こんにちは
今回はHifiGo様からの依頼のTRN Rosefinchの簡単なレビューです。趣味でやっておりますので基本的にはいつもと同じ基準で記載しています。
インプレ結論:A7K Tier3 参考価格:6580円
Rosefinch 朱雀はスッキリとした透明感と迫力あるサウンドに、高域~超高域の量感があるサウンドバランスを備えたコストパフォーマンスに優れる平面駆動型イヤホンです。リケーブルによるサウンドチューニングの余地がある点や、1年保証なども付いており安心できますが、付属ケーブルの3.5mmプラグが交換式(4.4mm, 2.5mmは付属せず)のため、常用するにはプラグ部を別途準備するかテープで固定するなどの工夫が必要です。
格安の平面駆動イヤホンですが能率やケーブル仕様上、リケーブル予定の中級者などにオススメです。
Pros(優秀な点)
〇 スッキリとした透明感と迫力があるサウンドチューニング
〇 平面駆動の得意とする高域強めの魅せるサウンドバランス
〇 QDCリケーブル対応
〇 1年保証付き
ー 標準ケーブルの線材は良質だが、プラグが交換式なのに3.5mmのみで、4.4mm, 2.5mmは付属せず
Cons(微妙な点)
△ 能率が低めで主流とは異なる帯域バランス
△ 歯擦音などやや刺さりを感じやすい高域表現
✖ ケーブルの3.5㎜プラグが着脱式で外れやすい
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- インプレ結論:A7K Tier3 参考価格:6580円
- 動機付けなど
- 箱とか付属品とか本体
- 音質について
- SPL周波数特性測定とか
- 相性について
- 音質の総評、所感
- Appendix
動機付けなど
モチベーション
昨年中華の低価格市場を席捲したのは平面駆動ドライバのイヤホンでした。実際の中を分解したわけではないのでどのような違いがあるのかは不明ですが、現在の平面駆動ドライバには四角いスクエア型(SPD)と円形の型の2種類のドライバがあるようです。半導体プロセスなどと同じ作り方をしていると言われており、スクエア型は円形より音質的に不利ではありますが、製造時の無駄になる面積が少なく(一度に沢山量産できるため)低価格で作れるようです。このため、少し値段がはる平面駆動は円形で、低価格型はSPDを採用しているとききます。
今回のRosefinch 朱雀はドライバの形状についての記載が無く、もしかすると円形タイプが搭載されているイヤホンではないかと噂されており、同価格帯のPandamonやPLA13と比べてどうなのかが気になったため、依頼を受けてみました。
販路、購入先(サポート)
AmazonのHifiGoからPirmeで購入できます。
現在は全ての出品を見るからの購入が必要です。尚、今回のRosefinchも製品の1年保証が付いています。
SPEC
上記の販売サイト等を御覧ください。ポイントとしては前述したように平面駆動型で格安ということでしょうか。
箱とか付属品とか本体
開封体験
いつもの低価格TRNの箱より一回り大きいサイズの箱に入っています。比較にMT4の箱を置いています。
箱を開けるとこんな感じ
フェイスプレートの面はMT4などと異なりこの価格帯の品質を十分に満たすものだと思います。
驚くことに奥には本体のデザイン専用のマニュアルが入っています。
TA3同様に装着の仕方などがわかりやすく日本語で書かれています。いつも通りなのか100~500時間のエージング推奨が書かれています。
付属品を全て広げるとこんな感じです。
筐体
筐体のサイズ感は良く、ビルドクオリティもまずまずですね。
端子の近くにはRLの刻印があります。
競合機種との比較
左からRosefinch, CCAのPLA13、Kinera Celest Pandamon、同TRN TA3などとくらベてみました。
コネクタ 「QDC」
低価格中華イヤホンで代表的なプラグですね。
ステム形状 「5.87[mm]」
重さ 「10.0[g]」
Kinera Celest Pandamonが7.0g、PLA13が12.1gですし一般的なイヤホンの重さです。
直流インピーダンス 「29.8[Ω]」
テスタ―*1で実測したところ直流インピーダンスは両側平均29.8Ωでした。
ケーブル
TA3に採用されているプラグが交換できる3in1タイプの見た目が良く耳掛けの部分が付いているケーブルです。適度な太さと丈夫さ、触り心地の良さでケーブル部分の使い勝手はこのクラスでもかなり良いと思います。一方でプラグ部分は3.5mmタイプの先しか付いておらず、その上で固定ができないタイプなので使い勝手はあまり良く有りません。このタイプのプラグは交換できるのは便利なのですがプラグ長が長く、本体に負荷がかかりやすいことや、プラグの交換部分が外れてしまい易いという欠点があります。プラグの先が3つ付いているのであれば交換できるメリットと先ほどのデメリットが相殺されるかと思いますが、このRosefinchは3.5mmの先しか付いていないのでデメリットしかありません。ここまでくれば4.4mmだけでも付属してもらえれば使い勝手の幅が広かった様に思います。
