el_snowの日記

日常の気になった事や思う事、気に入ったオーディオ機材のレビューを思うままに書いています。

中間レビュー:水月雨moondrop新エントリーイヤホン 竹(CHU)  結論:名実共にエントリーレベルキラー

こんにちは

 

今日は昨日届きました中国の水月雨moondropから新しく発売されましたエントリー価格帯イヤホンの 竹(CHU) についての簡単なインプレ(プチレビュー)です。発売といっても中国での話で日本ではまだ未発売のイヤホンになりまして、価格は19.99$です。代理店の地球世界次第ですが円安が続く為替の関係で現在のレートでは2980円程度になるでしょうか。私がHifiGoで注文した時のレートでは2600円程度だったので10日間で随分と上がった感じですね。

今回は1日半ですので中間の結論という形ですが聴き込んだ感想として謳い文句である「エントリーレベルキラー」は伊達ではないです。私が知る限りこの価格帯ではあり得なかった「広大かつ自然でリアルな頭内定位」の音場表現を実現していることは賞賛を禁じ得ません。正直なところ昨年セリホンを聴いた時の感動に似た衝撃を受けています。2000円台のイヤホンは竹によって次のゲームにシフトするのではないかと実感させられます。そして私はこの竹は2000~4000円台の門番的な存在であるFinal E500~3000や、intimeの碧Light2019に加わって新たな2000円台の門番としてのイヤホンになると感じています。

あくまで今回は2日間のインプレレベルではありますので、すこし落ち着きましたら完全なレビューとして補遺したいと思います。

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■購入動機とか

これは10日ほど前の雑記で語った通りです。エントリーレベルキラー、そして清泉の付属、新しい時代の幕開けをいち早く体感したかった……ただそれだけです。

el-snow.hatenablog.com

ちなみに日本での販売も公式Twitterによれば4月下旬発売予定となっています。アナウンス時点から国際情勢などに様々な変化がありましたので不透明ではありますが来週には日本でも発売される予定です。尚SPEC等はHifiGoの下記サイトから確認できます(英語ですので苦手な方はChromeなら右クリックからの翻訳機能などを利用ください)。

Moondrop CHU Entry Level Wired Dynamic IEMhifigo.com

 

■付属品とかパッケージとか

今回はHifiGoから購入したのですが写真右の木製の栞みたいな板が付いていました。事前アナウンスは無かったのですがおそらくHifiGoのショップ特典の様でシンセンオーディオで購入された方は付いてこなかったという情報があります。尚HifiGoについても現在も付属するかどうかの記載はありませんので、どのような基準で付くのかは不明です。

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にしてもパッケージは19.99$という2000円程度の価格帯としてはかなりの気合が入っています。印刷の品質も高く、かぐやひめ?を模した水月雨のキャラクター水月ゆきが鮮やかにパッケージを彩っています。

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パッケージを開けるとこんな感じ。付属品を取り出すとHifiGoのサイト通り、イヤホンだけでなく様々な付属品が付いています。
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ケーブルはやや癖が付きやすいタイプで、比べてみるとQuarksの色違いのようです。質感や手触りもかなり似ています。

イヤーフックは100均に売っているマスク用の物と同じ感じです。使ってみたところ癖が残りやすく太さがあるため、竹のケーブルがフックの角度について来れず根本部分がすぐに外れてしまいイマイチでした。イヤホン着けると耳の根元が擦れて痛くなるケーブルではないので、どうしても痛くなるという方以外は不要と思いました。

ケーブルタイについては展開時にイヤホンケーブルに半固定できるタイプではないので紛失しやすいのです。こちらも使い勝手はあまりよくはありませんが、Moondropのロゴが入っており安っぽくありませんし、これらは何個あってもうれしいグッズです。

イヤホンポーチはフェルト製で厚みが無く使いにくいです。ひろげて押し込むとイヤホンが入れられます。個体差かボタンが少し硬いのでイヤホンを入れ状態ではケーブルや筐体を押してしまう可能性があり使い勝手はあまり良いとは言えません。しかしながらこちらもないよりはましですし水月雨の刻印があるので安っぽくはあるのですが、(私は)これはこれで使っても良いかな?っと思えました。

