ゆるふわオーディオ日記(blog)

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雑記:FIIO FD7 ピュアベリリウムの音色と手持ちのピュアベリリウムの機種との比較について

こんにちは

ゆるふわにオーディオやってるすのーです。

今日は先日ヨドバシでセールになっていたFIIOのFD7についてですが、 実はFFさんから長期的にお借りしていたので、その感想ついでにピュアベリリウムの機種についての雑記的なやつです。f:id:el_snow:20230622184753j:image

FD7ついでに昔話

www.fiio.jp

FIIOのFD7は2年ほど前に発売されたピュアベリリウム振動板を用いた1DD構成の機種です。ほぼ同時に発売されたFDXはFIIOの14周年記念イヤホンになってたりします。こちらは音としてはケーブルが純銀から金銀銅に変えられている他の変更は無いのですが、音と無関係な部分で本体にイメテーションダイヤた装飾されていたり、本体色が金色になっていたりするそうです。

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一緒にお借りしたFDXのケーブルLC-RE Pro

www.fiio.jp

LC-RE Proケーブルについては別売されているので後から購入すればほぼ同じ音にすることができるようです。国際的な慣習はよくわからないのですが14周年記念という数字は日本ではなんとなくキリが悪い様な気もします。日本でも周年記念モデルは売上などの商慣習的な理由から設定されることが多いためそちらではないかと勘繰ってしまいます。まぁ、どちらかと言うとピュアベリリウムを取り扱うという記念モデルという意味合いが強い様な気がします。

どいういう理由かは定かではないのですがこのFDXについてはあまり本国では人気が無かったようで昨年頃FDXが5万円程度で投げ売りされているのをよく見ました。もしかしたら偽物だったのかもしれませんが、FD7の終売を予期させる出来事で先日のヨドバシカメラのセールについても典型的な終売商品の在庫処分の動きなので日本でもいよいよ終売が迫っているのでしょう。

というのも私の記憶によればFDXの販売開始時にFIIOのジェームズ社長はベリリウムの扱いづらさから、どうしてもプレミアムな価格でかつ、限定的な販売量になることを匂わせていたことを覚えています。

 

さて、少し脱線しますが、昨今はベリリウムコートの振動板のDDが市場にありふれていますが、当時はベリリウムレアメタルでもあり毒性もあることから扱いづらく音響機器への採用は非常に限られた例に留まっていたように思います。

というのもベリリウム自体は軽く高剛性ではあるのですが、もともと製造が複雑でコストが高い上に、毒性による管理コストが高く、さらには製品搭載時に毒性を封印するための技術処理などにもコストが嵩むと言われています。これらのためヘッドホンではFocal Utopia今まではハイエンドのオーディオ機器にのみ採用されてきたという歴史があります。

↑とはいえ10年ほど前にXiaomiのPiston2の様に数千円のイヤホンにベリリウム素材を使って有名になったイヤホンなどもありますね。

 

さて、正直に言えばそのような毒性の問題が中華の数千円のイヤホンの振動板でクリアされているかは不安しかないところではあります(正直、beryllium金属製造時の粉塵はラメ入りイヤーピースなんてどうでもいいレベルの毒性で、なぜあのラメがあそこまで叩かれたのか不思議です)。実際中華イヤホン市場でベリリウムコートダイナミックイヤホンはどんどん増えています。そして日本のまともなCSR社会的責任を取れるメーカーで格安イヤホンにベリリウム素材の振動板が採用された例を知りません。

これはただちに健康被害があるなどと脅しているわけでは無く、ベリリウム及びベリリウム化合物は経済産業省のPRTR制度の対象である第一種指定化学物質として指定されており、例外はあるもののメーカーは廃棄の際にも環境や人体被害に考慮した製品開発が求められます。つまりはメーカーとしては売りっぱなしではなく、イヤホンの廃棄時なども見据えてコスト管理が必要という足枷があるということです。このため恐らく初めてイヤホンにベリリウム素材を使うという時には相当のリスクがあった商品開発になったと思われます。自分自身なら扱いたくない部材ですね・・・。

