こんにちはゆるふわオーディオのすのーです。
今日はARTTI様より依頼の3DDイヤホン「ARTTI R1」の簡易レビューです。尚、レビュー依頼品ではありますが、趣味でやっていることもありいつもと同じ基準で記載しています。
結論:A10K 条件付きTier1 3つのドライバの魅力を満喫できる響きと迫力
ARTTI R1は2つのチタンコートダイナミックドライバとベリリウムコートダイナミックドライバから想像される豊かな低域とタイトさと高域の煌きとという「らしい」3つの音色を同時に楽しめるイヤホンです。
エージングで音の変化が感じられやすいイヤホンだと思いましたが、筐体の作りは堅実ですし付属品も優秀です。女性ボーカルなどの刺さりも少なくボリュームを上げ気味にした音は個人的に大好きな音色でした。
T10の真面目で堅実な音作りや地味なデザインとは真逆で楽しく一般受けし易いデザインで3DDの響きが好きな方に勧めやすいイヤホンです。
Pros(優秀な点)
◎ 響きと迫力がある個性的なサウンド
〇 豊かな低域とタイトさと高域の煌き
〇 万人受けし易い弱ドンシャリバランス
〇 装着感も良く、高いビルドクオリティ
〇 リケーブルによるサウンドチューニングの余地がある
Cons(微妙な点)
ー 強いて言えばエージングで音の変化がある
△ リケーブルの伸びしろが大きく感じられるチューニング
△ エージング前は響きが多く、統一感が少ないためやや万人受けしずらい音色(私は大好き)
量があるので上記の結論以外は気になる部分をリンクから読んでもらえればと思います。
- 結論:A10K 条件付きTier1 3つのドライバの魅力を満喫できる響きと迫力
- 動機付けなど
- 箱とか付属品とか本体
- 音質について「基準A10Kクラス」
- 周波数特性測定とか
- ケーブルによる印象の違いについて(注意)「要」
- リケーブル関係の注意
- イヤーピースによる印象の違いについて
- まとめ
- 音質の総評、所感:A10K Tier2 参考価格:9500円
- Appendix
動機付けなど
前回の記事、モチベーションなど
ファーストインプレの通りですが、T10が見事なチューニングだったこと、そして3DDでベリリウムコートと聞いたら受けていましたw
販路、購入先
現在、日本国内であればAmazon での購入が可能です。
SPEC
ドライバーユニット: ドライバー構成:6mmチタンドームダイナミックドライバー 2基+ 8mmベリリウムコーティングダイナミックドライバー 1基
インピーダンス:20.4Ω±1%(@1kHz)
全高調波歪み (THD): ≤3% (@1kHz)
感度: 102dB/mW (@1kHz)
周波数応答: 20Hz-20kHz
ケーブル長: 1.2M±0.1M
プラグ: 3.5mm/4.4mm-0.78PIN
ケーブル:4本 216芯*0.05mmオーストラリア産高純度銅線
気になった点とかはこちらで
箱とか付属品とか本体
開封体験
結構凝った布張り?の箱で届きます。
外箱をスライドさせると立派な箱がでてきます。
全金属シェルでユニークですが、T10より一般受けしそうなデザインです。
LETSHUOERと同じデザインのマニュアルなど
ケースはしっかりしています。
中にはケーブルとイヤーピースが収められています。
マニュアル「あり 英語のみ、図解あり」
筐体 「両側計12.5[g]」
本体はこの価格帯だと普通でしょうか、全金属筐体では軽い方だと思います。
コネクタ 「2pinフラット」
ステム形状 「6.35‐5.83mm」
やや太めですが一般的な範囲です。
直流インピーダンス 「L18.6, R 18.9[Ω]」
ケーブル 「2pin 3.5mm3極」4.4mmオプションあり
程良い質感の良いケーブルです。取り回しも良くしなやかですし適度な細さで使いやすいです。LETSHOUERのD13のケーブルとすごく似ています。
重さ 「18.2[g]」
直流インピーダンス 「HOT0.5,COLD0.2[Ω]」
珍しくHOTとCOLDで違うと思ったのですが、LRで違いました。ケーブルの質はそこまでかもしれません。
タッチノイズ 「少なめ」
付属イヤーピース「2種類3サイズ 合計6ペア」
いつも通り残念ながらどのイヤーピースも自分にはフィットしませんでした。
使い勝手の評価
ホワイトノイズ 「実用上問題無し」
ややホワイトノイズが出やすいM17のMAXヘッドホンモードで最小ボリュームで聴いてみたが、ホワイトノイズはありませんでした。実用上は問題ないかと思います。
寝ホン 「B+」
やや厚みがありますが突起がなくベントも空いているため。寝フオンにはそこそこ向いているとおもいます。
音漏れ、遮音性 「4割程度」
指でステム側を抑えて遮音してみましたが3つのベントから漏れがあるようでした。大きな音量で使うと周囲に聴こえるかもしれませんので注意です。
