ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー:QKZ x HBB Khan 結論:A5K Tier2 高解像度で重低音響く楽しいドンシャリイヤホン(簡易 レビュー、Linsoul様提供)

こんにちは

 

今日はLinsoul様からのレビュー依頼のQKZ x HBB Khanの簡易レビューです。今年から約100$を目安にして価格帯によっては簡易レビューを直ぐに上げて後で必要に応じて正式なレビューに変える様にしてみようと思ってます。理由は価格帯によって求められているレビューレベルが異なることと、私自身が沢山のレビュー待ちイヤホンをスタックすると身が持たないということもあります。方針変更のため順序が前後致しますがご了承ください。

当然ながら提供にはなりますが趣味でやっていますので内容はいつもと同じ基準で記載しております。

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インプレ結論:A5K Tier2 参考価格:5420円

Khanはイヤホンの解像度が高く重低音が豊で響く楽しいドンシャリバランスのイヤホンです。強い低域を中心とした音色は全体のバランスとしては粗削りでも音色の表現は稠密で中域、高域共に繊細な良質な表現ができます。サウンド面では低音の量感と若干音量が取りずらい以外で目立った弱点がありません。サウンド以外ではマニュアルが無かったりステムが太く社外イヤーピースの選択肢が少なかったりビルドクオリティなど初心者には勧めづらい部分も見受けられますが、その点を差し引いても全体としての完成度は高く、中級者には勧められるクオリティのイヤホンです。

 

Pros(優秀な点)

◎解像度が高く、基礎能力が高め

○重低音が響く楽しいドンシャリサウンド

○良質な中域、高音表現

○目立った弱点が無い

・リケーブルができ、中級者向のサウンド調整余地がある

・謎の品質が良いコイン

・ケース付き

Cons(微妙な点)

• 気になるTruthear ZEROとの関係

△SPECよりも音量が取りづらい

△マニュアルが存在せず、初心者には勧めづらい

△ステムが太く、社外イヤーピースの選択肢が限られる

△積層痕などビルドクオリティに気になる部分もある

いつもの通りそこそこ文量がありますので結論は上記の通りなので各論としては気になる部分だけ読んでいただければ幸いです。

動機付けなど

モチベーション

Linsoul様からのレビュー依頼がきっかけになります。QKZは後期型のVK4を持っており価格の割には(セール購入価格500円程度)素晴らしい音色の完成度に驚いたイヤホンですが、後にMyLoveとの関係性などが噂されているなど聴いたり、先日のオフ会でGittaさんからQKZ x HBBの第一弾イヤホンを聴かせていただき、なかなかの完成度に唸らされたりと感慨深いメーカーです。今回はQKZ x HBBの第二弾でかつKhanという別メーカーの高級機と同じ名前をつけるという挑戦的なイヤホンになっているほか、2DDというTruthear ZEROを思わせる構成とのことである程度興味を持っており、そこにLinsoul様からの連絡があったという形です。

販路、購入先(サポート)

正式な国内代理店は無い様ですがLinsoul様がAmazon及び正規サイトで取り扱いしています。

海外では39$とZEROの49$よりも10$ほどリーズナブルな価格設定です。Amazonで現在5400円程度と良心的な価格設定です。現在はMicの有無で値段が同じですね。

SPEC

詳細は下記のAmazonの購入リンクに書いてありますし、パッケージの裏の写真を載せておきます。

f:id:el_snow:20230105120756j:image私はKZ以外スペックで音質を決めつけることは(あまり)しないのですが、特筆すべきことは2DD構成出方がLCPドライバなことや感度や抵抗値などの数字を含めてほぼ全てTruthear ZEROと全く同じスペックなでしょうか。

箱とか付属品とか本体

開封体験

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パッケージには「可汗」Khanとの文字があります。可汗を日本語訳すると漢民族などという文字が出てきますのでNobleのKhanとは違う意味なのでしょうか?

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なにか30年ほど前の懐かしい中華味を感じるロゴなどが沢山記載されています。

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パッケージを開けると筐体と謎のメダルが出てきます。

メダルだけ取り出してマクロで写真を取ってみたのがこちらなのですが、めちゃくちゃキレイです。
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QKZとHBBのロゴが裏と表でデザインされており、KZの10周年メダルと気合の入り方が違うと感じます。

マニュアル

封入ミスなのかもしれませんがマニュアルはありませんでした。このレビューを読まれている人には不要かと思いますが、初心者には不適切かもしれません。

筐体

筐体はかなりビルドクオリティが高く、本体側は3Dプリンタで作ったと思われる樹脂、フェイスプレートは合金でその外側のロゴ周りは弱い樹脂性になっています。実感としてはやや大きめの筐体になるかと思います。

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残念ながら左側筐体のロゴ周りに擦り傷がありました。写真でも少し曇っているのがわかるかと思います。汚れかと思ってウェットティッシュなどで拭いてみたのですがどうやら傷のようで余計に酷くなってしまいました。気にしなければ気づかないレベルではあるのですが、39$の商品なのでこんなものだと思います。

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裏側はこんな感じでステムを見ると積層痕がきっちり残っていることがわかるかと思います。うっすらDDが透けて見えます。

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やや文字がかすれて読みづらいですがRLの印字があります。樹脂筐体部分は積層痕を消すために磨いたと思われる磨き傷が見えます。

フェイスプレートを拡大したものがこちらです。

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L側に傷は入っていますが、内部に金属印刷されたロゴが左右別で入っています。

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金属なのでロゴ部分は光によって輝くため意匠のセンスはさておき、ビルドクオリティはかなり高い方だと思います。

競合機種との比較

左側からKhan、Truthear ZERO、Kiwi ears CADENZAです。

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比べてみるとZEROの巨大さが引き立つので一般的な大きさになっています。

直流インピーダンス 「44.4Ω」

SPECの数字は10ΩですがSPECは交流1KHz付近で取られることもありテスタ―で実測したところ直流インピーダンス44.4Ωとは大きく違いました。これはZEROでもSPEC10Ω、直流抵抗45.2Ωと同じ傾向があります。

ステム形状 「6.78[mm]」

f:id:el_snow:20230105120805j:imageノギスでステムの最大径を測ったところ約6.78mmとTruthear ZEROと同じ数値でした。かなり大きめではありますがAriaSnowなどと違ってステムに返しが付いていますのでSpiralDot++など太めまで対応できるイヤーピースであれば装着できるかと思います。

個人的には手持ちのイヤホンの中でも一番太い直径なので少しこのあたりは使いづらいかと思います。

重さ「13.5[g]」

本体の重量は両方合わせて13.5gと価格帯としては標準的です。今回比較しているZEROの9.8g、CADENZAの7.5gとくらべるとやや重めです。

リケーブル端子 「QDC2pin」

低価格イヤホンに多いQDC2pin端子です。

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ケーブル

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A5Kクラスのケーブルとしてはやや絡み易く扱いづらいケーブルです。特にプラグ部分が周囲が太く、スマートフォンなどに使う場合はケースに干渉するかもしれません。

重さ「13.5[g]」*タイ含む

一般的な重さです。

抵抗値(直流インピーダンス)「0.8Ω」

このクラスの付属品のケーブルとしては標準的でオーディオ用として最低限のものが付属しています。使い勝手が気になるのであればリケーブルを推奨します。

クロストークチェック 「ほぼ無し」

手順*1に従って確認しました。

ほんの少しクロストークはありましたが、聴感上気になるレベルのクロストークはありませんでした。

付属イヤーピース 「1ペア3サイズ」

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3サイズ、1ペアの合計6種類付属しています。個人的に今回も付属品は上手くフィットしなかったので個人的には5サイズ展開の方がフィットする人が多いかとは思います。

付属ケース(充電、電池持ち)

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この価格帯にしては珍しい樹脂ハードタイプのケースが付いてきます。作りは価格帯なりのもので汚れなども目立ちやすそうですが重宝しそうなサイズ感です。

その他(充電、電池持ち)

使い勝手の評価

寝ホン 「△」

本体は装着感が良いのですが厚みがあるので向いていませんが個人的にはできなくは無いレベルだと思います。

外使い(音漏れ、遮音性、ノイズキャンセル)「○」

指でステム側を抑えて遮音してみました。ベント側から体感3割程度漏れています。多くはありませんが音漏れの注意は必要かと思います。

ホワイトノイズ 「ほぼ無し」

ホワイトノイズが出やすいLotooのPaw PICOに繋いで最小ボリュームで聴いてみましたが聴感上記になるレベルのホワイトノイズはありませんでした。

音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等)

マニュアルなし、デザインが気にいるか、積層痕など細かい点はありますがビルドクオリティは良質で全体としてA5Kのイヤホンとしてはかなり高いクオリティかと思います。特に中級者は満足する内容ですね。

 

音質について

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競合機種との比較について

競合で言えば価格帯が近いKiwi ears CADENZA、ドライバ構成が同じものであればTRUHEAR ZEROなどでしょうか。

エージング(バーンイン)

箱出し後、3~4時間ほど通常使用で聴き込んでみました。

試聴環境

標準環境*2を使っていますが。今回は特にBTR7、L50やM17を主体に聴きました。

ファーストインプレッション「○」

変わった高域の鳴り方はするけれどHBBらしさを感じる低音の強さ、ドンシャリ感を感じました。音色が厚めで音色が近いけれど音場も適度に広く、音に繊細さもありコストパフォーマンスの高さを実感する楽しいチューニングです。よく聴き込むと音像が少し右に寄っていたのですが、販売店に問い合わせると新しいものを送付しなおしてくれました。新しいものは問題が無く音像も中央にあり、解像度も音の立体感も良い様に感じました。初期不良はどのようなイヤホンでもあるものなので違和感がありましたら問い合わせしてみるほうが良いでしょう。

帯域バランス 「低域強めの弱ドンシャリ

低域が強く、高域もやや強めと感じる弱ドンシャリバランスと感じました。バランスとしてはZEROと近いのですがZEROよりも低音が強い弱ドンシャリです。CADENZAと比べてもドンシャリバランスです。

音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み) 「○」

寒暖はやや寒色よりで中華イヤホンの中ではほぼニュートラルです。明暗はやや明るめで、響きは少しだけソリッドさはありますが適度な響きと開放感を感じられます。音色はやや厚めでノリの良さを感じる軽快さがある方向性なのですが、1つ1つの音は丁寧で整っており繊細さもあるサウンドです。目立つのはベース帯域でウッドベースエレキベース共に前方に張り出して主張が強い音色です。

競合と比較すれば、

まずZEROと比較すると音色を軽快でわかりやすい楽しさを感じられる方向に振ったようなイメージで良いです。モニターライクのZEROをリスニングライクにしたのがKhanと言って良いかもしれません。勿論それが好みという方もいると思いますが、ZEROは私にとっては味気ないと感じていたのでのでこちらの音色の方が個人的に好みです。

CADENZAと比較すると、Khanは音を厚く繊細にした傾向性を持ちます。CADENZAはKhanに無い低音域の心地よい響きや若干の俯瞰性、スッキリとした中域、綺羅びやかで輝く高域の鳴り方を持っており、全体として同じリスニングライクな方向性でも個性的なCADENZA、王道的なKhanという違いがあります。個人的には甲乙付けがたい良さがあるように思います。

音場(広狭、重心、遠近) 「○」

音場の広さは横にやや広く、上下は一般的ですが、前後は立体感がありやや広めです。全体としてみれば価格帯としてはやや広めの空間表現です。

重心は一般的な高さで、近さはやや近めと感じる楽曲がありますが一般的な近さです。

競合のイヤホンと比較すれば、ZEROの空間表現は横よりも縦と前後に展開しやすいタイプで音像もやや高めになり、全体としてはほぼ互角と感じます。

CADENZAと比較すれば、CADENZA横に広く空間表現が上手いのでやや厳しいのですがややボーカルなどが遠くなりがちではあるので、ある程度の近さが欲しい場合はKhanに分があるかと思います。

定位、音像 「○」

A5Kとしてはしっかりとした音像があり定位も十分と感じます。特に優れているわけでもないのですが、価格帯として一般的なレベルだと感じます。

競合のイヤホンと比較すれば、ZEROの空間表現は横よりも縦と前後に展開しやすいタイプで音像もやや高めになり、全体としてはほぼ互角と感じます。

CADENZAと比較すれば、CADENZA横に広く空間表現が上手いのでやや厳しいのですがややボーカルなどが遠くなりがちではあるので、ある程度の近さが欲しい場合はKhanに分があるかと思います。