 

毒性についての危険性については中国国内でベリリウムを用いた製造技術が大きく発展し、様々な問題を解決して格安に製造できるようになった可能性は否定できませんし、ベリリウムの粉塵は主に製造時に出るとされていますし、ベリリウムそのものではない化合物などのコーティングとなれば製造は容易になりつつあるのだろうと思います。

日本のメーカーそのものは販売していませんが、実際のサポートが求められるeイヤホンやヨドバシカメラ等の量販店では5000円以下でベリリウムコートのダイナミックイヤホンが販売されており、ある程度のリスクは緩和されているのかと思います。

 

最近ですとこのあたりがベリリウムコートのイヤホンでしょうか。かなり格安で購入することができます。
 

かなり低音の強めの音色なので低音好き以外にはオススメできませんがT1Sは2000円以下で購入できます。USB-C端子しか無いという方にもTanchjimのZERO DSPはバランスが良く幅広くオススメできる機種です。

 

さて、ドライバに話を戻せば、ベリリウム振動板のダイナミックドライバには樹脂等のドライバの振動板をベリリウム素材でコートやメッキ(蒸着)する場合と、振動板そのものをベリリウム素材にするというアイデアの2種類が存在します。これはピュアベリリウム振動板などと言われますね。想像するに危険性たっぷりのベリリウムの金属のみを使ったものと既製品に確立した方法で蒸着工程を挟むだけなのは製造方法の難しさが全く異なる様に思えます。

ここまで話た通り、それらを踏まえるとピュアベリリウム振動板は原材料の高さというより振動板自体の製造の難しさや管理コストの高さ自体が付加価値になっていると思えます。その上で高コストドライバから生み出される音色が、ユーザーに価値を実感させるものでなければ商品として、そして企業として成り立たないという実態があります。

実際の製品とそのブームの火付け役になったのは恐らくfinal  A8000になるのでしょうが、ドライバとして利用したときのメリットについてはここを読むと良く理解できるように思いますね。

A8000final-inc.com

尚、このためピュアベリリウム振動版のダイナミックドライバを使用したイヤホンは私が把握している限りは下記の通りです。

・final A8000, 糸竹管弦

・DUNU LUNA

・KBEAR believe

・NICEHCK Lofty

・FIIO FD7, FDX

そしてこのFD7はその後発組で発売されたピュアベリリウム振動版、最後発のイヤホンになりますね。これ以降は発売されていないように思っていますが違っていればコメントなどもらえると嬉しいです。

ちなみにこれらのこれらの機種の中で価格が安いLoftyとbelieveについては逆に安すぎてピュアベリリウムでは無いのではないという疑惑が持たれています。実際に分解すると粉塵が発生して毒性を浴びる可能性すらあるので確かめようが無いのですが価格が高くないと信頼してもらえないというのはこのオーディオ業界の闇を見ている様な気がするエピソードです。もちろんKZやCCAで格安ESTを謳ったドライバは実際にはMSTだったというオチなどもありましたので強ち間違いでもない考察なことも悩ましいですね。

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NOBUNAGA Labs 瑞鳳 颯 + FIIO FD7

ピュアベリリウムの音とか

注意:ケーブルによる音の変化はオカルト的な要素を過分に含み、科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありません。幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

     気になる方は読み進めるのを中断いただければ幸いです。

ということでFD7は少し時間が経った機種でもあるのですが個人的な音の評価は価格に見合った良い機種という評価です。

発売当初の値段としては8万円程度だったかと思いますが今でもその値段であれば競合のマルチドライバとも比較して競争力を持った機種になるかと思いますが6月時点では為替の関係で10万以上まで値上がりしており、その点で辛口な評価になっていますが価格相応に良いと考えていただいて良いかと思います。

