ゆるふわオーディオ日記(blog)

気に入ったイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のオーディオ体験を日記ブログとして思うままに書いています。ゆるキャラ、モフモフ、ポフポフ、ふわふわが大好きです。2年で400本ぐらい機材が増えてレビューBlogになりつつあります💦。アフィリエイトはレビューとかプレゼント企画の資金にさせてもらっていますニャ。

レビュー:KZ ZAR 結論:KZの流れが色濃いZASの進化版1DD7BAハイブリットイヤホン(雑記的なインプレレビュー)

こんにちは

 

今日はCCAの傑作HM20のKZ版とも言える「ZAR」が届いて少し聴き込んだのでざっと感想を書こうと思います。いつもより簡易感が強いのですが雑記みたいなものだと思って許してください。HM20とZASとの比較について気になるだけという方は結論とSpaceCloudを使った3機種聴き比べの項目のみ読んでください(笑)。

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簡易結論:A15K Tier3 参考価格:13800円

ZARは昨年のKZのハイブリットラインのフラグシップZASの後継機で、より忠実な中域とリアルな高域表現を持つ良イヤホンです。

姉妹ブランドのCCAではHM20で従来の音作り異なる方向の音色になりましたが、ZARでは似た構成を持ちながらKZブランドらしいZASで好評だった低域の深さ、解像度、音場感等の良さをそのまま残しチューニングが魅力です。特にZASが気に入っていた方にはZASの進化した音作りを体感できるフラグシップ機になります。

筐体がやや大きく、重くなってしまった点は残念ではありますが、KZブランドとしては良質なケーブルが付属するなど一般の方にもかろうじておすすめできるレベルです。ZASから価格が大きく上がってしまった点も残念なのですが中級者向けリケーブルによる伸びしろもあり、価格がZAS並にこなれれば良い選択肢になるかと思います。ただし個人的には、KZサウンドに強い思い入れがなければCCA HM20の方がおすすめです。

 

Pros(優秀な点)

○ 価格帯に恥じない解像度、良質な空間表現等、全体的にレベルが高い

○ KZらしいドンシャリバランス

○ 良質な深い低音、中域の解像度、音場感と空間表現

○ QDC2pinのリケーブルができ、中級者向のサウンド調整余地がある

Cons(微妙な点)

ー 気になるCCA HM20の個体差情報

ー 価格を考えると気になるQDCという2pin規格

ー 低音が強すぎると思う人もいるサウンドバランス

△ ZASからの進化ポイントに対して価格差が大きい

△ イヤーピースの品質が悪かったりと、価格帯として付属品がチープ

△ 筐体が若干大きく、重め

△ これより安い価格でCCA HM20が購入できる

動機付けなど

モチベーション

もうHM20Sタイプがすごすぎたということに尽きます。これのKZ版とあれば買わないわけには行きません・・・が、HM20については個体差がありましたのでこのあたりも気になる処です。

el-snow.hatenablog.com

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販路、購入先(サポート)

現状は正式な国内代理店は無い様ですがAmazonで取り扱いしています。

ZASが7600円程度だったことを考えるとかなり割高です。ただHM20も国内ですと10000円程度なので似たようなもの?ですが、それでもかなり価格が高いです。海外の価格を見ると80$とHM20の60$から20$値上げしているようです。

SPEC

KZのCCA版かと思いきや、「音導管が無い」、「DDが10mm」になっているとのことです。どちらかというとZASのDDと高域用BAを刷新したという方が近いかもしれません。

箱とか付属品とか本体

開封体験

いつもKZでしたので省略といいたいところですが写真を取ってしまったので載せておきます。

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デザインが刷新されたHM20と異なりZASとパッケージはほぼ同じですね。

