ゆるふわオーディオ日記

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ機材のレビュー等を思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。

レビュー:NICEHCK Lofty 結論:A30k Tier2 上流を要求する低域表現の絶対王者

こんにちは

 

今日は、NICEHCKの公式Twitterより生産終了の案内があったNICEHCK Loftyについての1年越しの再編集を兼ねた補遺レビューです。

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結論(Abstract):A30K Tier2 参考価格:27000円

LoftyはA30K価格帯でピュアベリリウムドライバを採用したというアナウンスに恥じない圧倒的な低音域の表現力を持つNICEHCKのフラグシップイヤホンの名に恥じない優秀なイヤホンです。低域の表現力はハイエンドイヤホンを含めても唯一無二であり低域の表現力を求めている方に強くお勧めできるイヤホンです。

筐体の耐久性や相性などは少し心配ではありますが、ケーブルを含めて付属品ののグレートも高く、価格に相応しいレベルの完成度を持ちます。特に上流機材が整っている人にはコスパが高いですし、生産終了で入手が困難になることを踏まえると是非お勧めしたいイヤホンです。

〇Pros(優秀な点)

・唯一無二の響きと低域の表現力

・付属品や音色など価格帯に恥じない総合的な完成度

・生録音音源との相性が良い

〇Cons(微妙な点)

・アンプやケーブルの相性がある(駆動力が必要)

・ピュアベリリウムドライバのキラキラした高音のイメージとは逆のチューニング

・筐体の耐久性

■動機付けなど

1年以上前の話にはなるのですが、finalのA8000を持っている身としてはピュアベリリウムドライバを採用したというLoftyは気になる存在で、「絶対王者」を名乗るセラーの自信も相まって購入してみました。

■SPECとか

 

販売サイトや公式画像を見ていただくのが早いので割愛したいと思います。ただ

一ついうなればやはりこの「10.1mm Pure Beryllium Diaphragm」でしょうか。

■箱とか付属品とか本体とか

開封体験

本体の開封関係は古いので見つかりませんでした。ので公式の販促画像を載せておきます。NiceHck Lofty Flagship Pure Beryllium Diaphragm Dynamic In-Ear Earphone HiFiGo

本体に加えて大きめのケース、布巻のケーブル(単体販売有りBluePP)、イヤーピースはAET07チックなKBEAR07シリーズ等が付いています。この価格で有れば一般的なサイズの箱ですし特に何も問題はありません。

〇筐体

箱の開封体験の変わりに、イヤホン筐体の開封体験についてせっかくなので述べておきたいと思います。
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というのもBlogの読者ならご存知かもですが、使って1年ほどした時に、本体のフェイスプレート側のプレートが取れました。これをみて耐久性は大丈夫なのか?と思った人も多かったと思いますが、今思えばずっと気になっていたことがありまして使っていると本体が偶に「ギュ」っと軋む音が聴こえていました。つまり何がいいたいかと言うと最初から本体の接着が甘かったのではないかと思われます。1年以内であればもちろん無償修理ですし、今回の件に関しては1年を過ぎても対応していただけるとの案内は貰っていたのですが、接着剤で付けるだけなのでこちらで対応することにしました。

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ちなみにシェルプレートが取れると音が変わるのではないかとのことですがほぼ変わりません。っというのも背面側は実は1㎜ベントが空いており、最初からほぼ背面開放の構造に近い設計になっています。

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・ステム

やや小さ目ですが一般的大きさでどのようなイヤーピースも大体は装着できますね。

・重さ

実測片側7g(内、シェルプレートは1.5g)でした。

・リケーブル端子

フラット2pinです。

〇ケーブル

BluePPが付属しています。布巻ですがタッチノイズも無く、しなやかで柔らかく取り回しが良い上に

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・重さ

実測35gで一般的な重さです。

・クロストークチェック

問題ありません。

〇イヤーピース

KBEAR 07が付属しています。AET07に似てはいますがこのクラスのイヤーピースが付属するのは嬉しいかぎりですね。

 

〇寝ホン

厚みはそれほどない為、意外と問題無く使えます。内側の突起がフィットするかで装着感も寝ホンの快適さも変化しそうです。

〇遮音性、ノイズキャンセル

遮音性はベントが空いていることもありそれほど高くありません。

〇ホワイトノイズ

自分の使い方で気になったことはありませんでした。

〇その他、総評

全体を通してこのクラスのイヤホンであれば一般的な付属品かと思います。シェルプレートに関しては購入してすぐにシェルプレートに力を加えたりしても大丈夫かどうかをチェックすると良いかと思います。

■音質について

〇ファーストインプレッション

過去の購入時のレビューを見ていただくと良いかと思います。

el-snow.hatenablog.com

el-snow.hatenablog.com

エージング(バーンイン)

1年以上大気に曝露されていたことや、エージング用機材や通常利用などで1000時間程度は鳴らし込んでいるかと思います。今更昔の文章は読み直したくないので見ていないのですが(笑)ファーストインプレッションとの差があるとすればエージングと機材によるものかもしれません。

〇環境とか

M17DC(TankS4) -標準ケーブル-> Lofty-> SpiralDot++

MBP15Late2013 -> ADI2DAC fs -標準ケーブル-> Lofty-> SpiralDot++

本来ならばここまで強い上流を準備する必要性があるかはわかりませんが、フラグシップイヤホンと銘打ったLoftyですし、長期間使った感想としてはこれぐらいは準備しても良いと感じる魅力はある機種です。

帯域バランス

中域~低音よりのバランスです。A8000などの高域がキラキラしたイメージを持って聴くとそのギャップに驚くかもしれません。また機材の駆動能力によっては低域がぼやけやすく、その場合は全体域に被ることで低域の強さが際立つ印象を持ちやすいです。

音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み)

音色は暖色系です。明るさはほぼニュートラルですが若干暗めと感じ人もいるかもしれません。響きは豊潤で、特に低音域の温かみのあって解像度の高い音色は素晴らしいです。ジャズなどのウッドベースやピアノの低音表現はリッチでパワフルで生々しいエネルギーを感じます。まるでドラムの振動が室内に響き渡る様が見えるような感覚すらあります。粘度はややウェットさがあり、音の厚みもあり贅沢なサウンドです。

音場(広狭、重心、遠近)

横に狭く、上下前後は一般的な広さです。重心は一般的な目頭の高さで音色近さもこめかみ付近と適度な近さです。

定位、音像

定位はこの価格帯では一般的です。一方で音像は評価が難しいです。というのも駆動させるアンプとの相性によって音像の鮮明さが圧倒的に変わります。M17DCやADI2DACfsなどを使えば解像度の高さに加えて音像は鮮明になりその上で前述した素晴らしい響きを伴う音色を聴かせてくれます。

解像度、分離

こちらも評価はやや難しいですが上流を準備できれば解像度や分離はこの価格帯のDD機で十分な実力を持っています。特に変化しやすいのは分離感で、響きと音像が一体になってしまうことで分離感が失われてしまいます。解像度や分離や定位が悪いなと感じた場合は上流との相性が悪い可能性があるかもしれません。一般的にイヤホンの値段と解像度はほぼ比例関係にあることもあり、Loftyはその点でやや評価を落としやすい点は残念ですが、別の項目で述べているようにLoftyの魅力は解像度以外の所にあるのでその点を意識すると評価も変わってくるように感じます。

低域の質について

このイヤホンの最も得意とする帯域です。A8000なども低域を強調するチューニングにすることで近い特性は出すことはできるのですが響きの豊かさと暖かさと言う点ではLoftyに一歩譲るように思います。チェロ、ベースやドラムといった低音を主体とする生楽器の豊かな響きをリッチかつ高解像度に響かせてくれるのはLoftyの最も得意とするところです。一方で電子楽器の人工的な低音域などは不用意に響かせてしまう傾向があるので相性は悪い楽曲があるかもしれません。

Loftyの低音は量感以上に響きが豊なことが特徴で、量感は言うほどに多くは無いのですが音場全体に響き渡る低音の鳴り方をします。このことは当然メリットとデメリットがあり、響きを制御できる上流や楽曲では他のイヤホンでは到達できない極上と言える頂きの音色を奏でるのですが、デメリットとしては低音が苦手と感じていたり、中高音を主体に聴きたいと感じる人には不用意に被ってくる邪魔な存在に思えるかもしれません。もちろんそれは上流機材で鳴らし分けることができると違った感想になるのかと思いますが個人的にフラグシップイヤホンを名乗るだけあるじゃじゃ馬感は悪くありません。

このLoftyでしか聴けない低音域は筆舌に尽くしがたく、絶対王者の名にふさわしいとすら思ってしまうほどです。

中域の質について

中音域の品質はこの価格帯の1DDとしては魅力的かつ十分な実力を持っています。イヤーピースの選定にもよるのですが厚みがあってボリューミーな音を奏でることができます。弦楽器の豊かな響きは特に得意で弦を弾く指使いを感じてしまうほどのリアリティがあります。高域でも述べますがこのようなストリングス全般の響きは豊かさを保ったまま高域まで綺麗に連続して伸びて行く感覚がありこの表現ができるイヤホンはなかなかにありません。ボーカルは女性よりは男性ボーカルの方が得意で、厚みがあるパワフルかつ迫力の歌声を聴かせてくれます。

一方で暖色系なこともあり解像感を感じにくく低音の響きの強さも相まってこもりがちと評価する場合もあるかもしれません。特に上流との相性が悪いとこの傾向は顕著です。個人的にこのあたりはSpinfitのW1のイヤーピースにすることで改善できるので中域表現が気になる方は変更を試されるとよいかもしれません。

高域の質について

量感があまり無いのですが高域表現もLoftyが得意とする領域です。女性ボーカルの高音域、サ行などの歯擦音はほぼ刺さらず綺麗に表現できることは前提として、フルートなどの高域を担当する楽器やシンバルや鈴の音なども量感が少ないながら綺麗に鳴らし分けています。高域に行くほどに分離感や定位が良くなることも特徴で、環境さえ整えれば量感が少ないドラムのハイハットシンバルなども容易に聴き分けることができます。

特に鈴の音は刺激が少ないにも関わらず金属質でキラキラとカラカラの中間のような音色で一般の1DDとは異なるチューニングであることを実感します。

女性ボーカルの歌声があまり伸びない感覚はやや弱点と言えるかもしれません。一方で厚みがあって豊かな音色で奏でてくれるので好みは分かれるかもしれません。

 

■測定とか

〇SPL周波数特性グラフ

同じピュアベリリウムドライバを使っているA8000と比較してみました。

Lofty vs A8000 @1kHz

大きな違いはサブベース帯域と5~8KHz帯域で、両方共にA8000の方が出ており、特に高域側は大きく異なっていますね。

ちなみに同じNICEHCKのDB1と比べてみたグラフがこちらです。

Lofty vs DB1 @1kHz

見ての通りDB1とほぼ同じチューニングですね。ピークやディップの位置が似ており、各帯域の強度も近くNICEHCKの伝統のチューニングなのかもしれませんね。ちなみに周波数特性上のバランスはほんの少しだけDB1の方が高音よりになるでしょうか。

3つのイヤホンを持って聴き分けている身としてはそれぞれの音は全て別物です。特にLoftyについては中低域の響きの表現が突出しており、素晴らしいユニークさを持っていると感じます。

■相性について

ジャンルの得意不得意

低~中音の響きが得意なこともあり生演奏系の楽曲は最高の相性だと感じます。ジャズやクラシックなどの楽器の生々しい響きは圧巻の一言です。打ち込み系でも低域の響きの被りが少ない構成で聴ければユニークな音の表現は病みつきになる方も多い様に感じます。

逆にやや苦手だと感じるのはアニソンなどの女性ボーカル主体の楽曲でしょうか。帯域バランスがやや中低音寄りなこともあり、ボーカルの主体性が薄れ楽器が主役になりがちです。私はそのようなバランスも好きではあるのですが同じ価格を出すのであれば女性ボーカルが主体と感じるイヤホンがあるのも事実です。

アンプ(上流)による印象の違いについて

Loftyで最も重要と感じる部分です。Loftyは出力(駆動力)が高く、解像度高いアンプと相性が良いです。私は幸いながら据え置きを含めて複数の上流機材を持っていたので色々と試して相性の良い組み合わせで聴けているのですが、相性が悪いと低域の素晴らしい響きが靄のように感じてしまいます。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

注意:尚、ケーブルについては科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありませんので、オカルト的な要素を過分に含みます。幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

1年間色々とケーブルを試しましたが、最終的に思うのは標準のBluePPケーブルが一番良相性だと感じます。ハイエンドイヤホンほど付属ケーブルとイヤホン筐体の相性は考えられており、おいそれと交換できるものではない傾向が強いのですが、Loftyもフラグシップイヤホンと名乗っただけあり、標準のケーブルが最もイヤホン筐体の特徴を活かす音作りであると感じます。

その意味でも、2万円以上の値段がするイヤホンにも関わらず最低限度のケーブルしか付いていないイヤホンも多く、その点でLoftyはかなり完成度が高いイヤホンであると実感します。

イヤーピースによる印象の違いについて

KBEAR07でも十分な性能ではあるものの、私はフィットしきらないこともあり変更しています。

JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視)

今回のデフォルトイヤーピースになりますが、AET07系列よりも高域の煌びやかさが良いこと音場が広がり響きの豊かさが向上することから非常に良い組み合わせだと感じます。ぜひアップグレードを検討したいイヤーピースです。解像度も高く分離が良いため楽器の音色の良さを引き立ててくれます。デメリットとしては中域のボーカル表現はW1に比べると劣る点だと思います。

○Spinfit W1(中域、低域、解像度重視)

相性は非常に良好です。中域と低域の解像度と質感が向上して音色としては1ランク上のイヤホンの音色と感じることができます。音場はSpiralDot++から比べると横も天井も若干狭くなることや若干高域の表現は雑になりますが、それ以上に中域の生々しさとエネルギー感、音の厚みが増します。音場表現はSpiralDot++に劣りますが特にボーカル表現を重視したい場合はSpiralDot++よりはこちらをおすすめします。

 

この両者はレベルが高くLoftyを使うのであれば是非検討してみて欲しいイヤーピースです。両者の表現は一長一短のトレードオフなので自分の好みに合わせてもらえれば良いかと思いますが両方試すと更に幸せになれるかと思います。

 

所感

ちょっとだけさらっと書くつもりが聴いていると素晴らしさからいくらでも文章が出てきて笑いました。正直を言うと出音だけで言えばTire1にできる素晴らしいイヤホンではあるのですが、初動の売り方、シェル割れなど品質の管理問題、上流との相性、個性的な音色と強くお勧めできる環境にありませんでした。あれから時が経ってLoftyの様なイヤホンが出てくるのかもしれないと思っていましたが、遂に出てくることは無かったように思います。今回生産終了とのことで入手の機会も無くなってしまいます。今回もし興味がでてLofty入手の機会につながり気に入ったイヤホンになれば幸いです。

結論(Abstract):A30K Tier2 参考価格:27000円

LoftyはA30K価格帯でピュアベリリウムドライバを採用したというアナウンスに恥じない圧倒的な低音域の表現力を持つNICEHCKのフラグシップイヤホンの名に恥じない優秀なイヤホンです。低域の表現力はハイエンドイヤホンを含めても唯一無二であり低域の表現力を求めている方に強くお勧めできるイヤホンです。

筐体の耐久性や相性などは少し心配ではありますが、ケーブルを含めて付属品ののグレートも高く、価格に相応しいレベルの完成度を持ちます。特に上流機材が整っている人にはコスパが高いですし、生産終了で入手が困難になることを踏まえると是非お勧めしたいイヤホンです。

〇Pros(優秀な点)

・唯一無二の響きと低域の表現力

・付属品や音色など価格帯に恥じない総合的な完成度

・生録音音源との相性が良い

〇Cons(微妙な点)

・アンプやケーブルの相性がある(駆動力が必要)

・ピュアベリリウムドライバのキラキラした高音のイメージとは逆のチューニング

・筐体の耐久性

 

 

 

■Appendix

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み