el-snow.hatenablog.com

本当にピュアベリリウムかどうかは置いておいてどれも似た傾向の音色を持っている事は事実だと感じます。低域はやや暖色寄りで音場が広く高域がキラキラする感じでしょうか。もちろんそれぞれに個性はありますが、付属ケーブル個性を除けば機種の中でLoftyが一番低音寄りでA8000が高音寄りです。残念ながら値段に良く比例して音の解像度が上がって行く感覚があります。折角なのでそれぞれの音の感想をざっくり書いていこうと思います。

final 糸竹管弦

バランスは弱ドンシャリ、音場は広く解像度はこれらの機種の中でも最も高く、音の分離や定位も素晴らしいです。中古での購入しかできなかったので中古購入のため新品での音色はどのようなものだったのかは不明ですが、標準ケーブルの音色はやや癖があり、好き嫌いが出やすい様にも思います。ZE8000でもそうでしたが、やや前方で音場を広くとるタイプの鳴らし方になるので好き嫌いが出てもおかしくはありません。個人的にMMCXでさえなければもっと良い評価になるのではないかと思える機種です。

周波数特性

IE900もそうでしたがこのクラスのイヤホンの左右マッチングはかなり細かく取られていますね。リケーブルをしても良いのですが標準ケーブルが高い?だけあってなかなか曲者なほど纏め上げられています。とはいえ使い勝手はアホ程悪いのでリケーブル先を探したいところなのですが耐久面に心配のあるMMCXなのでおいそれと試すこともできないので良さそうなケーブルを見つけては試すという感じになるので中々決まりません。

瑞鳳 颯はとても良い相性でしたが、別の問題として瑞鳳 颯が重すぎるという問題もあり、こちらも残念ながら断念しました。

ちなみに今から糸竹管弦を手に入れたいという方は中々難しい状況だと思います。というのも付属品が豪華で箱にも価値がある商品なので、某有名イヤホン屋さんなどは箱が付かないのでどうしても売れ残っていても何か勿体ない気もします。こういう時に本体にシリアルナンバーが付かない点もマイナスに働く気がします。もちろん保証と箱が付く様な中古ショップなどでは中古が出てもすぐに売れてしまうのでそういうお店の狙ってウオッチしておくと良いと思います。
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FD7標準の方が合いました

final A8000

ピュアベリリウムの定番機種で、通常販売している機種はもうこれしかないのではないではないでしょうか。音色はやや高音よりで音の余韻が素晴らしく、音場が狭いことが特徴です。個人的にこの音場の狭さと余韻の良さの半分はC106シルバーコートケーブルの音色の特徴だと感じています。正直E5000用のケーブルとしては良いケーブルが付属していると感じているのですがA8000用としては少々力不足という認識です。MMCXですので糸竹管弦やFD7のケーブルと揃えて聴くと糸竹管弦までは行かないですが非常に広い音場を体感できます。良く言われることではありますが筐体の性能自体は非常に高いのでリケーブルをすると更に好みに寄せることができる基礎能力の高さも持つイヤホンです。筐体の性能的には糸竹管弦に近く、FD7とは大きく差があるので価格なりの価値を感じます。傷が付きやすいことや、重さは気になりますが、定番商品として長く愛されるイヤホンだと感じます。f:id:el_snow:20230625142226j:image

ちなみに糸竹管弦のOSLOケーブル Gen.SKを付けて聴いてみると音場が広くA8000のネガティブなイメージが全て吹き飛びました。最近ではあまり話題にならなくなりつつあるA8000ですがケーブルを変えることでチューニング変更の余地があるイヤホンだと実感するばかりか、ピュアベリリウム振動版の中でも随一の完成度だと実感しますので、飽きてきたなと感じたら一度リケーブルなども試してみると良いイヤホンだと感じます。

FIIO FD7

バランスは弱ドンシャリでしょうか、標準ケーブルでの音場はそこまで広くはありませんが狭いとまでは行かない感じです。低域から高域までしっかりと出るのでピュアベリリウム系のドライバとしてはとてもバランスが良く、万人受けしやすいレベルに纏め上げてあると思います。ケーブルを除いたイヤホン筐体の基礎能力としてはA8000とは大きく差があり、逆にLoftyとの差は小さ目です。

