ゆるふわオーディオ日記(blog)

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レビュー:トランスポータブル最強?DAP FiiO M17 半年使って気付いたこと Part2:Tier1音質 個人的リファレンスDAP

こんにちは

 

今回はFiiOのフラグシップトランスポータブルDAP M17をFFさんにお貸し出ししましたので、昨日に引き続き半年間使った感想を書きたいと思います。

全体を通した結論を先に書けば、M17はトランスポータブルとしては初参入でありまだ付属品に使い勝手に改善の余地はあるもののDAP本体は音の完成度が非常に高く纏まっています。Android ベースOSではあるのでその欠点はあるもののストリーミングミュージックが使える等のそれを上回る利点も十分に感じられ、素晴らしい音質と使い勝手を両立しています。トランスポータブルという使い方が合いそうという方は値上げの前に是非入手して使ってみることをオススメしたいです。

前回の記事はこちら

 

el-snow.hatenablog.com

 

 

繰り返しになりますがDAPのレビューは初めてに近いので中々記述が難しいのですが、実際に5ヶ月間使ってみて気付いた○良かった点●気になった点という形式で記載したいと思います。

 

DAP DCモードの音はトップクラス

●純正ではACアダプタにアップグレードの余地がある

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機能面

DAP単体の音に関しては半年間使ってみましたが機能面にはやや不満がありますが、音質面での不満はありません。その機能面も少しづつではありますがFWのバージョンアップで改善されつつあります。初期のFWに関してはサイドに付いているアンビエントライトをOFFにしても数時間使うとONに勝手に戻るなど軽微な不具合がありましたが、新FWでは修正されているようです。尚、旧FWでも点灯ON、明るさを0%にすることでOFFにする裏技的対応でOFFにできましたので夜まぶしくて致命的というほどではありませんでした。この調子でもう少し残っているバグや新機能の使い勝手の向上を定期的に続けていただきたいです。

音質面

にしても音質については本当に素晴らしいの一言でゼンハイザーのHD800やAKGのK812などのヘッドホンでも鳴らす駆動力を持ち、感度が高くホワイトノイズが大きいCAのSolarisIやKZのZASなどのIEMをノイズ無く鳴らす繊細さを両立させて幅広い機材に対応できていると思います。もちろんそれに特化した機材全てを上回っているということは無いのですが、音を聴いてこれはFiiOのM17の気持ちの良い音だと言えるぐらい楽しく聴けるレベルに仕上げてくれます。

低音の強化

細かい音質面で言えばまず第一に素晴らしいのは低音の再生能力だと思います。M17クラスのDAPに格安のイヤホンを繋ぐことは基本的に少ないとは思うのですが、数千円クラスのイヤホンをM17に繋ぐと、一聴してわかるレベルで低音の音質が強化されていることに気づきます。所謂低域がイコライザで挙げられているような低音ではなくそのイヤホンの特性を引き出すような自然な低音で不快感や違和感をほぼ感じません。こんな低音が表現豊かに鳴っていたのかと実感できるレベルです。たとえばハイエンドクラスであればFinalのA8000でしょうか、A8000は中高域の音をギリギリにまでレスポンス良く仕上げておりその音の余韻の消えゆくさまは至極の一言なことが有名なイヤホンですが、C106からBluedayにリケーブルしたA8000の低音は実に表情豊かです。高音側と打って変わってベリリウムらしい暖色寄りの低音が響き、暖かく心地よい音の広がりが頭内全体に広がります。帯域にかぶることも無く自然かつ、チェロやティンパニーなどの低音が映える楽器達の演奏が表情豊かに見て取れるような感覚すら覚えます。また、高級イヤホンでなくとも数千円から1万円クラスのイヤホンでも低音の駆動力は凄く、今まで聴こえていなかったような低音が聴こえるなんて言葉が良く似合います。感覚としては低音の駆動力が高くいままでの再生機器ではレスポンス遅く再生できていなかった低音がきっちりとドライバを動かして低音出せているような感じです。実際最近イヤホンの周波数特性を測ってみてわかったことなのですが、低域というのは決して安いイヤホンだからといってグラフ特性として数値が悪いわけではなく周波数特性上は量感はあり、それ以外の要因で人間は低音の量や質がいまいちと判断しているようです。それが応答性能や歪かはわかりませんが、M17は本来イヤホンの持つ量感を限りなく再現するように低音をならせてくれる実感があります。

