こんにちは
今回は先日のBQEYZ(ビーキューアイズ)様から依頼のRimeケーブルに続いてイヤホン本体も含めたWinterのレビューになります。
結論:A30K Tier1 参考価格:27,600円(*装着が合う場合に限る)
Winterはイヤホンと耳介を接触させるように装着することで臨場感と広大な音場による解放感と響きの豊かな音色を楽しむことができるイヤホンです。筐体が大きめで装着調整が難しい点には注意が必要ですが、高級価格帯でしか得られなかった聴き取りやすい個性的なサウンドを2万円台で楽しむことができます。ケーブル等の付属品の品質も高い上に本体のビルドクオリティも高く、帯域バランスもフラットに近いためオールマイティに使えるイヤホンです。BAやDD等と異なり、骨伝導ドライバの感じ方は個人差があるかと思いますのでTier2にしていますが骨伝導を感じられ気に入る方はTier1にもなり得る実力機です。
Pros(優秀な点)
◎頭内の振動感が強い臨場感ある聴き取りやすい個性的なサウンド
〇広い音場と響きによる解放感が良質
〇ケーブル等の付属品の品質が良い
Cons(微妙な点)
△筐体が大きく突起があるにもかかわらず適度な耳介との接触調整が必須
- 結論:A30K Tier1 参考価格:27,600円(*装着が合う場合に限る)
- レビューの注意
- 動機付けなど
- 箱とか付属品とか本体
- 音質について
- SPL周波数特性測定とか
- 相性について
- 音質の総評、所感
- 結論:A30K Tier2 参考価格:27,600円
- Appendix
レビューの注意
イヤホンやヘッドホン、スピーカーは人によって聴こえ方が違います。聴力や育ってきた環境などにも左右されます。このためレビュー自体は絶対的なものではなくあくまで私個人が感じた感想になります。
可能であれば試聴なども踏まえて購入の判断にしてもらえれば幸いです。
動機付けなど
モチベーション
イヤホンはBQEYZの新作四季シリーズイヤホンWinterです。以前AutumnやTopazなどをレビューさせていただきましたが質の高い質実剛健のサウンドでありながら全てイヤホンの構成がことなるアプローチを続けていることが知られています。今回のWinterも(恐らく)この2万円台で初の骨伝導ドライバを採用したとのことで話題になっていました。
ヘッドホン祭りでは聴けていなかったので今回の依頼は二つ返事でOKしました。
販路、購入先(サポート)
最終的には大型量販店やeイヤホンさん、AmazonなどのECサイトでも購入できるかもしれませんが暫くは下記のMakuakeからの応援を兼ねた購入になるかと思います。
Amazonに入りました
サポートについては日本のBQEYZが直接行うのかと思いますので大型量販店やイヤホン専門店並のサービスは無いのでその点は注意が必要かもしれません。
SPEC
上記サイトをご覧いただければ大体わかるかと思います。特筆すべき点があるとすれば高級機に採用されている骨伝導ドライバは低域も兼ねたものですがWinterが採用しているのは高域用の骨伝導ドライバとうことでしょうか。
箱とか付属品とか本体
開封体験
本体はAutumnなどと同じ大きさです。
箱を開けていくとこんな感じです。
最終的な付属品を並べたのがこちら
特にイヤーピースは豊富でフォームタイプを含めると4種類付いています。2万円台のイヤホンとしても十分な付属品だと思います。
筐体
筐体のマクロ写真はこちらです。
流線形のフォルムが美しいですね。
角度を変えるとこんな感じです。
内側には音質調整用と思われるベント穴が2つ開いています。またRL表記は彫刻してあるタイプです。ポイントとしてこの内側の部分を適度な圧力で耳介に接触しているとAutmunの音色を最大限に楽しむことができます。
Lofty、KATO、S12など同価格帯のイヤホンと比べたのがこちらの写真です。
これらと比べても一回り大きい感じでしょうか
続いてTopazやAutumn、HEXAと比べたのがこちらです。
Winterの大きさが際立ちますね。Autumnとマクロで比べた写真がこちらです。
流線形のフェイスプレートのデザインは見事ですが筐体は一回り大きいことと内側に向かって突起があるタイプなので装着感には注意が必要かと思います。
ステム形状 直径5.8[mm]
ステム部分をアップにした写真がこちらです。
金属メッシュタイプですね
重さ 両側計14.1[g]
Loftyの14.4gと比べても概ね同じですが、Autmunの12.1gと比べれば少し重くなっています。筐体の大きさが大きく鳴った割には重さは増えていないとも言えますね。
リケーブル端子
フラット2pinが刺さるタイプなのですが内部的にはQDC端子を埋め込んでいるようなタイプです。
ケーブル
取り回しについては標準的ですが全体としては非常に高品質なケーブルが付属しています。個別記事にもまとめていますので気になる方はそちらを参照していただければ幸いです。