標準ケーブルは純銀線というのは今日初めて知ったのですが、上記FiiO LC-RE Proに変えるとやや音像が上方に定位し、音が華やかさが出るでしょうかドンシャリ感や少し収まりややフラット方向に感じやすくなるでしょうか。個人的にはFD7標準のケーブルの方が合う曲もあり、中々に好みだとも言える変化ですね。

ノズルが3種類付属しておりその違いはこんな感じ

Loftyと差が少ないとは言いましたが、Loftyはエージングにとても時間がかかること標準状態ではやや低音寄りの音色になることもありかなりピーキーなイヤホンだと感じています。この点も踏まえるとFD7のバランス感覚はとても優秀です。

FD7とLoftyの周波数特性の違いはこんな感じです。標準ケーブルでの聴感上は全く違うのですが、こうしてデータでみるとFD7とLoftyの近さが良くわかりますね。ドライバも近いものがあるのでしょうか?。

尚、ケーブルを揃えたとしてもややLoftyが中低音が強いと感じやすいのですがそれでも純銀線を合わせてFD7を調整してきているのだなと実感する次第です。

NICEHCK Lofty

唯一レビュー記事として書いているのがこちらのLoftyですね。

el-snow.hatenablog.com

細かい点はレビュー記事をみてもらうとして個人的に素晴らしい能力を持ったまま既存ベリリウム振動版イヤホンの先入観で潰されてしまった不遇の機種だと感じます。もちろん言葉が強すぎることはネガキャンの要素にもなりますが最近は落ち着いてきているでしょうか。今では中古でしか手に入らない機種なのですがフリマサイトなどで買った機種などは不具合などがある場合があるのであまりオススメできませんので難しい機種ですね。個人的にネガキャンをする様なタイプの方は中古で買ってきた機種でボロクソに書いていたりすることが多く、個人的には困惑することが多いです。

KBEAR believe

価格なりに標準ケーブルが微妙です。DUNU LUNAは聴いたことが無いのですが、その上でも恐らく筐体性能としても一番下になるかと思います。確かにA8000風味の音色はしているのですが流石に音が違うなと感じますね。周波数特性もこんな感じです。

ケーブルを揃えるとそれなりに近くなりますが基本的な筐体性能はややLoftyには劣るなと感じます。似た雰囲気は感じやすいのですがA8000とは比べるほど悲しくなるほどの差はありますので神格化されすぎという気もします。とはいえこの値段のイヤホンとしてこの当時騒がれたことがあるなと言う感じです。

ちなみにこちらも中古でしか購入できない機種ではあるので評価が難しいです。個人的にも2機種ほど購入してみて今の評価を定めていますが、もしかすると2機種共にはずれの不良品だったという可能性もあるのかもしれませんので話半分ぐらいで思っておいていただけるとたすかります。

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所感

全体を見通しても価格なりの差があるということで、良い事なのか悪い事なのかはわかりません。そして先日のセール5万円でFD7やFDXを買えた方はお買い得だったと思います。今ではベリリウムコート振動版のダイナミックドライバを持つ機種が増えてきており、その珍しさは薄れつつありますがピュアベリリウムでしか出せない音色の方向性の音は確かにあるなと思える共通点はあるように感じています。

特に現在は流行り廃りの関係でハイエンドではESTドライバを積んでいない機種はあまり評価されないぐらいの勢いが無くもないのですが、ピュアベリリウムでしか出せない音色もまた評価される時代がくるかもしれません。その時にA8000などは再度また脚光を浴びる気がします。

っと、長々と語ってしまいましたが、とりあえずこういった楽しみ方ができるのもイヤホンならではの楽しみ方ですね。自分はレビューの依頼があることもあり、中々イヤホンを手放せなくなってしまったのですが、ある程度集まってるからこそ見えてくる発見もあることに最近気が付いた次第です。