こんにちは
今日はなんとなくS12で聴いたZENDACについて、買ってから今まで使ってきた感想とトランスポータビリティについての雑記です。
iifi audio ZENDACは据え置きのオーディオ機材としてエントリークラス2万円前後の定番ともいえるDACアンプです。2019年に販売を開始してから3年ほど立つにも関わらず充実した機能と高いオーディオ品質が支持されており、未だに根強い人気を誇ります。元々の売り出し価格は2万円以下でしたが去年部材の高騰等の煽りで22000円に値上がりしています。昨今の国際情勢を鑑みると部材に使われている金属はその時以上に値上がりが激しいので今後、更に値上がりする可能性すら否定できません。
有名な話ではありますがZENDACは枯れた設計、枯れたDACチップが使われています。今も売れ続けているため中古価格も安定していますし、製品のマイナーチェンジの話も聞きません。そういう事情があってか新製品としてはZENDACの下位として、外装をプラスチックにして更にコストダウたZEN AIR DACという99$ラインの製品も予定されていると聞いています。
さて、この定番のZENDACについての音の評価や使い勝手などのレビューは散々擦られているので今更何を書くのかという人も多いかもしれませんが、据え置きではなくポータブルオーディオの視点から見たZENDACを語りたいと思います。
というのもこのZENDACをなぜ自分が購入したのかというと、それは当然スマートフォンと接続するポータブル機材としても優秀ではないか?っという仮説に基づいたものです。
最近は多くのメーカーがドングルDACアンプとして多くの機種を発売しています。これはサブスクのオーディオサービスが一般化したことでDAPという特別なオーディオ機材を持つよりスマートフォンやiPADなどの通信機能を持つ端末をDAP代わりに使えるようにするアプローチが現実的になってきた為だと言われています。
そこでこのZENDACですが、バスパワー駆動ができるのでドングルDACと同じ様にスマートフォンと接続してドングルDACと同じような使い方ができます。実際に私は今まで何度もiPhoneのカメラアダプタを使ってトランスポータブルという形でポータブルZENDACを利用したことがあります。
写真の通り、カメラアダプタを介してLightning端子で認識して音が出ています。電力的に大丈夫なの?っと疑問に思うかもしれませんが平面駆動イヤホンのLetshour S12で実用的な音量を出した時の実際の消費電力を測ってみましたが1W以下で最新の高音質ドングルDACの消費電力よりも少ないぐらいです。
この電力であれば基本的には端子の接触が悪いなど粗悪な変換器でなければ問題なく使えますし、スマートフォンのバッテリーの影響もドングルDACと変わりません。
尚、もちろんZENDACは5Vの外部入力電源を持っているので別途バッテリーなどから5V電源を供給したほうが音質が向上することは知られているのですが、正直な感想を言えばこのクラスのDACだけで完結させるようなオーディオ機材では、外部電源は実感しにくい変化なのでコストパフォーマンスもあまり良いとは思えません。当然ながらiPhone以外のUSBC端子のスマートフォンではもっと簡単に接続できるかと思いますしLightning変換の音質ロスも少ないとは思います。
続いて音についてはどうなのか?っと言われれば個人的には巷の評価を踏襲するを形にはなります。第一に言えるのはコストパフォーマンスを考えるとかなり素晴らしい音質ということかと思います。以前ポータブルアンプのFiiOのQ5sAM3DやHAAFEEのHA11、XDUOOのxd05balなどと比較したことがありますがこれらのポータブルのアンプと比較してもパワーはありませんが鳴らしやすいイヤホンやヘッドホン環境ではかなり良い勝負をしていました。勿論、同じ据え置きクラスでは価格を超える音質だとまでは言いませんが同じ価格帯で売られているドングルDACとどちらが音が良いか、と言われれば圧倒的に据え置きでの実績が多いZENDACを推したいです。また、据え置き機材ですのでRCA出力端子や4.4mmバランスLAINOUTなどもあり拡張性も高く、パワーが欲しいと思ったらZENCANを足したり、音質の傾向を変えたい場合にケーブルを交換するなどカスタマイズも容易です。PCで聴く音質を良くしたい場合でも別途電源が不要なのでケーブル一本で接続できるのはかなり便利でした。
悪い部分としては、やはり4.4mmプラグなどの加工精度と小音量時に発生するギャングエラーです。かなり有名な話ではありますがifi audioの低価格商品の機械加工精度については各所で指摘がありますが実際私が使っている機材でも少しだけプラグの抜き差し時は他の機材より負荷があるように感じます。抜けなくなったりプラグが傷ついたということは今のところ無いのですが、世の中にはメッキが剥げやすい虚弱な4.4mmプラグもありますので注意が必要な機材の一つではあるかと思います。また、ギャングエラーは概ね9時ぐらいのボリューム位置までは感じますので小音量で聴きたい場合は影響があるように思います。大音量で聴くための商品としてZENCANがありますのでZENDACは小音量に特化してくれても良かったようにも感じます。また、ボリュームが約10時の位置で適正音量という慣習は据え置きオーディオのものかと思いますが、個人的には全く持って無意味で音質を劣化させる要因にしかなっていないと感じています。尚、今のPCはTypeAのUSB端子ではなくTypeCしかないものも増えてきていますのでTypeC用のUSBケーブル(Type C to USB B端子)が付属してくれれば更に良い様に思いました。
っということでではZENDACを持ち歩くモチベーションに音質があるとして、ドングルDACなどで犠牲になる問題点として何があるかを簡単に書きたいと思います(どこに需要があるのかわかりませんが)。
まずは想像通り第一に重さがあります。金属筐体のZENDACは491gと見た目以上にずっしりしています。バスパワー駆動ができるので別途バッテリーが必要ということは無いのでADI2DACなどより圧倒的に持ち歩きやすいのですがDAC内蔵のポータブルアンプとしてはやや重い部類になってしまいます。
次の問題点は筐体金属のエッジの加工精度が悪く手で持った時にもやや鋭利さ感じてあまり持ちやすく無いことです。そしてこのエッジは他の機材に当たった時に傷を付ける可能性があります。本格的に持ち歩く場合はこのエッジを処理するか何かケースや布でくるむなどの準備がいるかもしれません。
3つ目はデジタル接続するUSBケーブルが抜けやすいことです。やはりUSBのB端子とTypeCのスマートフォンを直接接続させるケーブルはあまり売っていないことです。変換アダプタなどを使う場合はその接点が抜けやすくなりモバイルしている際に不意の自己でケーブルが抜けてしまうというトラブルが何度かありました。
4つ目はアナログボリュームの回転負荷が少ないことです。これは通常の据え置き利用であればスムーズに回転するボリュームは低価格帯でありながら高級感があって良いのですが、モバイル用途ではちょっとした接触でボリュームが変化してしまうのはやはり鼓膜にとって害悪です。
っとここまで書いてわかるかと思いますが、モバイルはできますがやはり本格的な移動しながらの運用は向いていません。どちらかというとM17の様な拠点間の移動では使用せず、移動先でゆっくり腰を据えて使うトランスポータブルとしての運用が実用的になります。今ではこれを完全に置き換えるようなM17を購入してしまったので使う機会はめっきり減ってしまいましたが今でも定番と言われるだけあってエントリークラスとして良い機材かと思いますし、モバイルは難しいですがトランスポータブルの入門機材としてもお勧めできる良い機種かと思います。
っと、好き勝手に語ったので今日はここまでにしたいと思います。
ではまた明日。