ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー:LETSHUOER S12 Pro 結論:A20K リケーブルTier1 名機S12の音場重視の別チューニング( 提供LETSHUOER様)

こんにちは

 

今日は1万円台の傑作かつ定番機「LETSHUOER S12」のPro仕様こと「S12 Pro」のレビューです。LETSHUOER様からの依頼レビューにはなりますが趣味でやっていることもあり、いつもと同じ基準で記載しています。

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簡易結論:A20K Tier2(リケーブルTier1) 参考価格:18999円

S12 Proは名機S12と同様の高い解像度、良質な空間表現からなるコストパフォーマンスが高いイヤホンです。S12からの変更点は横方向の正確な音場表現を重視するチューニングで、より広い使い方に対応できるようになりました。高い性能に裏打ちされたソリッドかつ響きの良い音色に万人受けする心地よい弱ドンシャリのチューニングは見事です。

さらに筐体が軽く小さいことに加えて平面駆動イヤホンでありながら鳴らしやすく、3.5mmアンバランス、2.5mm, 4.4mmバランスに両方対応するため高音質で音楽体験をする場所を選びません。ケースやイヤーピースなど付属品も充実しており、リケーブルにも対応することから、断線などにも強く長く使える構成です。当然、中級者向けとしてサウンド調整の余地にもなっています。S12に比べて価格が少し上がり、付属ケーブルの品質下がったためTier2としていますが、イヤホン筐体の基本性能はS12から価格相応に向上しており、リケーブルを前提とすればTier1です。

S12と異なるチューニングの為どちらが上位ということも決めづらく、好みの差で選ぶことも、両方持って両方楽しむこともできます。

 

Pros(優秀な点)

◎ 高い解像度、良質な空間表現等、全体的にレベルが高くコストパフォーマンスが高い

○ 平面駆動でありがら鳴らしやすく万人受けする弱ドンシャリサウンドバランス

○ ソリッドかつ良質な響き

〇 2pinのリケーブルができ、中級者向のサウンド調整余地がある

○ 2.5, 3.5,4.4mm対応の付属ケーブル、軽い筐体、装着感が良い

○ 付属イヤーピースが9種類と多くの人にフィットしやすい

○ マニュアルが日本語、ケースが実用的

Cons(微妙な点)

ー 強いて言えばS12との価格差が気になる

△ 広い横の音場表現と引き換えにS12と比べて前後の音場の立体表現は弱くなった

△ イヤーピース等についてのマニュアル説明がない

✗ S12に比べて標準状態付属ケーブル(恐らくプラグ部)の品質が悪くなった(個人的にはリケーブル推奨)

いつもの通りそこそこ文量があります。結論は上記の通りなので、各論としては気になる部分だけでも読んでいただければ幸いです。

動機付けなど

モチベーション

昨年S12を聴けたのは自分にとっての平面駆動に対するイヤホンの認識の転換点になったと思います。S12は1万円台の価格設定でメーカー独自の色を出しながら隙無くチューニングしており、本当に素晴らしいイヤホンでした。そのS12のチューニング違いとしてS12Proが出たとのことで、二つ返事で受けさせていただきました(ただ、当然ながら周波数特性がほぼ同じという話は有名でしたので、一応確認のため本当に音が違うのかを担当者に確認しています)。

 

過去のLETSHOURE 機種のレビューはこちら

el-snow.hatenablog.com

el-snow.hatenablog.com

 

販路、購入先(サポート)

現状は正式な国内代理店は無い様ですがLETSHUOERのAmazonで取り扱いしています。

現在は20%OFFクーポンが付いて2万円程度になっています。PrimeのAmazon倉庫発送ですと保証などがありますので安心ですね。

尚、海外のストアに目を向ければHifiGoなどでの価格は18000円弱とかなりリーズナブルになっています。

LETSHUOER S12 Pro 14.8mm Planar IEMshifigo.com

良くわからない付属品ですが、HIFIGOで購入した場合はS12用のフィルターセットを選べるようです。

SPEC

私はKZ以外スペックで音質を決めつけることは(あまり)しないのですが、特筆すべきことはS12と同様に平面駆動ドライバを採用している点ですね。

細かくはAmazonなどのSPECを見てください。と言いたい所ですがよく見ても基本的にはプラグが2.5mm, 3.5mm, 4.4mmの交換式になったたことぐらいしか読み取れません。海外のフォーラムなどでもそれぐらいの違いしか書かれておらず「一緒なのだろう」と思っていたのですがLetshuoer様によれば「Proはチューニングが違います…」とのことでした。実際聴いてみての感想として補足すれば「全体として別物とまでは言いませんが、イヤホン筐体の方は大きくグレードアップ」しています。