実際にレビューにあたって常用してみましたがプラグの先が何度も抜けてしまい使いにくかったです。実用するのであれば強力なテープや接着剤などで固定しなければ使いにくいかと思います。
直流インピーダンス 「0.3[Ω]」
テスタ―*2で実測したところ直流インピーダンスは両側平均0.3Ωでした。このクラスのイヤホンの付属ケーブルとしては直流インピーダンスはそのテスタでの測定限界に近く優秀です。
付属イヤーピース「◎」
白い3サイズ、黒3サイズと最初から本体に付属しているT-EARのMサイズの計7ペア付属しています。
どれも装着できませんので基本的には未評価と言いたいのですが、T-EARは別売されており、これはとてもコストパフォーマンスが高いイヤーピースの一つなのでかなり良いかと思います。惜しむべきはMサイズのみというところで私は当然装着できません。格安クラスであればMサイズだけで良いと思いますが、A7Kクラスですので全サイズ付属して欲しかったところです。
使い勝手の評価
クロストークチェック 「無し」
手順*3に従って確認しました。
現実的なボリュームでは気になるレベルのクロストークはありませんでした。
ホワイトノイズ 「なし」
ややホワイトノイズが出やすいLotooのPaw PICOに繋いで最小ボリュームで聴いてみましたが能率が低めのためか聴感上記になるレベルのホワイトノイズはありませんでした。
寝ホン 「ー」
本体の厚みがあるのであまり向かない構造ですが、突起が無いこともありできないことはないと思います。
外使い(音漏れ、遮音性、タッチノイズ) 「〇」
指でステム側を抑えて遮音してみましたが4割ほど音漏れしており、概ね優秀なレベルですが少し気をつけたほうがよいかもしれません。また外側のメッシュ部分を覆っても音漏れのレベルは変化しなかったのでデザインだけで通気性はないのかもしれません。
ケース、ポーチ「付属せず」
音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等) 「ー」
約7000円クラスのイヤホンとしては総合的には十分なクオリティの付属品ではありますが、3.5mmプラグが抜けてしまうのは実用上に問題があると思えますので残念です。またT-EARがMサイズだけでも付属しているのは嬉しいですが、サウンドチューニングに大きく影響するのでできれば3サイズ、もしくは更に大きいサイズも同梱してほしいところです。
音質について
ファーストインプレッション
M17とSpiralDot++で聴きましたが、下記の記事の通り、音が細く高域よりのあっさりサウンドであることや、ベース帯域は出ているもののサブベース帯域がほぼ無いという少し現代的なチューニングとは異なるイメージを持ちました。
Pandamonと何となく雰囲気にどことなく似ている気がします。しかしながら解像度が高く音の立体感もあり価格を考えれば良い出来だと感じました。
競合機種との比較について
平面駆動ですので手持ちですとPandamon、PLA13、PR1Proなどがライバルになるかと思います。
エージング(バーンイン)
箱出しから100時間ほど使用したでしょうか。この間で大きな変化は無かった様に思います。
試聴環境
標準環境*4を使っています。
で色々と使ってみましたが、やはりXperia10ivなどよりもM17 DCの方が格段に音が良いです。今回はM17をメインに聴き込みました。イヤーピースはSpiralDot++を使っています。
帯域バランス 「中域~高域重視」
ミッドベース帯域は普通に出ていますがサブベースが弱いこと、そして中域~高域が目立つチューニングですので中高域重視と言ってよいかと思います。標準ですと若干高域が強くキツイと感じる人もいるかもしれません。
他の平面駆動機と比較してもバランスとしては一番変化球なバランスだと感じます。
音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み) 「〇」
寒暖はやや寒色傾向、明暗はやや明るめで、響きはややソリッドではあるけれどもデッドな吸収を感じるタイプです。粘度はややさっぱりしている傾向ですが概ねニュートラル、音像はやや細く、薄めなタイプでTRNらしい音だと思います。
音色の特徴はスッキリさっぱりとした音の中高域が立体的に中央に佇む点で、超低域の薄さと量感の無さがあっさりした音場を作っているように感じます。
音の方向性としては、PLA13,PR1Pro、S12などは音のが厚い上で繊細さも持つ広大で優雅な鳴りっぷりなので根本的に方向性が違うと感じます。どちらかというと控えめで繊細なPandamonなどの音色の雰囲気が近いです。