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付属品もZASとほぼ同じです。

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筐体

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競合機種との比較

左からHM20、ZAS、ZARです。

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直流インピーダンス 「15.1[Ω]」

テスタ―*1で実測したところ直流インピーダンスは両側平均15.1Ωでした。ZASが22.1Ω、HM20が19.5Ωなので別物です。

ステム形状 「5.48[mm]」

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ノギスでステムの最大径を測ったところ約5.48mmとZASの5.1mmより若干ながら太くなり、HM20の5.8mmより細いです。ちなみにフィルターは細かく、HM20Sタイプに似ています。

重さ 「14.8[g]」

両方合わせての重量はZASの10.7g、HM20の11.4gよりやや重めです。こちらも明確に重さが違いますので内部のパーツなどが変更されている可能性が高そうです。

リケーブル端子 「QDC2pin」

いつものKZですね。

ケーブル

ZAS同様のちょっと良いケーブルが付いています。

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重さ 「19.4[g]」
抵抗値(直流インピーダンス) 「0.3〜4Ω」

テスタ―*2で実測したところ直流インピーダンスは0.3〜0.4Ωでした。ZAS同様にこのクラスの付属品のケーブルとして最低限度の品質のものが付くようになっています。

クロストークチェック ほぼ無し

手順*3に従って確認しました。

ボリュームを現実的にかけ離れるほど大きく上げるとほんの少しクロストークはありましたが、気になるレベルのクロストークはありませんでした。

付属イヤーピース 「3サイズ」

いつものフジツボですね。

付属ケース(充電、電池持ち)「なし」

その他(充電、電池持ち) 「なし」

使い勝手の評価

寝ホン 「△」

本体は分厚いのであまり向いていないように思います。

外使い(音漏れ、遮音性、ノイズキャンセル)

指でステム側を抑えて遮音してみました。体感で3〜4割程度漏れていますので外使いではやや音漏れの注意が必要かと思います。

ホワイトノイズ 「多少あり」

ややホワイトノイズが出やすいLotooのPaw PICOに繋いで最小ボリュームで聴いてみましたが小さく「サー」というホワイトノイズがあります。ZAS同様に気になる方は気にあるかもしれません。

音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等)

全体としてZASです。リケーブルを変える人にとっては無駄なコストではありますが、一般の方がZARを初めて購入するとすればKZ系ではおすすめしやすい構成のイヤホンになっています。

HM20やZASとのスペックの違いがきになりましたが、数値上や外観などもかなり別物になっているように思います。

 

音質について

ファーストインプレッション

ZASのアップグレード版です。HM20よりもZASにかなり近い音色でKZ版のHM20というイメージで買っていたので少しがっかり感があったとともにZASからどう変わっているかが気になった次第です。

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競合機種との比較について

とりあえずZAS、HM20Sタイプと聴き比べました。

 

エージング(バーンイン)

1時間ほど普通に使ってみました

試聴環境

標準環境*4を使っています。

今回はM17DCを使いました。

帯域バランス 「低音よりのKZドンシャリ

KZの中域も重視したドンシャリ型、いわゆるWバランスです。ZASより若干低域と中域がスッキリした量感になっています、

音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み) 「◎」

ZASを全体にスッキリさせつつ解像感を全体に上げた音色です。深く広がる心地よい低域はそのままにより全体をブラッシュアップさせた印象です。特に高域の音色がしっかりはっきりしたことで全体のバランスは更に良くなった印象です。

良い意味ででかなりKZ臭い音色で、好き嫌いは別れてしまうかと思います。HM20のSタイプで上品になりすぎたと感じた人にはかなり刺さる音色だと感じます。また、Hタイプで分離感が強すぎたり音が薄いと感じた人にも刺さるバランスです。

個人的にはKZらしい悪くない音色ですがKZが好きでない方はHM20の方が気に入るかと思います。

K音場(広狭、重心、遠近) 「○」

前後の立体感と上下の広さは価格なりですが、左右の水平音場は広めです。音像の重心は上下は一般的で遠近としては近く、迫力があります。ほぼZASと同じイメージの音場感でよいかと思います。尚、広大で俯瞰的なHM20Sタイプに比べるとかなり異なり、迫力側に寄っています。