 

箱とか付属品とか本体

開封体験

画像

S12やD13とパッケージはほぼ同じですね。せっかくなので左がS12ノーマル版、右側がS12 Proです。

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展開図は公式から借用しました。

LETSHUOER S12 Pro 14.8mm Planar IEMs Earphone HiFiGo

付属品もほぼ同じですが、違うのはケーブル、イヤーピースぐらいです。

マニュアル


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マニュアルは日本語もあり、その上で装着方法なども絵を交えて細かく書いてあります。この記載があるだけで初心者にすすめても安心です。イヤーピースの3種類やプラグの切り替えについての説明は無いのでその点は使いながら覚える感じでしょうか。個人的には少し不親切なようにも思います。

筐体

筐体はS12から色がブルーになった点以外はほぼ同じに見えます。

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肉眼で見る限りはほぼ同じです。良く見るとステムのフィルターが別のものになります。
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金属のシェルはS12と同じでコンパクトに纏められていますが、軽く装着感はS12同様に良好です。

内側と2pin部周辺にはドライバ内部と外部用のベントが合いています。RLの刻印もあります。

ファーストインプレ時の写真ですが、ケーブルのプラグと本体の簡易比較の写真です。

競合機種との比較

左からS12Pro、水月雨KATO、BQEYZ Autmun, QOA Adonisです。

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比べると厚みが最も薄いことがわかりますね。体積自体は平均的な大きさでしょうか。個人的にもつけ心地もこれらの競合の中でも最も装着感が良い機種になります。

直流インピーダンス 「15.2[Ω]」

テスタ―*1で実測したところ直流インピーダンスは両側平均15.2Ωでした。S12が13.8Ωなのでインピーダンス的に若干鳴らしずらくなっています。SPECでは16Ωで同じ値になっていたのですがS12が実際のスペックよりも低抵抗値なようです。

ステム形状 「5.7[mm]」

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ノギスでステムの最大径を測ったところ約5.7mmとS12の5.83mmより若干ながら細目でした。てっきり同じ径だろうと思ったのですがフィルター同様にチューニングを変えてあるようです。

AriaSnowやKXXSなどと違ってステムに返しが付いていますので一般的なイヤーピースであれば問題なく装着できるかと思います。

重さ 「11.1[g]」

本体の重量は両方合わせて11.1gとS12の10.5gよりやや重めです。同価格帯のイヤホンと比べると、水月雨のKATOの24gと比べると羽のような軽さです。Autumnの12.1gやAdonis6.8gなどを考えると一般的な重さです。こちらも明確に重さが違いますので内部のパーツなどが変更されている可能性が高そうです。

ちなみにこちらもスペックは片側6.6gになっていますので実測値の方が軽いことになります。

リケーブル端子 「フラット2pin」

フラット2pin端子です。こちらについてはS12と同じですね。

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ケーブル

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S12同様にこの価格帯のケーブルとして十分上質で見た目も良いことに加えてプラグの先が3.5mm, 4.4mm, 2.5mmと変更可能なものが付属しています。見た目はやや太くテカテカしていて摩擦係数が多そうに見えるのですが、実際にはある程度サラサラしており、手触りが良好ですし、絡みにくい質感です。癖もつきにくく反発力も強くないため扱いやすいしなやかさをもっています。ある程度コシがあって強いので丈夫さも感じられるケーブルです。

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プラグ部分以外はS12とほぼ同じ見た目です。金属部は本体の色に合わせたカラーリングになっています。

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こうしてプラグを比べてみると、交換式プラグの先の長さとS12のプラグの長さが同じです。S12よりも長いので少し使いづらくなりました。

交換プラグの接合部分は心鏡Proの様にただ挿入するだけのタイプです。抜き差しに高級イヤホンケーブルにある回転させて抜けてしまう事を防止する機構などは無い様です。
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実際につかってみると、普通にプラグ部をもって使う分には問題は無いのですが、意図的にケーブル側の方を持ってジャック側を抜き差しすると交換式プラグとの間の方が抜けてしまいます。個人的にはこの部分は簡単に抜けてしまわない機構が欲しかったです。

