ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

雑記:SEHNNHEISER IE900 そっくり 3APLUS DIY のレビュー的なやつ 結論:IE900の偽物、周波数特性も異なり買う価値は無い

こんにちは

今日は予告通りSEHNNHEISER IE900にそっくりの形状をした 3APLUS DIY イヤホンを入手しましたので、色々と検証してみた結果を書きます。


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↓ちなみにこいつです。

モチベーションとか

ゼンハイザーのIE900の精巧な偽物はかなり多いです。中国のECサイトAliExpressで売られているSENNHEISER IE900は全て偽物だと思った方が良いぐらいですし、大手フリマサイトも偽物と判別する知識がなければ買うことはお勧めできません。というのも私の目からみて購入証明ありと言いつつどうみても偽物という販売者も多くあり、売りても騙すつもりまんまんという恐ろしい魔境になっています。

IE900の偽物が多い理由としてはSENNHEISER IE900オリジナルのブランド力が高いこと(音作りが素晴らしいこと、IE900の値段が高いことろ、値段が下がりにくいこと)に加えてIE900はアルミ切削ボディなこともあり、下位のIE600のジルコニウム3Dプリンタ製よりも安く見た目を仕上げることができるということも関係していると言われています。つまり安く偽物が作りやすく、安定して高く売りやすいという市場が出来上がっているためだと言われています。

元々高価格のイヤホンはドライバの精度であったりBAなどでは複数ドライバのマッチングなどに多くの付加価値が付いているため、中身の部品や組み立てや設計をケチることで安く形になった偽物イヤホンを作りすいという土壌があります。時計などの偽物などと同じで、測定機があったり詳しい人が調べると、つまり聴く人が聴けばすぐに分かるのですが、ぱっと見が同じに仕上げてあると素人では見分けがつきにくいです。

もちろん行政も放置しているわけではなく、ニセブランドの撲滅に向けて昨年2022年の10月から関税での偽物の取締は強化されているのですが、大手フリマサイトなどを見るに効果は殆どないようで、偽物の精巧化によっていたちごっこな状況なのかもしれません。

ということでIE900は多くの偽物があり、このBlogでもIE900やIE300の偽物について取り上げてきました。

el-snow.hatenablog.com

el-snow.hatenablog.com

その上でIE900の偽物については周波数特性が同じではないということも上記に記載しました。

そこで登場したのがこちらです。3APLUS DIYイヤホンとありますが、どう見ても意匠がSENNHEISER IE900です。本当にありがとうございました。

まぁそこまでであれば微粒子レベルの確率ですがSENNHEISERから許可を取っている可能性も否定できません。問題は「チューニングと周波数特性が元バージョンと一致」と銘打ってきたのです。

もし本当であればどんなレベルに仕上げてきているのか?ということで、調べてみることにしました。

正直を言ってIE900のサウンドは目に見えないような精度を積み上げたコストの塊の様な音だと実感しているところがあり、周波数特性だけ一致させたサウンドがどのようなものかは気になります。

届いたやつ

そっけない箱で届きました。
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中を開けるとこんな感じ
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イヤーピース3種、本体、MMCXアシストも入っています。
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MMCXアシストは3年ほど前にFinalとFIIOで権利のいざこざがあったように覚えていますが大丈夫なんでしょうか?

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そして本体ですが、ん?あれ?左右でMMCXのコネクタが違います。

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商品説明では両方とも標準MMCXとなっていますが、届いたのは右が標準MMCX、左がSENNHEISER IE900シリーズの専用埋め込みMMCXになっています。これは普通のMMCXケーブルしか持っていない人は左のL側だけ刺さらず使えませんね。

仕方がないのでIE900用のMMCXケーブルを繋いでみましたがこんな感じでR側だけ今度は隙間ができてしまいます。
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この状態ではグラグラしやすくちょっとした左右の負荷でプラグに大きな力が掛かってしまうので壊れてしまうことが心配されます。

ということで本体を比べてみようと写真を取ろうとしたら3APLUS DIYは磁石が強いことに気付きます。この様にに近づけると両方のイヤホンがくっつきます。

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SENNHEISER IE900はくっつきません。
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外側のロゴだけでなく内側のIE900の部分には3APLUSの社名が刻印してあります。
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比べてみると、ややステムの立ち上がる角度がほんの少し違います。またIE900の方がばりが少ないですね。
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ステム角度を揃えると下側面が揃いません。また、3APLUS DIYは内側に切削のつなぎ目が見えますね。