ポーチ、ケース 「セミハードタイプ」
セミハードタイプが付いています。使いやすく丁度良い大きさです。
音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等) 「B+」
A10Kのイヤホンとしてビルドクオリティ、付属品などは十分ではないでしょうか。A10Kのレベルは上がるばかりですね。
音質について「基準A10Kクラス」
ファーストインプレッション
ファーストインプレはこちらを御覧ください。
競合機種との比較について
競合としてはT10、HM20、HEXA、DZ4などが思い浮かびますね。
エージング(バーンイン)
箱出しで5時間ほど使用した後、800時間程エージングし、通常の使用として20時間程度使用しました。エージング前後で、高域がかなり落ち着き、高域がやや暗くなり、中域がやや明るくなったことで全体の調和がニュートラルになりました。
アンプ(上流)による印象の違いについて 「ボリューム大きめ」
FIIO M17
GainをM以上、Hやヘッドホンモードぐらいにした方が印象が良いです。今回の基準になっています。
FIIO BTR7
Lowゲインでは結構イマイチでしたがHighゲインにすると良くなったように感じます。
Xperia5iv
やや解像度は低い感じがありますが、音量を50%ぐらいであればかなり印象が良かったです。
まとめ
ということで気持ちボリューム大きめのほうが気持ちよく聴ける音色でした。
メイン評価環境
M17 ”AppleMusic” -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
ヘッドホンモード Gain ボリューム28前後で使い評価しました。
帯域バランス 「概ね弱ドンシャリ」
概ね弱ドンシャリバランスですが、細かく言えば高域がやや弱めでしょうか。
音色(寒暖、明暗、響き、粘度、湿度、厚み) 「A+」
寒暖:やや寒色
明度:ニュートラル
響き:かなり多め
余韻:普通
粘度:ややあっさり
湿度:ややドライ
厚み:厚め
速さ:普通
概ねファーストインプレの通りですね。豊かな残響にやや近めでパワフルサウンドです。エージング前はかなりバラバラななり方でまさにやんちゃな音色だったのですが全体の調和が取れたサウンドでそれほどアホさを感じません。
なんか鍋は煮込めば何でもうまい、みたいな感じで最初のおバカサウンドが少なくなった感覚があり、なんか釈然としていませんw。ただ、もちろん高域はキラキラ感ありますしていますし、音はタイトで残響たっぷりです。
音場(広狭、重心、遠近) 「B+」
音場 左右:普通
音場 上下:やや広め
音場 前後:普通
音像高さ:標準的
音像近さ:やや近め
この価格帯の平面駆動イヤホンとして十分な音場表現かと思います。
定位、音像、分離 「A」
音像はしっかりとしており、値段を考えれば十分な表現力です。
解像度 「A」
解像度はこのクラスとしては十分に高いです。
低域の質について 「A+」
アタックやリリースのスピード感はタイトであり、残響が多く、低域のボリューム感を出してくれています。響きはドライでリッチなのですがすっきりとしてエネルギー感があります。聴感ではサブベース域がやや弱めに感じやすいのでその点は好みが分かれるかもしれませんが個人的には十分な量感です。かなり着色の多い表現ですが個人的にはかなり好きな着色です。
中域の質について 「A+」
生々しい表現よりもエッジが効いたボーカル等の表現でやりすぎない迫力を主張できる音色ですね。ギターの響きなどはとても気持ちよく聴かせてくれるので楽しい音色だと感じます。かなり着色の多い表現ですが個人的にはかなり好きな着色です。
高域の質について 「A」
量感は普通ですが、キラキラとした綺麗な高域表現です。女性ボーカルのサ行などの歯擦音は刺さらず、調整された高域表現です。エージング前はキラキラ感が強かったのですが現在は優しさと繊細さを織り交ぜた音色です。
周波数特性測定とか
左右差
左右差は見事に揃えてあります。
vs T10
同じメーカー同士で比べてみましたが結構似てますが音色は完全に別物です。
vs DZ4
中域のあたりこそ重なりますが、ドライバが違うこともあり、結構違いますね。ちなみに比べるとDZ4が中域~中低域を中心に響く感じで元気な優等生サウンドですが、R1は低域が最も響き、次に中域が響きバカに騒がしい感じ(誉め言葉)です。
インピーダンス
やや変動はありますが一般的な範囲だとは思います。
ケーブルによる印象の違いについて(注意)「要」
リケーブル関係の注意
注意:ケーブルについては測定したところ科学的には変化はあるようですが微小量であり、音質の変化に対する決定的な証拠は無く、オカルト的な要素を過分に含みます。
幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので変化しないことを否定するものでも、リケーブルを万人におすすめするものでもありません。
*基本的に試聴構成は同じですが、4.4mmバランス時はボリュームを3.5mm時と同等まで下げています。
標準ケーブル[B]
ややかまぼこのケーブルです。悪いものではなさそうですが、伸びしろが大きいため音質を有線するならば変更を推奨ですね。
JSHiFi Warrior [S]
全域が強くなります(笑)。音場が横に広がり、音色がぐっと近くなりますね。音色は暖色傾向になり、ボーカルなんかがとてもグラマーになりますね。迫力だけの正確な表現傾向だったボーカルが一気に色気づいた感じです(笑)。低域は弾むような余韻があり、高域は明るくキラキラと煌きを取り戻した感じです。約2000円ほどでこれだけの効果を感じられるならばかなり良い相性だと感じます。
NICEHCK PurpleMoon(PR:NICEHCK) [A+]
全体的に解像度が大きく上がり、横を中心に音場も大きく広がります。全体に音明瞭で聴き取りやすくなり全域がパワフルになるのですが、特に低音の音色が力強くなり響きの時間が長く感じられます。Warriorと比べても1ランク上のケーブルと感じられました。しかしながらそこまで大きな差はなく、コストパフォーマンスとしてはやや悪いように感じられましたのでA+とししました。
NICEHCK DeepSnow 4.4mm [A+]
https://s.click.aliexpress.com/e/_DEKn4AZ
こちらも全体的に解像度が上がり明瞭なサウンドになります。音場も横を中心に大きく広がりますが、音像がやや遠くなり若干俯瞰的な音場になります。
音量が全体に上がり、やや低音の中低域は控えめになり逆にサブベースが強くパワフルさが強調されるますね。高域の金属音の伸びも良く全体的にややドンシャリ傾向にしてくれます。こちらも売り出し価格を考えるとかなり優秀な変化だと感じます。
まとめ
ということでリケーブルは標準の傾向が気に入らなければ推奨です。個人的に今回試した中であればJSHiFi Warriorがコスパでも音質でも好きでした。
イヤーピースによる印象の違いについて
一応下記構成でイヤーピースも変更してみました。
M17 "AppleMusic" -> Warrior-> イヤホン -> 「 」
標準イヤーピース 「ー」
JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視) 「S」
今回のデフォルトイヤーピースです。比べてみると他のイヤーピースよりドンシャリ傾向になり、横の音場が広大になるほか音像の定位、分離が向上しているようです。良い相性だと思います。
AZLA SednaEarfit Max 青(ボーカル重視、低刺激)[A]
意外と音がすっきりしていました。悪くありませんがボーカルが際立つという感じはあまりなかったです。
日本ディックス COREIR コレイル BRASS Pentaconn [D]
驚くほど低音がスカスカになりました。高域が素晴らしいのですがちょっとやり過ぎ感です。低域の響きだけが虚しく残る感じです。微妙です。
DIVINUS VELVET (PR:HiFiGO) 「A+」
中域のボーカルが目立ちますねー。横の音場は狭くなりますが、音色がシルキーで繊細になりますボーカルの前後感などが素晴らしいの一言です。また高域もきれいに輝くようになる傾向があり、中高域へフォーカスを当てたいならばかなり良い選択肢だと思いました。ただ音場は完全に死ぬ(特に低音)感覚があるのでここは良し悪しです。
まとめ
バランス重視ならSpiralDot++、ボーカル重視ならVELVETが好みでした。
音質の総評、所感:A10K Tier2 参考価格:9500円
個人の主観的な好みで言えば90点、私が客観的だと思う好みの点数としては89±7点です。A10Kという価格帯と音のレアリティ、ユーザビリティを考慮した総合的なランクはTier2としました。また、リケーブルや音色の癖も楽しめるという意味で条件付きでTier1としています。
マイナスの要因としてはやや癖のある音色であること、エージングで音色が変わったこと、標準ケーブルでは万人受けまでもう一歩という感覚もあったためです。
個人的にはものすごくバカな音色で好きな音で、ボリュームを上げると楽しめる音色でした。
最後に、このような素晴らしいイヤホンをレビューする機会をいただきましたVOLKCHOI様に感謝申し上げます。
Appendix
購入リンク
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