定位、音像 「ー」

ZASからやや向上しており、ZAXなどに無い正確さをある程度持っています。現在の価格帯としてはやや物足りない部分も無いことなないですが十分な性能だと感じます。

ZASやHM20の価格帯であれば○にできるレベルですが価格帯が高いためこの評価になります。

解像度、分離 「○」

現在の価格帯としても解像度はこのクラスとしては良い表現力を持っています。ZASから向上したのは高域の解像度で細かい高域の楽器の表現力が増しており、順当なアップグレードだと感じます。HM20の様な目の覚める解像度、解像感はありませんが、十分価格帯に見合う性能があると感じます。

ZASやHM20の価格帯であれば◎にできるレベルですが価格帯が高いためこの評価になります。

低域の質について 「○」

ZASの魅力としては圧倒的な低音の再生能力が挙げられますがZASに引き続き魅力的な音に包まれるパワフルな低音が感じられます。HM20Hタイプのような尖すぎる低音感が無いので心地よい低音の音の海に委ねられる感覚です。

HM20Sタイプと比べるとアタックなどはやや劣る感覚はありますがそれを押して余りあるエネルギー感があります。サブベースが強く中低域はスッキリとしているためPOPSなどでは意外とバランス良く聴ける点もバランスが良いです。

ZASやHM20の価格帯であれば◎にできるレベルですが価格帯が高いためこの評価になります。

中域の質について 「○」

中域の表現はZAS同様にかなり高いのですが、表現がより細かくなった上により調和がとれた音色になったように感じます。価格帯を考慮してもまずまず良いレベルでZASからアップグレード感があり、HM20に近い表現だと思います。ZASに比べると強調された生々しい音色感が薄れている部分はあるのですが、強調感が減ってより自然な音色になっている感じです。

ZASではドンシャリのバランスではありながらボーカル域の表現の細やかさなどは見事だったのですが、価格帯がここまで上がると一般的なレベルでしょうか。ZARではそのあたりを更にチューニングしてきていると感じます。

一方でHM20ですが、標準ケーブルの品質差を差し引きすると分離や解像度は概ね互角という感覚です。当然リケーブルをするとHM20が上回ります。

高域の質について 「○」

ZASから明確に向上したと思えるのはこの高域表現です。シンバルやチャイムなどの楽器ではやや不自然な部分があったZASですがZARになりより音のがしっかりとした印象です。

中高域の女性ボーカルのサ行などの歯擦音の刺さりも少し減り、よりバランスが取れた印象です。一方でHM20ですが、標準ケーブルのリミッターを考慮しても高域の見事な定位感と比べても大きな差がありません。

尚、HM20(特にHタイプ)では若い方を中心に高域が強すぎるややキツイという人もみられるチューニングでしたがZARではその点は問題ないチューニングになっています。

SPL周波数特性測定

手持ちの機材と環境*5にて測定してみました。

vs ZAS

高域用のBAが変更されたと書いてあったので高域だけが大きく異なると思いきや中域も大きく変更されています。

vs HM20

音導管が無い為か高域はかなり特性が違います。中域も異なるので別物という感じですね。

 

相性について

ジャンルの得意不得意

サブベース域が出るかどうかで印象が大きく異なるZAS、ZARですが、概ねジャンルを選ばず使えるタイプだと感じます。

アンプ(上流)による印象の違いについて

ZASやHM20同様に良い上流にするほど解像度が上がる傾向があります。当然ケーブルやイヤーピースなどの他のボトルネックも変更してやる必要があるので中級者向けでもありますね。

ケーブルによる印象の違いについて(注意)

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注意:

リケーブルについては科学的に見ればごく低品質なものを除いて音質の変化に対する定量性のある決定的な証拠はありません。

このためリケーブルは貼り付けなどと変わらないオカルト的な要素を過分に含みます。

幸いながら私はイヤホンケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。

M17 "AppleMusic" -> 「    」-> イヤホン -> SpairalDot++

デフォルトケーブルについての補足

正直、KZの中では少しマシなケーブルという程度で、他のメーカーの一般的なすこし粗悪な標準ケーブル程度の認識で良いかと思いまっす。もちろん普通に使えますし丈夫で絡まりにくいなこともあり、音質の向上を目的としないのであればそのまま使ってもよいかと思います。ただ、ZARはケーブルによる音質の伸びしろが大きい傾向があるので興味がある方は変更を推奨します。

NICEHCK SpaceCloud 4.4mm

全てがレベルアップすると言っても過言ではありません。音色の傾向としては明るくややドライになります。音場は広く広大で明瞭なサウンドになります。次の項目の聴き比べに使っていますがNiceHCK を今のブランド力まで押し上げたケーブルと言っても過言では無いかと思います。

SpaceCloudとSpiralDot++を使った3機種聴き比べ

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この三機種を同じケーブル同じイヤーピースで聴き比べしましたが、結論としてZARはZASの順当な進化版であって、HM20とは全く異なるチューニングのイヤホンです。イメージとしてはZASの中高域強化版というイメージが一番近いでしょうか。

SpaceCloudを付けたZARは相応にレベルが高くZASより更に音色にリアリティがあり解像度と分離と中域~高域表現が磨かれたことがわかります。ZAS以上に素晴らしい音色ではあるのですが、厳しく言えばHM20Sタイプと比べると解像度と分離が劣り、やや音の立体感にかけてしまいます。これはHM20Sタイプが良すぎるだけではあるのですが、空間の広がりに余裕が無く音と音の絶妙な距離感や音の細やかさに差があります。

他にも音の響き方、空間への広がり、上品さがある音色、etc何から何までKZらしくないHM20Sタイプとは別物です。また、Hタイプの解像感と分離感が強くタイトで力強いKZ感の音色とも異なるのでHM20からはかなり遠い音作りです。

特に異なるのは解像度と解像感、分離、空間表現で、ZARは良くも悪くも価格なりで、個人的な音の好みとしてはHM20には大きく及ばないです。HM20のSタイプを聴いて同じレベルの完成度のイヤホンを求めるとすこしがっかりしてしまうかと思いますし、Hタイプを持っている人がSタイプの様な音色を求めても違う方向だと感じます。

ちょっと13800円という価格は強気すぎると感じますが、ZARは純粋にZASの後継として弱点を潰して良さを伸ばす変化があり、純潔のKZっという風格があるように思います。このため、HM20を聴いてみてKZ風味が足りなかったという方や、ZASの単純なアップグレード版が欲しかったという人がZARがはまるという感じです。

ということで、HM20Sタイプを持っていて少しだけチューニングが違う音色が欲しい場合はもう一台購入してHタイプを入手する方が満足度が高いように思います。(私もそのつもりです)。

 

音質の総評、所感

ケーブルなど標準構成となりますが、個人の主観的な好みで言えば90点、私が客観的だと思う好みの点数としては85±7点です。価格帯と音のレアリティ、付属品等ユーザビリティを考慮した総合的なランクはTierは3としました。まぁ音はかなり好みなのですが、客観的に考えるとこの値段なら特に理由がなければおすすめしないかなというやつです。もちろんTier3(Tierは5まであります)なので普通に良いイヤホンではあります。

ちなみに、気になるのはHM20の個体差で、KZではこの話題はつきものではありますがZARについてももしかしたら・・・という気持ちは無いわけではないですね。

Appendix

 

 

el-snow.hatenablog.com

el-snow.hatenablog.com

 

*1:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去

*2:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去

*3:

ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします

*4:

M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

iphone12"AppleMusic" -A1749->  -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++

Xperia10iv"AppleMusic" -標準ケーブル->  イヤホン -> SpairalDot++

*5:

〇測定環境 

ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4

ソフトウェア:REW V5.20.13

INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit

OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換

カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用


イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ

〇測定パラメータ

 入出力バッファ512K、Acoustic Reference

 出力音圧レベル:−12dB

 Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz

 カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み