ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

AKG k3003、K3003i買いました 結論:イヤホンの金字塔、終焉の音 

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こんなに身近にあった終焉

今回はオーストリア時代の名機、AKG k3003, k3003iです。この機種はご存知かもしれませんがもう販売終了となっており正規のお店から入手することは非常に難しい品です。商品の特徴は他の様々なブログなどで入手できる情報ばかりかと思いますのでここでは割愛します。ではなぜ書こうと思ったのかと言うとこれを聴いて私は自分のイヤホンスパイラルが終了したと確信したからです。また、今の時代のポタオデしか知らない私の目線で見たk3003というものから感じた感想を書いておこうと筆をとりました。実は手に入れたの少し前なのですが聴き入っていると風の噂でi付き(リモコン付き)と無しで音が違うと言う情報を入手したのと、中古品なので音が違うかもしれないとの思いで両方買ってみました。(上の写真です)なのでいつもの良かった点、悪かった点、そして2つの違いについて順に記載します。

なお、中古価格で約3〜4万円ほどで入手しています。

 

環境

MacBookAir → ADI2 DAC fs → K3003 or k3003i

 

良かった点

 この音色は唯一無二です。断言します。それほどに完成度が高く、音楽性に優れた品であり現在数十万円するようなハイエンドIEMを持ってきても決して奏でられない音楽を語るイヤホの一つです。13万円という価格に恥じない素晴らしい音色です。

 帯域のバランスは概ねフラットに感じ、やや高音が強いかなぁという印象ですがサ行が刺さることはありません。また、音場は奥行き方向にも横方向にも必要十分に広く分解能、解像度も価格相応に素晴らしいの一言です。ただここまでの特徴であれば他のハイエンドIEMに譲る部分も多いかと思いました。特徴的なのは先にも言った独特の音色の響きと異様なまでの音場の再現性です。

位相の管理が上手いのか、楽器一つ一つが分離し、音色が意志を持ってそこで奏者と共に照らす様に頭の中の音場に浮かび上がらせてきます。いままで団子になってような楽器も絶妙な分離感で鳴らすのでボリュームを上げても煩くなりません。特にボーカル域から高音にかけての絶妙なリバーブは心地よいソファーに腰を埋める様に耳が喜ぶ帯域を狙ってくる様です。金管楽器はきらびやかさを持ちながらも鋭すぎずまるでk812の音色の響きの部分を蒸留し凝縮した音楽という楽しさのエキスをこのイヤホンに注いだかのような印象を受けました。こればかりは聴かずには理解が難しい音楽性の部分ですので是非一度中古でも聴いてみて欲しいと思いました。現代の名だたるイヤホンにも負けぬ魅力がこのイヤホンに詰まっている様に思いました。

音以外で良かった点はやはり入手性が難しいイヤホンを持つという所有欲を満たしてくれるところでしょうか、AKGは今はsumsungグループの傘下となりオーストリアのチームは解散していると聞いています。このk3003やK812を作り上げたチームはもうこの世には存在しないのです。その遺伝子は今のAKGのイヤホンたちにも引き継がれていますが直系のプロダクトはこのk3003が最後ではないかと言われています。入手難易度が高く、偽物も多いと聞きますがその分この音色を聞いたときの感動は大きいものになると思いました。(その影響はすこしあるかもしれないと思っています)

 

悪かった点

やはり低音域の表現に尽きます。決して悪いとまでは言わないのですが・・・っといいたかったのですが13万円という価格を考えればとても褒められたものではないと思いました。単音ぐらいであれば問題なく鳴らしてくれるのですが低音域で複数の楽器が合わさりあった時の表現はn5005の足元にも及ばないという印象です。このあたりはバスブースとフィルターにすればすこし改善されるのですが基本的な濁りのような印象は拭えませんでした。ただ、私としてはあまり低音域のふくよかさであったり緻密な表現を求める楽曲は少なく、あまり気になるレベルではありません。ただ低音を重視する楽曲を聴く方はかなり注意した方がよいだろうと感じています。

また高域の表現についても煌びやかさが合わない方もいるかもしれないとは思いました。決して刺さるわけではないのですが力強さを感じる一方で超高音はあまり伸びません。現在のハイレゾとは少し異なる趣です。逆に私はそれも気に入ったのですが、ハイレゾ全盛期の今では気になる人もいるのかもしれないと思った次第です。

その他はもうあげるとキリがありませんね、リケーブルできなかったり、ステムが長すぎたりと今の時代のハイエンドに求められる基本仕様が付いていません。

さらに、ここで言うのもあれなのですが私が購入したk3003も偽物の可能性があります。ただここまでADI2DACfsで繊細で広大な音場を再現できるイヤホンが3万円ならば逆に偽物でも安いと思います。(本物はもっと音がいいと言うことにw)

 

k3003とk3003iの音質の違い

正直これには驚きました。結論から言えば私には別の音に感じました、エージングなどの個体差なのかケーブルの違いなのかは判断しかねるのですが感じる印象は別物です。もちろんイヤホン単体としてのバランスなどはほぼ同じです。ただ音の表現の方向があまりにも別なのです。なので最初は偽物かもと装飾を始めあらゆるところに目を配らせ何回も聞き比べることになりました。(疲れた)

音色についてはi付きの方が繊細で無印はややドンシャリで大味な傾向を持ちます。i付きの音場は前後左右にそこそこに展開しやや近い位置で繊細に楽器を展開します。繊細な音と相まって音の分離や定位のつつましやかさが感じられややシックな印象を受けます。一方無印の方の音場は左右は同じぐらいなのですが前後に大きく展開し楽器の音色が明瞭でドラマチックです大味な音色と相まってダイナミックな音場を展開し、一聴するとこちらの方が音が良い様な印象を受けます。どちらが良いということもないのでしょうが、k3003iの方がAKGの音色により色が近い印象を受け私はi付きの方が好みでした。

 

最後に私は1年半ほど前にk812の代わりになり得るイヤホンを求めてn5005を購入したところからより良いイヤホン探しの旅が始まりました。それほどたくさんIEMを聴けたわけではないですがk3003を聞いて初めてこんな身近に探していた答えがあったのかと、これでイヤホン探しの旅も終焉かと、安心した様な、寂しい様なそんな感情になりました。

そしてこの1年半で驚いたのはどのIEMもヘッドフォンには出せない次元の音を出そうとしているという事実でした。逆にk3003はその方向性とも違うイヤフォンを真面目にチューニングして音を作るとこうなるという金字塔かつお手本の様な音作りで、これが2011年に完成していたとすればAKGを初めとしてこの金字塔を超える商品として新たな挑戦をしていたのだと歴史を理解した次第です。