪く言えば特徴の無いつまらない音色に感じます。

音場(広狭、重心、遠近) 「〇」

音場の広さはあまり広めではありません。横と縦の広さは一般的で前後はやや立体感を持ちます。S12や武則天の様な20Kクラスの前後の音の立体感を期待すると物足りないかもしれません。ただこれは10Kクラスの平面駆動は全て同様の傾向があり、空間表現に関して価格の差は如実に感じます。

重心は少し高めで音色は少し俯瞰性を持ちます。ボーカルなどの中域はやや遠目ではありますが分離や定位がしっかりとしているので空間表現としては秀逸です。

競合のイヤホンと比較すれば、ぐんまちゃんは横に広くおとはやや近めになります。HM20は音場が広大で適度な音の近さがあります。PLA13は横が少しだけ広く音はやや近い傾向があります。ZEROは音場は広いのですがPANDAMON同様に音はやや俯瞰性があります。

個人的には優れてもいませんがイマイチとまではいかない難しいラインです。

定位、音像 「〇」

A7Kとしてはしっかりとした音像があり定位も十分と感じます。特に優れているわけでもないのですが、サウンドチューニングの方向性についても正確さを重視している傾向があり、その範囲できっちりと纏まっています。この辺りは良く言われる平面駆動らしさがある様にも感じます。

競合のイヤホンと比較すれば、ぐんまちゃんは横の定位はしっかりとしている一方で前後と上下はPANDAMONに分があります。HM20と比べると音場の狭さも踏まえて標準ケーブルであってもやや分が悪いです。PLA13は横がが広くのですがデフォルトケーブルのおかけがPANDAMONの方が全体のバランスが良く秀逸です。ZEROは横に正確な定位表現を持つという方向性の違があり比べにくいのですが概ね同等だと感じます。

解像度、分離 「◎」

繊細な音が描写する解像度と分離性能は良質です。音のコントラストー解像感があまり高くないこともあり一聴すると全体の印象が小さく纏まり過ぎてつまらない音色ともいえるのですが、音の1つ1つを聴き込むと音は繊細で輪郭もしっかりとしています。ボリュームに依存せず音が混濁しないので小音量で解像度などの音質を感じやすいチューニングです。

競合のイヤホンと比べてもこの点は秀逸で、聴き比べると迫力は見劣りするものの、歪の少なさを実感できる細やかな描写は一聴の価値があります。この辺りはA20Kクラスの平面駆動イヤホンと通じる部分があるように感じます。

低域の質について 「ー」

サブベース帯域から一般的な低域まで音量は十分あるのですが音の細さと付帯音の少なさなのか、量感は少なく感じやすいです。音楽の下支えをはしっかりできるのですがアタックのスピードや余韻を楽しむようなタイプの音色では無くスッキリと鳴らすタイプです。個人的には全体の統一感を考えると嫌いな低音表現ではないですし悪くないのですが、響く様な低音ではないので、低音好きには物足りない低音と感じやすく、一般受けもあまりしないかと思います。

競合のイヤホンと比べても低音については量感や表現としては控えめです。特に量感を求めるのであればCCAなどのイヤホンに分があるかと思います。

中域の質について 「○」

中域の表現は良質です。低域同様に量感は普通で決して前にでるような鳴らし方ではないのですがクリアな音色なこともありボリュームを上げるとしっかりと主張を強めるのは中音域です。音の輪郭を強調するよりも写実的で繊細な音像を作るのため、全体的に解像感が低めに感じてしまいます。一方で細かい描写は目を見張るものがあり、無限に拡大できる画像のようなアナログ的な表現が得意です。女性ボーカルなどの中高域の伸びはあまり良くないこともあり派手さは徹底的に抑えたチューニングです。

競合イヤホンと比べたいことろですが、ここまでの説明通りイヤホンで表現する方向自体が全く異なります。競合機種の名前を出すより低価格帯のTanchjim ZEROの表現に似た繊細さと言ったら良いでしょうか。目を見張るような、自分の好みにドストレート、の表現ではないのですが、これはこれで素晴らしいと感じます。

高域の質について 「◎」

高域の量感はやや控えめなのですが、解像度が高く解像感が低い高域です。全体の音色の方向性は高域にも統一され、一貫性を感じます。中高域の女性ボーカルのサ行などの歯擦音がほぼ刺さらないのでチューニングであり、表現力は高いです。弦楽器の倍音やチャイムやシンバルなどの高域を多く含む楽器の音像表現も淑やかで目立たないのですが癖が少ない上に音色の良さは価格帯でも随一かと思います。下手な高域用のPIEZOやBAドライバと異なり派手さは無いのですが正確さや自然さは秀逸です。