また、音質の部分でも後述しますが、音色の部分も踏まえるとS12のケーブルの方が使い勝手も音も良い様に思いました。Proではどのジャックでも利用できるようになったのは利点ではありますが、S12の方が良いと言う場合もあるかもしれません。他の交換式プラグでは抜け防止のためにノッチが付いていたりするのですがそのような仕組みは欲しかったところです。

S12は購入時にプラグのタイプを選ぶのですが、普通に使う上ではケーブルを変更する必要性が少ない。ただ気に入って使っている人はリケーブルしている人も多く、その点を踏まえるとS12Proではプラグによる商品ラインナップが無くなり合理化されたということなのかもしれません。

重さ 「32.8[g]」(4.4mm)

プラグ交換式のためかS12のケーブル30gと比べても少し重めですがKATOの32.9gと比べても一般的な重さです。

抵抗値(直流インピーダンス) 「0.2Ω」

テスタ―*2で実測したところ直流インピーダンスは0.2〜0.3Ωでした。このクラスの付属品のケーブルとして十分に良い品質のものが付いているようです。尚S12も0.2~0.3Ω、KATOの付属ケーブルも0.2Ω程度です。

クロストークチェック ほぼ無し

手順*3に従って確認しました。

ボリュームを現実的にかけ離れるほど大きく上げるとほんの少しクロストークはありましたが、気になるレベルのクロストークはありませんでした。

付属イヤーピース

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イヤーピースについて細いノズルの3サイズ、太いノズルの3サイズ、フォームタイプの3サイズ、合計9セット付属しています。S12との違いは一番右の黒いイヤーピースです。

一応比較するとS12にしか付属しない白のイヤーピース、右側がS12Proにしか付属しない黒のイヤーピースです。

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音のチューニングは違うと思われますがS12の白の方は装着できなかったので違いはわかりません。

いずれにしてもイヤーピースの充実ぶりは素晴らしいと思います。欲を言えばタイプ毎の4サイズまたは5サイズにしてほしいところです。

付属ケース(充電、電池持ち)「革製」

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S12やD13などと同じハードタイプの革のケースが付いています。このタイプサイズ感が良く上部で中のイヤホンが良く守られている感じがするので非常に好評です。

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4.4mmプラグをつけると少しギリギリですが交換プラグ、なども一応全て入れることができます。稀にプラグの長さとケースのサイズが合っておらず毎回収納の際にプラグの先端を外さないと仕舞えないケースが付属することがあるのですがS12Proはその点ジャストサイズというところでしょうか。個人的にプラグ先を一緒に持ち歩けるのは使いたいと思った時に先を選ばないので非常に嬉しいポイントです。ケーブルを複数付ける場合などもありますがかさばりますので理にかなった設計だと思います。

その他(充電、電池持ち) 「なし」

使い勝手の評価

寝ホン 「〇」

本体は薄めで軽く装着感が良いので個人的には良好です。ステムの長さが短めということもあり音像が乱れにくいので向いているように思います。

外使い(音漏れ、遮音性、ノイズキャンセル)

指でステム側を抑えて遮音してみました。体感で3割程度漏れていますので外使いではやや音漏れの注意が必要かと思います。

ホワイトノイズ

ややホワイトノイズが出やすいLotooのPaw PICOに繋いで最小ボリュームで聴いてみましたが聴感上記になるレベルのホワイトノイズはありませんでした。

音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等)

全体としてA20Kのイヤホンとしては相応しいビルド、付属品だと思います。残念な点はケーブルのプラグで実質使用するプラグが決まっている人にとってはちょっと長く使いづらい仕様です。一方でプラグ交換式となった事で全てのプラグを常に持ち歩けるのでノートパソコンやスマートフォンの3.5mmで使ったり、DAPで使う時は4.4mmを使うことができたので利用シーンでの使い勝手はS12に比べてとても良いなと感じました。このあたりはトレードオフの仕様なのですが、音質を気にしなければアリだと感じます。

また、S12とのチューニング変更ですが、インピーダンス、重さやステム径、フィルターなども含めると周波数特性は同じに見えてもチューニングは変えてあるのは客観的なデータでも理解できますね。単なるケーブル変更に見えてしまうのは少し勿体ないようにも思います。

 

音質について

ファーストインプレッション

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下記の、記事の通りではあるのですが、S12から横の音場が広がったものだという認識でS12からアップグレードする価値はありそうな片鱗が見えます。

el-snow.hatenablog.com

 

