こんにちは
今日はTOPPING のDAC付きポータブルアンプ「G5」をFFさんからお借りして試聴させていただいた件についての雑記です。
モチベーションとか
ToppingのG5はASR(Audio Sicene Review)の測定結果だけで言えばRME のADI2DAC fsをも上回る測定性能を持つポータブルBTDACアンプという事で話題を呼んでいる機種です。元々測定性能が良いToppingではあるのですが、実際に自分も据え置き用のE50やL50を使って数値スペックの性能だけでない「オーディオ的な音の魅力」もあると実感している点で気になっていました。
また、少し前のOFF会でアンプのみのNX7を聴かせていただいて価格相応の魅力があると感じたこともあり、G5はかなり気になっていました。
一方で気になるのはToppingの信頼性です。L50、E50は使って素晴らしいと感じているものの、同時期に購入した据え置き用アンプのPA5については稼働時間100時間程度で片側CHの音がでなくなり故障してしまいました。一応保証期間内だったので無償修理ではあったのですが、返送費用は負担する必要があったの他、1か月ほど使えませんでした。
どうやらPA5については海外でも高い故障率になっているようで、次に作ったアンプLA90についてはそのような問題は聞きませんので、単に経験不足なのであろうと思います。やはり初めて作ったカテゴリーのデバイスに関しては測定値以外の技術力不足感が心配されます。
ということでG5は気になるデバイスではあるものの、TOPPINGが今まで作ったことが無い新しい分野のデバイス「ポータブルBTDACアンプ」ということころで「PA5の様になるのではないか」と、個人的な経験から二の足を踏んでいました。
そして今回G5を持っていらっしゃるFFのGiitaさんから、買取も前提にした試聴機会をいただき試聴させていただきました。また、結果についてお話したところ、Giitaさんよりぜひ記事化をとの要望もあり、書かせていただくことになりました。
パッケージ
シンプルな箱です、箱を開けるとこのような感じで入っています。
前面にはボリュームノブ、LINE IN/OUT兼用の3.5mmジャック、そして3.5mm、4.4mm出力ジャックが並んでいます。
ボリュームノブは電源スイッチを兼ねているタイプで、ノブの周りは誤動作防止用のガードがフレームレベルで付いているので安心できます。出力が高いアンプですのでこの設計は当然あって欲しい造りではあるのですが、激安中華のAIYIMA H1などのポータブルアンプなどではこのあたりは割り切っていますので、常用を考えるとうれしい設計ですね。
実際使ってみると出力が高い割にはノブの上下に対して人間の聴感にに対してリニアに音量が増加しており(急に音量があがりすぎず、使いやすいということです)、据え置き用のToppingと異なり音が大きすぎる感覚がありません。また、音量が大きい機材にありがちなギャングエラーもほぼ無いように思いました。
一方でこの並びだと3.5mmジャックはLINEOUTと挿し間違えそうな設計で、実際私も短期間の試聴なのですが1度挿し間違えてヘッドホンに爆音にさらしてしまいました。
昔、購入検討時に写真等で見ている限りはINとしか書いていなかったのでてっきり「アナログポータブルアンプとしての機能なので、挿し間違いは気にしなくても大丈夫そうだ」と思っていたのですが、うれしい誤算でどうやらDAC(LINEOUT)機能もありました。
実際に実用していくのであれば、うっかりミスから聴力と機材を守るために3.5mmジャックをカバーなどで塞いでしまうなどの対策は必要かもしれません。
ちなみに、基本的に出力はアンバランスでジャックが異なるだけのシングルエンドになりますが、G5については出力が高いので不要という判断なのだろうと思います。
個人的には同じコストでアンプを作るのであればジャックだけ4.4mmになっている設計の方がアンプにかけられるコストが高く、結果的に音質が良いことが多いので、Topping G5 の設計は好感が持てます。
実際、スペック上は32Ω接続時に1200mWの出力があるようなので不要とした理由も頷けます。ただし、バランスアンプとその接続を期待しているのであればご注意ください。
逆側は充電用のUSB-C、ゲイン切り替えスイッチ、動作モードスイッチ、DAC接続用USB-Cが並んでいます。このあたりは問題ありませんし、充電とDAC用のポートが分かれているのは嬉しい設計ですね。
このスイッチはUSBとBTの場合のみIN端子はLINEOUT端子として動作するようです。DACとしての性能はASRの測定値では120dBとデスクトップDAC並みに高いのでG5のアンプの音色が気に入らなかったのであればこれはこれで良い使い方ができそうです。
Gainスイッチについて「L」設定はかなり音量が小さく、感度の高そうなイヤホンでも上手く使えそうなレベルになっています。「M」については一般的なイヤホンでは普通に使えるボリュームゾーンになります。「H」についてはやや出力がありますが、据え置き用のL50やA90のイメージよりかなり出力が小さく、普通のヘッドホンで使いやすいゲイン設定になっていました。
本体の裏面はフェイクレザー?シールが貼ってあり、金属同士で触れ合っても擦れたりズレたりしないホールド感があります。ただ、Giitaさんによれば粘着テープなどで貼り付けすると粘着力によっては剥げてしまうようです。
側面にはPSEマークなどがありました。PSEマークは100Vと直接つながらない2次側の機材には不要という認識だったのですがよくわかりません。
ちなみに外箱、マニュアルには技適等マーク類はありませんでした。もしかするとGiitaさんが購入時に紛失されているだけかもしれないとのことです。
ちなみにインジケーターは2種類あって2つのランプの色で接続時状態や電池状態を確認できます。
電池残量もこれで確認することになるので表示は分かりにくいです。
<追記>
サイズ感について追記なのですがXperia10ivとほぼ同じ横幅で、縦は少し飛び出すぐらいでちょうど良さそうな感じでした。