太く厚みのある中音

次に素晴らしいと感じるのは中低音~中高音にかけての音色の太く厚みのある音と繊細でダイナミックレンジが広い表現と左右上下前後に定位よく広がる広大な音場です。私の偏見だったかもしれませんが所謂ポータブル性を兼ね備えるDAPでは音の太さと繊細さと広さは両立し得ないトリレンマを抱えていると思い込んでいました。それはもちろん電力やパーツやノイズなどの影響から様々な制約や対策が必要なことに起因していたのかと思いますが、M17に関してはそれらを完全に両立できるレベルに仕上がっていると感じました。特に素晴らしいと思うのはやはりボーカルの声の厚みでしょう。太い音と表現するとぼやけていると思いがちですが太い音でありながら定位はしっかりとしており、声の音像の中心の芯をありありと認識できます。声の解像度が高く描写が細かいにも関わらずくど過ぎない点も秀逸です。音の分離が正確で音と音が濁らず声の響きが広がるので太さを兼ね備えています。音場が広い事に加えて音の輪郭と定位が正確なことでボーカルのが太いにもかかわらず窮屈にならず、悠々としています。パワーがあるからのプラセボかもしれませんが音の表現に余裕を感じる点も魅力的です。普通のDAPやアンプだと音量を上げると音がひずんでいく感覚を感じてしまうのですが、ボリュームを上げてもリニアに音量が上がっていき、まだまだ歪まずに音を鳴らせるぞっという感覚から懐の広さを感じます。リファレンスになったと言われているゼンハイザーのHD800sを聴けば、一般的にはリスニングにはやや面白みに欠けると言われているようなヘッドホンにも関わらず中域は細くなりすぎずかといってHD800sの音場の広さを両立しており、何時間でも聴けてしまうような魅力を持っています。

透明感と冷静さを持つ高音

先ほど述べましたずさまじい低域、中域に比べれば高音域は印象が薄い感覚はありますが、解像度が相応に高く透明感のある高域で伸びやかです。もし普通のDAPであれば十分にこの高域も特徴の一つとして数えることができるだろうと思えるのですが、如何せん低域と中域の表現力がずば抜けています。ただ、見劣りしてしまうかというとそうでは無く低域、中域に見合う再生能力を兼ね備えています。金属過ぎたり、軽すぎたり、前に出過ぎたり主張しすぎることも無いのですが、正確な定位と解像度で広い音場の中に煌びやかに表現してきます。高音になるほど人間は音の方向と位置関係を認知しやすい(定位が良い)と言われていますが、派手に着色していないのでより正確に楽曲に含まれている音を識別でき、原曲の良さをありありと表現してくます。原曲に正確というとモニター寄りで悪い部分も克明に出してしまうようなイメージがあるかとおもいますがあくまでリスニングライクで音の良さをうまく引き出してくれるという印象です。特に愛機のAKG K3003などで聴く中高音の響きは正に見事で何度聞いても惚れ惚れとしてしまいます。

ACアダプタを接続したDCモード

楽曲にもよりますが正に見事というより外ならない音色です。ポータブルでこのようなレベルの音が聴けるようになったというのはまさにイノベーションに他ならないかと思います。もともと素晴らしかった低域はより締まりが出て表情豊かになり、音の濃淡がよりクッキリとすることで中域以上の音場の足腰がよりしっかりします。そして中域は音の密度がぎゅっと上がって解像度と音のキレが増し、音の奥行きがよりはっきりすることで音場がほんの少し広がりその楽曲が作る空気感が引き締まり、リアリティがグンと増します。高域は変化が少ない方だとは思いますが、そのリアリティが増した音場に定位と分離と解像度が高い音色が響くことで全体としての音のレベルが上がったなっと実感できます。
そんな素晴らしいDCモードですが、一方で入力させる電気の”質”によって音が変わってしまうようで、上流の電源コンセント、地域や電気会社にもよって音が変わってしまうようです。同じ標準ACアダプタでも昼間と夜間でバックの音の静寂さなどが1段落ちる感覚があります。DCノイズクリーナーのようなアダプタも効果があるようで、私が試したのはFX-AUDIOの2つを標準ACアダプタの後段に接続したものですが、接続させるだけで楽曲のホワイトノイズが数段階少なくなり低域の表現、中高域の滑らかさなどが圧倒的に向上しいました。FX-AUDIOのものは配線がほぼむき出しだったり一般の方にはお勧めできませんが、両方試したFFさんによれば値段は少し高いですが評判の良いiFiのiPowerEliteなども同様かそれ以上に音質の向上が見込めるようです。逆に裏を返せば住んでいる地域や近くの電気機器によってはACアダプタを接続したDCモードの効果が薄い可能性もありますので注意が必要かもしれません。