競合機種との比較について

IEMとしての競合は先程比較していましたA20Kでの定番機水月雨Moondrop KATOになるでしょうか。それ以外となると手持ちで言えばAutumn、Adonisあたりも競合になるでしょうか。また、当然ながら同社の価格が近いS12からどの様な変化があるのかを中心に比較しながら書いていきたいと思います。

 

エージング(バーンイン)

4時間ほどファーストインプレッションで聴き込んだ後、400時間ほど大気に暴露させながらAGPTEKにて試聴用のプレイリストを再生させました。その後、通常の使用として1ヶ月ほどかけて20時間ほど使い込みました。

変化としてはより俯瞰性が増して音場が広くなった印象がありますが、さほど大きな変化は感じていません。

試聴環境

標準環境*4を使っています。

今回はXperia10ivやSHIOに加えてM17DCを使い、イヤーピースは「標準の黒」とも交換しながら聴き込みました。特にS12 Proは上流の再生環境で良くなる傾向が強かったため、M17を主体としています。

帯域バランス 「やや低音よりのフラット」

S12同様に典型的な万人受けする弱ドンシャリバランスです。S12も弱ドンシャリではあるのですが、S12Proと直接比べるとS12は中域にもフォーカスが当たりやすいWバランス、S12Proはやや中域が引っ込む形のVバランスです。

音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み) 「○」

概ねS12と同じやや寒色よりで、艶や美音とは対極と言ってよいソリッドで響きのある弾むような音色です。明るい暗いで言えば概ね中間からやや明るめです。音の太さはやや太めですが繊細さも兼ね備えるバランスのサウンドです。

S12と比べた時、一聴すると大きく違わないと思うのですが良く聴き込めばリスニングに対する姿勢が違うことがわかってきます。S12では音色に芯があって気持ちの良いグルーブ感があると表現したのですがS12ではややそのあたりは一歩引いた様な鳴らし方で、音楽を客観視するような俯瞰性があります。

S12では中域音色が前に来ることでフォーカスがどうしても中域に集まる印象があります。つまり、あくまで音楽での主体は主旋律で、主旋律が派手で目立って楽しいという特徴がありますが、それ以外の楽器は主旋律を盛り上げるための脇役という印象が強くなってしまいます。

一方でS12Proはその主旋律は全体の楽器と同じ列に下がり、全ての楽器が主役になるイメージです。音場表現が横にも広くなった関係もありますが、すべての音に焦点を合わせやすく、POPSなどで今まで気づけなかった楽器の音色に気づくことができたり、オーケストラなどで自然な定位で聴くことができるという異なるチューニングです。

よりモニターライクに分析的にも聴くことができるのがS12 Proで、主旋律にフォーカスを当てたのがS12ということなのでしょう。LETSHUOERの考えるProがこういう意味なのかと理解されされた次第です。双方共に素晴らしく好みの差と感じますが、個人的な好みで言えばS12の方が上位互換の音が少ない個性的で楽しいチューニングで好きですね。

 

他の競合との比較で書くと

KATOは現在のA20Kの定番機種と言われていますが、S12系と比べると音色が艷やかで美音系で、音色が近いのですが残響が独特でキレイ系な音色と言ったら良いでしょうか。どちらも比較的ジャンルを選ばず過不足無く鳴らすのですが、女性ボーカルの美しさなどを引き立てるのはKATOが上手いですが楽器の鳴らし分けや音のスケール感はS12Proが勝っている処ですね。

音場(広狭、重心、遠近) 「◎」

前後の立体感は価格なりですが、左右、上下の音場は価格帯を考慮しても広大です。音像の重心は高めかつやや距離感があり、場所で言えば目頭のあたりに定位することが多いです。横と前後に広めの空間表現を持つので俯瞰性と適度な迫力を出せる絶妙な距離感です。

S12との変化で言えば音像がやや遠くなり、左右が大きく広がり、前後のり体感が少なくなった形です。

余談ですが、S12と比べると左右の広大な音場と引き換えに前後の立体感が失われて締まったのは残念だと嘆いていたのですが、試しにケーブルやイヤーピースを全く同じ条件でS12とS12Proを聴き比べるとS12Proの前後の立体感はあまり失われておらずS12から少しだけ減ったかなという程度の変化しかありませんでした。リケーブルの項目で後述しますが、どうやら標準ケーブルが前後の立体表現が苦手なようです。