最後にイヤーピースですが、予告通り清泉が3サイズ入っていました。単体販売では3サイズぺアで1700円程度ですので、FinalのEシリーズの様に単体で買うよりかなりお買い得感があります。

総じてこれらのグッズは100均や付属品のイヤホンから初めてちょっと良いレベルのイヤホンが欲しいという方に合ってうれしいグッズたちです。私個人として特に需要が大きいのは装着感の良いイヤーピースです。これはイヤホンの音質を大きく決定付ける要因になっている肌に触れるアイテムですので、基本的にここは絶対に妥協できません。繰り返しにはなりますが、カナル型のイヤホンを使っていてもポータブルオーディオに明るくない方の場合はイヤーピースが合っておらず、低音がほとんど逃げていて「音が悪い」っと勘違いしている方もいるぐらいです。そのあたりは企業側も認知しており大企業のAppleAirPodsで装着ができているかをマイクを使って確認するぐらい重要なポイントです。エントリーレベルのイヤホンではそのようなことはできませんのでせいぜい良いイヤーピースを付けるぐらいです。

その点FinalのEシリーズはEtypeを5サイズ、intimeの碧LightはAET07を4サイズ付けています。清泉は3サイズしかなく、サイズも少し小さいのでFinalではLを付けている自分としては装着できるか少し心配していたのですが、実際に付けてみるとLサイズで耳奥にグッと押し込むとピッタリ付けることができました。どうもFinalのEtype本来の付け方の様に穴が窄まっている部分にシリコンが吸着するように装着するため少し小さいサイズでも問題ない様です。私はそういう意味ではFinalのEtypeは外側に軽く装着しているので本来Finalが想定する付け方をしていません、そしてFinalの想定する付け方はかなり耳が疲れてしまい装着に違和感を感じます。一方で清泉は長時間付けていましたがかなり快適でした。これはイヤーピースの素材が吸着するタイプで耳をEタイプの様に押し広げて保持しているのでは無いためだと思われます。

Twitterのタイムラインを覗くと清泉が上手くフィットしないという人もいますが少しコツがいる様に思います。清泉を付けて低音が無くなったと感じる方はいつも付けているイヤーピースの位置よりぐっと奥に装着させるイメージで付けてみてください。ピタっと耳奥にひっつくような感触があって周囲の音が少なくなれば装着できています。そうすれば控えめではありますが概ね他のイヤーピースに近い量感の低音は感じるかと思います。そして使った感想としてはうまく吸着できればかなり快適なイヤーピースだと思います。

ちなみにオーディオマニアであれば清泉の付け方は難しいと思うかも知れませんが初心者であればEタイプも同じように難しいのでサイズ展開の差でしか無いと思います。

 

ということで、迷ったらまず初心者に竹をおすすめすることが出来るというレベルの付属品がそろっています。

尚、余談ですがkzやcczなどでも同じ1000円~2000円の価格帯の中華イヤホンは高音質でコスパが凄いとか高い価格のイヤホンに匹敵すると言われます。勿論音はドンシャリで映える音にはなっているのですが、イヤーピースがちぎれるレベルで低品質だったり、ケーブルのマイクにイヤホンの音が載るぐらいクロストークが酷かったり、ケースや、イヤーフックなどイヤホンマニアなら持っていそうなものがありませんのでそのコストを足すと肝心のコストパフォーマンスが消し飛ぶなんてことがあります。つまり実際にはイヤホンでオーディオを楽しめる作法を分かっている人だけが楽しめるもので、正に初心者(エントリー)におすすめできるものではありません。

 

■外観とか使い勝手とか

実際のイヤホンを持って一番驚いたのはイヤホン本体が以外なほどに重かったことです。20$もしませんので金属でもきっと軽いだろうと思って持つと意外な重さに驚きます。ケーブルは取れませんので正確な重さは決めにくいのですが、概ね8gというところでしょうか。大体TRNのTA1(8.5g)とほぼ同じ重さで、イヤホンとしてはやや重い方ですが致命的な重さではありません。quarksやOLA、他の低価格中華イヤホンなどがものすごく軽かったことによる先入観の問題だと思いますが、何度か想像する重量と異なることで落としかけましたので注意が必要かもしれません。