重さ 24.4[g]*タイ含む
Loftyの付属ケーブルの35.5gに比べれば軽めです。
抵抗値(直流インピーダンスΩ)
KYORITSU MODEL2000にて0.2Ωでした
クロストークチェック
手順*1に従って確認しましたが、聴感上気になるクロストークはありませんでした。
付属イヤーピース
付属品の一覧にしたものがこちらです。
合計で4種類、フォームタイプ以外は3サイズ付いています。後述するのですがこのWinterは骨伝導イヤホンのためかフィット感が普通のカナル型以上に重要になります。
残念ながらこれら全て私の耳にはフィットせず、普段はフィットするJVC SpiralDot++でさえフィットしなかったので今回は水月雨Moondropの清泉XLを使用しています。そこそこの価格帯ですのでできれば3サイズでは無く5サイズなどでより幅広いサイズに対応できるようにしてほしいところです。
付属ケース(充電、電池持ち)
Autumn(写真右下)とTopaz(写真右上)と比較したものがこちらです。
サイズが一回り大きくなったのでケース内に余裕が出た様に思います。内部にはメッシュポケットもありますので予備のイヤーピースを入れるなどもできて使いやすさは上々です。Winterはリケーブル不要だと思いますがこのクラスのイヤホンになるとリケーブルした際には太いケーブルを使う可能性もあり、そのような場面でも使えそうです。
使い勝手の評価
寝ホン
できなくはないのですが本体が大きく、突起が耳に当たりかなり痛いです。個人的にはお勧めできないのですが、音色の特性上小さな音量でも立体感を感じやすいサウンドなので使えないことは無いかと思います。
外使い(音漏れ、遮音性、ノイズキャンセル)
指でステム側を抑えて遮音してみました。ベント穴があるためかそれほど遮音性は高くありません。大体4〜5割程度は漏れている印象ですが骨伝導の効果か音量をあまり上げなくても良く聴こえるイヤホンなのでボリュームさえ上げなければ音漏れについてはあまり気にしなくても良さそうだと感じます。
特に印象的なことは音が頭の中心付近で分厚く鳴ることで小音量でも音を拾いやすいということです。一般的な骨伝導イヤホンなどで感じられる傾向をある程度持っているように感じました。
ホワイトノイズ
ホワイトノイズが出やすいLotto Paw Picoに繋いでみました。結果としては気になるノイズはありませんでした。
接続性(プラグ、規格、BT化等)
今回は4.4mm版を注文しましたが3.5mm版もあるようです。Rimeでは2.5mmの先とも交換できるケーブル仕様とのことなのでこちらの方が嬉しかった人もいるかもしれません。ただ個人的にこのクラスのイヤホンであれば私は4.4mmしか使わないので寧ろこちらの方がプラグは小型化していて接点も少ないので気持ちも晴れやかです。
音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等)
全体としてこのクラスの価格帯のイヤホンに求められている標準的なクオリティは見たいしていると思います。骨伝導を活かすためにイヤーピースの種類を増やしている点は好感が持てます。素晴らしいのは別記事にもしています付属品のRimeケーブルでしょうか。単品での購入としても価値のあるケーブルだと感じます。
音質について
ファーストインプレッション
M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
ファーストインプレッションについてはこちらの記事を参照ください。
24800円と言う価格を考えた場合、BQEYZの音色の方向性を保ちつつ良い方向に進化したと感じました。
競合機種との比較について
26,000円前後として考えると価格帯であれば水月雨Moondrop KATOやNICEHCK Lofty、LETSHUOER S12/S12 Proなどが浮かびます。骨伝導ドライバをオーディオ用に採用した機種となると一気に高価格帯のイヤホンになり、UMのMestやMest mk2、EMPIRE EARS Legend EVOなどの名前があがります。残念ながらこれらの骨伝導ドライバを採用した機種は手持ちに無いので試聴したレベルでの比較にはなってしまいます。さらにそこに加えて前機種のAutumnも加えて対比して記載していければと考えています。
エージング(バーンイン)
通常使用で2時間ほど仕様した後にAGPTEK 19Xを使ってリスニングボリュームでプレイリストTEST1を240時間ほどループ再生させました。その後通常使用で10時間ほど使用しています。
試聴環境
価格帯を考慮して標準環境*2の中で今回は
①M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpringTips清泉
④Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpringTips清泉