競合のイヤホンと比べても秀でており、特にCCAのイヤホンは標準ケーブルが相まって高域表現が活きませんし、ZEROと比べても繊細な表現ができていると感じます。高域が得意なPIEZOを組み合わせているぐんまちゃんとは方向性が大きく異なるので比較は難しいです。派手なぐんまちゃん、淑やかなPANDAMONという違いでしょうか。

 

SPL周波数特性測定

*3

vs Tanchjim Zero

vs CCA PLA13

vs Intime 碧LightぐんまちゃんVer

vs CCA HM20

相性について

ジャンルの得意不得意

繊細で淑やかなタイプなこともありスピード感はあまりありません。ボーカル主体とするような楽曲よりも演奏を静かに聴きたい楽曲などに合うように思います。九尾ほどではないですが癖は強めのイヤホンなので使い処や好みのタイプがはっきりとしている分、逆に使いやすさがあるように思います。

アンプ(上流)による印象の違いについて

上流を標準環境で聴き比べたりしたのですが大きく傾向は変わりませんでした。良いアンプほど解像度は上がる傾向があるのでできればアンプを使う方がより楽しめるチューニングだと思います。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

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注意:

リケーブルについては科学的に見ればごく低品質なものを除いて音質の変化に対する定量性のある決定的な証拠はありません。

このためリケーブルは貼り付けなどと変わらないオカルト的な要素を過分に含みます。

幸いながら私はイヤホンケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

M17 "AppleMusic" -> 「    」-> イヤホン -> SpairalDot++

デフォルトケーブルについての補足

リケーブルで遊びたいという用途でなければ音のチューニングバランスが大きく変わるリケーブルは不要かと思います。勿論より良い音質目的ではリケーブルは推奨できます。

NICEHCK BlueDay 4,4mm セール中4550円

今回のセールでおすすめのケーブルですので、このPANDMONにも付けてみました。一聴してわかる圧倒的な解像度の向上、そして音場は横に広く広大です。音色は寒色よりのソリッドな音色になります。低域は量感と締りが出てスピード感がでます。

これであればロックなどスピード感があり、激しめの曲も相性よく聴けます。高域の量感も上がり淑やかさよりニュートラルな雰囲気になります。音の広さが空間表現に加わることで、音色の良さ、分離が高いレベルにまとまる感覚になります。Bluedayは元々1万クラスでも素晴らしい弱ドンシャリ傾向のケーブルなのですが半額になっていることで更に高いコストパフォーマンスを発揮していると思います。おすすめです。

NICEHCK BlueRose 4.4mm セール中6450円

Blueday同様に元々広い音場が更に上下左右に拡張され広い音場に包まれます。BlueDayと比べると横は少し狭いですが上下の音場が広く音像が高い位置にいるのが特徴です。解像度も高く流石のNICEHCKフラグシップケーブルだと唸らされます。特筆すべきはボーカルの暖かさと主張の強さが適度に出てくれること、高域の表現にも響きが乗ることです。Bludayほどノリの良いドンシャリにはなりませんが、逆に淑やかさに品が足される形で、響きが良くチャイムや弦楽器の倍音、シンバルやハイハットの音色は量感が出てバランスが良く感じます。

個人的にはBluedayよりもバランスが良く、価格の差を納得できるほど好相性の様に感じます。

NICEHCK C4-3 3.5mm セール中5980円

音場は左右に狭く音がギュッと中央に寄ってしまうのですが中域の密度、解像度、解像感は抜群です。輪郭がしっかりとして音の線が拾いやすく、モニター的に使いたい場合は最適だと感じます。特にボーカルはかなり主張が強く、ここまでボーカルを目立たさせるケーブルも珍しいのではないかと思います。また、音色の響きが特に独特で狭く響きの良いホールで音を聴いている感覚があります。かなり味変になる特徴のあるケーブルですね。

JSHiFi 銀月 4.4mm

ボーカルや中域の楽器の主張が強く、音像が近くなった上に音がやや丸くすべらかになります。一般的には音色の鮮度があがったような生々しさが出る傾向が出やすいのですがPANDAMONに限ってはその変化は少しで大きくは出ないように思います。また横の音場も狭くなる傾向があるのですがあまり変化がありません。一方で上方の音場が大きく拡張されて音像が上にあがる変化があります。音色の広がりや解像度、抜け感が良くなり、シンバルや鈴の音がはっきりとする点は銀月らしさがでています。銀月はボーカルケーブルだと感じていますがPANDAMONとの相性も悪くありません。

BIGMANGO Zebra 4.4mm

全体的に透明感と彩度が上がり、音色がタイトでになります。明瞭さや解像度や分離が上がり、全体としてキラキラとした音色の傾向になるように思います。音場の広さは横が少し広くなった感覚があります。低音の量感はより目立たなくなり、高域の量感が上がるのでよりフラットなバランスに近づく感覚があります。またバックの静寂感も上がりますので淑やかすぎると感じていた方などに良いケーブルだと思います。