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実際の外観ですが、誠に見事です。とても20$以下のイヤホンとは思えません。価格帯として近いのはFinalのEシリーズのE500やE1000だと思うのですが比べてしまうとそれらがチープに見えてしまいます。

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イヤホン筐体に入るケーブルの侵入口もShure掛けしたときに自然になる様に斜めに接続されています。垂直に筐体に入るタイプと比べても耳への負担は大きく下がるのでうれしい設計です。また、左右の刻印が大きな文字でRLと記載されており、すぐにRLを判別できます。もちろん左右の形状が異なるので慣れれば暗闇でも左右を識別できると思います。Finalの低価格帯Eシリーズを始め、低価格帯のイヤホンではRLの識別が難しいことが多いのでここもとても素晴らしい設計です。

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筐体の手触りは高級感までは無いものの竹の葉のモチーフをあしらったデザインはゴールドと黒の雰囲気もチープさを一切感じさせません。また、そこそこラフに扱ってみましたが傷一つ付かず、筐体本体も印刷もかなり丈夫そうです。

 

 ■音質とか

○環境

 Xperia10ii(AppleMusic) -LDAC> K9 Pro -> 竹 -> 清泉 or SpiralDot++

 Xperia10ii(AppleMusic) -> 竹 -> 清泉 or SpiralDot++

 iPhone12(AppleMusic) -> MoonRiver2 -> 竹 -> 清泉 or SpiralDot++

○ファーストインプレッション

 Quarksと全く異なる音、低音はやや控えめだが価格帯と付属品を考慮すれば異常に高い解像度と非常に広大な音場を持つ価格破壊イヤホン。エントリーにありがちな奇をてらった音作りではなく、質実剛健でバランスが良い。

○帯域バランス

 清泉では低域は若干弱めでハイ上がりに感じるが概ねフラット

 SpiralDot++では概ねフラット

○音色

 やや寒色より

○音場、重心

 左右が極めて広い、音の重心が高く天井が高いため広大と言って良い

 清泉は音像が近いため迫力があり音がなめらか、SpiralDot++は音像が遠くなるが天井と左右がさらに広がり定位も良くなる

○定位、音像

 異例なほど定位が良い、音のエッジを掴みやすいので音像がはっきりとしており、価格帯を超えたと断言できるほどの音の広がりが良く録音やミキシング後の位置関係が掴みやすい、音像の形成は見事という他無い。

○解像度、分離

 ボーカル帯域に若干の粗さはあるが、価格帯を考えれば全体としては異常に高い。音の分離も極めて良く、広い音場も相まって音が混濁しない。

○低域

量感、アタック感、スピード共に価格なりの表現力。特にJPOPなどで使われるベースよりもサブベース帯域の方が量感があるので楽曲によっては低音には不満がでるかもしれない。その場合は清泉からのイヤーピースチェンジをおすすめしたい。決して悪いわけではないが初心者で低音の量感を求める場合は碧Lightなどの他のイヤホンの選択肢を考えた方が良いかもしれない。

○中音

ボーカルは音像の重心が高く響きと余韻が美しい。清泉では音像の近さから迫力があり、歌い方の表現を魅せてくる鳴り方をする。一方で解像度に対して解像感が低く、音色の質感がJPEGのブロックノイズの様な粗さ(ざらつき感?)じるので、この音色表現が気に入るかどうかで大きくこのイヤホンの評価が分かれると思われ、

価格は高いがSpiralDot++の方がボーカルが俯瞰的になり楽器に焦点が合うようになるので中域の表現の粗さが気になりにくい。

○高音

Quarksなどと比べると高域の伸びは一般的でサ行は刺ささり気味ではあるが、この価格帯の一般的なイヤホンレベル以上にしっかりとした定位を持っており必要十分な音色。高域に関してもSpiralDot++の方がやや伸びる。生録音の音源ではSpiralDot++がやはり強い。

 

●F特性グラフ

竹CHU(RL) vs Quarks(Ave)

 

○気になったこと(アンプによる印象の違いについて)

中域の表現で言及した音色の粗については細かく言えば全体の音色にも共通している。特にその傾向は上流のアンプに左右されているように感じた。MoonRiver2が特にその傾向が強く解像度が高いアンプによってイヤホンの限界を見せつけられているかの様に感じた。一方でXperia10ii直刺しはアンプの性能に引きずられており、SONYの味付けが相まって良い感じの音を良い感じで聴ける、本来ターゲットとしているのはこの層だと思われるのでうまくチューニングされていると思う。一番粗を感じにくかったのはK9 Pro LTDでリスニングサウンドの味付けが上手く竹の限界を覆い隠してくれており、19.99$とは思えないサウンドを奏でてくれた。

 

○所感

総じて19.99$という価格、あえてエントリーレベルキラーと銘打ったこと、それら全てが腑に落ちた音色と設計だと感じた。特にこの価格帯ではどのメーカーも成し得なかったオーケストラやジャズやライブといった生録音の自然な定位と音場を実現したエポックメイキングな機種です。

尚、公式から下記のツイートがあり、竹CHUを聴くと同意しかないです。

「他のイヤホンと比較して、Chuは楽器やボーカルの元の音色と位置をより正確に明らかにすることができます。よりオープンで自然なリスニング体験を提供するだけでなく、レコーディングおよびミキシングの専門家のニーズも満たします。」Google翻訳より

https://twitter.com/moondroplab/status/1516718448377802752?s=21&t=1aI6aJWvn3HWNOVbY0s-6A

 

せっかくなので同価格帯~上位価格帯との印象の比較を書くと

 

対 quarks

狙ったターゲットが明確に異なる機種と感じた。quarksはあくまで自然な中~高域の音色とその余韻にこだわった耳の肥えたオーディオマニア向けの玄人イヤホンであり、竹はオールマイティなバランスで現代的な音場が広く音が映えるイヤホン。解像度は似たレベルではあるがQuarksは圧倒的に左右の音場が狭く、音場表現というより音色表現にこだわっているため、竹を聴いた後にQuarksを聴くと中高域の表現力に驚く一方で窮屈さを実感してしまう。ボーカルや楽器の音色だけでなく楽器の位置関係も含めて楽しめるオールマイティなイヤホンという意味では竹が抜けて優秀と感じた。

 

対 E1000, E500

Quarksと同じようにターゲットが異なる。E1000は中域でもボーカルの表現力に重点を置いている機種であり、E500においてもASMR用、一般音楽用となっているがあくまで頭内の自然な音場や定位表現は得意としていない。E1000はPOPSなどのボーカルを中心とした楽曲でボーカルを主体に聴きたいという場合はお勧めできるが、オールマイティなイヤホンという意味では竹が抜けて優秀と感じた。E500はE1000よりもオールマイティではあるが、E1000同様に解像度でやや竹に後れを取っている上に音場が狭いため一般受けするエントリー商品としては竹がすぐれているように思う。尚、解像度に関して画像の例で補足すると竹はモザイクでEシリーズはソフトにぼけているイメージです。

 

対 碧Light2019

直接比較した結果を書きたかったのですが、どうしても家の中にあるはずの碧Lightが見当たらずまた後日記載したいと思います。

 

 

■結論(中間)

今回は1日半ですので中間という形ですが聴き込んだところ謳い文句である「エントリーレベルキラー」は伊達ではないということを実感しています。私が知る限りこの価格帯ではあり得なかった「広大かつ自然でリアルな頭内定位」の音場表現を実現していることは賞賛を禁じ得ません。正直なところ昨年セリホンを聴いた時の感動に似た衝撃を受けています。2000円台のイヤホンは竹によって次のゲームにシフトするのではないかと実感させられます。そして私はこの竹は2000~4000円台の門番的な存在であるFinal E500~3000や、intimeの碧Light2019に加わって新たな2000円台の門番としてのイヤホンになると感じています。

いや、まだ2日ですが、ほんとに初心者はまずこれ買うのを勧めたくなりました。

あくまで今回は2日間のインプレレベルではありますので、エージングを100時間ほど行い、すこし落ち着きましたら完全なレビューとして補遺したいと思います。

 

ではまた明日

 

■Appendix

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.5

INPUT:Scarlett Solo XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:ADI2DAC fs (3.5mm IEM端子、DJ44C併用)768KHz32bit 0dB

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用

イヤーピース:AET07 Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み