ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー: SoundTiger Concertoうつせみワークス新作フラグシップアンプをお借りしたよ

こんにちは

ゆるふわにオーディオをやってるすのーです。今日はGiitaさんよりうつせみワークスのSoundTiger Concerto(サウンドタイガー コンツェルト、以下Concerto)をお借りして10日ほど聴き込ませていただいたのでその簡易レビューです。

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SoundTigerとは

一言で言えばうつせみワークスさんの電池駆動のポータブルアンプです。今回は新フラグシップアンプのConcertoをお借りしていますが、前フラグシップのGraziosoなどは下記のレビュー記事をご覧ください

el-snow.hatenablog.com

 

Concerto

お借りしたSoundTigerは最新のフラグシップ機であるConcertです。

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詳細については下記のページに詳しく記載があります。本体は赤色で派手な印象ですが、外装の色等は選べると聞いています。

sites.google.com

 

ハードウェア面での変化

ビックリするほど変化はありません。ノイズフロアが低いなど若干使用感などに関わる部分の変化も感じますが電源ONOFFのスイッチ、乾電池4本駆動なこと、内部にゲイン切り替えスイッチ(1倍、2倍[6dB])があることなど同じです。

推奨される電池も従来と同じでFUJITSUの充電電池、そして使い捨てはEVOLTA NEOの様です。

基板全景


中央に見えるのはGainの切り替えスイッチでON側(→)に倒すと6dB(2倍)の音量にすることができます。

裏側はこんな感じです。

Concertoの音

今回は1機種に絞られていることもあり、前回よりも少し踏み込んで聴き込みをしました。気になっていた電池の違い、DDだけでなくハイブリッドドライバの周波数特性なども測定してみました。

環境とか

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とりあえず思い出せるだけ書きますと、

 IEMはSennheiser IE900純正ケーブルや64AudioのNio+Yongse AgMax8、SeeAudio RINKO+Yongse AgMax8、7HzのLEGART+Yongse AgMax8イヤーピースはSpiralDot++や、Renderを使っています。ヘッドホンはSennheiser HD800s、SIVGA SV023などを純正ケーブルで使用しました。

 4.4mm to 4.4mmはGiitaさんが使っているStrayCats氏のオリジナルケーブルの他、SYRNARN 8 strands of Conversion line 10cmの2種類を長さによって使い分けしました。

 上流はFIIO M17, BTR7, Truthear SHIO, Topping L50, L70, Aapple MBP15 Late2023(DJ44C)、Lotto Paw Pico(DJ44C), Sony Xperia 10iv(DJ44C),などを試しています。

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全体的な印象というか結論

いやはや、前回のSoundTigerからかなりのレベルアップを感じました。特に違いを感じるのはアンプの基本性能とも言える解像度です。前回お借りしたアンプでは音色の着色がとても素晴らしく個性があって良い音色であると思う一方で、M17など元々解像度が高いアンプから繋ぐとやや解像度が落ちているなと感じる場面が多かったのですが、Concertoでは全く解像度が落ちた感覚がありません。ポータブルアンプの解像度としてハイエンドクラスに並んでいるのであろうということを実感します。

その上で音色はTigerらしいとにかく元気な音色で音場も広く若干の近さで迫力を出しつつも解放感のある音は絶賛する方が多いのは頷けます。

尚、最終段のアンプになるであろう、Concertoは上流の音の鳴らし方よりもより色濃く個性が反映され、どんな上流を繋いでもある程度Concertoの音色になる傾向はあります。一方で当然ながら上流の性能はある程度は依存するようで、相性にも寄りますがより高性能でクリーンな上流を揃える方がConcertoがより活きると思います。

 

アンプの個性とアンプの基本性能が充実したSoundTiger Concertoは着実にレベルアップしたアナログアンプの最高峰の1つになったと感じました。特に最近はAstell&KernからフルアナログアンプのAK PA10が発売になったり、アンバランスアンプではAiyimaのH1がコスパが壊れているほど良いなど何かと話題が尽きません。

ただし、一般的に市販されているDAC付アナログアンプなどとの違い、例えば電源のONOFF、ジャックの挿脱、上流の操作などで大きくノイズが乗ります。2chの音を最高の状態で鳴らすための音質の為に割り切ったストイックさは依然としてあると考えて良いです。恐らくは一般的なDAPスマートフォンなどの操作にだけ慣れた方には驚くレベルではあるので、そのあたりも注意が必要なのは変わりないと感じます。とはいえアナログアンプとしては一般的な範囲かとは思いますのでそこまで身構える必要はありません。

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周波数特性の違い

折角なので前回と異なりBTR7とSHIOを使って上流の違いよってどのような音の変化があるかをハイブリッドドライバのNioと、前回にも使用した1DDのIE900を使って調べてみました。環境はこちら

*1

SHIOとBTR7の特徴の違い

まず前提としてSHIOとBTR7で周波数特性が少しだけ違います。尚、下記のグラフはカプラにセットしたイヤホンは固定したままジャックを抜き差しすることで測定を比較していますので再現性があります。

IE900の周波数特性

SHIOはBTR7に比べて20Hz付近のサブベースが少し減衰していますし、3~8kHzあたりが増幅されていることがわかります。

Nioの周波数特性

SHIOはBTR7に比べて20Hz付近のサブベースが少し減衰していますし、3~8kHzあたりが増幅されていることがわかります。これはIE900と同じですがサブベース域の変化はIE900より少なく、中高域の変化はIE900よりも大きいです。

 

いずれにしましてもSHIOとBTR7の音色は周波数特性的にも異なるという事がデータでもわかりますね。

 

Sennheiser IE900 + Truthear SHIOにConcertoを使用した場合

同様のグラフをIE900でも取得してみました。

Gain1倍で0.5dBほど、2倍で6.5dBほど音圧が上がりました。

波形自体の変化が無いかを重ねてみましたがほぼ変化がありません。前回のTiger同様に正確に音量を増幅している結果になりました。

 

64Audio Nio + Truthear SHIOにConcertoを使用した場合

ハイブリッドドライバのNioで新しくデータを取ってみました。

Gain1倍で1.5dBほど、2倍で7.5dBほど音圧が上がりました。IE900とは異なる傾向です。

波形自体の変化が無いかを重ねてみましたがほぼ変化がありません。データ的には音量だけが上がっています。前回はIE900だけで測定したのですもしかするとNioで測っていれば同じように音圧が上がっていたのかもしれません。

 

64Audio Nio + FIIO BTR7にConcertoを使用した場合

SHIOに比べてConcertoを使用した方がGain1倍で2.5dBほど、2倍で8.5dBほど音圧が上がりました。

波形を重ねると波形自体はほぼ変化していないことがわかります。こちらについてはんてんさんに問い合わせてみたところBTR7の出力抵抗が高いのではないか?っとの回答をいただきました。FIIOのBTR7のスペック表には出力抵抗の記載が無く、確かにその可能性はありそうです。

 

Sennheiser IE900 + FIIO BTR7にConcertoを使用した場合

IE900でも若干上流の影響を受けるのでしょう、SHIOよりもやはり1倍でも0.5dBほど上がっています。

波形自体の変化は無い様です。

 

ということで前回は上流をRME ADI2DACfsを使ったのですが、今回使ったSHIOやBTR7などではGin1倍でも音圧が上がることがわかりました。この現象については前述したように恐らくは出力抵抗の差ではないかとのことです。実際のイヤホンは周波数による起伏はあると思いますが、スペックではIE900は16Ωであり、Nioは6Ω程度なので差に納得できる部分もあります。

何れにしてもADI2DACfsの優秀さが垣間見えた様に思いますし、安価なDAPからTigerを通すことでGain1倍でも音量が上がった様に感じた経験があるとすれば、それは実際に上がったているのかもしれません。

 

電池の違い

今回は電池の違いの印象も確認しました。試したの推奨のFUJITSUとエボルタNEO、そしてニトリのアルカリ電池です。

Panasonic EVOLTA NEO

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FUJITSUからこの電池に変えると音が全体的に力強くなり音像が近づく印象があります。音を構成する1つ1つの音がパワフルで主張が強くどの帯域も強くなったという感じです。確かに使い捨てではありますが、推奨電池に入っている理由が頷けます。