KATOと比べると左右上下の音場はややS12Proの方が広く、前後はほぼ同等です。音像の位置が異なり、KATOの方が近く、音像が少し下になり、迫力がある音になります。

定位、音像 「〇」

S12から音の厚みが少し減ったこともあり、横や上下の音の定位や音像の明瞭さはやや向上しています。価格帯を大きく超える魅力があるというまでは行きませんが、Proになり定位の位置関係が正確になり、音像がはっきりする方向性になりました。とは言えS12ではそれほど得意分野というわけでもなかったためか、上位の機種と比較すればS12Proでも音像が荒く、音の輪郭もぼやけがちと評する人もいるかもしれません。

S12では前後の音場表現が上手く、その前後の立体感で定位を表現していたこともありS12と比べても互角と言ってよいのかと思います(これもリケーブル項目で後述しますがケーブル交換を推奨します)。

KATOと比べるとほぼ互角かやや劣ると感じます。KATOは定位や音像がしっかりとしており、非常に素晴らしい表現力を持っているのですが、S12 Proと比べるとやや音場が狭く、トータルの空間への描写力という意味ではやや高いと感じます。サイズの大きさが異なる解像度が同じ写真のようなイメージですね。

解像度、分離 「○」

解像度はこのクラスとしてはかなり高い表現力を持っています。一方で分離性能は前後の平面的な表現が相まってかなり気になります。つまり分解すれば解像度は◎ですが、分離は△です(これもリケーブル項目で後述しますがケーブル交換を推奨します)。

S12と比べてほぼ同じなのですが、やや分離性能は(ケーブルの影響で)下がった様に思います。

KATOと比べても解像度はほぼ互角かややS12系列が上、分離は(ケーブルの影響で)下になります。

低域の質について 「◎」

低域に関してはS12とほぼ同等です。涼感、アタック感、スピード共に価格帯に見合う良質な表現力を持っています。ほぼ同じなのでS12を参照してもらえればと思います。

KATOと比べると、量感や質感を踏まえても良質で、個人的にも好きな表現です。

中域の質について 「○」

中域の表現はS12に引き続き、良質ですが表現は大きく異なります。量感は適度でS12と比べるとやや解像度は下がりますし主張も弱めです。S12では太く近かったことに加えて立体的に空間を彩る表現力はかなり控えめな傾向ですが、中域の音の太さや音色の立体感を抑えたことによりより多く音色に焦点があたりやすくなりました。

S12と比べた際にはボーカルなどもやや距離感があって俯瞰的な表現になるためこの辺りは好みが出やすいかもしれません。当然ながら比較すればという話でボーカルを主体に聴きたい場合にはS12の方が主役になり得ますが、Proの方が全ての楽器と調和した音楽を楽しむイメージです。空間を上手に使えていることに加えて合唱曲やオーケストラなどの生録音の中域の位置関係の正確さはProに軍配が上がります。

 

高域の質について 「○」

高域はS12と比べると少し量感があり、ハイ上がりのために少し煩めと感じる人もいるかもしれません。開放的な音像は上下左右に広く展開しがちで空間の狭さに捕らわれない響きと抜け感を両立しています。

中高域の女性ボーカルのサ行などの歯擦音は若干刺さると感じる人もいるかもしれませんがボーカルの高音は良く伸びるので十分な表現だと感じます。弦楽器の倍音やチャイムやシンバルなどの高域を多く含む楽器の音像表現は解像度も高く違和感が少ない音色です。S12同様にBAやDDの機種と違った傾向を感じるリニアリティがある高域の表現で個人的には好きな表現ですが、高域の楽器に着色が無い淡白な鳴りなのでその点で不満を感じる人もいるかもしれません。

SPL周波数特性測定

手持ちの機材と環境*5にて測定してみました。

S12 vs エージング前S12 Pro

S12 Pro エージング前後

前後で少しだけ周波数特性が変化しています。ただ、測定器側を校正しているわけではないので変化があったと断言できる材料ほどではありません。

vs S12

1KHzで正規化しています。S12に比べて3KHz付近の中域が少し減って7~8KHz付近の中高域が少し増えている感じでしょうか

S12 Pro イヤーピース変化

これを変化が大きいとみるか小さいとみるかで変わりそうですが、イヤーピースでの音の変化はあるようです。

vs D13

S12とD13はある程度似ている近いチューニングでしたがS12Proも5KHz付近から低域まではほぼ同じグラフですね。

vs 水月雨Moondrop KATO

KATOとの違いはサブベースと2KHz以降の中域で大きいですが、中低域は似た傾向がありますね。

vs intime 碧Ti3

Ti3と比べると低域は少な目でしょうか

 

相性について

ジャンルの得意不得意

比較的ジャンルを選ばないイヤホンです。S12も寒色系という点さえ合えばオールラウンドに使えるイヤホンでしたが、モニター的に聴くような広い音場のオーケストラなどでは若干相性があったように思います。S12Proは横の正確な音場を手に入れたことでより広いジャンルに対応できるようになったと感じます。一方でボーカルを主体としたPOPSなどではややボーカルが俯瞰的になるので迫力が欲しいと思われるジャンルでは少し曲を選ぶかもしれません。

アンプ(上流)による印象の違いについて

標準環境で上流を変えながら聴き比べたりしたのですがやはり良い上流にするほど解像度が上がる傾向はあるように思います。駆動力が必要とまでは言いませんがある程度力を引き出せる環境はあると良いように思います。

S12にも言えるのですが特に良い上流とつないだ時の音の立体感、表現力の高さは眼を見張るものがあります。S12 Proを使うことで、アンプやケーブルなど上流の機材を試すリファレンス的なイヤホンにも使えるレベルです。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

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注意:

リケーブルについては科学的に見ればごく低品質なものを除いて音質の変化に対する定量性のある決定的な証拠はありません。

このためリケーブルは貼り付けなどと変わらないオカルト的な要素を過分に含みます。

幸いながら私はイヤホンケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

M17 "AppleMusic" -> 「    」-> イヤホン -> SpairalDot++

デフォルトケーブルについての補足

正直、しっかり聴き比べるまでは単体売りされるほど品質が良いと定評があるS12のケーブルと同じ線材を使っているはずなのでリケーブルで遊びたいという用途でなければリケーブルは不要のはずだと思いこんでいました。しかし個人的にはS12のデフォルトケーブルと比べると音質の劣化が酷く、とても同じ線材を利用しているとは思えません。特にひどいのは前後の立体感が大きく損なわれることで、平面駆動の良さが消えています。もちろんメーカーとしては横と上下の音像表現に注力したいなど、意図したものなのかもしれませんが個人的には好きになれないケーブルでした。

もちろんプラグの先をバランス、アンバランス自由に付け替えできる点は良いのですが、固定機構がない点も気になりました。個人的により良い音質を目指したり、S12Proの筐体部分のチューニングを堪能したいのであれば交換を推奨したいです。

また、もしS12proの付属ケーブルがS12と同じ品質のケーブルになっていればTier1としていたと思います。

S12デフォルトケーブル「○」

S12Proの特徴をほぼ変えずにアップグレードできる唯一のケーブルだと思います。変化として一番の違いは音像の立体感で、上下左右だけに展開していた音場が前後に拡張されます。音像自体も手前に来る感覚があり、俯瞰的で正確さを保ちつつ音像に迫力がでます。デフォルト以外のケーブルも最高に相性が良いものは沢山あるのですが、LETSHUOERのチューニングが気に入っている場合はS12のデフォルトケーブル一択と言って良いと思います。特にその場合はS12と同じケーブルで比較できますのでS12 Proの何がアップグレードしたのかをよく理解できるように思います。

 

TRIPOWIN Altea 4.4mm「◎」

ツイートの通り見た目、音共に素晴らしい相性です。特に素晴らしいのは音の立体感で、S12以上に広がった音場表現を大きく拡張してくれます。標準から前後の音場が大きく広くなることに加えて解像度も少しだけ向上します。音の定位の良さに加えて音場が広くなることで音が分離しやすく、音像の輪郭はソフトで聴き疲れしない音色になります。音の音のアタックは少しソフトになりますがデメリットとまで行かず持ち前のスピード感でちょうど良い塩梅になる感じです。音に包まれる感覚が強くなり音の多い楽曲でもきっちりと鳴らしてくれます。

音色も少し暗くなることでニュートラルな音色になり、音の立体感がでることで1音1音に深みがでる様な感覚があります。

個人的にはコストや見た目も踏まえるとベストバランスなのではないかと思います。

 

NICEHCK BlueDay 4,4mm セール中4550円 「△」

解像度の向上はほどほどに、音場は若干横に広くなりますが上下はやや狭くなり、前後の立体感は標準同様に平坦です。音色の傾向はやや寒色よりになりボーカルがさらに1歩後退して球体を中から眺めているような俯瞰的な音場になります。低域と高域は更に存在感が出て良いのですが、中域がかなり奥まった位置になってしまうのでボーカルなどはかなり物足りなさが出ます。

見た目もよく、解像度は高いのですが個人的にはあまり良い相性には思えませんでした。

 

NICEHCK BlueRose 4.4mm セール中6450円 「ー」

個人的には悪くない相性なのですがデフォルトケーブルから変更するほどかと言われると難しいと感じました。音場の表現は大きく変わらないのですが横が少し狭くなり前後の立体感がでる変化があります。S12 Pro自体の空間表現が上手く活きているかと言われると難しいですが、BlueDayと比べると解像度が高くボーカルの暖かさと主張の強さが適度に出てくれます。

個人的には見た目の相性も良くBluedayよりもバランスが良い様に感じますが強いて合わせるほどでもないように思います。

NICEHCK C4-3 3.5mm セール中5980円 「✗」

個人的にひどい相性だと感じました。音場は裏返り、まるで逆相のような音の近さの音場です。何度も逆相でないかを確認しましたが、ここから逆相にするとさらに音が裏側にまわり、異常な音色になります。相性は最悪だと思います。音は近く、左右も狭いです。ものすごい近い迫力ある音色が好きだというのであればよいので、大きく味変したい場合は逆に良いと思います。個人的に「これはこれで有り、◎」と感じる人もいると感じた音色でしたが、狙った音色とはかけ離れているので推奨したく無いと感じるので✗としました。

JSHiFi 銀月 4.4mm 「△」

標準ケーブルから比べるとボーカルや中域〜高域の楽器の主張が強くなる傾向があり、音像も近くなり、概ね良い変化といえます。しかしAlteaと比べるとやや鮮やかさが無く、音の深みもいまいちで、左右の音場が狭くなったことで全体的にこじんまりした音色になったと感じます。

銀月はボーカルケーブルだと感じており、S12のようなボーカルに焦点が当たるようなへ変化を期待したのですがあまり良い相性には思えませんでした。

BIGMANGO Zebra 4.4mm 「◎」

今回試したケーブルの中では安めですが全体的に透明感があがり音色がタイトになります。明瞭さや解像度は標準とおほぼ同じレベルですが、分離感が向上するので悪くない変化だと感じます。

音場の広さはやや左右が広がる傾向は感じます。低音の量感も概ね変化はないのですが高域の量感も増えることで気持ちの良いドンシャリ感が強まるので個人的には好きです。標準ケーブルよりも音像がはっきりしやすい点も良好で安く標準ケーブル以外の音色を知りたい場合にも良いように思います。

Zebraは問題ないレベルで、リケーブルの価値を感じましたが、標準ケーブルの品質は最初からある程度は良いのでこれより低品質のケーブルは難しいようにも感じました。

Yongse Expert AgMax8 4.4mm 「◎」

去年の大阪のポタフェスで一聴惚れして購入したケーブルです。

音色は全体的に華やかで透明感と彩度が上がります。音場は横に広く上下も拡張され、前後感も適度に追加された広い音場になります。バランスとしては中域〜高域にフォーカスがあたる変化です。解像度は大きく上がり、きらびやかさがある響きが追加されると共に、明瞭さや解像感や分離性も向上します。相性は良好ですが、これは特にS12 Proに限った変化というよりはAgMax8の傾向で、変化が非常に変化がわかりやすいケーブルになっています。

絶対性能として最高の相性というわけではないのですがS12Proも例外にもれず素晴らしい音色にしてくれるので良いケーブルだと感じます。

 

まとめ

纏めると、音質を追求するのであればリケーブルを推奨したいのですが、標準についているケーブルもそこそこには良いのである程度良いケーブルを準備するほうが無難です。

個人的には見た目も踏まえ得てAlteaの相性は最高に良いと感じました。また、Zebraも音色がやや暗く音がタイトなので味変に良好だと感じます。

 

個人的にはAlteaをつけたS12 Proはずっと使っていきたいレベルの音色ですが、ちなみにS12にAlteaを付けるとどうなるのかを気になった方もいるのではないかと思います。結論から言えば前後の立体感はあるものの横が狭い音場になります。音の前後の立体感は素晴らしいのでボーカルなどを聴く分には良いのですがS12 Proほどのオールマイティ感は出ません。S12は逆にyongse AgMax8など横に広いケーブルと合わせるとオールマイティに使える音色になります。