重さについては測り忘れましたごめんなさい。
音質について
2日ほどの試聴なのであまり詳しくは語れないのですが、使ってみてライバル機種として思い浮かぶのはxDuoo XD05 bal、FIIO BTR7、Q5sなどでしょうか(Q3はBluetoothが無いので別だと感じました)。
トランスポーターとしてはSONY Xperia10iv(LDAC、USB)やASUS GV301Q(LDAC)を使いました。イヤホンは64Audio NIO、senheiser IE900、ヘッドホンはHarmonicDyne Athena、やや鳴らしずらいsenheiser HD800sなどを使ってみました。
尚、今回私は自分が使う可能性があったBluetoothとUSB接続しか試していません。尚、USBケーブルはTruthear SHIOに付属してたCtoCケーブルを使ってUSB接続しました。
DAC接続
今回はケーブルなどの付属品は全て借りておらず、手持ちのUSB-Cケーブルを使ったのですがノートPC、Xperia10ivとの接続は問題ありませんでした。
一方でxDuooのXD 05balに付属していたLinghtnig to USBCでは電力(電圧?)が足りなかったのか認識しませんでした。このあたりはiOSのバージョンなどの相性にもよるかと思いますし、LightningUSBC変換は電圧が5Vでは無いことも多い様です。尚、日本で発売されているかわかりませんがLightning端子版のG5もラインナップされているようで、iOSで使う予定であればこちらのVerを買った方が良さそうです。
音色についてノイズを抜いてもBluetoothのLDAC接続より音が良い様に感じました。
Bluetooth接続
結論から言えば使い物にならないと感じました。個体差などがあるのかもしれませんが、BT接続をメインに検討されている方は要注意です。
XperiaやiPhone、相性もありますがBTスイッチで駆動していると電磁波の影響なのか周囲のスマートフォンなどに干渉して「ブチブチ」大きなノイズがのります。ゲインの設定にも関係が無く、IE900などの比較的高感度なイヤホンで使うと不快な音が大きすぎて、正直使い物になりませんでした。nioでも小さく聴こえるので気になる人は気になる大きさです。
スマートフォンと重ねて使うとスマートフォンの動作に合わせてノイズがのるほか、周囲の50cm離れた接続していないスマートフォンの動作でも発生しますのでかなり利用が制限されるイメージです。
もしかすると初期不良なのかもしれませんが、GiitaさんはBT接続で使ったことが無いとのことで現状は仕様の可能性があります。XD05balやBTR7などではこのような問題は一切ないですし、PA5の件を踏まえるとこのあたりは経験不足が懸念されます。
自分の場合はメインはLDACでのBT接続を想定していたので試聴させていただいて本当に助かりました。G5はUSB接続を前提とした方が良さそうです。
音色についてノイズを抜いてもUSB接続より音が悪い様に感じました。正直に言って結構大きな差があると感じまして、ノイズが無かったとしてもとても常用したい音色ではありませんでした。ノイズが苦痛なので長く検証はしていないのですが、競合機種と比べても差があるように思いました。
音について
個人的にはXD05balやBTR7と互角というレベルだと感じました。このためToppingの音色が好きでこの価格でDACアンプを探しているのであればよい選択肢になると感じます。今回試聴した中で最も向いていたのはAthenaで、イヤホンよりは一般的なヘッドホンが最も相性が良いと感じました
私は勝手に「測定性能はADI2DAC fsをも凌ぐのでE50やL50の様な圧倒的な解像度、音楽体験ができるのでは?」と期待していたのですが、さすがにそこまでは無かったです。
Gain設定についてはL設定のみ、ややこじんまりした印象があって音色が悪いと感じました。気のせいかもしれませんが高感度のIE900であったり超多ドラのnioでLは音量はちょうど良いが、音の立体感が悪くイヤホンの良さを感じられなかったです。GiitaさんもLは使ったことが無いとのことです。
音色は明るく、寒色よりの乾いた音です。音場表現はやや俯瞰的で音像は遠めで、音場の広さは普通ぐらいです。解像度はこの値段としては高めで、XD05balやBTR7より少し高いと感じます。前後感がやや平面的ですが定位や分離なども秀逸でしっかりとした固めの音を出します。逆に音場表現はXD05balやBTR7の方が上下左右前後共に開放的で広く秀逸です。
ケーブルなど条件が同じでないので難しいですが据え置きのToppingらしい音の広さがNX7ほど感じられ無い点は少し気になりました。アンプ単体で見た時の性能としては若干NX7の方が印象が良いです。
ちなみにパワーがあるので300ΩのHD800sなども鳴らせるだろうと試してみたのですが、残念ながら思ったよりパワーが無いのか05balと比べて音場が詰まったような印象でイマイチでした。
全体として、Toppingの音色が気に入っており、ヘッドホン駆動なども考えているのであればよい音で聴くことができますね。
ポータブルDACアンプという名前の通り、DAC機能がメインなのかも知れませんが、当然値段としてはかなり高い解像度で一つで完結させたいUSB DAC AMPとしては良い出来だと思います。
そして今回は試していませんがアンプを後段に繋ぐLineout機能もメインの使い方になる気がします。
まとめ
個人的にBT接続をメインで考えていたので、気になる点は多々あるものの、USB接続に限定すれば良質なDACアンプだと感じました。また、今回は試していませんが、LINEINだけでなく、DACとして使うLINEOUT機能は他の競合機種には無い魅力だと感じます。
中々試聴することができない機種ですし、今回このような機会をいただけましたGiitaさんには改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。