を使用しようとしたのですが途中でSpiralDot++がフィットしていないと気づき、イヤーピースを模索した結果、清泉XLが最もフィットして骨伝導らしい音色感じることができたので今回はSpiraldot++を使用していません。
なので今回の構成はこちらになります。
M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpringTips清泉
Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpringTips清泉
JVC SpiralDot++は音色の相性が悪くてもフィットはすることが多かったので今回は例外中の例外になります。どうもステムの長さと筐体内側の突起などの組み合わせ、そしてイヤーピースの振動特性により骨伝導の音が伝わるか伝わらないかが異なるかと思われます。
帯域バランス
概ねフラットバランスではあるのですが超低域になるサブベース帯域や20KHzに近い超高域は量感が少なく中域が目立つ大きなカマボコバランスです。感覚的にはAutumnのマグネットを低域を減らすものに変更したバランスに似ているでしょうか。中華イヤホンに求めれがちなドンシャリバランスとは異なりどちらかというとオールマイティ型になるかと思います。
音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み)
骨伝導ユニットからの音の伝わりがあるかどうかで印象が変わりやすいのですが分厚い臨場感あふれる音と広大な音場に豊かな響きを両立させた価格帯でもユニークな音色を持ちます。やや寒色よりで明るく乾いた音色が良く響くAutumnの延長線上の音ではあるのですが、最も違うのは分厚く芯がある音色であるということで、この音の太さは慣れると病みつきになりかねない魅力を持っています。
今回、オーディオ的な骨伝導ユニットを搭載するイヤホンを始めて使ったのですが、小さい音量でも音像の芯が太くて音像を拾いやすいほか、中心の音像のエネルギー感が一般的なイヤホンより強く感じられました。この分厚い音色は他の何倍も値段がするイヤホンに変えても出ず、何か物足りない気持ちにさせられるほどでした。
当然ながらSpiralDot++のイヤーピースなど耳と筐体の接触面積が少ない場合では傾向が小さく感じていたので装着の調整は最重要課題ではありますが、前述した高級価格帯の骨伝導ユニットを搭載したイヤホンでしか感じられない傾向を2万円台で感じられるのは破格と言っても良いかもしれません。
音色(雰囲気、音のつながり)
高域用の骨伝導ドライバとのことなのですが中域から上の音の倍音にも作用しているのか中低域から上の帯域は全て骨伝導ドライバの音が乗っているかのような頭の中の響きがあります。個人的には骨伝導ドライバだからそうなっていると早計には思わないし言わないし考えない方ではあるのですが、それらしい音色が重複して音を出している感覚があります。
音場(広狭、重心、遠近)
音場は横に広い上に縦方向も前後も広くクラス最高峰の広さを誇っているかと思います。重心はやや高く目頭のあたりで音は近く頭の中心付近に感じられる迫力と臨場感を兼ね備えた音色です。S12より横が広いS12Proよりも広いので音場の広さに関しては価格帯を大きく超えて前述したハイエンドクラスと遜色なくありません。
定位、音像
価格帯を考えれば十分な定位と音像です。ただ高価格帯のは音の太さや音場の広さでカバーできていますがややぼやけ気味ではあります。いわゆるデジカメのデジタルズームの様な感覚で広い音場に対して音像も拡大されているような感覚です。音の芯の強さと音の厚みは定位と音像をはっきりとさせるので当然ながらAutumnと比べても十分に進化を感じられると思います。
解像度、分離
解像度は価格帯を考えれば概ね良好です。A30Kの競合機種と比べても遜色ないレベルではあるのですが秀でてもいません。一方で骨伝導ドライバを搭載した10万Overの高級機との一番の違いは何かと言われるとこの解像度で、音色の表現力に加えて、解像度とその差からくる分離感の表現力が決定的な差になっています。オーディオとしての楽曲内の分離は価格帯として必要十分なのですが一方で外音とイヤホンの音の分離は素晴らしく、小さい音量でも明瞭に聴き分けが可能です。
低域の質について
残念ながら量感、質共に値段帯を考えるとあまり良い低音ではありません。M17ぐらいの駆動力があればよいのですがBTR7程度のアンプの場合は最低限の低音の量感はあるので楽曲としては問題無いのですが少しゆったりとした印象でじわじわと広がるタイプの低音の質感でスピード感がありません。ベースなどの楽器にキレが無いため低音を目的にこのイヤホンを購入すると、残念に思うかもしれません。Autumnでも似たような系統ではあったものの、爽快な音色と相まって量感を調整できたりと工夫が見て取れたのですがWinterでは調整ができないことも仇となっているように感じます。良い点を挙げればゆったりとした量感多くない音色にも関わらず倍音がしっかり乗るためか一般的なイヤホンより振動感を強く感じられる点で、頭の中心から鳴っている感覚が強い鳴り方です。好き嫌いは分かれるかと思いますが新しい感覚なので良いと感じる方も多いかと思います。
