ゆるふわオーディオ日記(blog)

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雑記:名機Ultimate Ears TripleFi 10(通称UE 10 Pro)の音と当時の思い出

こんにちは

遂に糸竹管絃が来たのですがその内容は後日にして、今日は昨日購入しました2000年代の名機Ultimate Ears TripleFi 10(通称UE 10 Pro、以下10Pro)について測定なんかしましたのでその思い出と共に思うことを書こうと思います。f:id:el_snow:20221008164936j:image

雑な紹介とか

まぁ有名な機種なので説明は不要かもしれませんしその頃の市場に詳しいわけではないので個人的な認識にはなるのですが簡単に説明しますと、UE 10Proは2007年に日本代理店のLogitechから発売された3BAのイヤホンです。当時のカナル型イヤホン市場は今と違い概ねSHUREが一強状態で続いて3段フランジイヤーピースを奥に挿入できる人達だけがEtymotic Researchを推すという状態でした。勿論各社はSHUREに追いつこうと様々なイヤホンを手掛けていた時代でもあったかと思います。今でこそカナル型イヤホンもSONYゼンハイザーといった大手メーカーも手掛けており有名ですがこの当時は箸にも棒にも掛からぬと言ったレベルだったのを覚えています。そこに彗星の如く登場したのがこの10Proだったかと思います。

そのサウンドの特徴はSHUREとはかけ離れた派手で音場が広くてノリの良い音です。もちろん今でこそ音場の広さはやや広い程度ではあるのですが当時の感覚では圧倒的な広大さでした。その音の衝撃は多くの人を虜にして「イヤホンは10Proだけあれば良い…」なんて人も多くいました。もちろん私もその一人で若かりし自分への衝撃も忘れることはできず、そのサウンドのクオリティの虜になりました。当然その後にSONYゼンハイザーの競合と位置付けた機種を試聴したりするのですが10Proを明確に超えたと思えるサウンドに出会えなかったことから最終的に私も「10Proだけあればいい・・・」と確信し、最終的には予備を含めて4台ほど10Proを購入し使い続けていました。ただこれだけ購入しても故障率が高いのか最終的には8年ほどで全て壊れてしまいました。なので今回の購入は通算で5回目ぐらいということになるかと思います。

そのUlitimate Earsは今もイヤホンを開発販売している会社ですが、その開発の率いていたのは現JH Audioのジェリー・ハービー氏と言われています。また、日本での名前にProが入っていないのに10 Proという名前なのはアメリカの本国ではTripleFi 10では無く10 Proという名前で売られていた為と聞いています。そして日本でこそ正規品の5万円前後の値段でしたがアメリカ本国では2万円台後半~3万円と比較的リーズナブルでしたので2台目などに購入する方は日本代理店ではなくアメリカからUSパッケージ版を個人輸入する方も多かった様に思います。とはいえこのUS版10Proは故障率に加えて初期不良率も高く私も2度ハズレを引いた記憶があります(なので返品を含めるともっと買っていますねw)。今ではBAドライバも安く量産する技術が確立されたのか故障の話は少なくなっていますが10ProはBA 3ドライバーの弊害かどうしても故障が多かった記憶があります。噂によれば並行輸入品の品質管理はLOGITECH代理店版と差があるために安いと言われていましたが個人的に実際に並行輸入品の初期不良率は高い様に思います。まぁなので4台(内2台が並行輸入品)もあった10Proが全て壊れるという事態になった訳ですが(笑)。

また、この10ProはComplyのイヤーピースの躍進に一役買ったイヤホンでもあったかと思います。10Proに標準で1ペア付いていたのですが、その遮音性と装着感を両立した上で圧倒的な低音の量感を実現するサウンドは当時カナル型イヤホンに慣れていない人たちを虜にしたと思います。当時は今の様にシリコン型のイヤーピースの品質は高くないので低音が抜けることも多く今ほど透き通った中高音を出す事も出来なかったので私もComplyに取りつかれ、3か月に1度Complyのイヤーピースを買い替えるという辛い日々を送っていたことも覚えています。いずれにしてもフォームタイプイヤーピース時代がこのタイミングで始まり、finalのTypeEやSpinfit等の今の定番シリコンイヤーピースメーカーが登場するまではComplyの時代が続いていた様に思いますが、その幕開けがこの10Proだったと思います。

他にも10Proはイヤホンのリケーブルによる音の変化を楽しむ転換点にもなったイヤホンだと記憶しています。勿論他のメーカーもリケーブル対応製品が出始めている頃ではあったのですが、10Proのケーブルの断線のしやすさも相まってサードパーティーリケーブル商品の豊富さは群を抜いていたと思います。この当時の私はイヤホンのリケーブルによる音の変化にはかなり否定的だったこともあり(理由として据え置きのオカルト製品のイメージが最悪でした)試してこそいませんがこの時代にそのような楽しみ方をされる方を見かけるようになった様に思います。実際に今でも中古市場に10Proに交じって10Pro用のリケーブル商品が売られているのを良く見かけます。


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ちなみに日本パッケージも2種類存在します。

購入の動機とか

単純に久しぶりに10Proのサウンドが聴きたかったことに加えて、カプラを購入したので10Proの周波数特性を一度自分で測ってみたかったことが出発点ではあるのですが、良品の中古を見つけたからというのも大きいです。特に品質管理が良さそうなイメージのある日本の代理店LOGITECHの箱があることに加えて本体の状態が良い事、標準ケーブルが断線していないこと、おまけでFiiOの10Pro用ケーブルが付属しており、過去に試さなかったリケーブルによる音の変化を知ることができることが決め手になりました。もちろん望むのであれば新品未開封が嬉しくはあるのですが新品は並行輸入品で6万円程度と当時の販売価格より高いぐらいです。実際には聴くために買うのと今更この10Proを日常使いするとも思えないのでごくまれに聴く程度なので新品である必要は無かったので折角の機会なので購入したという流れです。

筐体とか付属品とか


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見ての通りの筐体の形状ではあるのですが、はっきり言って装着感は最悪の部類です。finalのEタイプのような円筒形の形状をイヤーピースとケーブルのネック部分だけでホールドさせるタイプです。Eタイプ以上に筐体が長いので寝フォンなんて絶対にできません。シリコンタイプのイヤーピースが付属しているのですが装着感が悪いだけでなく耳への負荷も高いので自分は数回しか使った記憶がありません。今思えばこの装着感の悪さが一時期の自分のComply信仰につながったのかもしれません。

 

音とか

思ったより音色は覚えているものですね。びっくりするほど懐かしいサウンドでした。良くも悪くもあの当時のままの音色です。

帯域バランスは弱ドンシャリ、音色は寒暖として概ねニュートラルですし、明るさはややブライトで元気で派手です。音場は横に広く音像はやや低いですが標準的な位置、解像度は当時としては高いですが今でいえば標準的。低音は弾むような弾力のある音色で解像度は低く時代を感じます。中域は綺麗な音色ではあるのですが鼻に詰まったような音色の帯域があり、そこを意識的に聴くとやや曇りがあるサウンドですが中域全体としては繊細かつ力強いので当時としてはパワフルな音色だと思います。高域は派手めで軽快で明るい音色です。

あるFFさんによれば10Proはかなり籠っている音との事で、私はそうだった記憶が無いなぁと思っており、今回の購入ではそれを確かめたかったところもあるのですが、実際聴いてみるとその理由がはっきりわかります。

一番大きいのは解像度の低い弾むような低音で、この当時のイヤホンの限界なのか低域の解像度や表現の粗さからか籠った部屋で聴いてるような遅い量感だけがある低音が出てしまいます。この当時としては低音の質は良い方ではあったと思うのですが、現代のカナル型イヤホンの低音はレベルが一様に上がっており、解像度が高く音の立ち上がりなどのスピード感が速いため、この10Proと比較するとどうしてもモコモコな音色に聴こえてしまいます。次に大きいのは中域の鼻に物が詰まったような音色感の音でしょう。気にしなければそこまで気にならないのですが最近のブライトで透き通るようなイヤホンのサウンドと比べてしまうと気になると思います。

あの当時の音色としてはある程度フラットに聞こえた音色もこれだけ多数のイヤホンが発売された今では籠ったサウンドになってしまったというのは中々に興味深い事実です。

周波数特性とか

折角なので測ったデータを公開しておきます。

SPL特性

正直に言ってみて思ったのは測定値上ほぼフラットなバランスだということ、高域以外は恐ろしく左右のマッチングが良い事です。SHUREEtymotic Researchなどで見かける3~6KHzが持ち上がっているHRTFとは異なるサウンドバランスです。

リケーブルとか(FiiOのRC-UE1)

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かなり長く使ったイヤホンなのですが初めての社外ケーブルへのリケーブルなのでドキドキでしたが良い意味で大きな変化があり満足しました。

第一に大きかったのは弾むような鈍い低音の半分は標準ケーブルによるものだったからです。UE1にリケーブルすると低音の量感は減るのですが同時に籠ったボヨボヨ感も幾分か減って締まりとスピード感が改善します。鼻に詰まったような中域の音は同じなのですが全体として解像度が1段上がる印象があり標準ケーブルの質の悪さを実感してしまいます。この時代の自分は据え置きのオカルトの悪いイメージからリケーブルを肯定することは無かったと思いますが、この当時からイヤホンのリケーブルにハマって色々とケーブル交換をして音の変化を楽しんでいた人たちの気持ちがわかりました。

折角なのでこのケーブルのまま暫く聴いてみようと思いますが、将来的には10Proは0.75mm2pinらしいのでQDCのコネクタなどを使って変換プラグなどを作って現代のケーブルを装着した音の変化も楽しんでみようかと思います。

まとめ

一時代を築いた名機を久しぶりに聴きましたが非常に素晴らしかったです。かなり古くなってしまったので昔ほど良品を見かけなくなってきているとは聞きますがそこそこのお値段で掴めたのでラッキーでした。特にイヤーピースやケーブルを変えることで楽しむこともできそうですので老後?の楽しみにとっておこうかと思います。

 

今日はこのあたりにしたいと思います。ではまた明日。