音場(広狭、重心、遠近) 「〇」
価格帯を踏まえると概ね良いサウンドステージです。横は広めで上下は般的な広さで奥行き(前後)やや広めです。音はやや近く、重心の高さは一般的な目頭あたりの高さです。平面駆動によくみられるような前後の音の立体感に関してはこの価格帯としては良いと感じるレベルにあります。
定位、音像 「ー~○」
価格帯を踏まえると平均的な表現です。音場がそれほど広くないためか価格帯を考えると普通に楽器の音像が定位するのですが、それほど明瞭ではありません。ただ、この価格でこの表現であれば十分とも言えるので難しいです。
解像度、分離 「〇」
分離感はそこそこなのですが、解像度は価格帯を踏まえるかなり良いと感じました。HM20などのハイブリッドを除けば1DDや低価ドライバのイヤホンと比べても良いレベルに到達しているかと思います。
低域の質について 「△」
良くあるPOPSで使われる低音のについては一般的な量感ですが、それよりも下の帯域であるサブベース帯域がほぼ感じません。深さや広がりが少なめであっさりしており、低音好きの方は量感がもう少し欲しいという方もいそうなバランスです。
質の部分に目を向ければ低音の立ち上がり、アタック感やリリースのスピードどれもが凡庸で突出して悪い部分もありませんが良さも目立たずもう一歩と感じました。
ウッドベースやチェロなど低音の良さを感じられる楽曲、打ち込みのベース域、どれもがすこし足りず、低域を重視する楽曲に合わせるイヤホンではないのだと思います。
中域の質について 「ー~○」
音色が高域に寄りがちなためもあり、薄い音色と感じる傾向もあるかもしれませんが透明感のある音と高い解像度で描く音像は良いレベルだと感じます。
気になる点があるとすればMT4同様に音色の薄く、太く厚みのある音色ではないため、音像が近い事で出る迫力と相反するチューニングということでしょうか。ボーカルの伸びや解放感を重視する方は、若干物足りなさを感じる音色かもしれません。平面駆動っぽい立体感はあるのでその利点をどこまで買うかで満足度が変わる様に思います。
高域の質について 「ー~○」
高域の量感はやや多めで質感も上々だと思います。表現力が極めて高いわけではないのですが、平面駆動の特徴なのか超高域まで悠々と鳴らす余力を感じさせる高域表現です。一方で高域の楽器の音の線は細いので音像が掴みやすいというわけでもありません。
一方で女性ボーカルなど歯擦音のサ行はやや刺りがちですし、超高域についてはキツさを感じる人もいるかもしれないなと感じるバランスです。特段素晴らしい表現とまではいかないのですがこの価格帯ではまずまずの表現だと感じます。
SPL周波数特性測定とか
Rosefinch final TypeE vs TRN T-EAR
vs kinera celest Pandamon
vs KZ PR1 Pro
vs CCA PLA13
vs Letshuoer S12
全域に渡って言えることは低域、中低域が相対的に強く、超低域が弱め、6KHz付近、10KHz以上が強いです。
非推奨かつ参考情報ですがT-EARチップで内側のベントを塞ぐとこのような周波数特性になります。
相性について
ジャンルの得意不得意
音色が寒色よりでやや音が細い点を踏まえると夜寝る前に聴くリラックスした音色の曲等に合うように感じました。逆にパワフルな曲調であったり情緒たっぷりであったり、臨場感たっぷりといった方向性を求めるような楽曲には合わないように感じました。音量も比較的小さめに聴くスタイルが合う気がします。
アンプ(上流)による印象の違いについて
M17以外ではBTR7、Xperia10ivなどを繋いでみましたが上流にそれほど大きく依存せず概ね同じ印象でした。若干のならしずらさもあり、当然ながら良い上流ほど良くなる傾向はあるのですがそれほど上流の要求は強く無いと感じました。
イヤーピースによる印象の違いについて
JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)
今回のインプレでのデフォルトイヤーピースです。
TRN TIps T-EAR(超高域重視) 「〇」
Lサイズでも若干隙間ができてしまうのでSymbioを中に詰めて装着しましたので少しデフォルトとは異なるかもしれません。標準で付属するイヤーピースではありますが相性はまずまず程度かと思います。
大体は音場が少し狭くなってしまうことに加えてさらに低域全体の量感が減ってさらに細いタイトな音色になります。やや中域から高域の曇ったような伸びない音色はそのままに、超高域を含むシンバルなどの楽器の定位が良くなり主張が強くなります。音色の雑味も若干減った様に感じます。
Spinfit W1(中域、低域、解像度重視) 「ー」
