ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

雑記:イヤホンケーブルのインピーダンス測定(再現性あったよ)

こんにちは。

ゆるふわにオーディオやってるすのーです。

昨日、今日はずっとやりたかったケーブルのインピーダンスを測定の準備をしてみていましたのでその雑記です。

 

モチベーション ・・・ゆるふわにケーブルの違いが知りたい

最近はケーブルのレビューをすることが多くなってきました。*今後、TripowinとNiceHCKの2社5本のレビュー予定があります(;・∀・)がんばらなきゃ・・・。

例えば最近はNobunagaLabsさんにこんなのやらせてもらいました。

el-snow.hatenablog.com

んで、記事にも書いているのですが、ケーブルについて科学的に音が変わる根拠が無いと言われています。実際おそらくASRなどで実験したケーブルはそうだったのでしょう。それは否定するつもりはありません。でも、実際自分の聴いているケーブルは音が変わったように聴こえます。ではなぜなのでしょうか?

 

考えられるのは2つぐらいでしょうか。

 

1.実はイヤホンケーブルはASRなどで使われている良いケーブルでは様々な特性とに埋もれてしまい測定値には出なかったが、ケーブル単体の特性は当然ながら異なっており、イヤホン用ケーブルは測定してみると案外数値上違うユニークな測定値が得られる。(※聴感で確実に違いがわかるかは別問題)

 

2.測定上は全くもって違いは無く、完全にプラシーボ(料理などで寒色系の照明下で食べるごはんより暖色系の照明下で食べるご飯のほうが美味しく感じるように、ケーブルの見た目が白い、太いから良い音だ・・・っという思い込みが働いている)という可能性。

 

のどちらかです。ということで違いがどの程度測定できるのか、素人の測定機材では違いは出ないのか、それを調べてみたいと思います。

説明

使ってみてる機材についてはこちらを御覧ください

el-snow.hatenablog.com

んで、ケーブルのインピーダンスと言われて何なの?と言われるとアンプいやイヤホンなどにある様なスペックと同じ様に、ケーブルにも電気の流れやすさという数値があります。イメージが付かない方に説明するには高校生のときに習ったコンデンサとコイルと抵抗を思いだして欲しいのですが、いわゆるアレって実はどんなものにある程度小さくあって、ケーブルにも存在していると言ったら良いでしょうか。

 

もちろんイヤホンのケーブルに当然存在していて、イヤホンケーブル毎に違います。

el-snow.hatenablog.com

こちらのランキング表にもケーブルの直流抵抗値(0Hz)を載せていますが、ケーブル毎に値が違います。これは1万円いかないぐらいのテスタで測った簡易的なものですし、直流抵抗は基本的に周波数に依存しません。

でも実際にケーブルを含むあらゆるものは周波数毎に違う特性を持っていると言われています。一般にこういうのを測るのはLCRメーターを買って測定する必要があるのですが、きっちり校正された機材を買おうとすると10万円近くします。そしてそれぐらい機材にお金を出しても特定の周波数で、1つの数字が出てくるだけで、周波数による分布(周波数特性)はわかりません。

ということで今回はこいつをケーブル毎に測ってみようと思い、やってみました。はたしてケーブル毎に違いはでるのだろうか?、というやつです。

尚、私の知識ではイヤホン用のオーディオ用ケーブルはSNやTHDの様に基準として測り方が決まっている様なものではない(ISOやJIS規定はされていないはず)です。

測定の説明

んで、何をどうやって測るかですが、THD的な歪を除けば大きく2つ計測できます。一般にこれらを加重平均したものをケーブルの特性インピーダンスと言われるようです。

 

①開放状態での電気の流れやすさ(コンデンサ成分)

 測定対象のケーブルのイヤホン側を接続しない状態で通常アンプをつなぐ3.5mm, 4.4mmのプラグ側から特定の電気をながしてやり、どれだけ電気が流れるかを調べてやろうというもの。

 尚、現実を模擬するには編み方などの影響や線材の材料の影響なども踏まえるとR+,R-,L+, L-の6通り測定しなければならないのですが3芯の場合などもあり、とりあえずはL+,L-を測っています。(イヤホン側から見るとなども踏まえるとさらに増えますね・・・)

 

②短絡状態での電気の流れやすさ(コイル成分)

 測定対象のケーブルのイヤホン側を短絡して、電気が流れる状態で通常アンプをつなぐ3.5mm, 4.4mmのプラグ側から特定の電気をながしてやり、どれだけ電気が流れるかを調べてやろうというもの。

 実際には編み方などの影響もあり、LとRで異なる可能性があるのですがとりあえず今回はL側のみ測ってみました。

 

ということで、今回は2pinケーブルを測りたいのでこういうのが必要になります。

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測定するときはこんな感じに使います。

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準備した治具としてあとは4.4mmプラグ、そして準備したケーブルは

・NiceHCK SnowAg(RedAgの4芯版)