解像度、分離 「◎」

低音が強いため豪快さを感じるかもしれませんが音一つ一つは繊細で音が描写する解像度と分離性能は良質です。特に低域〜中域にかけての表現力は良質なのですが高域に行くに従って解像度や分離が悪くなっていく傾向があります。

競合のイヤホンと比べると、

ZEROと比較すれば低域〜中域は解像度としてはほんの少しだけ落ちるのですが高域は分離、解像度ともにやや分が悪いです。価格帯が一つ下であることも踏まえるとイヤホンの完成度としてはほぼ互角と言って良いのですが絶対性能としてはZEROが上手かと思います。

CADENZAと比べると、解像度に関してはKhanにアドバンテージがあり、分離はほぼ互角です。

低域の質について 「ー」

サブベース帯域から一般的な低域まで量感たっぷりです。弾むような弾力のある表現を持ち、ノリの良さを演出してくれます。楽曲にもよりますが、パワフルな低音は低音好きにもハマるかと思います。低音のスピード感やリリースについても弾力性のある表現を基本とすれば良好な部類だと感じます。ただ、生録の低音楽器などは違和感のある増幅があるようで低域が飽和しやすく不自然です。あくまで低音に味付けしたものを楽しむという用途に限られる使い方と言え、ハマる人には大きくハマる低音です。

競合のイヤホンと比べると、ZEROと比べると低音の表現は似ていますが量感が大きく異なる上に表現の正確さはには及びません。また低音が適度な量で良い場合や正確さを重視する場合はZEROが良いかと思います。

CADENZAと比べると量感こそ少ないものの響きや質感という面でCADENZAに個性があるように感じます。弾力と量感はKhan、響きとヌケ感、はCADENZAに分があるように感じます。

中域の質について 「○」

中域の表現は良質です。ややボーカルものなどで高い解像度が手伝って細かい部分まで上手く音を描写しています。やや近くて迫力のある表現もあっている様に思います。低域が張り出すことで中域にかぶる傾向があるのですが分離が良いので量感だけの問題にはなるかと思います。

ZEROと比較すると量感はかなり似ています。ただ表現は大きく異なり、整っており清廉さを感じる端正なサウンドを持つZEROに対して、Khanは音色表現が近いこともあってややウィットさを感じる生々しい方向性の音です。俯瞰的な音色が良いのであればZEROですがKhanの方が好きという方も多いかと思います。

CADENZAと比べると中域の解像度の点で上回るのですが、中域の量感によるかぶりなども無く、スッキリとした存在感のある中域となるとCADENAに分があります。

高域の質について 「○」

高域の量感は一般的です。女性ボーカルのサ行などの歯擦音に代表される中高域の表現は絶妙でほぼ刺さりはありません。またハイハットやチャイムなどの超高域を含む楽器でも違和感はあるのですが心地よい歪みなのでむしろこれはこれで有りと思わせる鳴らし方です。高域の楽器の定位感は良いのですが若干狭く分離もイマイチと言えます。やや響くというより少しサラサラした高域で心地よく鳴らすという表現なのですが、シャンシャンと安っぽい音色では無く、価格帯としては十分な表現です。

競合と比較するとZEROは明確に高域の表現まで清潭さを保った音色になっているのですがKhanの高域はやや粗さを感じます。

CADEANZAは音色の方向性としてきらびやかさを持っており音色の個性が強いです。一方でkhanもやや特殊な鳴らし方ではあると感じたのですがここはCADENZAに分があるように感じます。

 

SPL周波数特性測定

*3

 

Khanの周波数特性です。


vs VK4

vs Truthear ZERO

言葉は不要ですね。低音がやや強いチューニングになっています。

vs Kiwi ears  CADENZA

相性について

ジャンルの得意不得意

低音がの量感が強いドンシャリバランスということもあり低音が心地よく聴ける楽曲に良く合うように思います。生録や生演奏系の楽曲は低音が不自然に強調されるので合いません。とにかく楽しければよいでしょ?っというノリの良い曲にも合うように思います。

