こんにちは
今日はGiitaさんから依頼のRAPTOGOのLeaf D01というイヤホンの簡易レビューです。
結論:A20K Tier2 参考価格:18680円
Leaf D01は一般的に透明感がある音色と中域強めのカマボコバランスの卒ない一般的なイヤホンです。目立った弱点が無く無難なイヤホンに思いがちですが、据え置きクラスの上流と組み合わせた場合、透明なサウンドに抜け感ある開放的な音場表現が加わり価格帯でもトップクラスの音質を奏でます。
リケーブル端子は2pinなのですが、端子部が埋没しているため実質D01専用ケーブルになってしまっているのは残念です。しかしながら付属のケーブルは布巻で使いやすく品質も高いため一般にはそのままで十分な仕様です。イヤホン筐体自体の方も品質が高くデザインの意匠も個性的で所有欲も満たしてくれます。
上流を要求する点などじゃじゃ馬感があるイヤホンではありますすが、ポータブルではなく、据え置き環境でイヤホンを使う方など上流の環境が整っている方にはオススメできるイヤホンです。
Pros(優秀な点)
◎ 透明感あるボーカル表現
〇 ビルドクオリティが高い上に個性的な意匠
〇 解像度が高い
〇 付属ケーブルの品質が高く、リケーブルに対応
Cons(微妙な点)
△ 上流の機材に抜け感と音場の広さが大きく依存する
△ 上流との相性が悪いと表現力は並み
△ 2pinコネクタが実質専用端子
分量があるので結論以外は気になる部分をリンクで読んでもらえればと思います。
動機付けなど
モチベーション
完全にGiitaさんからの依頼です。元々は試聴で3分ほど聴いた事あったような記憶があるのですがその時はあまり印象に残らなかった機種だったように思います。
販路、購入先(サポート)
Amazonで購入できるようです。
SPEC
上記の販売サイト、公式サイトなどをご覧ください
箱とか付属品とか本体
開封体験
本体のみお借りしたので不明です。
筐体 「両側計14.4[g]」
本体は金属製でずっしりとした重みがあります。金属のエッジは鋭利です。穴の奥には外側のベントが見えます。
内側にはLRの印字、窪みはケーブルの端子があります。下側に内側用のベントが見えます。
コネクタ 「埋没2pin」
穴の中にフラット2pinが付いてます。
外ががのフェイスプレートの穴かもコネクタが確認できます。
実質専用端子ですね。
ステム形状 「5.96-5[mm]」
ステムはやや太めで最大部が5.96mm、最小部が5mmでしたす。金属製のフィルターの奥に目の細かいフィルターが見えます。
直流インピーダンス 「33.3, 33.5[Ω]」
テスタ―*1で実測したところ直流インピーダンスは両側平均33.4Ωでした。
ケーブル 「3.5mmプラグ 21.9[g]」
布巻ケーブルです。しなやかで使いやすく、丈夫なのですが、少しだけタッチノイズがあります。
直流インピーダンス 「Hot0.2, Cold0.2[Ω]」
テスタ―*2で実測したところ直流インピーダンスは両側平均0.2Ωでした。
付属イヤーピース
本体のみお借りしたので不明です。
使い勝手の評価
クロストークチェック 「無し」
手順*3に従って確認しました。
現実的なボリュームでは気になるレベルのクロストークはありませんでした。
ホワイトノイズ 「ほぼなし」
ややホワイトノイズが出やすいLotooのPaw PICOに繋いで最小ボリュームで聴いてみましたが、音楽のバックにほんの少しだけ聞こえる程度で聴感上記になるレベルのホワイトノイズはありませんでした。
寝ホン 「〇」
本体のやや厚みがありますが内側にベントがあるタイプなので鼓膜へのダメージは少ないです。耳に物理的に当たるのですが丸みがある加工のため痛みは少な目です。おすすめしませんができるレベルです。
外使い(音漏れ、遮音性、タッチノイズ) 「△」
指でステム側を抑えて遮音してみましたが6~7割ほど音漏れしており、気をつけたほうがよいかもしれません。
ポーチ、ケース
本体のみお借りしたので不明です。
音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等) 「◎」
約20000円クラスのイヤホンとして十分なビルドクオリティで満足感が高いかと思います。ただ埋没している2pinコネクタは実質特殊端子なのでそこだけは気になりました。
音質について
ファーストインプレッション
あまり記憶が定かではないのですが最初は店頭の試聴で価格なりに良い音だったが、決め手にかけるイヤホンだと感じた様な覚えがあります。
競合機種との比較について
A20Kの1DDであればMoondrop KATO、平面駆動ならLETSHOURE S12、ハイブリッドならFIIO FH3等になろうかと思います。
エージング(バーンイン)
不明です。
試聴環境、上流影響
標準環境*4を使っています。
で色々と使ってみましたが、上流の駆動力、パワーに大きく影響するようです。同じM17でもDCの方が良いですし、据え置きだからと言ってもADI2DACfsでもIEM端子では小さく纏まった音場の狭い表現になり、できればヘッドホン用の端子が良いです。
このため、上流はTopping A90、M17はDCを主体でイヤーピースはSpiralDot++を使っています。
帯域バランス 「カマボコ or フラット」
DAP等の駆動力が低めの環境ではカマボコバランスです。据え置き用ヘッドホン用アンプなどでは概ねフラットなチューニングです。
音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み) 「〇~◎」
寒暖はほんの少し寒色傾向、明るさはニュートラルからやや明るめ、響きは豊かで抜け感が素晴らしく、音の厚みは概ねニュートラルです。
DAPなどでは中域が大きく張り出しており音色が細めで中高域の圧が強めの音色です。とにかく音色が纏まっており、分離が悪く音が近いです。
上流をきっちりと整えると低音と高音の音が明瞭になり、音場が広がり音の分離が良くなっていきます。音の鳴り方自体が大きく変化して同じイヤホンとは思えません。
先日Legartのレビューにて低音で同じ様なことを書きましたが、Leaf D01の音場表現についても同じことが言えるように思います。
音場(広狭、重心、遠近) 「△~〇」
DAPなどでは価格帯を踏まえると平均よりやや狭いサウンドステージです。頭の中で横も上下も前後も一般的な広さです。音像はやや近めで、重心の高さは一般的な耳の高さです。
A90やM17DCなどでは音場全体が開放されたかのように中心から音が散らばり、平均よりやや広く音場表現になります。そして何より素晴らしいのは音の抜け感が良く開放的にどこまでも広がっていく感覚はこのクラスでもかなり良質です。
定位、音像 「△~〇」
これも同じで一般的なDAPですとかなりイマイチでしたが、A90などの据え置き用アンプでは価格帯よりやや良い表現力に感じます。
解像度、分離 「ー~◎」
これも同じで一般的なDAPですとかなりイマイチでしたが、A90などの据え置き用アンプでは価格帯よりやや良い表現力に感じます。
低域の質について 「△~〇」
これも同じで一般的なDAPですとかなりイマイチでしたが、A90などの据え置き用アンプでは価格帯よりやや良い表現力に感じます。音の張り出し方、広がりかたそのものが変わります。決して特筆するほどではないのですが、遅さや
中域の質について 「〇~◎」
透明感がある音色に解像度が高く、広がる音の開放的な表現が秀逸で惚れ惚れとしてしまいます。上流を整えたLeaf D01はこの価格帯でもトップクラスと言われているKATOなどの競合イヤホンと比べても解像度と透明感とその音の広がりに関して秀でている素晴らしさがあります。
高域の質について 「△~〇」
価格帯を踏まえると普通の表現力だと感じますが、上流を整えたのちはかなり概ね良質な音色だと感じます。
SPL周波数特性測定とか
左右差も少なく良好です。
相性について
ジャンルの得意不得意 「」
特に上流を整えた音は苦手なジャンルはすぐに思い浮かばなかったです。
アンプ(上流)による印象の違いについて 「☓影響大」
前述したように上流には大きく左右されます。ゲインが高い低音の制動が上手いアンプが最適です。スマートフォン直刺しなどでも十分に音量は取れるのですが、音場表現を中心とした音質にはあまり期待できません。個人的にはNGですがそれでもそこまで音が悪いわけではないので及第点ではあります。
ポータブルであればポータブルアンプ、据え置き機材など出来る限り強力な上流機材を準備するとより幸せになるイヤホンです。
イヤーピースによる印象の違いについて
JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)
今回のインプレでのデフォルトイヤーピースです。
ZEOS Render(超高域重視) 「〇」
装着感が良く、音場を少し犠牲にする代わりに低コストなイヤホンの高域特性を改善してくれる傾向のあるT-EARとほぼ同じ周波数特性のイヤピです。
低域全体の量感が増えて音の厚み、下支えがされる感じがあります。解放感はやや減るのですが、十分といえば十分です。笛や弦楽器、鈴の音、シンバルなどの楽器の表現がよくなる印象があります。ただ、定位感も良くなっているのですが、なんとなく全体的に音の分離が悪くなった印象もあります。
音質の総評、所感
当然ケーブルは標準構成となりますが、個人の主観的な好みで言えば88点、私が客観的だと思う好みの点数としては92±7点です。A20Kに対する18000円という実勢価格と実音のレアリティ、付属品等ユーザビリティを考慮した総合的なランクはA20KでTier2としました。
A20KではKATOをベンチマークにすることが多いのですが、上流が揃った状態ではLeaf D01が優位で、上流がポータブル環境であればKATOが優位だと感じました。S12などとでも上流が揃った状態では良い勝負ができると思いますがそれでもLeaf D01が優位だと感じます。
Appendix
購入リンク
*1:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去
*2:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去
*3:
ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします
*4:
M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
iphone12"AppleMusic" -A1749-> -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
GV301"AppleMusic" -ADI2DACfs-> イトゥケーブルXLR -> A90 -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
Xperia10iv"AppleMusic" -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
*5:
〇測定環境
ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4
ソフトウェア:REW V5.20.13
INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit
OUTPUT:MOTU M2 OUT 6.3 to 3.5mm
カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用
イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ
〇測定パラメータ
入出力バッファ512K、Acoustic Reference
出力音圧レベル:−12dB
Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz