こんにちは
今日はTINHiFi のP2 Plusというイヤホンの雑記です。数日程実家に戻っておりまして、昨日からP2 Plus+UTWS5という構成をメインに使っています。このP2 Plusというイヤホンは平面駆動を採用しているイヤホンの中でも約6万円と最高価格帯に位置するハイグレードなイヤホンです。
そして一部では有名ですが32Ωで音圧感度が90dBしかないことから鳴らしずらいイヤホンとして有名な機種です。ちなみに国内メーカーでも鳴らしずらいことで有名なfinalのE5000でさえも14Ωで音圧感度93dBとまだ鳴らしやすいスペックです。ちなみに一般的なイヤホンが100~110dBぐらいあったりしますのでこれらのイヤホンは20dBぐらい音量が小さいことになります。そして20dB感度が小さいということは大体10分の1程度しか音が出ないということになります。データ的にも実態としてもに鳴らし難いということがわかります。
実際に試聴に言った方の声を聞くと素晴らしいという意見と、ひどい音という真っ二つに意見が分かれています。ダメだった人の意見では「自分のDAPで初めてこのボリュームまで上げたがスカスカの音だった」「全く良い音じゃなかった」「キンキンして音色がキツイ」っという声で、概ねこれらの人の意見に対して「その機材(アンプ)では鳴らしきれていない」っという意見で片付けられています。恐らくそれを聞いて悔しい思いをした人も多いでしょう。
私としてはこの意見については全くもって異なり「装着位置の問題」という異論を唱えたいと思っています。
この記事でも書いたのですが、P2Plusで様々なアンプで周波数特性を取りましたが、その周波数特性の概形が変化することはありませんでした。ちなみにこちらがP2Plusの周波数特性です。
見ての通り、9KHzに大きなピークがありまして、これがとても聴いている方にピークを感じさせます。
そしてこれをL50やAdi2dac、Zendac、MacbookPro15 Late2013、ScarletSoloなどのアンプを変えて取得した周波数特性が以下のものです。
見ての通り形状はほぼそのまま音圧感度だけが変わっていることがわかります。同じアンプで音圧感度が異なるカーブがあるのはボリュームノブの大きさで変わったりしないかを確認しているためです。
つまりこの9KHzのピークを感じている人はどんなアンプに変えても音が良くなると感じる人はいません。ちなみにそれは私でした。
ではこの9KHzのピークを感じないようにするにはどうすれば良いかですが、基本的な解決方法としては装着感の改善しかありえません。今は出先なのでKATOのグラフしか出せませんが、9KHzは外耳道の長さによってつくられるピークなのでイヤーピースによる装着の深さの変化によって9KHzのキンキンする音は無くなります。
ということで私の場合、どうしてもこの9KHzが気になっていたのですが、イヤーピースをフォームタイプに変更して高域を減衰させてさらにイヤホンの装着深さを5mm程度深くしたところ9KHz由来と思われるカリカリした高音は無くなり、非常に美しい透明感のある音色が聴けるようになりました。
もちろん駆動力のあるM17DCなどの方が素晴らしい音色になり音場は広いのですが、PC直刺しやNintendoSwitch直挿し、FiiO UTWS5などでも十分に音が整った高音質で聴くことができました。
圧倒的に駆動力が低いDAPなどを除いてP2Plusは駆動力が必須というのはほぼ幻想に近いかもしれません。一度聴いて合わなかったという人も深めに挿入できるイヤーピースを持参してイヤホンの装着位置を変更して聴きなおしてみて欲しいです。
ドタバタしているのでデータの取り直しなどはできていないので、イヤーピースを変更したデータは後日アップしたいと思います。ではまた明日。
■測定環境
ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4
ソフトウェア:REW V5.20.5
INPUT:Scarlett Solo XLR (VXLR+)192KHz24bit
OUTPUT:ADI2DAC fs (3.5mm IEM端子、DJ44C併用)768KHz32bit 0dB
カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用
■測定パラメータ
入出力バッファ512K、Acoustic Reference
出力音圧レベル:−12dB
Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz
カプラキャリブレーションファイル適用、SoundCardキャリブレーション実施済み
■測定パラメータ