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まとめると、音質を追求するのであればどのケーブルでもある程度変化がありますのでPANDAMONを購入してみたけれども少し好み違ったと感じたり、更に音質を伸ばしてみたいと感じた場合にもリケーブルをして遊べる機種になりますし良い選択肢になるかと思います。

尚、個人的には音場とバランス重視ならBlueRose、ボーカル重視ならC4-3、コスパならばZebraが好きでした。

 

イヤーピースによる印象の違いについて

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下記構成でイヤーピースを変更してみました。

M17 "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> 「     」

JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)

今回のデフォルトイヤーピース

Spinfit W1(中域、低域、解像度重視)

全体域に渡って解像度と解像感、質感が向上します。SpiralDot++と比べると横と上下の音場は狭くなることが多いのですが元々広くないためかそれほど大きな変化は感じません。前後の音の立体感も良く、PANDAMONの淑やかで優しいという印象は塗り替えて一般的なイヤホンレベルにしてくれるように思います。音色全体に締まりと音像の実在感が出ますので高いイヤーピースですが高相性だと感じます。

標準イヤーピース 赤軸

低域の量感と響きが増してやや音像が近くなります。上下の音場は狭く音像重心も全体的に下がりなりかわりに横が若干広がる傾向があります。高域が控えめで刺激音が少ない音色は共通ですが重心が低いことからもバランスとしても中域、低域が強めのバランスと感じると思います。当然相対的に高域の量感も減るので癖の強さを感じます。ノリは良くなるので悪くはないのですが、オーボエやベースといった低域かつスローテンポの楽器をゆったり聴く方向性が合うのではないかと思います。

標準イヤーピース グレー

フィットした感覚はあったのですが、低音がぼぼ逃げており中域〜高域に強くフォーカスが当たるバランスです。おそらくサイズが合わず装着できていないのかと思いますので、未評価とします。

 

結論としてイヤーピースでもある程度音が変わりやすいイヤホンかと思います。フィットするものを色々探してみると良いかと思います。

音質の総評、所感

暫定ではありますが個人の主観的な好みで言えば75点、私が客観的だと思う好みの点数としては84±5点です。

ここもまた激戦区であるA7KにSPDドライバとして登場したPANDAMONですが、昨今登場した大型平面駆動ドライバとは異なり、平面駆動の歪みの少なさをアピールするかのような音色のイヤホンでした。個人的な好みとは少し外れてしまうのですが、派手でわかりやすいドンシャリバランスとは異なり小音量でも楽しめる音色であり、デザインとは裏腹に質実剛健に作られた真面目なイヤホンだと感じます。ここ数年のイヤホンの流行とは異なる音作りなのでドンシャリ感で今まで聞こえにくい音が聞こえてコスパ良いと錯覚させるような音作りとは根本的に異なりますが、その繊細さは価格を納得させる魅力があります。

Kinera Celestのブランドでは他にもGumiho九尾も同様にわかりやすい音作りというより玄人向けのチューニングでしたので従来のKineraの音作りと一線を画く路線なのだと実感します。今回挙げた競合イヤホンで音色の方向性的にはTruthear ZEROが一番近いライバルだとは思いますが音色の方向性は全く別です。ZEROは筐体が大きくステムが巨大な点がデメリットとしてありますし、繊細な音作りでこの価格帯ならばPANDAMONしか無いのではないかという独自性もあります。

尚、今回取り上げた競合価格帯イヤホンを選ぶ方向性として指針を示すなら、同じフラットよりで派手めなボーカル重視であればぐんまちゃん、ドンシャリで同じ平面駆動ならPLA13、ドンシャリで解像度とKZ系サウンドの完成度重視ならHM20、弱ドンシャリで味付け少なめのニュートラサウンドが好きであればZEROがおすすめになるかと思います。

最終的にはTier2評価とした点も繊細な音作りの優秀さと個性の強さを評価しました。繊細な音を求めている方やTinHiFi系とも異なるKinera Celestの一風変わった音作りは多数のイヤホンを持つ人に取っても良い選択肢になりえるかと思います。

最後に

この様な機会をいただきましたHiFiGo様には再度感謝申し上げます。

 

Appendix

現在は画面右の「全ての出品をみる」から「カートに追加する」という手順が必要です。

el-snow.hatenablog.com

 

*1:

ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします

*2:

M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

iphone12"AppleMusic" -A1749->  -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xperia10iv"AppleMusic" -標準ケーブル->  イヤホン -> SpairalDot++

*3:

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み