・NiceHCK SpaceCloud

・NiceHCK GreenJelly

・NiceHCK FourMix

・Tripowin Jelly

・Tinhifi P2Plus付属品

・JSHifi 銀月

・STE CuAg W16

・CVJ Freedom付属品

結果

正直それほど高い機材ではないので測れないかも?(再現性が無い)と思ったのですがバッチリ再現性がでました。以下が結果です。

①開放状態での電気の流れやすさ(コンデンサ成分)

いくつかピックアップして測りましたが、きちんとコンデンサ成分がでてきています。位相もケーブルによってまちまちです。目立つのは銀月のコンデンサ成分の大きさ、インピーダンスの低さでしょうか。

 

一応グラフだけでなく特定のポイントでの定量的な値も欲しいので10kH時点でのキャパシタンス(Cs)をピックアップし、大きい順に並べると

 

・JSHifi 銀月 460pF

・Tripowin Jelly 200pF

・STE CuAg W16 150pF

・NiceHCK SpaceCloud 135pF

・CVJ Freedom付属品 120pF

・Tinhifi P2Plus付属品 92pF

・NiceHCK GreenJelly 72pF

・NiceHCK FourMix 70pF

・NiceHCK SnowAg(RedAgの4芯版)58pF

 

と1桁ぐらいケーブルにより異なります。尚、プラグのみ(ケーブル無し)は3.5pFで、これもさらに1桁小さい値でした。

②短絡状態での電気の流れやすさ(コイル成分)

全て測っていないのですが、こちらもケーブルによって異なりますね(再現性もありました)。ついでに言うなら短絡させているので低周波の方は直流抵抗値に近づいています。

目立つのはSpaceCloudの直流抵抗値の少なさ、銀月のリアクタンス成分の少なさですね。

 

尚、この値、カーブは小さければ小さいほど良く、フラットだったとしてもイヤホン側からみたらアンプの出力抵抗が大きいことと等価になってしまいます。具体的に言えばイヤホンのインピーダンスカーブの影響を受けやすくなってしまいますので小さいに越したことは無い数字です。

 

こちらもリアクタンス(Ls)の値を10kHzでピックアップして小さい順に並べるとこんな感じです

・JSHifi 銀月 0.5uH

・NiceHCK SpaceCloud 0.9uH

・CVJ Freedom付属品 1.0uH

・STE CuAg W16 1.1uH

・NiceHCK FourMix 1.3uH

・NiceHCK SnowAg(RedAgの4芯版)1.4uH

 

今回はN数が少ないので断言できませんが、ややキャパシタンスが多いほど、リアクタンスが小さいという傾向ががあるように思います。もう少しN数が増えてくるとなにかわかるかもしれませんね。

尚、1KHz時点で直流抵抗値を並べると

・JSHifi 銀月 315mΩ

・NiceHCK SpaceCloud 179mΩ

・CVJ Freedom付属品 334mΩ

・STE CuAg W16 751mΩ

・NiceHCK FourMix 233mΩ

・NiceHCK SnowAg(RedAgの4芯版)464mΩ

と、結構価格順に並ぶので面白いですね。

考察と所感

ということでDigilent Analog Discovery 3(多分2でも可)でケーブルのインピーダンス特性は測れますし再現性もありそうです。つまり

1.実はイヤホンケーブルはASRなどで使われている良いケーブルと違って特性は異なっており、イヤホン用ケーブルは測定してみると案外数値上違うユニークな測定値が得られる。(聴感で違いがわかるかは別問題)

といっても良さそうです。もちろん測定の信頼性についてや、同じケーブルの個体差などこれからも詰めて行く必要性はありそうですが、個人的には何よりも直流抵抗値の値がほぼ可視化できたのが嬉しいところです(このあたりは是非とも読者の方々のアドバイスがほしいところです)。

繰り返しになりますが、直流抵抗値はイヤホンからみるとアンプの出力抵抗が高いこととなんら代わりありません。出力抵抗0.1Ωなどのスペックのアンプもありますが、今回の測定からも直流抵抗値が0.5Ωあったりするとほぼ宝の持ち腐れと言っても過言ではない様に思います。

もちろん、出力抵抗が大きいからといって音が悪いというわけではないところはオーディオの奥深いところだと思います。今回の結果はあくまで参考値ではありますが、SN140dBやTHD140dBなど人間の聴力を超えたスペックを持つ機材と同じ様にケーブルもまた、人間の聴力は超えているかもしれませんが、微小ながら音の波形に影響する数字としてユニークな違いがあることがわかったのは有意義だったように思います。

まだ結論づけるような何かかがあるわけではないですが、今後手持ちのケーブルや今後の新作ケーブルなどのデータを増やして、聴感との突き合わせ、ゆるふわに考察を深めていきたいところです。

まとめ

ということで、以後のレビューでは聴感の感想に加えてこれらの値も併記していこうと思います。もっとこうした方が良いなどアドバイスがありましたら是非コメントなどいただけると嬉しいです。ではまた明日。