気になる点

ACアダプタに音質向上の余地があるということは裏を返せば純正のACアダプタでは音が良くないっという意味にも取れます。もちろんこのようなコンセプトの商品は世界で初めて?なので最初から最高のACアダプタを付属させるとコストが嵩んでしまいますので仕方のないことだとは思いますし、値段を上げてよいACアダプタを付ける売り方よりも好感が持てます。

一方で純正以外のACアダプタを使ってDC入力させて壊してしまった場合の補償はどうなってしまうのかは明示されていません。基本的に代理店のエミライとしてはいくつかアップグレード用の電源を明示していたりするので保証内ではあると思うのですが実際に壊れたりした事例が無いのでわかりません。このような商品を売りにだすのですからできれば純正または推奨の保証が付くアップグレード電源を提示していただきたいです。勿論推奨というわけではないのでしょうが、実際にeイヤホンではM17が売れると同時にiPowerEliteが品切れになったと聞きますし、DCモードが魅力的な音を出せるということからではありますが、安心感のある電源を求める層は多いということだと思います。

 

○Andoroidでサブスクもサクサク動作

●細かいバグは多い

ここは言わずもがなかもしれませんが、AppleMusicなどのストリーミングミュージックアプリも問題なく動作します。特にDAPは楽曲が増えるほどに音源管理が大変だと感じていて使うことに抵抗があったりして、買ってもスマホから楽曲をBTやAirPlayで再生する使い方がメインになるかもと思っていたのですが、いざ使ってみるとAppleMusicのライブラリ同期はあまりにも便利すぎてあっという間にDAPでしか音楽を再生することが無くなりました。楽曲だけでなくタグやジャケット画像、プレイリストなども自動で同期されるので転送のし忘れやデータの差異が発生しません。ロスレスの楽曲だけでなくALACに変換する必要はありますがハイレゾにも対応していますのでアプリケーションを複数起動しわける必要もありません。

GooglePlayStoreに対応していますのでサブスク対応だけでなくNeutron Music Playerのような多彩なフィルタや再生能力が高く音質の良い再生アプリなども問題なく使用できました。特に通常のイコライザでは補正ができないようなカーブも最大60まで対応するIIRフィルタが使えたり、逆相再生やアナライザ表示など通常のDAPではできないような様々な再生も可能です。試してはいませんがUSB接続やBT接続であれば録音などもできるかもしれません。

また純正のFiiO Musicアプリの出来も悪くはありません。動作も軽快で音質にも問題がありませんが、やはり日本語の文字については一部の楽曲が文字化けするようです。最初に述べましたように細かいバグとしてアンビエントライトが点灯してしまうなど細かいバグもあったようですが少しづつ改善しています。

 

〇細かい要望

これは新機能についての要望なのですが、新しいFWでは電池のいたわり機能としてDC充電時に外部電源は使うが、充電はしないというモードが追加されました。実際使ってみると確かに良好ではあるのですが、何気に少しづつ電池が減っていってしまいます。想定していた使い方は電池は減らないというものだったので暫く使っていると電源に接続しているので電池切れになってしまいました。バグなのでしょうか。いずれにしてもこの充電しないモードは電源を指した時にダイアログで聞かれるのですが、そこで充電しない、何回も聞かないを選択するとその後充電を開始するには設定のかなり深い階層の設定を変更してやる必要があります。さすがに無限に充電しないで使うことは不可能なのでここはマルチファンクションボタンや画面上部のクイックアクセスに充電のON/OFF機能を割り当てることができるようになればうれしいと思いました。

っとこのように新しい要望を機能として足せばまた新たな要望や使い勝手の悪さがわかるのがこのような汎用OSの常です。今後もセキュリティアップデートの名のもとに機能の改変がされていくのだと思いますが、FiiOには機能更新を続けていただけるようにお願いしたいです。現状は発売して間もないこともあり、更新もされており満足度が高いです。肝心の音も価格を考えれあ今のところ文句を付けようがないですが、今後、円安などにより値上がりしてしまうとのことなので値上げ幅によってはお買い得度が下がってしまう可能性があるのは悲しいですのでエミライさんにはぜひとも頑張って価格をできる限り維持していただきたいです。

 

結論

M17はトランスポータブルとしては初参入でありまだ付属品に使い勝手に改善の余地はあるもののDAP本体は音の完成度が非常に高く纏まっています。Android ベースOSではあるのでその欠点はあるもののストリーミングミュージックが使える等のそれを上回る利点も十分に感じられ、素晴らしい音質と使い勝手を両立しています。トランスポータブルという使い方が合いそうという方は値上げの前に是非入手して使ってみることをオススメしたいです。

 

ではまた明日。