中域の質について
このイヤホンの旨味は中域から上の帯域に詰まっていると言って過言では無いと思います。頭の中の肉を揺らしているような質感と量感がたっぷりあり、音の厚みとして表現されてしっかりと描写されます。こう言ってしまうと中央に音色が纏まってしまって音場の狭さを感じるように思えますが音像が高いことに加えて響きが良く、濃縮した音が外に音抜けていく感覚があり不思議な爽快感と共に音のエネルギーを肉で感じます。
外音との聴き分けが容易な点も特徴で、小さい音量でもはっきりと聴き取りやすいです。解像度はそれほど高くはないのですがエネルギー感に圧倒される中音域は一度慣れてしまうと、どのイヤホンにしても物足りなさを感じます。これが骨伝導ユニットによるものなのかは定かではありませんが、これに慣れてしまうと他のイヤホンでは満足できなくなりそうな怪しげな魅力すら感じます。
私は好きになれましたがもちろん感覚によるものなので好き嫌いは分かれると思います。いずれにしても高級機でしか感じられなかった感覚をこの価格帯が味わえるというのは破格なのではないかと思います。
高域の質について
高音の量感はそれほど多くはありませんがしっかりと鳴っているタイプです。音色は自然なのですがややエッジが甘く音像の輪郭は曖昧です。一方で音場が広く定位が良い上に暗めで重い高域表現なので好き嫌いが分かれやすいかと思います。特に鈴の音なども音色が重く実態感があるのか一回り肉厚な楽器を鳴らしているような感覚すらあります。また、音像も広い音場にも関わらず高域の楽器が一般的なイヤホンより下方に定位しやすくそのあたりも少し気になりました。
女性ボーカルのサ行などの歯擦音は刺さりやすい曲でも刺ささらず、かなり刺激音を抑えてあるチューニングだと感じます。表現の仕方が今までの骨伝導ドライバのない物と異なるためなのかはわからないのですがやや特殊な表現です。
この特殊な音色にどれだけの価値を見出せるかがポイントになるかと思いますが、個人的には刺激音が無い上に刺さりやすい曲も全く刺さらず聴けるこのWinterの高域も悪くないと感じています。
SPL周波数特性測定とか
標準環境*3での測定結果がこちらです。
見ての通り、Winterの販促ページとほぼ同じ形ですね。
vs Autumn vs Topaz
同社の過去のイヤホンと比べてみたのがこちらです。
こうして比べると低音の量感はほぼ同じレベルだということが良くわかりますね。周波数特性を比べてみると中域はWinterとTopazの方が近いバランスの様ですね。
vs Lofty vs KATO vs S12
同価格帯の機種と比べたのがこちらです。
この中では一番低音が弱く、中域高域の量感も少なめのようですね。
全体としても特段中域が強いということも無いのですがバランスとしては骨伝導ユニットが影響しているのか中域が目立つように感じます。
相性について
ジャンルの得意不得意
低音の量感不足をどう捉えるかですが特に良い上流が準備できない場合はゆったりした楽曲に良く合うように思います。他にも音の聞き取りやすさという特徴があるのでオーディオだけでなくビデオ会議などの実用的な用途にも合うように思います。
アンプ(上流)による印象の違いについて
Autumnなどはあまり上流に左右されなかったのですがWinterは上流の駆動力に従って低音のスピード感が改善するように感じます。特にノートパソコン直挿しなどでは音色全体が遅く感じるまでありました。一方でM17DC等の駆動力がある環境では低音にキレがでて来るほか音色が全体にクリアになります。ある程度の価格のイヤホンでもありますので上流もある程度良いものを準備するほうが良いかと思います。
ケーブルによる印象の違いについて(注意)
注意:
リケーブルについては科学的に見ればごく低品質なものを除いて音質の変化に対する定量性のある決定的な証拠はありません。
このためリケーブルは貼り付けなどと変わらないオカルト的な要素を過分に含みます。
幸いながら私はイヤホンケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。
M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 「 」-> Winter-> SpringTips清泉
デフォルトケーブルについて
前回のレビューでも記載している通りデフォルトケーブルのレベルはかなり高いので交換したケーブルも相応の物を準備しています。
NiceHCK SpaceCloud 4.4mm
解像度はほぼ同じですが音色が少し寒色寄りになり明瞭で高域のエッジが立って音色の解放感が上がります。低域のスピード感は少し良くなる傾向があるのですが音が若干軽くなってしまいます。音場の広さは概ね同じレベルですがより解放感があるので場合によってはこちらの方が好みの音色と感じられる味変に良い変更先かと思います。音色がグレードアップした感覚は無いのでその目的であれば別のケーブルの方が良いかと思います。
NiceHCK GreenJelly 4.4mm
SpaceCloudから比べるとやや艶感が出る一方で上下の音場のプレゼンテーションは下がってしまいます。標準ケーブルのRimeと方向性は似ているのですがサブベースに近い深い帯域の低音の存在感が無いことと中域音色の厚みが少し減ることでしょうか。
NICEHCK Fourmix 4.4mm
Amazonでの取り扱いが開始されたFourmixも試してみました。値段がAliexpressとほぼ変わらない価格であることは嬉しいですがSpaceCloudと値段が逆転している点は微妙な気持ちです。
変化としてはほんの少し解像度が上がり音量が上がったうえで音色に明瞭感が出ます。中音から低音のアタックとリリースのスピード感が増してキレがよくなる変化は流石にでM17など駆動力のあるアンプと組み合わせると低音のマイナスイメージはありません。また中域、特にボーカルの音の厚みに生々しさと解像度の高さが足されることでwinterの強みがより一層引き立ちます。
マイナス面としてはどうしても音場表現が中央に寄りがちでWinterの広大な空間表現の良さが活きません。音場表現よりも解像度などを重視したい場合は良い組み合わせかと思います。
JSHiFi 銀月 4.4mm
明らかに音場の横が狭くなった感覚が出ます。ボーカルが近くなって厚みが出て迫力が増す感覚があります。音像が少し高くなる感覚があります。中高域が明瞭ではあるのですが低域の存在感は更に減る感覚があります。良い部分の変化も多いのですが解像度は同等かすこし下がるので好みは出てしまうかもしれません。
64Audio Premium Cable 3.5
今回試したケーブルの中で一番音場表現に優れたケーブルでした。上下と前後が広大なことに加えて音の分離が良く音色が正確だと感じます。価格が3万円ほどなのでイヤホンの値段と変わらない点を踏まえると微妙な気持ちになりますが素晴らしい音色でした。
イヤーピースによる印象の違いについて
M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> Winter -> 「 」
JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)
残念ながら私はこのSpiralDot++を装着した場合イヤーピースとケーブルしか耳介に接触しないようです。このためいわゆる骨伝導ユニットとして筐体を通して音が伝わるはずの部分はイヤーピースとケーブル経由だけになり、意図した音色を実現していないと考えられます。それを踏まえた上で音の変化を伝えれば
横の音場が大きく広がります。低域と高域がよりわかりやすく主張してくれる一方で頭の中で音の厚みがなくなります。音全体がクリアになる一方で音色の厚みがなくなりなんとなく薄い音色になります。全体としては横に広くなったAutumnという感じで、ファーストインプレッションの感想そのままになります。
Spinfit W1(中域、低域、解像度重視)
W1はSpringTips同様に筐体が耳介に接触してくれるようで音色の厚みが出ます。全音域で解像度と質感が向上する傾向はそのままなので、他のイヤホン同様に1ランク上のイヤホンの音色と感じるまであります。シャキシャキとした音色になる一方で音色はやや暗いので好みは分かれるかもしれません。音場はSpringTipsから比べるとほぼ同じ広さかやや狭いぐらいかもしれません。
Moondrop 清泉 Spring Tips(中域重視)
今回のデフォルトイヤーピースです。
AZLA SednaEarfit Vivid(コストパフォーマンス重視)
こちらのイヤーピースも耳介に一部接触するようで音の厚みがでます。高域の表現がほんの少し華やかになりますがSpringTipsと解像度などの変化はほぼありません。中域の表現力はSpringTipsに分がありますが楽器の音にメリハリが出るので楽器を重視する場合はこちらのほうが良いと思います。今回のレビューでは清泉基準で評価してしまったのですがメリハリがあるためバランスとしてはこちらの方が良い様に感じました。
音質の総評、所感
戸惑いも多かったですがレビューを通して素晴らしいイヤホンだと実感しています。
骨伝導ドライバのおかげかハッキリとわからないのですが筐体と耳介の接触面積と圧によって音像が大きく変化します。このためかなり使い勝手に癖のあるイヤホンでした。しかしながらしっかりと装着できた時の音色は通常のイヤホンでは感じられないほどの音の厚みがあり、この価格帯でこの音色を楽しめるのは破格なのだろうと思います(3回目w)。
私自身は骨伝導ドライバを本格的に採用したイヤホンはUMのMextやMestシリーズの試聴ぐらいでしか知らないのですが使い始めると病みつきになりかねない魅力がある音色だと感じました。結論ではTier2にしていますがもう少し踏み込んで書けば骨伝導ドライバを感じられる人はTier1、感じられない人はTier3になるかと思います。
個人的には装着条件が限られてしまう事、そしてその効果が骨伝導なしのイヤホンでは感じられない音だと断言できるだけの経験はまだ不足していると感じました。なので本当に骨伝導ドライバの効果を感じられているのかまだ疑問が無いわけではありません(もうすこし装着感を改良すればさらに本領を発揮できる????)。とはいえWinter独自の音の個性は強く、素晴らしいものでそこを評価するとこのような評価になりました。ということで骨伝導の経験値が高い人はもう少し評価するのであろうと考えています。
もしかするとこのBQEYZのWinterを皮切りに低価格骨伝導ドライバが他のイヤホンにも採用されてくるのかもしれませんが、説明によればPiezoを使った骨伝導ドライバなので現状ではこのWinter独自の技術のようにも思えます。
初めての骨伝導ドライバなので評価に苦労した面はあるのですがそれ以上に最終的に骨伝導ドライバの良さを実感させられてしまいました。
このWinterは試聴はできない状態ですし強くお勧めすることは難しいのですが(試聴できたとしても骨伝導を実感するには装着調整を含めて時間がかかったのですが・・・w)価格を考えればかなりレアリティの高い音色だと思います。BQEYZを応援したいと言う方は27600円でも十分に応援購入の価値はあるイヤホンだと感じました。
結論:A30K Tier2 参考価格:27,600円
Winterはイヤホンと耳介を接触させるように装着することで臨場感と広大な音場による解放感と響きの豊かな音色を楽しむことができるイヤホンです。筐体が大きめで装着調整が難しい点には注意が必要ですが、高級価格帯でしか得られなかった聴き取りやすい個性的なサウンドを2万円台で楽しむことができます。ケーブル等の付属品の品質も高い上に本体のビルドクオリティも高く、帯域バランスもフラットに近いためオールマイティに使えるイヤホンです。BAやDD等と異なり、骨伝導ドライバの感じ方は個人差があるかと思いますのでTier2にしていますが骨伝導を感じられ気に入る方はTier1にもなり得る実力機です。
Pros(優秀な点)
◎頭内の振動感が強い臨場感ある聴き取りやすい個性的なサウンド
〇広い音場と響きによる解放感が良質
〇ケーブル等の付属品の品質が良い
Cons(微妙な点)
△筐体が大きく突起があるにもかかわらず適度な耳介との接触調整が必須
〇最後に
今回このような機会をいただけましたBQEYZ様には重ねて感謝申し上げます。
Appendix
購入リンク
*1:
ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします
*2:
①M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
②M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
③iphone12"AppleMusic" -A1749-> -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
④Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
⑤GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
⑥Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LHDC-> UTWS5-> イヤホン -> SpairalDot++
*3:
〇測定環境
ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4
ソフトウェア:REW V5.20.13
INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit
OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換
カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用
イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ
〇測定パラメータ
入出力バッファ512K、Acoustic Reference
出力音圧レベル:−12dB
Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz