こんにちは
今日はSIVGA様より依頼いただきましたヘッドホン「SIVGA LUAN」のレビューです。提供ではありますが趣味でやっていることもあり普段のレビューと変わらず書いていますのでよろしくお願いいたします。
結論:響きと制動が素晴らしいリスニングヘッドホン 参考価格43,000円
SIVGA LUANは木を基調とした見た目が美しく高いフォルムを持ちながら、響きと制動力を感じられる明瞭かつ開放的なサウンドのヘッドホンです。弱ドンシャリの楽しいサウンドをチューニングに加えて解像度や定位など基本もしっかりしています。低音の響きと高音の輝きをもつ音色はとても楽しく力強く楽しいリスニング空間を演出してくれます。
本体は細部まで丁寧に仕上げられており、2軸+長さ調整可能な構造と大きめのイヤーパッドは快適な装着感をもたらしてくれます。革仕様のハードケースなど付属品も気品があり、蒸れにくいメッシュ構造や断線などにも強いリケーブル対応構造など、所有したときの満足感と共に、価格相応に長く使えるであろうヘッドホンに仕上げてくれていることを実感できます。
SIVGAのSV021 Robin、SV023に次ぐ多くの方にオススメできる名作ヘッドホンであり、サウンドの魅力はもちろんあることを前提に、SV023の価格は厳しいけれどRobinは少し見た目が物足りないという方に特にオススメできるヘッドホンです。
Pros(優秀な点)
◎ 響きと制動力を感じるキレの良い開放型サウンド
〇 全体的にベルが高くコストパフォーマンスが高い
〇 万人受けするフラット~弱ドンシャリ傾向のサウンドバランス
〇 イヤーパッドのが大きく可動域も広く、良質なビルドクオリティ
〇 リケーブルによるサウンド調整余地、断線対策がある
〇 アラウンドイヤー長時間でも快適な付け心地
〇 ケース等、付属品の質が高く実用的
Cons(微妙な点)
ー 強いて言えばケーブルはやや反発力があり、両側出しコード仕様
ー 当然ながら音漏れは多い
ー Tier1として強いて言えばもう少し解像度が欲しい(十分なレベルではあります)
△ 重さは338gとやや重め
△ SONY MDR-MV1などと比べると空間表現と広さは価格なり
- 結論:響きと制動が素晴らしいリスニングヘッドホン 参考価格43,000円
- ■動機付けなど
- ■付属品とか本体とか
- ■音質について
- ■ケーブルによる印象の違いについて(注意)「効果アリ」
- ■競合Tier1クラスの機種との比較
- ■所感
■動機付けなど
こちらもSIVGA様からレビュー依頼が動機ですね。SIVGAブランドのヘッドホンは全てべた褒めしているかのように思われているかもしれませんが、何気にある程度良かったものはレビューとして上げていますが、微妙だと思ったものはレビューを公開していません。その上で前回レビューさせてもらったSV023は新作で約6万円という価格でありながらフラグシップヘッドホンとして競合との対コストパフォーマンスに優れており飛びぬけて良かったです。その上で今回はほぼ似た仕様でありながらベリリウムではなくニッケルコーティングとドライバ素材が違うとのことで気になり受けさせてもらいました。
参考
SIVGAとは
いままでの紹介と同じになるのですがハイエンドヘッドホンメーカーのSendy Audioの手頃な価格向けのブランドがSIVGAの様です。私が無知だっただけで現在まで20年以上ヘッドホンの設計に携わっているエンジニアによるブランドで、最近できたような新興メーカーではないようです。
実際にヘッドホンをレビューしてみても細部にわたるヘッドホンの仕様が考え抜かれており、使い手としてコストとサウンドのバランスの果てにたどり着いたと考えるとほぼ非の打ちどころがありません。
SPECとか
販売サイトや公式サイトwww.sivgaaudio.comを見ていただくのが確実ではあるのですが英語のサイトになりますので気になった点をピックアップしておきます。
ポイントはもちろんダイナミックドライバの素材をニッケルコーティングしているところでしょう。
同じニッケルコーティングドライバの最近のヘッドホンとしてはHarmonicDyne Poseidonなどがあるようですが、現在の価格を確認すると439$が定価になりますのでLUANはややお手頃になるでしょうか。
販路、購入先(サポート)
現状は正式な国内代理店は無い様ですが現在国内への上陸などを検討されているような気がします。現状はAmazonで取り扱いになります。
尚、AliExpressでも購入が可能ですが価格は359$と299$で8月16日現在の日本円レートでは約54000円~44000円程度なのでAmazonが最安になります。
https://ja.aliexpress.com/item/1005005665207402.html?channel=twinner
■付属品とか本体とか
開封体験
サイズ感はいつもイヤホンと一緒においているぬいぐるみなどを参考にしてもらえると嬉しいです。
裏側には軽くスペックが書いています。いつもどおり「巧心菅造」と書いてありますね。
箱を開けると革のケースがドンっと出てきます。
SV023と同じケースでおしりの様に見えるともっぱらの噂です(嘘)。同じ構造なので直立します。
中を開けるとヘッドホンと付属品が入っています。いつも通り無駄の一切ないパッケージは好感が持てます。
付属品は3.5mmプラグのケーブル、3.5mm→6.3mm変換、付属品用ポーチです。
マニュアルなどはありませんが、直感的に使えるようになっています。折角なのでSIVGAのヘッドホンを並べてみました。
筐体(ハウジング)「木製+メタルメッシュ 338g」
スペックでは354gとなっていますが実測すると338gと少し軽めでした。
本体フレームや開放部のグリルなどの要所に金属が使われており、音響的な共振をするハウジングは木製です。木材こそ違いますがヘッドバンドや構造はほぼ上位クラスのSV023と同じ構造です。
イヤーカップの内側にはLRの文字があり見やすいほか、写真のように柔軟性もありますね。
異なるのはヘッドホン側のジャックで3.5mmタイプに変わっています(今までのSIVGAのヘッドホンは全て2.5mm)。このため、いままでのケーブルは利用することはできません。
とは言え入手しずらい規格ではないのでより丈夫に使える3.5mmのタイプの方が好ましいと考える方も多いかと思います。
構造的には40KのPHOENIX、63KのSV023との中間価格なのですがどちらかというとSV023寄りの高級感です。尚、個人的なデザインはLUANの方が好みですね。
ヘッドバンド「革+金属」
SV023と全く同じ構成ですね、ヘッドバンドの長さについてはヒンジ部分との付け根にスライダが付いておりそれを無段階に調整するタイプです。
内側は滑り止めのコブがありますが柔らかいスポンジが入っています。外側にはSIVGAのロゴがあります。
ヒンジ「金属」
金属で作られたヒンジ部は縦横の2軸調整ができるタイプで、こちらも上位機種のSV023と全く同じ構造です。写真では左がSV023で右がLUANです。
角度の変化調整範囲はこんなかんじです。
稀にこのような形状の場合ドライバが180度回ってしまって煩わしいタイプもあるのですが常識的な可動範囲にしてあることで使い勝手が良くなっています。
イヤーパッド「アラウンドイヤータイプ、交換可能?」
イヤーパッドはPHOENIXともSV023とも異なる大口径かつ良グレードの物がつよているようです。まず、肉厚で大きめの容積になっており、肌に直接あたる部分は柔らかい布で不織布かは定かではありませんが触り心地は良好です。柔らかく蒸れにくく刺激が少ないです。
その上で肌に当たらない部分は革性になっており、内側の革には空気孔が等ピッチで開けられています。このあたりの作りもSV023と同系統の素材で、違いはイヤーパッドそのものが円形に近く大きい事、スポンジが肉厚なこと、そして耳が収まるイヤーカップの容積が大きい点で新型を使っているということなのでしょうか。
立体的な作りになっていることで耳が一切ヘッドホンと触れないため、長時間使っても耳が痛くなりにくく、さらには蒸れにくくなったことでSV023と同様にSIVGAのヘッドホンの中で最も使い心地は良好でした。
内側には大きくRLが記載されているのでその点も使いやすさに繋がっていますね。ということで今回も取り外し可能かを確認してみたところ右側に回すと簡単に外すことができました。
イヤーパッドの耐久性については使い込んでみないとわからない点だとは思います。今回もアリエクスプレスの販売店で交換用イヤーパッドが見つかるかと思ったのですが、今回は見つけることができませんでした。現在メーカーに問い合わせ中なのでわかり次第何か追記したいと思います。サイズ的にApllo用が使えそうな気はしますがわかりません。
https://ja.aliexpress.com/item/1005005347224630.html?channel=twinner
ケーブル「交換可能3.5mm両出しー3.5mm3極プラグ + 6.3mm変換 28g」
ケーブルの仕様は今までのSIVGAの機種の異なりヘッドホン側が3.5mmタイプになっています。付属する物の質はPHOENIX付属と同等品質に見えますが、タッチノイズが劇的に削減されています。
ケーブルはサラサラしたゴムの様な被膜で、中の線材は見えません。長さは1.6mあります。ヘッドホン側のコネクタは3.5mmのTS 2極左右両側出しでジャックは3.5mmの3極タイプです。欠点としてはやや反発力があるタイプで、結果として丸めたときに曲率半径が大きい点でしょう。折角なので並べてみるとこんな感じで半径が1.8倍程度大きく広がります。
先端の比較はこんな感じで、ヘッドホンとの接続部が変更されています。よくよく考えるとSIVGAのヘッドホンケースは毎回プラグを着脱しないといけませんのでそれを踏まえると3.5mmの方が耐久性が高いことが多く、良い変更点なのだろうと思います。
いずれにしてもケーブルについてはPHOENIX付属に近い品質でケーブルより本体にお金をかけて欲しいと感じるタイプの方にはLUAN嬉しい仕様ですね。
〇ケース「ハードタイプ革」
SV023と同じ全く同じタイプでしっかりとしたハードタイプの革ケースが付きます。
ケースに入れた機種を並べてみていますが、かなり高級感があります。
〇装着感「◎」
SIVGAの中でSV023と同じで最も良好です。特に私の耳は客観的にかなり大きいサイズなのでアラウンドイヤータイプでも深さが無いと耳たぶが当たり痛くなることがあるですが、SV023やRobin同様に良好でした。
〇内部構造「◎」
メンテナンス性などを確認するため中を確認してみました。内部のアクセスはイヤーパッドを右に回すと外れるタイプです。
取ると、斜めに配置されたドライバやその周囲に不織布が見えて音響的なチューニングがほどこされていることがわかります。内部構造としてはその中身になるのですが、+ネジ4本で止まっているだけなのでネジを取って内部構造を確認していきます。
開けるとこんな感じで、木製のハウジング、内部ケーブル、ドライバ、ジャックが見え、とても簡単な構造になっています。これであれば修理なども容易かと思います。
内部配線についてはPHOENIXやSV023とは異なる細目の線が使われています。音響チューニングでしょうか。
〇その他、総評「◎」
レビューの為に自身のヘッドホンのコレクションを再確認したり、店頭で競合機種を購入も視野に確認したのですが43Kという価格ではトップクラスの完成度でしょう。特にPHOENIXと比べると価格差が無い割に様々な部分でアップグレードを感じるため、お得感もあります。また、PHOENIXからイヤーカップの容積とメッシュが増えたことで装着感と蒸れにくさもアップグレードされています。
ケーブルの材質は少し気になりましたが、それ以外のデザインの上質さや、イヤーパッドの装着感、ヒンジ等良質なビルドクオリティです。姉妹ブランドで高級ヘッドホンを作っている実績も踏まえ、SIVGAのフラグシップに恥じないな作りは好感が持てます。
■音質について
〇想定競合機種
価格帯で考えると手持ちではAustrianAudio Hi-X55になるのですが密閉型のため、同社 PHOENIX、SV023がライバルになるでしょう。
手持ち以外であればSONY MDR-MV1、SENHEISER HD600シリーズでしょうか。ダイナミックに限定しなければHifiman SANDARAなども競合になるかもしれません。
〇ファーストインプレッション
SV023があまりにも良すぎたので期待しすぎないで聴いたこともあってか、素晴らしい音色のバランスに驚かされました。パワフルで心地よい響きがある低音に加え、適度な音の厚みと広い音場感があります。
PHOENIXがデザイン重視かつポータブルリスニング目的として良ヘッドホンであったことに対してLUANはそこに加えて正統派のリスニングヘッドホンに進化させたイメージでしょうか。SV023は相対的に低音がやや落ち込むチューニングだったことを考えると逆に低音を強化させバランスに振ったイメージです。いやはや、SV023に続いてかなり良いヘッドホンに仕上げてあることで、逆に期待を裏切られるという驚きは中々にやられました。
〇エージングとか
基本的には実際に使用しながらのべ20時間ほど、AGPTEKなどを使ったプレイリストの無限ループにて300時間程度鳴らし込みました。モバイルケースを使ってOFF会などに持ち込んだり、とできるかぎり木が日本の機構になじみやすい様に1か月ほど使い続けてきた形になります。その後レビュー用に10時間ほど聴き込みました。
その間では大きな変化はなかったように思いますが、こころなしか音の纏まりが良くなった様な気がします。
〇環境とか相性とか
標準環境*1を使っています。
スペック38Ωとある程度鳴らし易すくXperia10ivなどでも十分に音量は取れます。PHOENIXと比べると差し替えるとだけで10%ぐらいボリュームが下がったなと感じますのでやや鳴らしにくめになりました。
音色についてはPHOENIX同様に手軽に聴くこともできますが、さすがに据え置き機器の方が良い音で聴くことができます。駆動力はあるほどよく、M17など据え置きクラスの上流になると音色の影響は受けやすく、特に音場感や解像度に大きく影響します。
PHOENIX同様にスマートフォンや一般的に駆動力が無いほどやや暖色傾向に寄ります。
〇帯域バランス 「フラット~弱ドンシャリ」
ほぼフラットですが、少しだけ低域と高域が強めの弱ドンシャリ~フラットバランスです。SV023やPHOENIXと比べると低音がやや強めになるかと思います。
インピーダンス特性
手持ちにあるSIVGAのヘッドホンを全て測定してみました。
SPEC通りSV023が300Ω付近で極めて高いことがわかりますね。LUANはその他のSIVGAのヘッドホンと比べて少し高い38Ωでしたが少し高めの40Ω強ぐらいでしょうか。形状はほぼ同じですね。
どうしても低域のインピーダンス変化、高域につれてインピーダンス上昇はアンプによって低音と高音の出方が変わりやすいかと思います。
測定環境などはこちらの記事を参照ください。
〇音色 「◎」
寒暖: ニュートラル
明暗: やや明るめ
響き: 多め
固液: ややソリッド
乾湿: ややドライ
厚み: 太く厚め
余韻: ◯
特徴
響きと余韻が特徴的で厚めの元気サウンドです。響きは少しソリッド感があり余韻があります尾を引かないのでドライさはありません。音の厚みはやや太めで悠々とした音場にしっかりとした音を聴かせてくれます。高域はやや派手で割れそうなギリギリのラインでキラキラしており、低域は弾みつつ余韻が絶妙です。
低域の厚みと余韻は十分な個性でPHOENIXの無難なバランスから特徴ある音色に味付けされているかと思います。一般受けするラインに纏めつつ個人的に低域の音色に個性と深みのアクセントが欲しい方に合う音色です。
競合と比べるとSV023はキラキラ高解像度の音色ですし、PHOENIXはややクールで寒色傾向です。
〇解像度、分離 「〇」
解像度はこのクラスのヘッドホンとして十分に高いです。PHOENIXやSV023と同様にアンプに大きく左右されるのでできれば良い環境を用意したい部分です。PHOENIXやSV023と比べると価格と比例するように差があります。音の細部まで表現するSV023とはかなり差があり、PHOENIXと比べるととやや上になりますがそこまで大きな差ではありません。もちろんPHOENIX同様にスマートフォンなどでもカジュアルにも使えるので便利です。
〇音場(広狭、重心、遠近) 「〇」
音場左右:やや広め(開放型として一般的)
音場上下:一般的(開放型として一般的)
音場前後:一般的(開放型として一般的)
重心前後:ニュートラル
重心上下:ニュートラル
音場はこの価格帯の開放型としてはやや広めです。見た目通り開放感もしっかりあり一般的な4万円クラスとして良質な表現力でだと感じます。PHOENIXと比べて表現が少し違いますがやや広いかなと言う程度で、SV023と比べるとやや狭めと言う感じでしょうか。
他社になりますが少し上の価格帯で販売されているMDR-MV1と比べると凡庸な表現力になります(これと比べるとほぼ全てのヘッドホンがそうなりますが)。
〇定位、音像 「○」
定位や音像はこのクラスとしては十分な音像の掴みやすさです。音色が太めなため大編成のクラシックや音数の多い楽曲では不鮮明にもなりがちですが、PHOENIXと比べてもほぼ同等かやや良いですね。
〇低域の質について 「◎」
量感はそれほど強いわけではないのですが、低い帯域からしっかりと太く響く楽しい低音を出してくれます。キレが良く程よい残響感が質の良い余韻となって楽曲全体を盛り上げてくれるので楽しく聴ける音色です。
立ち上がりのアタックは十分に素早くゆっくりとしていたPHOENIXと比べてクッキリと早く、スピード感とグルーブ感もあります。逆にゆったりとした落ち着いた音色となるとPHOENIXの方が合うでしょうが、総じてLUANの低音は競合製品と比べても十分な品質と特徴を持っています。
〇中域の質について 「〇」
中域表現は中庸ではあるのですがしっかりとした音の厚みがあり、適度な近さ量感もある表現です。男性ボーカルの力強さや女性ボーカルの伸びる高域など音色は多彩さを感じます。適度な響きと素早さを感じる制動感があり良質だと感じます。
PHOENIXと比べると1枚ベールを脱いだかのような明瞭感を感じるハッキリした音で、逆にPHOENIXはゆったりした楽曲に合い、LUANと比べるとやや詰まった響きの表現とも言えます。
〇高域の質について 「ー ~ ◎」
量感も十分ながら輝くキラキラ系の攻めた音色です。ベリリウム系のキラキラ感とは異なり、ギラギラやキンキンに近い一歩間違えれば不協和音にもなり得るギリギリまでチューニングされた高域表現です。金属感もあり、チャイム系の楽器は明るく響くのですが制動感はあり、中低位きに比べて高域の余韻はややさっぱりしています。
女性ボーカルのサ行などの歯擦音の刺さりについてほぼコントロールされていますしギリギリではありますが、今まであまり聴いた事の無い音色表現であり、魅力的な表現だと感じました。人によっては◎ですが、強さが苦手と言う方は値段なりと感じるかもしれません。(*ケーブルである程度は調整可能)
〇ジャンルの得意不得意 「リスニング用途◎」
比較的どのジャンルも合うヘッドホンですね。迫力があってドンシャリで、ハキハキした元気な音なので、ゆったり聴くよりはモニター用途のような使い方もありかと思います。
■ケーブルによる印象の違いについて(注意)「効果アリ」
注意:ケーブルについては科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありませんので、オカルト的な要素を過分に含みます。幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。
今回は、LINSOUL様からTRIPOWINのケーブル4種類、NICEHCK様からSnowAgのレビュー依頼があり、それらをとの相性を確認していおります。
今回試したケーブルの測定値はこちらをご覧ください。
IvipQ IvipQ-97 「✖~△」
驚くほどに明瞭な音色になります。曇りが一気晴れたかのように明るくドライ方向の音色になり解像度も1~2段上がります。ただ問題は高域で、割れた様な耳障りで不協和音に変化してしまいました。元々ギリギリと感じる音色であったことも影響しているのかもしれません。
基本的には概ね素晴らしく◎~〇ぐらいにはしたかったのですが、個人的にこの高域表現はややNGゾーンだったので✖にしました。高域が鋭い方が好きと言う方には逆に〇かもしれません。
変換プラグ + TRIPOWIN Sirene 「〇」
全体に音色が良くなったっと感じる爽やかサウンドです。音はやや細く繊細になる方向ですが、高域のキツさはほぼありません。音場の広さはややこじんまりした印象はありますが解像度が上がり全体にすべらかになることで纏まった音色になった印象です。
ややドライで、軽快なこともあり楽しさに磨きがかかった印象で直接変更することはできませんが基本的に良いと思いました。
変換プラグ + TRIPOWIN Mirage「○」
音像がやや上方に定位し、音場が左右に広がり一歩引くような俯瞰性がでます。もともとほんの少し近めだったこともあり丁度良い感じでしょうか。低音も高音もしっかり出ているのですがやや落ち着いた印象の音色です。少しだけ暗くやや暖色傾向に変化するでしょうか。
中域から低域がしっかりとする他、音色が全体に優しくなることで高域の刺々しい部分が大きく減ります。音が丁寧で大きく空気感が変わって土台がしっかりしたような安定感が出ます。
こちらも直接変更することはできませんが個人的にはかなり有りだと思わされる変化です。
変換プラグ + TRIPOWIN Solstice 「ー~◎」
音色が明るく、音がグッと近くに寄って前後の音場の広さによる立体感が出ます。音像の重心が下がり低音はアタックとキレが良さが出てくれるLUANの良さを上手く活かしてくれていると感じます。
やや音が近すぎる、横が狭いと感じる人もいるかもしれませんが、音像の一体感が増しますし音像の立体感と空気感が良く個人的には好きです。音色の余韻も良く個人的にはありだと思います。
変換プラグ + TRIPOWIN Seraph 「〇~◎」
解像度、解像感が一段以上向上します。音像がやや近めになり音の明瞭度やキレが大きく向上していることを実感します。若干クールでドライな傾向にはなりますが攻めていた高域は若干大人しくなりますが低域から高域まで素直にアップグレードしてくれた様な音色です。
音の分離感がありつつも音の一体感も両立しており、どの帯域の音色も聴き取り易いのも特徴です。横の音場も広がり解放感も良好です。
単体では今回試した中では素直に良い音色にしてくれたケーブルでしょうか、そこそこ値段が張るケーブルではありますが大きな癖が無い点は使いやすい良いかと思います。
NICEHCK SnowAg 4.4mm 「◎」
RedAgの4芯版です。
やや音が近いのですが低域は深みがあり質感が良いですがアタック感は少な目です。高域の音色は澄んでおり柔らかくソフトで余韻が素晴らしいです。女性ボーカルのサ行の刺さりが低減され、高域は煌びやかさと澄んだ音色とギラギラ感の全てを攻めているバランス感覚です。
横の音場はやや広がり解像度は1段以上向上でしょうか、正直に言って値段を考えればかなり良質で、AliExpressでしか買えない点は差し引いてもかなり良いケーブルですね。かなりギリギリまで攻めた超高域をとても上品で品のある音色にしてくれる点は秀逸です。
標準ケーブル 「ケーブル込のチューニング」
リケーブルを試してみた後に標準に戻した感想としては解像度が低く、高域の表現がややザラザラとした粗さを感じさせます。単体で見るとあまり良いケーブルでは無いですが、高域についてはケーブル込で音響チューニングしたであろう音色であり、ケーブルを変更すると高域表現はかなり変化が大きいです。
ケーブルまとめ
最初の音色が気に入った場合はリケーブルは不要かと思いますが、高域表現が気になった場合、解像度が気になった場合はリケーブルをおすすめします。HD600シリーズを始めとしてこの価格帯の往年の名機でもケーブルの品質はイマイチという事が多く、LUANが特別に悪い訳では無いのですが「ケーブルを変えると激変」という感覚は味わえる可能性があるヘッドホンになっているかと思います。
尚、今回試した中ではコスパではSnowAg、絶対的な音質ではSeraphが気に入りました。両方とも良いケーブルです。
■競合Tier1クラスの機種との比較
SONY MDR-MV1
MV1がめちゃくちゃ安くなってきているので、面白い勝負になっていますね。解像度はほぼ同クラスですがややLUANの方が良いでしょうか。音場はMV1の圧勝ですが、付属品や構造はLUANの方が高級感がある造りになっています。音色はLUANの方が特徴的です。
SENNHEISER HD600シリーズ
シリーズによってもやや異なるのですが概ね解像度はほぼ互角でしょうか。HD600シリーズの方がややフラット傾向でLUANの方はやや弱ドンシャリです。鳴らし易さはLUANの圧勝でまともなヘッドホンアンプが無ければHD600シリーズは使いずらいヘッドホンになります。アンプを揃えればHD600シリーズに分がありますが、それ以外ではLAUNが優位だと思います。ただ、HD600シリーズの予算があればSV023をオススメしたいです。
HIFIMAN SANDARA
Hifimanの4万前後で最も競合と言えるのは日本では低価格で売られているSANDARAでしょう。平面駆動型という特性上、インピーダンスが高くともやや駆動力を要する機種と言われています。フラットからやや高音寄りなのがSANDARAなのでややドンシャリ傾向が好きな方はLUAN一択でしょう。こちらも鳴らす環境があるのであればSANDARAの方が解像度が高いかと思います。
まとめ
全体を通して音色とビルドクオリティが強みで解像度などは他のTier1クラスと比べるともう一歩だけ欲しい(Tier2クラスだと十分良い)と感じます。価格帯として十分以上に魅力的なレベルに磨き上げられているかと思います。
■所感
個人的にSIVIGAのヘッドホンは全体的にレベルが高いと感じていますがそれでも好き嫌いは流石にあり、中でもSV021 Robin、そしてSV023は非常にレベルが高く2万円、6万円でもかなりレベルの高い音を聴かせてくれるヘッドホンでした。今回LUANはその間にキッチリと収まる4万円クラスのヘッドホンとなりました。PHOENIXがどちらかというとゆったり聴く様な使い方に合う音色で、どうしてもそれら2つと比べると現代的なサウンドには合わない音でだったのですが、LUANがキッチリと相だを埋めてくれたと感じます。SV023やRobinとの価格差を考えるともう少し解像度が欲しいという気持ちは無くも無いですがHD600クラスが6万円前後で売られている時代ですし、全ての物価が上がっているようにオーディオ製品全体の価格も上昇傾向であり、それを踏まえると十分以上の完成度に纏め上げられているかと思います。
これらの3つで悩んでいる方に対しては、個人的に予算と300Ωを鳴らせる環境があるのであればSV023一択と伝えたいです。そこに妥協できるのであればLAUNはとても良い選択肢になります。SV021 Robinは限られた予算で高い解像度を求める場合に良い選択肢になります。どれを選んでも素晴らしい出来です。
〇最後に
SV023に続き素晴らしいヘッドホンでした。この様なレビューの機会をいただけましたSIVGA様には改めて感謝申し上げます。
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