こんにちはゆるふわオーディオのすのーです。
今日はKEFINE様より依頼の平面駆動イヤホン「KEFINE Klanar」のレビューです。尚、レビュー依頼品ではありますが、趣味でやっていることもありいつもと同じ基準で記載しています。
結論:A10K Tier1 魅力的な低域表現力と立体表現に加え装着感と高い基礎性能(要パワー)
KEFINE Klanarはこの深くパワフルな低音と音の立体感の秀逸さが魅力的な平面駆動型イヤホンです。平面駆動型でありながら筐体はコンパクトで小さく薄く製造されており、装着感は良好です。
高い基礎性能の本領発揮には上流のパワーを要求するため鳴らしずらいのですが、それでもA10Kイヤホンとしては十分な性能を持ちます。付属品はこざっぱりしていますが、標準ケーブルやケースも使いやすいものがしっかり付いています。リケーブル対応しておりサウンドチューニングの余地もあります。
気になる点としてはやや高域の表現力や量感が控えめな点、そしてAmazonの現在価格がA20Kクラスになっている点です。今後ブラックフライデーなどのセールもありますので、売り出し時のA10Kクラスに近い価格になればかなり強いイヤホンになるかと思います。
Pros(優秀な点)
◎ パワフルな低音表現にバランスの良いサウンドチューニング
◎ 上流のパワーは必要となるが素晴らしい音の立体表現力を持つ
〇 本体が薄く装着感が素晴らしい
〇 リケーブルによるサウンドチューニングの余地がある
〇 ケーブル、ケースが使いやすく、必要十分なパッケージ
Cons(微妙な点)
ー 強いて言えばマニュアルが無い
△ 高域の量感、および表現力がやや弱めのチューニング
△ 上流のパワーがなければ音の立体感が失われる
✖ Amazon価格が18000円と値上がりしている
量があるので結論以外は気になる部分をリンクから読んでもらえればと思います。
- 結論:A10K Tier1 魅力的な低域表現力と立体表現に加え装着感と高い基礎性能(要パワー)
- 動機付けなど
- 箱とか付属品とか本体
- 音質について「基準A10Kクラス」
- 周波数特性測定とか
- ケーブルによる印象の違いについて(注意)「要」
- リケーブル関係の注意
- イヤーピースによる印象の違いについて
- まとめ
- 音質の総評、所感:A10K Tier1 参考価格:11900円
- Appendix
動機付けなど
前回の記事、モチベーションなど
KEFINE様からの依頼なのですが、別の平面駆動型と同時でして、そのメーカーとしては元のメーカーブランドと分離させたいようで、SNS等で関係性は絶対に言わないで欲しいとのこと。逆にそうなればどのような音の差別化をするのか気になり受けてみたした。
販路、購入先
現在、日本国内であればAmazon での購入が可能ですが発売時よりも割高になっています。LINSOULでも購入ができますがこちらですと13000円程度で購入できますね。
SPEC
LINSOULサイトの引用です。
展開図ものっていますね。
箱とか付属品とか本体
開封体験
低価格ブランドかと思っていたのですが、上質な紙の箱で届きますね。
下の段にはケーブルとイヤーピース、マニュアルが収められています。
かなり簡素なパッケージです。マニュアル等も無いのでプロトタイプなのかと思ったのですがサイトの情報でも無さそうです。ただすでにケーブルが接続されているので問題ないと思います。
筐体 「両側計12[g]」
本体は金属製なのでやや重量感はありますが軽い方だと思います。
T10, Melodyと比べてみましたが薄さは一番ですね。
コネクタ 「フラット2pin」
ステム形状 「6.2‐5.48mm」
やや太めでしょうか。3Dプリンタ製の場合ステムの返しが無いことが多いのですがしっかりある点は素晴らしいですね。
直流インピーダンス 「L15.3, R 15.0[Ω]」
ケーブル 「2pin 3.5mm3極」
程良い質感の良いケーブルです。取り回しも良くしなやかですし適度な細さで使いやすいです。
重さ 「21.5[g]」
直流インピーダンス 「0.4,0.4[Ω]」
タッチノイズ 「少なめ」
付属イヤーピース「2種類 合計7ペア」
いつも通り残念ながらどのイヤーピースも自分にはフィットしませんでした。
使い勝手の評価
ホワイトノイズ 「実用上問題無し」
ややホワイトノイズが出やすいM17のMAXヘッドホンモードで最小ボリュームで聴いてみたが、ホワイトノイズはありませんでした。実用上は問題ないかと思います。
寝ホン 「A+」
本体は価格帯としては薄めですし。寝フオンにはかなり向いているとおもいます。
音漏れ、遮音性 「2割程度」
指でステム側を抑えて遮音してみましたがほぼ音漏れはありませんでした。大きな音量で使うと周囲に聴こえるかもしれませんが、かなり少な目なので安心して使いやすいイヤホンです。
ポーチ、ケース 「セミハードタイプ」
使いやすく丁度良いタイプが付いています。
音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等) 「B+」
A20Kの中華イヤホンとしては簡素ですがA10Kクラスですと豪華です。ケーブルはある程度良いものが付いているようですしケースしっかりと使いやすく、本体のクオリティも高いため普通にいずれにしても満足度が高めだと思います。
音質について「基準A10Kクラス」
現在の販売価格がA20KクラスなのですがLINSOULなどではA10で販売されており、評価が難しいですが恐らくBFで値下げもされるでしょうしA10Kの評価基準としました。
ファーストインプレッション
ファーストインプレはこちらを御覧ください。
競合機種との比較について
価格帯と平面駆動型という構成で言えばARTTI T10, KEFINE Klanarでしょう。
このあたりがライバルですね。S12が少し抜けていますが僅差ではあるかと思います。Melody以外はこちらの記事で比較しているのでそちらを参照してもらえたら。
vs Kiwi Ears Melody
Melodyの方がやや音が速く、ミッドベースの厚みと量感があり、超高域の表現力と量感があります。音場は前後の広さが得意で左右は狭めです。
逆にKlanarは超低域の表現力が強く、上流の影響が小さめでニュートラルに近い音色です。音場は前後も広いのですが横の広さが特徴ですね。概ね互角かややMelodyの印象が良いですがKlanarの方が安い(なぜか今のAmazonは値段が上がってます)のでコスパとしてはKlanar方が良く、鳴らし易く万人受けするイヤホンだと感じます。
エージング(バーンイン)
箱出しで3時間ほど使用した後、1000時間程エージングし、通常の使用として20時間程度使用しました。エージング前後で、やや音が整ったように感じます。
アンプ(上流)による印象の違いについて 「要パワー(平面として概ね普通)」
FIIO M17
ファーストインプレに書いた通りですがエージング後はGainをM以上、Hやヘッドホンモードぐらいにした方が印象が良いです。今回の基準になっています。
FIIO BTR7
今回の三分の1ほどはBTR7 LowGainで評価しましたがまずまずの評価で、そこまで良いイメージにはなりませんでした。
MOONDROP DAWN PRO
解像度は高めで音がドライです。音の厚みは薄いので平面駆動の良さはあまり活きないかもしれませんが解像度重視ならありでしょうか。
TANCHJIM SPACE Lite
横の音場は少し狭くなりますが、前後がさらに立体的に成ります。迫力が出るのでそこそこ相性が良い様に思います。サブベース域の量感(と歪)、そして解像度を気にしなければかなり良いと思います。横に広い平面駆動と特に相性が良いですね(*''▽'')ニッコリ。
Truthear SHIO
個人的には低音の深み、音の立体感が優秀だと感じました。ただやや低音は弱くなるかもしれません。
Aiyima H2 + okcsc C2T + Xperia5iv
やや解像度は低い感じがありますが、音の立体感は出やすいですね。
まとめ
ということで普通に上流影響を受ける音色でしたが、特に平面駆動タイプらしくM17のゲインの高めが相性が良い様に感じました。
メイン評価環境
M17 ”AppleMusic” -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
ヘッドホンモード Gain ボリューム30前後で使い評価しました。
iPhone15 Pro Ti -> SPACE LITE -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
ボリューム1or2
ということで、上記の環境で聴くこととしました。
帯域バランス 「低音つよめフラット」
低域、特にサブベースが適度に強めになっているバランスです。それ以外はフラットでかなり万人受けしやすいタイプではないでしょうか。
音色(寒暖、明暗、響き、粘度、湿度、厚み) 「A」
寒暖:やや暖色
明度:ニュートラル
響き:やや残響感あり
余韻:ニュートラル
粘度:ニュートラル
湿度:ニュートラル
厚み:やや厚め
速さ:やや速め
低音の迫力が優秀で、その上で概ねニュートラルなサウンドバランスだと感じますね。低音をばねにしたような全体のサウンドの躍動感があり、立体的な音像表現の上手さが際立ちますね。
音場(広狭、重心、遠近) 「A+」
音場 左右:やや広め
音場 上下:標準的
音場 前後:やや広め
音像高さ:やや高め
音像近さ:やや近め
この価格帯の競合のイヤホンとして十分な音場表現かと思います。上流のパワーは必要そうですが特に音の立体表現が上手い上に音場が広いため楽しく聴ける空間表現だと感じます。
定位、音像、分離 「A」
音像はしっかりとしており、値段を考えれば十分以上の表現力だと感じます。このあたりは後述するようにリケーブルなどをした方が良いかもしれません。
解像度 「A」
解像度はA10Kクラスとしては十分に高いですね。このあたりは後述するようにリケーブルなどをした方が良いかもしれません。
低域の質について 「A+」
アタックやリリースのスピードの早さに加えて適度な量感とパワー感があり、そのバランスは絶妙だと感じます。サブベースのパワーが想像以上のエネルギーがあるほか、適度な響きもあり、この価格帯でも優秀な表現力です。個人的には好きな音色です。
中域の質について 「A」
弱ドンシャリではあるのですがボーカルなどの表現もしっかりと主張できる表現力を持っています。価格帯を考えれば十分過ぎる解像度もあり、スピード感がある音色の中で楽しく歌ってくれるボーカルです。10Kクラスでこの音が聴けるようになったのは時代を感じますね。
高域の質について 「B+」
存在感が強いわけではないのですがしっかりと表現している高域です。キラキラ音が好きな方には物足りないかもしれませんが、女性ボーカルのサ行などの歯擦音もほぼ刺さらず、調整された高域表現だと感じます。
周波数特性測定とか
左右差
vs ARTTI T10
かなり似たバランスですが低音は明らかにパワフルでサブベースの厚み、響きの豊かさは筐体による副次的なものなのかもしれません。
vs S12
サブベースの量感が明らかに増えていますね(笑)。パワー感たっぷりです。
インピーダンス特性
インピーダンスしっかりとフラットです。最近のMelodyやPR3の様に高域のインピーダンスが落ち込むこともないのでアンプとしては負荷が少なですね。ただ、音色はゲインが合った方が良い音色だと感じます。
ケーブルによる印象の違いについて(注意)「要」
リケーブル関係の注意
注意:ケーブルについては測定したところ科学的には変化はあるようですが微小量であり、音質の変化に対する決定的な証拠は無く、オカルト的な要素を過分に含みます。
幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので変化しないことを否定するものでも、リケーブルを万人におすすめするものでもありません。
*基本的に試聴構成は同じですが、4.4mmバランス時はボリュームを3.5mm時と同等まで下げています。
標準ケーブル[B]
横に音場が展開され、やや音像がクールな印象のケーブルです。悪いものではないさそうですし、見た目は良さそうだったのですが、音質を重視するならば交換推奨ですね。
JSHiFi Nocturne4.4mm(PR:Giita) [A+]
パワフルさはそのままに低音の厚みが少し減った感じがあり、全体的に音が整理されますね。解像度は1段あがり、相対的に中域の存在感が増した感じがします。個人的には良いバランスだと感じますが、低域が乾いて面白さが減っている感じも否めません。ドライな低音がどう感じるかで評価がわかれそうです。ちなみに見た目がかなり良いです。
NICEHCK SweetLife(PR:NICEHCK) [A]
明瞭な音で、明るさが良いですね。左右はやや狭くなりますが音場上下に大きく広がります。音像が高めの位置になるほか少な目だった高域主張が強くなってくれます。解像度も高く音の立体感も十分ありますね。オケなどスケール感がある楽器物よりはボーカルものが良く合うケーブルですね。
NICEHCK PurpleMoon(PR:NICEHCK) [S]
低音の解像度がエグイですw。透明感のある音色で音の輪郭がはっきりとしています。明瞭で聴き取りやすく、定位の良さが光ります。ボーカル域の音色の迫力と解像度がしっかりとしており音の立体感も見事ですね。これは病みつきになる音色で暫く耳から離れなかったです(笑)。
NICEHCK SnowAg4.4mm(PR:NICEHCK ) [B+]
サブベースが持ち上がり、超高域が綺麗になる傾向ががあるのですがサブベース域が強めの楽曲を聴くとヤバさが際立ちますね。全体としては音が静かになり解像度はそれほどなのですがサブベース域のエネルギー感とのコントラストが強く震え上がる楽曲もありました(笑)。全体としての相性はそこそこ良いと思います。
NICEHCK BlackCatUltra4.4mm(PR:Giita) [A+]
イカレタ低音ですね(笑)。ドンシャリ傾向のケーブルではあるなと思っていたのですが芯の強いパワフルな低音が空間を包んでくれます。量感を重視する方にはぴったりだと感じますね。
BQEYZ Dew(PR:BQEYZ) [S]
いや、想像以上に音の定位と分離が向上したので驚きました。高解像度かつ横縦前後と隙のない音場広さ、適度な音の近さと俯瞰性を持ち合わせているほか、音の厚みと解像度の両立、輝く高音と派手過ぎない響きもありかなりレベルが高いです。
特に低音の音像の明瞭さがピカ一でここまでの低音が隠れていたのかと驚きました。
また、全体のレベルもあがり、この組み合わせはジャイアントキリングを狙えると感じます。高いですが良いケーブルですね。
Melodyの標準ケーブル「A+」
前後の立体感が素晴らしいですね。解像度も少し上がった様な気がします。このケーブルは前後の立体感を際立たせてくれる系の音色のようです。また、やや音が暖色系になったとも思います。個人的にはかなり立体感重視なら良い相性だと思いました。
まとめ
ということでできればリケーブルして欲しい機種です。ちなみに個人的に今回試した中であれば、個人的にコスパならBlackCatUltra4.4mm、音質ならBQEYZ DewとNICEHCK PupleMoonが好きでした。
イヤーピースによる印象の違いについて
一応下記構成でイヤーピースも変更してみました。
M17 "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> 「 」
標準イヤーピース 「ー」
JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視) 「A+」
今回のデフォルトイヤーピースです。比べてみると他のイヤーピースよりドンシャリ傾向になり、横の音場が広大になるほか音像の定位、分離がかなり向上しているようです。良い相性だと思います。
Spinfit W1(中域、低域、解像度重視) [B+]
音色がシャキシャキザックリして音がスッキリします。音場の広さが犠牲になるほか、やや音像が上がったきがします。個人的には個性派なのでありなのですが多分受けない音色だと思います。
AZLA SednaEarfit Max 青(ボーカル重視、低刺激)[A]
←ASE-500の方が安いですw
サブベース域は減った感覚があるのですが中域から低域の厚みが更に増す感覚があり、音がやや暖色傾向によりますね。中域を中心としたボーカルが少し前に来て左右の音場は少し狭くなります。個人的に結構好きですね。
日本ディックス COREIR コレイル BRASS Pentaconn [A+]
装着する前から鳴っている音が高域強調感が出ています。装着してみてもバランスが高域よりになっていることを実感します。低域が弱くなってしまい良さは減ってしまうのですが高域の伸びが良く弱点を補ってバランスが良くなっているとも取れます。悪くない組み合わせだと思いますが賛否わかれる上にコスパは悪いとは思います。
まとめ
バランス重視ならコレイル、音場重視ならSpiralDot++が好みでした。
音質の総評、所感:A10K Tier1 参考価格:11900円
個人の主観的な好みで言えば87点、私が客観的だと思う好みの点数としては91±7点です。A10Kという価格帯と音のレアリティ、ユーザビリティを考慮した総合的なランクはTier1としました。尚、現在のAmazon価格A20KではTier2か3になるかと思います。
平面駆動型ということで上流のパワーを要求する点は注意が必要ではあるのですが販売初期の海外の販売価格並のA10Kであれば上流のパワーが無くともライバルたちもそれほどというところもあり、そのままTier1にしています。
大平面駆動型イヤホン時代が熟成した今発売した機種でしたが、コストパフォーマンスに優れ、去年のA15K、A20Kクラスに迫る音質を実現してきていると感じます。また装着感の良さなどで差別化も図られており、A10Kでは競争力のあるイヤホンに仕上がっているかと思います。このあたりは有名ブランドが技術力を注いで新しく立ち上げたブランドだということを実感させられますね。
個人的に中級者以上ではこのイヤホンの魅力をさらに引き出すために上流のパワーがある据え置きなどの機材で鳴らして欲しいですし、可能ならばケーブルを変更するなども面白いと思います。
最後に、このような素晴らしいイヤホンをレビューする機会をいただきましたKEFINE様に感謝申し上げます。
Appendix
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