 

イヤーピースによる印象の違いについて

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下記構成でイヤーピースを変更してみました。

M17 "AppleMusic" -> Altea -> イヤホン -> 「     」

標準イヤーピース「黒」(音場、高域、低域重視) 「○」

標準のイヤーピースは横の音場が少しだけ狭くなり、中域の音に少しだけ立体感が出ます。解像度は少しだけ下がる傾向がありますがそれほど大きい変化でありません。イヤホン本体の価格がある程度高額なこともありイヤーピース変更のコストパフォーマンスはある程度期待したいところだと思いますが、標準のイヤーピースもそれほど悪くはありません。その意味でもS12Proの作り込みとしてはかなり優秀なように思います。

JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視) 「○」

今回のデフォルトイヤーピースです。

Spinfit W1(中域、低域、解像度重視) 「◎」

SpiralDot++と比べると横と上下の音場は狭くなるのですが、元々が広いためそれほど大きなデメリットとは感じません。音像重心はやや上方向にシフトして音の立ち上がりが早くなり、解像度、解像感もあがります。

S12 Pro自体がS12よりもやや高域寄りのバランスなこともあり、個人的には中低域にフォーカスが当たりやすいW1は好相性の様に思いました。

SednaEarfit Max(ボーカル重視、低刺激)「◎」

中域の質感の細やかさ、量感、太さが増してややボーカル等の音像が近くなります。

このイヤーピースの特徴として横の音場は狭くなり上下の音場はやや広がるのですが元々S12Proが広いのであまり大きな変化を感じません。

中域のボーカルの主張が強くなるためイメージとしてはS12のチューニングに近づく方向性です。また、高域の表現は音像が鮮明になるほか定位がはっきりとするのけ良い変化だと感じます。

全体としてボーカルに焦点を当てたい場合はかなり良い相性だと感じます。

Moondrop水月雨 清泉(ボーカル重視、刺さり防止)「✗」

ボーカルを含めて全体の音像が少し下がりますが、ボーカルはやや際立つイメージです。左右の音場は広めなうえに抜け感があります、一方で上下については上方が狭くやあまり良い変化には思えません。

あまりにもいつもと違う変化のためケーブルを通常の付属品にもどしたりしたのですが同じ傾向で、全体として相性は最悪だと感じます。

 

結論としてイヤーピースでもある程度音が変わりやすいイヤホンですが、標準のイヤーピースも悪くなく、装着感や音の変化などを見据えて変更すると良いと思います。

 

音質の総評、所感

ケーブルなど標準構成となりますが、個人の主観的な好みで言えば95点、私が客観的だと思う好みの点数としては95±4点です。価格帯と音のレアリティ、付属品等ユーザビリティを考慮した総合的なランクはTierは2としました。

純粋にイヤホン筐体だけの音質評価はS12を超えるTier1レベルではあるのですが、それに応じて価格が2〜3000円上がったことと、ケーブルの品質が下がったこと、1年の時代の流れで競合イヤホンのレベルも上がってきたということで、総合はTier2です。もし、ケーブルがS12と同じで価格差がもう少し小さければTier1で、Tier2ではありますがTier1との差はかなり少ないです。

個人的には付属してきたケーブル(おそらくプラグ)は本当に残念で、もしこれが普通のS12と同じケーブルであれば・・・っと何度も思いました。それ故にりS12でもリケーブルをして使っている様な方には当然Tier1としておすすめできる素晴らしいイヤホンで、チューニングが異なるためS12から乗り換える価値、両方持つ価値は十分にあります。

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単純にリケーブル無しでA20Kのイヤホンを好み順に並べると

S12 > KATO > S12 Pro > 碧Ti3 > Adonis = Autumn

リケーブル有りですと

S12 Pro > S12 > KATO = Autumn > 碧Ti3 = Adonis

という感じでしょうか。もちろん強制するものではないのですがS12 Proはぜひリケーブルにも挑戦してほしいイヤホンですね。

終わりに

このような機会をいただきましたLETSHUOER様には改めて感謝申し上げます。

Appendix

 

el-snow.hatenablog.com

el-snow.hatenablog.com

 

*1:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去

*2:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去

*3:

ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします

*4:

M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

iphone12"AppleMusic" -A1749->  -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xperia10iv"AppleMusic" -標準ケーブル->  イヤホン -> SpairalDot++

*5:

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み