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また、IE900のフィルターには3つの穴が空いていますが、
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3APLUS DIYは穴がありません。
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上部から見ると角度の違いと円形の面がはっきり浮かび上がる3APLUS DIYで違いが良くわかります。
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また、IE900にはベントの内側にフィルターがありますが、
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3APLUSにはありません。
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また、ステムの内側の加工もIE900はばりもなく綺麗に仕上げてありますが、
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3APLUS DIYは同心円のバリが見えます。

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ということで、パッと見たところロゴ以外の違いは少ないですが、随所で加工精度や仕上げに手抜き(コストダウン)が見て取れます。前回紹介したDIY IE900と比べてもかなり本物に近く仕上げてきているように思います。

周波数特性の違い

測定環境*1

SENNHEISER IE900 LR差

相変わらずですが凄まじい左右マッチングです。高いだけあるなと実感させられます。

3APLUS DIY RL差

スケールは同じです。左右マッチングの次元が違うことがよくわかります。

SENNHEISER IE900 vs 3APLUS DIY 

ここで販売ページの画像を比べてみます。

うーん、どう見ても嘘ですね。少なくとも私の環境では周波数特性が同じではありません。

SENNHEISER IE900 vs 3APLUS DIY  by final TypeE EarTips

一応別のイヤーピースでも比べてみましたが近づく気配はありません。

SENNHEISER IE900 vs 3APLUS DIY  vs DIY IE900 by final TypeE EarTips

このときに比べたDIY IE900の周波数特性とも比べてみました。

el-snow.hatenablog.com

どちらにしても周波数特性は別物ですね。

音について

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試聴環境

 M17DC(PL50) "AppleMusic" -> IE900標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

 

14900円、頭売りのイヤホンですので普通に全て揃ったパッケージのイヤホンですとA20Kクラスでしょうか。それを念頭に考えるとちょっとイマイチかなというぐらいで悪い音ではありません。やや弱ドンシャリで音が近くわかりやすい音だと思います。よくできているバランスなのでこれと言った大きな欠点は無いのですが平均的に悪いかんじでしょうか。頭売りなのでA7Kクラス、一式全ての場合はA10Kであればまだ文句ない人もいる感じだと思います。どちらにせよ先日購入した85%A8000の方がやや良いかなという感じで似たレベルでしょうか。

vs SENNHEISER IE900

[rakuten:sennheiser-hearing:10000009:detail]

IE900と直接比べると解像度が低く、こもった音色です。音場も狭めで定位がゆるく音色がボケているので比べるのも失礼なぐらいです。透き通るような音場感も無く、聴いたことがある人ならば一発で偽物だとわかると思います。

vs Kima Classic

 

ちょうど同じ様な値段なので聴き比べてみました。Kimaの方が解像度が高く音色がはっきりとしていますね。細かい音が聴き取りやすく楽しい音色で、付属品の質なども比べると総合的に3APLUSの良いところはSENNHEISER IE900に形が似ていることだけだと思えます。

もし、あまりイヤホンの知識が無いけれど、この商品に興味を持っていたのであれば付属品を踏まえるとKima Classicを買った方が絶対に幸せになれると思います。

まとめ

ということで、残念なが「Amazon公式の販売ページの情報とは異なる商品」が届きました。正直今のところ「ぱっと見の形がIE900に見える」というぐらいの価値ぐらいしか無いように思います。特にMMCX端子が左右で違うというのは致命的な不具合だと思います。まぁたまたま不良品が届いただけかもしれませんが、やはり値段なりの品質管理なのだろうと推察されます。

IE900に関しては調べれば調べるほどに価格の価値を納得させられるだけの音作りをしているように感じています。3APLUSがSENNHEISERとライセンス契約を結んだ可能性はほぼ無い(第三者には知りようがありません)と思いますし、怪しい商品には手を出さない方が無難だと思います。

もしIE900が気になっているのであれば、安易に偽物などに手を出さず、是非試聴してその価値を理解した上で購入することをお勧めします。

 

ということでではまた明日。

 

*1:

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:FIIO M17 4.4mm IE900標準ケーブル

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ、3APLUS 標準イヤーピースM

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み