では電源で音は測定的に変化するのでしょうか?こちらもカプラに付けたイヤホンを固定したままConcertoの電池を入れ替えて周波数特性を取って比較してみました。

結果としては上記の通り0.1dB程度の変化でしょうか。これは2回同じ条件で波形を取り直した変化よりやや大きい印象です。

styleONE VOLTRA(ニトリ

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この電池に変えると中域から中域にかけての音色が薄くなる印象です。高域だけがエボルタNEO並に力強さが残っており、高域がやたらとキラキラとして気持ち良い音色です。個人的にこれはこれで有りだなと思う反面、一般受けはしないなぁと思う音色です。

電池の変更自体ははんてんさんとして交換して遊ぶことを推奨しているわけではない様なのですが、これはこれでハマる人がいるというのを理解できるほど音の変化があり、沼として楽しめました(笑)。

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個人的なイマイチだった上流との組み合わせ

Topping L70

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こちらはL50と異なりあまり大きな変化は感じられませんでした。L70がややシルキーな音色なのですがその音色は少しなくなりConcertoらしい音色になったように思います。音場はやや広くL50よりは相性の良さを感じませんでした。どちらかというとL70であればそのままL70で鳴らしたほう良いかもしれないと感じます。

Lotto Paw Pico 

前回同様に外使いのレベルでもホワイトノイズが目立ちます。それほど酷いノイズではないのですが元のノイズより増幅されているのが問題と感じます。自分は音以前に常にあるバックグランドノイズが気になって音楽に集中するのは難しいなと思います。

Sony Xperia 10iv

スマホから直接音を増幅する使い方ができると利用シーンが広がるなと思ったのですが、スマホと重ねると意外と電波状況などに応じてノイズが出ます。スマホ機内モードにすればマシになるのですが完全に減ることも無く、このあたりはやっぱりDAPのほうが便利だなぁと思います。Xperiaと合わせるのであれば4.4mmへの変換が不要なAiyima H1などのほうが良いと思いました。

MacBookPro15 Late2013

普通に良い音で鳴ってくれます、ノイズなども無いのですがどうしても情報量が少ない様に感じます。4.4mm変換アダプタも必要ですしこちらもそのまま鳴らしているより劣化している可能性すらあるかもしれないと感じました。

AGPTEK 19X

格安M3プレイヤーを手掛けるAGPTEKのフラグシップモデルでAiyimaH1などとは比較的好相性なのですが、音の粗をそのまま出す傾向があるConcertoとは相性が悪いと感じます。とにかく音源の悪い部分がそのまま目立ってしまい気になってしまいます。19XはAiyima H1の様なある程度味付けの濃いアンプの方が合う様に思います。

iBasso DC04Pro

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単純に音の方向性がほぼ同じなのか、イヤホンによってはほぼ聴こえ方に差がありませんでした。もちろんよく聴けば差があるのですが、数万円のアンプを足しているわけで、劇的な変化を期待すると残念に思う変化だと感じます。解像度が上がったりすることも無いのでこれはそのまま使った方が良い様に思いました。

 

個人的な優勝だった上流との組み合わせ

Truthear SHIO 

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見ての通りのドングルDACのSHIOとConcertoの組み合わせです。本当はBTR7などと一緒に使えたりすると良いと思ったのですが思いの他ConcertoがBTR7のホワイトノイズを拾ってしまい、CampfireAudioのSolarisのバランスケーブルなどを繋ぐとホワイトノイズが載ってしまいます。SHIOの場合は信号のホワイトノイズが極めて少ない様で、Concerto側でGainを2倍にしてもSolarisにホワイトノイズが出ません。
私も今までSolarisのホワイトノイズがほぼ無いというアンプに初めて出会ったので驚きを禁じえませんでした。その上で信号の精度が高いのかConcertoの音で高い解像度の音色を聴くことができました。

惜しかったのはXperia10ivの項目でも書いた様にスマートフォンから発生する電波でノイズを拾いやすい点で、PCなどと一緒に使うには良いのですがスマートフォンからだと少し気を使うかもしれません。

SHANLING UA3

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こちらは試聴レベルなのでホワイトノイズレベルはわからないのですが、SHIOとほぼ同じ理由でUA3に足りないパワー感を足してくれる良い味変になります。

FIIO M17

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SIVGA SV023やHD800sなどのヘッドホンを除いたイヤホンでは解像度を下げない味変として良いアンプだと感じました。良くも悪くもTHX788+という正しい音を強要するようなパワフルで癖の強いアンプの音色から変えたいとなるとどうしても相応のアンプが必要になるのですが、Concertoは見事に役目を果たしていますし、当然ながらM17そのままの音色より良い、または好きという人が多くいると感じられる音を奏でてくれます。

Topping L50

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折角なのでConcertoが据え置きの後ろにおいても効果があるのかを聴いてみました。SV023で聴いたのですが結果として当然ながら音は変わります。L50では特に音場の広さに影響が出ました。前後の立体感に加えて上下左右に広がる音場はTigerの強みとToppingの強みが良く補完されたなと感じます。

 

個人的なイマイチだった下流

SENHEISER HD800s, SIVGA SV023

両方ともに300Ωというヘビー級のヘッドホンですが、普通のポータブルアンプやDAPよりは明確に良い鳴りっぷりではあるのですが、専用とも言える据え置きの機材と比べてしまうと音の立体感が不足しているように感じました。

少なくとも、Concertが下流にある方が明確に悪いという状況になるのは、据え置き機材とM17だけだったので、十分に良いという意見もあってもおかしくありません。

個人的な優勝だった上流

Sennheiser IE900純正ケーブル

非常に高い解像度のIE900ですが上流の情報を余すところ無く受け取り、IE900に伝えてくれています。若干音場が広がったことで正確性に疑問が出なくもないと感じたのですが楽しく聴ける音色なので気になりませんでした。

SeeAudio RINKO+Yongse AgMax8

高域、低域ともに深いところまで鳴らしてくれる上に中域もしっかりと主張してくれ、RINKOの良いところを引き出してくれるアンプでした。RINKOは構成の影響からか上流(アンプ)の再生能力に大きく依存する鳴り方をするようで、ConcertoはRinkoの能力を余すところなく引き出してくれるようです。

7Hz LEGART+Yongse AgMax8

2DDの構成のためなのか12mmもある振動板のせいなのかは不明ですが、低音の再生能力が上流に大きく依存するLEGARTです。Concertoは見事にキレ良く身震いするような分厚い低音鳴らしてくれました。低音が気持ち良い曲と一緒に聴きたい構成です。

 

DUNU TOPSOUND VULKAN + PRIX Cable 自受法楽 久遠無窮

こちらはGiitaお勧めの構成でVULKANとConcertoの相性の良さを知って欲しいという思いで貸していただいたという動機だったとのことです。

ただし、諸事情でVLUKANと久遠無窮を先に返却することになり、あまりConcertoと合わせて聴けていません。機会が少なく記憶が鮮明ではないのですが、やや暗めで深い低音が出るVULKANの音色、久遠無窮の味の濃いなんとも言えないヌラヌラした音色と元気で音場の広いConcertoが合わさると相性は不思議と抜群で、隙の無い音色になっていると感じた記憶があります。かなりハードルが高いかも知れませんが、もし3つを揃えられる機会があるのであれば試してみて欲しい組み合わせです。

 

まとめ、所感

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ということで、10日間にわたりSOUND TIGER ConcertoをGiitaさんよりお借りして聴きこんだ訳ですが、前回お借りしたSound Tiger Grazioso / Preciso / Crystalからより高い解像度になり1ランク上の音になったと感じました。もちろん音色も違うので、一概に上位互換でも無く、従来モデルも陳腐化したわけではないと感じます。そういったところもSoundTigerの魅力の一つでもあると思います。

そんなConcertoですが、はんてんさんのTwitterによれば今月末のフジヤエービック主催のヘッドホン祭りで出店されるようです。

会場ではConcertoを始めとしてボーカル重視のPureなども試聴できるかと思います。今回私はGiitaさんからの依頼の形でGiitaさんよりお借りしましたが、はんてんさんによる公式の試聴機のレンタルサービスもあります。Concertoはホワイトノイズが若干減った様に感じていますが、個人的にも使い勝手などは従来のTigerから変化は無いため、使用感などは実際に触って確かめて十分に理解してから購入することをオススメします。

sites.google.com

というところで今回も長くなってきましたのでこのあたりで、Giitaさんはんてんさん、このような機会をいただきありがとうございました。

ではまた明日。

*1:

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 OUT 6.3 to 3.5mm

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み