el_snowの日記

日常の気になった事や思う事、気に入ったオーディオ機材のレビューを思うままに書いています。

イヤホンを買いまくった2020年を振り返って 雑感②イヤホン高騰、intimeとfinal

あけましておめでとうございます(3回目)

続く限り毎日更新していこうと思います。

 

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今回も2020年を振り返って印象的だった出来事や買ってよかったものなどを書いていきたいとおもいます。

2回目はFiioのポータブルアンプQ5sとそしてその交換アンプAM3Dについて書きたいと思ったのですが、前回のfinalとintimeの話のついでにでたイヤホン市場の変化について、具体的には高級イヤホンについて思うところがもう少しあるのでそれについて補遺をしておこうかなと思います。

 

というのも1年前と比べて明らかに高いイヤホンが増えています。わかりやすいところでは宝石をちりばめたイヤホンやヘッドホンが100万円、1000万円を超える価格で売られるようになり始めています。このような装飾品としての機材ばかりではなく各社のハイエンド、フラグシップイヤホンの価格もじりじりと値段が上がっているようです。例えば老舗であるNobleAudioは毎年のようにフラグシップを更新し今年はSULTANを約50万円で販売開始しました。たしかに良い音を実現できるようになればそれをさらに高い価値を付けて売る、企業としては当然のことです。しかしながらやはりこのような価格設定は疑問を感じる人も多いのではないかと思います。

 

ここで少し変わりますが、一般的な企業として利益を上げて会社を存続させていくには継続的な売り上げが必要です。イヤホン企業は商品がイヤホンそのものです、例えばその商品のイヤホンは素晴らしく、高音質で壊れにくいとすれば、ユーザーからの評判も上々で売り上げも上がり安泰のような気がします。しかしそのような商品の場合、一度買ったユーザーは壊れにくいが故に継続的に商品を買ってくれません。大企業で商品が壊れるライフサイクルを十分に待てるのであればもう一度買ってくれることがあるかもしれません。しかし現実には最初のユーザーに浸透する段階では売り上げが上がるのですがユーザーの所持率が上がるにつれて販売量が劇的に減り、会社の存続が怪しくなってしまいます。

このような市場にならないためには常に新しいユーザーにイヤホンを売り続けるということが必要になります。一番良いのは増えているマスマーケットで商売をする、つまりイヤホンを使ってくれる新しいユーザーを増やせばいいのです。2000年代から2020年まではまさにこの新しいユーザーが増え続けている状況でした。スマートホンにつけられた3.5mmジャックで音楽が聴ける。これはスマートフォンの販売量に比例してマーケットが拡大していたということです。

しかしながら2、3年ほど前から潮目が変わりました3.5㎜ジャックはスマートフォンから廃止され市場は一気に縮小の方向に向かっています。現在2020年はまさにその影響が顕著になり始めた年で、スマートフォンで聴けるようにするBTアダプタやTWS市場が花開きました。しかし、いままでそれほど努力せずとも売り上げが上がっていたマーケットから限られたパイを奪い合う0サムゲームに変化し始めたのです。

 

こうなってくるとイヤホンメーカーとしては継続的な売り上げが必要です。新しい音作りを提供しラインナップを増やし、同じユーザーにコレクションとして購入してもらう・・・であったり、今までの音では満足していなかった人にさらに高いイヤホンを価値として提供して購入してもらうといいうことが必要になってくるのです。

なぜなら、もう満足してしまったユーザーはお金を落とさないビジネスモデルになっているからに他なりません。どれだけその企業のファンであって大好きであったとしても会社にお金が回らなくなればその会社は無くなってしまうのです。

そしてどこのメーカーも同じことを考えています。たくさんのイヤホンメーカーがあるということは新しい製品を出さなければ話題にすらならなくなってしまうような過当競争状態にあるといっても過言ではないでしょう。

 

 

しかしながら音楽業界はこの流れを初めて経験しているわけではありません。過去にピュアオーディオの時にも同じような経験をしたのです。一家に一台スシテムコンポ、誰もがCDプレイヤーを持っていました。より高音質のシステムを提案しより良い商品を提供しました。しかし、コンポはそうそう壊れるようなものではありませんし、デジタル技術の発展でより安価でそこそこの音が市場にあふれていきました。それと同時に高音質化の技術も開発されましたが高額な商品なったのは言うまでもなく、売ってもその実、本当に音がよくなった体験をユーザーに提供できていたかは定かではありません。多くのユーザーはある程度音がよくなればもう十分だったのです。値段が嵩みより良い音の技術を買えるユーザーは少数でしたし、音が嗜好品である以上メーカーの音作りも万能ではありません、ある程度の人数にリーチするのは非常に難しかったように思います。また、中にはオカルトとも思えるような鉄板やオブジェに大金をつぎ込んだ人も多くいました。そしてもちろんその結果の過程でいくつものオーディオメーカーが淘汰され、そしてユーザーが離れていったのは記憶に新しいです。

 

そのようなイヤホン市場に追い打ちをかけてきているのが前回も話をしましたが振興中国メーカーの相次ぐ参入、そして100均イヤホンの出現です。

いままさに、イヤホン業界は帰路に立たされているように思います。高額なイヤホンにその音色の価値が見いだされ、そしてユーザーも先鋭化していくのか、、、

市場が狭まるなかTWS市場に食いつけなければ中途半端なメーカーはやはり淘汰されていくように思います。

 

そこで日本企業のアプローチなのですがintimeはその中でやはり今の時流なりのアプローチしている会社だと実感しました。誰しもが絶賛するような方法ではないのですが、Twitterを始めとするSNSによるユーザーとの積極的な交流、まかなイヤホンなどの限定商品(話題作り)、ASSYミーティングを始めとしたユーザーの意見の吸い上げ、工場見学のようなイヤホンづくり体験によるintime顧客の創出、もちろんVSTなどの独自技術に裏打ちされた強みがあってのものですが、新たな定番の新商品をできるだけしないでユーザーの心をつかむ努力をしています。これをたった数名の会社で成しえているいうことに驚愕を覚えました。(株を売ってたら買いたいと思った)

 

そしてfinalですが、上記のような体験を会社として実施しているだけでなく、直営店finalStoreによるユーザーとの常時交流でファンを増や¥しています(私自身は行ったことがないのですが)。特にイヤピガチャなどの企画は非常に面白いと思いました。ユーザーが体験できるだけでなくその結果をSNSでシェアするなどの効果があり、いったユーザーだけでなくその周りにも大きな影響力(宣伝)ができる画期的な公告方法だと唸りました。また長年の技術開発の成果の一端を示すとともに音作りへの考え方を教える講習会を開くなど、intimeと同じようにより強固な顧客を作るということを上手に実施しています。(音作りへの考え方を教える=finalの音作りを理解するということですしう上手い作りです)また、サブスクリプションモデルの先駆けとも思えるようなヘッドフォンやイヤホンのオーバーホールを見据えた商品づくりも時計業界を彷彿とさせています。

 

このような先入観があった中で2020年、この2社のファンの方に何名かお会いしたのですが、両社に共通するのは顧客が売り手である会社を愛していると実感できたことです。これはいわゆる近江商人の3方良しといわれるいままでの売り切りの商売から脱却し、お客から会社が労わられるような関係を築けていると実感しました。intimeの渡辺社長がこのような顧客に恵まれて幸せですといつかのメールで語っておられましたが、まさにそのような関係を築くことができる場や機会を作られた経営手腕に私自身が脱帽した次第です。

 

ちなみにですが、2021年の今現在、私自身はよっぽどの音楽体験がない限りこれ以上高額のイヤホンやヘッドフォンを購入することはないと思っています。もちろんそれよりお高額のイヤホンを試聴してもそのような体験が得られなかったことも大きいですが、ここからさらに飛躍的にジャンプアップするような音楽体験を得るにはかなりのイノベーションが必要でないかと考えているからです。(それだけA8000や翔の完成度が高いともいえますし、Appleの空間オーディオや録音時とのセットのアプローチがいるなど・・・?)

 

もちろんこれだけでは今後のこの難局を乗り切ることはできないかもしれません。しかながらこの両者はまだまだ隠し玉をもっているのではないかと期待させてくれる魅力を持っていると感じました。そのため2021年にはどんな企業戦略で顧客を楽しませてくれるのかとてもの楽しみにしています。

2021の両社の飛躍に期待したいです。