アンプ(上流)による印象の違いについて

上流を標準環境で聴き比べたりしたのですが大きく傾向は変わりませんでした。良いアンプほど解像度は上がる傾向があるのでできればアンプを使う方がより楽しめるチューニングだと思います。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

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注意:

リケーブルについては科学的に見ればごく低品質なものを除いて音質の変化に対する定量性のある決定的な証拠はありません。

このためリケーブルは貼り付けなどと変わらないオカルト的な要素を過分に含みます。

幸いながら私はイヤホンケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

M17 "AppleMusic" -> 「    」-> イヤホン -> SpairalDot++

デフォルトケーブルについての補足

あまり良い品質のケーブルが付属しているわけではないようですが、ケーブル込でチューニングされている様です。このためリケーブルで遊びたいという用途でなければ音のチューニングバランスが大きく変わるリケーブルは不要かと思います。勿論より良い音質、使い勝手や見た目目的ではリケーブルは推奨できます。

NICEHCK BlueDay 4,4mm セール中4550円

今回のセールでおすすめのケーブルですので、このKhanにも付けてみました。想像と異なり圧倒的な解像度の向上は感じるものの、サブベースは相変わらず目立つのですが低音の強さはやや緩和されて、むしろフラット気味に感じます。横の音場は横に広大になるのですが音色が寒色よりのソリッドさがでることで凛とした雰囲気がでます。ただし悪く言えばややドライな感じになりすぎて冷徹な雰囲気もでてしまいます。スピード感がでることも特徴としてあげられ、グレードアップはしているもののデフォルトケーブルの良さも消える部分があるので悩ましいです。

Bluedayは元々1万クラスでも素晴らしい弱ドンシャリ傾向のケーブルなのですが半額になっていることで高いコストパフォーマンスを発揮していますが味変に良好です。

NICEHCK BlueRose 4.4mm セール中6450円

Blueday同様に音場が上下左右に拡張され広い音場に包まれます。BlueDayと比べると横は少し狭いですが上下の音場が広く音像が高い位置にいるのが特徴です。解像度も高く流石のNICEHCKフラグシップケーブルだと唸らされはするのですがデフォルトケーブルのある種の「雑さ」みたいなものがなくなる虚無感も若干あります。ボーカルの暖かさと主張の強さが適度に出てくれること、高域の表現にも響きが乗ることです。一般的にBluedayよりもバランスが良くなったように思えるのですが個人的には、面白さにかけてしまうなという気がします。良いケーブルなので価格を納得できるほど相性ではあるのですが味変として捉えても良い様に思います。

NICEHCK C4-3 3.5mm セール中5980円

音場は左右に狭く音がギュッと中央に寄ってしまうのですが中域の密度、解像度、解像感は抜群です。音色に含まれる粗のような旨味が音色の輪郭としてしっかりと絞り出されて濃縮するがごとく描かれるので濃密です。音の線が拾いやすく、モニター的に使いたい場合にも良好に使えます。音場は狭くボーカルはかなり主張が強いのですがヌケ感があるためか窮屈さが少なくパワフルで豪胆というイメージがふさわしいです。かなり味変になる特徴になりやすいケーブルなのですがKhanとの相性は最高に良いと感じました。

JSHiFi 銀月 4.4mm

 

一般的にはボーカルや中域の楽器の主張が強く、音像が近くなった上に音がやや丸くすべらかになる特徴があり、Khanに関しては弱ドンシャリぐらいに近づくイメージです。低音の解像度や主張は弱くなるのですがそれでも絶対量として強さがあります。一般的には音色の鮮度があがったような生々しさが出る傾向が出やすいのですがKhanに限ってはその変化は少なく、やや透明感が出る程度の変化です。もちろん音色の広がりや解像度、抜け感が良くなり、シンバルや鈴の音がはっきりとする点は銀月らしさがでています。銀月はボーカルケーブルだと感じていますがKhanと組み合わせても悪くありません。

BIGMANGO Zebra 4.4mm

 

全体的に透明感と彩度が上がり、音色がタイトでになります。明瞭さや解像度や分離が上がり、全体としてキラキラとした音色の傾向になるように思います。音場の広さは横が広くなるのですが前後の表現はやや平面的になります。低音の量感はかなり目立たなくなり、高域の量感が上がるのでよりフラットめの弱ドンシャリバランスに近づきます。またバックの静寂感も上がり音色のコントラストが出て全体から漂う雑さを上手く消してくれる感覚があります。ここまでKhanに対して試したケーブルは全てしっくり来なかった印象があるのですが、Zebraが好相性という気がします。コスト的にも良バランスなのではないでしょうか。

 

Truthear  ZERO Cable 3.5mm

解像度はさほど変わらないのですが横の音場が狭くなり低音の量感はやや減少します。若干上下は広くなるものの前後の空間表現もやや悪くなる印象があるので良い印象がありません。このケーブルに比べればKhanの標準ケーブルはややしっとりとしたドンシャリの傾向を持っていることがわかります。逆にZEROのケーブルではフラットよりに近づけてくれる感覚です。ボーカルに焦点が当たりやすいのでその場合は悪くありません。

 

まとめると、音質を追求するのであればどのケーブルでもある程度変化はあるもののデフォルトのケーブルも味わい深いように感じました。購入してみたけれども少し好み違ったと感じたり、更に音質を伸ばしてみたいと感じた場合にはリケーブルも選択肢になるかとは思います。

尚、個人的に今回試した中ではZebraが好きでした。

 

イヤーピースによる印象の違いについて 軸が太いの割愛

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ZERO同様にステムが太過ぎてスパイラルドット++以外は上手く装着できません。無理やりはめることはできますがあまりオススメできません。

音質の総評、所感

暫定ではありますが個人の主観的な好みで言えば75点、私が客観的だと思う好みの点数としては83±8点です。

手持ち+レビュー済みのグラフからKhanの位置をプロットしたものがこちらです。

個人的に低音の量が多すぎると感じるため好みからは外れますが、イヤホンの出来はA7KのZEROに迫るものがあり、A5Kとしてはかなりの完成度だと感じます。

 

激戦区であるA5KにTruthear ZEROとほぼ同じ構成のデュアルDDとして登場したKhanですが、想像以上にZEROを彷彿とさせるイヤホンでした。ZEROの欠点である筐体の大きさやステムの太さなどが引き継がれているのでその点は残念でしたが音色だけに着目すればレベルが高く、総合的にはZEROにも迫るものがあります。

個人的な好みとは少し外れてしまうのですが、派手でわかりやすいドンシャリバランスでありながら中域の表現力もあるため様々な場面で活躍できるイヤホンだと感じます。

正直に言えば音色を聴いてスペックを確認してZEROと比べた2台の周波数特性を見た時は流石に少し心配しました。しかしながら有名どころとのコラボレーションなわけですので、さすがに素人が心配する部分は解決済みなのでしょう。イヤホンメーカーはファブレスで設計のみを行い製造は別会社が行うことが多いと聞きますが、今回のKhanもその一種なのであろうと思わせる一面を持っていますね。

尚、今回取り上げた競合価格帯イヤホンを選ぶ方向性として指針を示すなら、フラットよりであれば価格を上げてZERO、ドンシャリで派手好きまたは小型筐体や一般的なステムサイズが良いならCADENZAがおすすめになるかと思います。

Khanは39$とZEROでも優秀で7K価格帯のレベルを引き上げたと言われていたのですがそのさらに10$(25%)安く近いレベルの完成度のイヤホンを作ってきました。特に低音好きには溜まらないチューニングですし、標準ケーブルで聴くのであれば完成度も高く、かなり良い選択肢になるのではないでしょうか。

最後に

この様な機会をいただきましたLinsoul様には再度感謝申し上げます。

 

Appendix

   

  

  

el-snow.hatenablog.com

 

*1:

ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします

*2:

M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

MacBookPro15 Late2013 -> ADI2DAC->イトゥケーブル->L50 -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

iphone12"AppleMusic" -A1749->  -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xperia10iv"AppleMusic" -標準ケーブル->  イヤホン -> SpairalDot++

*3:

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み