SpiralDot++と比べると横と上下の音場は狭く、音の重心が低くなります。高域の量感が減るほか、音色の雑味も増えて定位が悪化します。一般的にW1は音像重心が一歩前方にくて迫力が増す傾向があるのですが、若干傾向が出ているように思います。中域は解像度が上がってくれるので低域から高域を重視して迫力を出す方向にはなっているのですが価格に見合う変化かと言われると個人的にはそこまで向いていないように感じます。
SednaEarfit Max(ボーカル重視、低刺激)「◎」
音場はSpiralDot++と同等で左右上下に広いです。音色がやや暖色傾向になり、温かめの音色になります。特にミッドベース帯の低音の量感が増える印象で、中域の厚みも出るのでボーカル用としてはかなり秀逸なのではないかと思います。解像度も同等に高いですしバランスも良いのでリスニング用途でつかうのであればかなり好印象に思いました。
final TypeE soft(ボーカル艶重視)「○」
finalストアでイヤピガチャを引くか、final製品(Study1かVR1000か糸竹管弦)を購入することでしか手に入らないTypeE softですが、入手性も上がってきていますので試してみました。
このイヤーピースは基本的には普通のTypeEと同じではあるのですが、普通のTypeEよりも低音が控えめでやや音場が広めで中域のボーカルなどに艶が乗るボーカル重視イヤーピースです。
結果としては低音は少し量感が減って質感が悪くなった印象はあるのですが、中域のボーカルが一歩前に出てきて少し主張が強くなる点とほんのすこし艶感が出ます。
音場はSpiralDot++から比べると少し狭くなる印象はあるのですが、良いバランスに仕上げてくれているように感じます。
Moondrop水月雨 清泉(ボーカル重視、刺さり防止)「◎」
女性ボーカルの音色がクリアで透明感は出る上に音色が近くやや太くなること迫力満点です。高域の刺さりは緩和されていないように思いますが音場も広く適度な広さも良質しており、刺さりさえ気にならなければ個人的にかなり良相性だと思います。
まとめ
結論としてイヤーピースでも音は変わるイヤホンではあるのですが、個人的な好みでいえばSednaEarfitMax、清泉が好みでした。
ケーブルによる印象の違いについて(注意)
注意:
リケーブルについては科学的に見ればごく低品質なものを除いて音質の変化に対する定量性のある決定的な証拠はありません。
このためリケーブルは貼り付けなどと変わらないオカルト的な要素を過分に含みます。
幸いながら私はイヤホンケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。
M17 "AppleMusic" -> 「 」-> イヤホン -> SpairalDot++
デフォルトケーブルについての補足
あまり音の良いケーブルではないことは自明ではあるのですが、個人的に使い勝手に不満がなければそのまま使っても良いと思いました。もちろん交換するほうが良い音になるかと思うのですが、MT4は2K価格帯ということもありコストパフォーマンスを踏まえるとこのままでも良いかもしれません。
NICEHCK BlackCAT 4.4mm 2pin「○」
シャキシャキの音にしてくれる解像感が高いコストパフォーマンスが高いと評判のBlackCATを付けてみました。
音の輪郭がはっきりすることと、音の分離が向上します。音が明瞭になり声が伸びるようになることや、ほんのり暖色よりになることでニュートラルな音色に近づくように思います。素直に良い音色になったと感じられ、普通に相性は良いように思います。
NICEHCK BlueDay 4,4mm セール中4550円 「◎」
ディスコンになったケーブルですがまだセールで購入できるおすすめのケーブルです。BlackCATと比べても解像度は驚くほど向上し、音場は横に広くなりますが上下の広さは変わらず、音像が少し上に位置するようになります。
音色の傾向はほんの少し暖色傾向になり、全体的に明瞭になります、ボーカル音色は頭全体に広がるようなエフェクトが付いた感覚があります。低音の量感も増して音の良さも引き立てているように感じます。いやはや、BlackCATの相性も良いと思いましたがBlackCATと比べるとやはりケーブルの格は違うなと思わせる変化があります。個人的にはかなり良い様に思います。
NICEHCK BlueRose 4.4mm セール中6450円 「○」
個人的にはこちらも好相性と感じました。BlueDay同様に音色は暖色系に寄ることでニュートラルな傾向になります。一般的なBlueDayとは異なり上下の音像の位置の変化はありません。。解像度は高くボーカルの暖かさと主張の強さが適度に出てくれます。高域の表現にも程よい響きが乗り、元々のバランスをある程度保ちつつグレードアップした音色になります。
個人的にはBlueDayとRoseはほぼ互角だと感じ、価格を踏まえるとややコスパが悪いと感じました。
JSHiFi 銀月 4.4mm 「ー」
ボーカルや中域〜高域の楽器の主張が強く、音像が近くなった上に音がやや丸くすべらかになります。一般的に横の音場はやや狭くなるのですが全体の音色の迫力があるためか悪くないと感じさせることが多いケーブルなのですが、どうも相性があまり良く無いのか音色にBluedayなどのケーブルと大きな差を感じないため狭いだけになってしまっている傾向があります。
ボーカルは適度な余韻を感じさせる点は残っておりボーカルの印象を強くさせている部分はありますが、強いて使う意義は感じられませんでした。
BIGMANGO Zebra 4.4mm 「○」
全体的に透明感と彩度が上がり音色がタイトになって明瞭さや解像度、分離が向上するケーブルですが、音色が圧倒的に近くなるので人を選びやすい変化だと感じます。特に不足する低域のレンジ感を補ってくれるため、とてもドンシャリして気持ちよく聴ける音色にしてくれます。
目立つのがシンバルなどの高域の楽器で、これらの定位感や音色の響きが印象的なサウンドになります。全体として雑音が減ったような感覚があり、音の輪郭が鮮明になる傾向があります。BlackCATと同等のケーブルの相性だとも感じますがこちらの方が音色重視だと感じました。
Yongse Ag8 4.4mm 「◎」
左右の音場感は狭くなってしまうのですが、音色が透明感と艶やかさと両立したぬけのある音色で低域、中域から高域までの主張が強くなるケーブルです。
vocalが一歩前にくる迫力を持ち、銀月などと似た傾向ではあるのですが銀月よりも透明感と音の細やかさや解像度が上回るイメージです。逆に銀月は音の太さや厚みが得意です。
Rosefinchと合わせることで元々の音の細さと嚙合わせが良いようで透明感を保ったまま解像度を引き出してくれている変化を感じます。こちらもボーカルケーブルですが、相性としてはかなり良い様に感じました。
音質の総評、所感
当然ケーブルは標準構成となりますが、個人の主観的な好みで言えば73点、私が客観的だと思う好みの点数としては82±6点です。価格帯と音のレアリティ、付属品等ユーザビリティを考慮した総合的なランクはA7K Tier3としました。
音色としてはPandamonと互角のチューニングだと感じていますし、Tier2でも良かったのですが、3.5mmプラグ部分の交換部がすぐに抜けてしまい、通常使用として使い勝手が悪く、その点が大きくマイナスされたためです。
また、内側のベントをセロテープなどでシールして閉じたサブベースが出る音色はかなり+5点レベルだと感じます。
それを踏まえてもPR1ProやPLA13などとは価格なりの差はあるように感じました。特にS12などとは価格帯が違うのだと実感します。一方で6000円台のイヤホンとして考えると意匠や質感も良くチューニングこそ少し古い感じ(サブベースの無い楽曲に合う)はありますが、良いバランスに仕上げてきてくれていると思います。標準ケーブルを使わない方などにはオススメできるイヤホンだと感じました。
Appendix
購入リンク
*1:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去
*2:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去
*3:
ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします
*4:
M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
iphone12"AppleMusic" -A1749-> -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
Xperia10iv"AppleMusic" -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
*5:
〇測定環境
ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4
ソフトウェア:REW V5.20.13
INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit
OUTPUT:USB2.0A to C変換 → ZERO DSP
カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用
イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ
〇測定パラメータ
入出力バッファ512K、Acoustic Reference
出力音圧レベル:−12dB
Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz