こんにちは
今日はHiFiGo様からのレビュー依頼のTKZK Ouranosの簡易レビューです。今年から約100$を目安にして価格帯によっては簡易レビューを直ぐに上げて後で必要に応じて正式なレビューに変える様にしてみようと思ってます。理由は価格帯によって求められているレビューレベルが異なることと、私自身が沢山のレビュー待ちイヤホンをスタックすると身が持たないということもあります。方針変更のため順序が前後致しますがご了承ください。
提供レビューにはなりますが趣味でやっていますのでいつもと同じ基準で記載しております。
結論:A7K Tier2 参考価格:7520円
Ouranosは音の立ち上がりが早く、音色のキレがよい上に広い音場を持つことを特徴としつつ、基本的なイヤホンの性能が高くコストパフォーマンスに優れる傑作イヤホンです。RLの記載がなかったりマニュアルが添付されないなど初心者には全く進められない構成ではありますが、フェイスプレートの意匠は美しく個性的で、ケーブルなどの品質も高く中級者以上が求める音質に注力した構成です。サウンドは強みを持ちつつも全体的に弱点が無く、A7K 1DDイヤホンの中では特に完成度の高さを感じます。イヤホンに強い個性を求める人を除けば多くの人に進められる見事なチューニングです。
Pros(優秀な点)
◎音の立ち上がりが早く、スピード感に優れるチューニング
○フラットなサウンドバランス
○広い音場と良質な空間表現
○弱点らしい弱点が少なくオールラウンドに使える
〇リケーブルができ、中級者向のサウンド調整余地がある
◎美しい意匠と軽い筐体、装着感が良い
Cons(微妙な点)
ー強いて言えば優等生サウンドなので個性に欠けると考える人も
△1DD以外の構成を含めるとHM20やHEXAが見える価格帯
✗マニュアル無し、RL記載なしと初心者を突き放すユーザビリティ
いつもの通りそこそこ文量がありますので結論は上記の通りなので各論としては気になる部分だけ読んでいただければ幸いです。
- 結論:A7K Tier2 参考価格:7520円
- 動機付けなど
- 箱とか付属品とか本体
- 音質について
- SPL周波数特性測定
- 相性について
- C3とT3plusの比較
- 音質の総評、所感
- Appendix
動機付けなど
モチベーション
HiFiGo様からのレビュー依頼がきっかけになります。TKZKのイヤホンを持っていない事と、Waveが好評だったこと、TZKZはTinHiFiのサブブランドとのことで好みのイヤホンも多く、依頼を受けて見ることにしました。
販路、購入先(サポート)
正式な国内代理店は無い様ですがHiFiGo様がAmazon及び正規サイトで取り扱いしています。
HiFiGoでの購入は画面右の「全ての出品をみる」から「カートに追加する」という手順が必要です。
このイヤホンを検討される方には不要な注意喚起かもしれませんが、HifiGoは保証などは付いていますが、英語でのやり取りがベースになります。Amazonの倉庫発送になった場合は初期不良対応なども日本語ベースになりますが2023年1月9日時点では海外発送となります。
SPEC
私はKZ以外スペックで音質を決めつけることは(あまり)しないのですが、特筆すべきことはTinHiFiのT3Plusと同じ筐体形状なことぐらいでしょうか。
箱とか付属品とか本体
開封体験
シンプルなサイコロ状のは箱で届きます。
裏面もシンプルです。
開けるとこんな感じで美しいシェルプレートが目に入ります。
7Kのイヤホンに思えず思わず写真を取ってしまいました。
レジンの中に銅箔やカーボンなどが立体的に入っています。この価格でこの品質はかなり満足できます。下段にはポーチやケーブル、イヤーピースが2種類入っています。
マニュアル
残念ながらマニュアルなどは見当たりませんでした。筐体にRLの記載も無いのでサブブランドというだけあってコストダウンに余念が無いのかと思います。
筐体
筐体は本体側が樹脂製、ステムが金属製です。見た目のサイズがほぼそのままTinHiFiのT3Plusです。T3Plusで装着に問題があるという方を見かけたことが無いように、このOuranosも良好だろうと推察されます。肌に接触する部分は丸いためか装着感は良好です。また、ドライバ前方用のベントはステム付近、後方用はプラグ周辺に空いています。
競合機種との比較
競合というより同系統の3機種と言ったほうがよいかもしれませんがTinHiFiのT3Plus、C3、Ouranosを比べてみました。
まぁおなじですね。違いはステム部分がC3は樹脂製になっています。
かなり出来が良いということでA7Kの競合機種も加えて比較してみました。左からTruthear ZERO、CCA HM20、TinHiFi C3、T3Plus、Ouranosです。
ZEROよりはコンパクトですがHM20よりは大きいですね。
直流インピーダンス 「29.8[Ω]」
テスタ―*1で実測したところ直流インピーダンスは両側平均29.8Ωでした。これはT3Plus 29.6ΩやC3 29.4Ωとほぼ同じ値です。
ステム形状 「5.98[mm]」
ノギスでステムの最大径を測ったところ約6mmと一般的な太さでした。当然ながらT3Plus やC3とほぼ同じです。ZEROは6.78mmと比べれば細く、HM20の5.8mmと比べれば太いです。
AriaSnowなどと違ってステムに返しが付いていますので一般的なイヤーピースであれば問題なく装着できるかと思います。
重さ 「9.0[g]」
本体の重量は両方合わせて9.0gとやや軽めです。同価格帯のイヤホンと比べてもZEROの9.8g、HM20の11.4g, 軽いです。尚、C3は8.6g、T3Plusは同じ9gです。
リケーブル端子 「フラット2pin」
一般的なフラット2pin端子です。
ケーブル
A7Kクラスのケーブルとしてはかなり上質なものが付属しています。見た目とは裏腹に摩擦係数が少なめの手触りが良好なやや絡みにくい質感です。扱いやすいしなやかなケーブルですし、ケーブルタイが付いているので収納なども便利です。個人的にはこの価格帯でこのぐらいの品質のものが付いていれば上等すぎると感じました。
重さ 「14.9[g]*タイ含む」
一般的な重さです。
抵抗値(直流インピーダンス) 「0.2Ω、0.6Ω」
テスタ―*2で実測したところ直流インピーダンスはホット側が0.6Ω、コールド側が0.2Ωでした。理由は定かではないですが+側とー側で抵抗値が違いました。同軸ケーブルなのだろうかと思いスペックを確認しましたが不明でした。いずれにしてもこのクラスの付属品のケーブルとしては標準的でオーディオ用としても水準は満たすものが付属しています。
クロストークチェック ほぼ無し
手順*3に従って確認しました。
ボリュームを大きく上げるとほんの少しクロストークはありましたが、聴感上気になるレベルのクロストークはありませんでした。
付属イヤーピース
イヤーピースについて2種類3サイズ、合計6種類付属しています。また、個人的には5サイズ展開の方がフィットする人が多いかとは思います。
付属ケース(充電、電池持ち)
布製の袋が付属します。手触りも良く、この価格帯であれば上等だと思います。
その他(充電、電池持ち)
特に気になることは有りませんでしたが、低価格向けということで仕方がないとは思いますがマニュアルも削るという大胆なコストダウンは逆に昔の中華を思い出させてくれました。
使い勝手の評価
寝ホン
本体は軽く装着感が良いのですがやや厚みがあるので向いているとまでは言えませんんが個人的には十分できるレベルだと思います。
外使い(音漏れ、遮音性、ノイズキャンセル)
指でステム側を抑えて遮音してみました。体感で3〜4割程度漏れていますので外使いではやや音漏れの注意が必要かと思います。
ホワイトノイズ
ややホワイトノイズが出やすいLotooのPaw PICOに繋いで最小ボリュームで聴いてみましたが聴感上記になるレベルのホワイトノイズはありませんでした。
音質以外の総評(付属品、ビルドクオリティ等)
全体としてA7Kのイヤホンとしては筐体は見事なクオリティかと思います。一方で音に関係ない部分についてのコストダウンはキツく、マニュアルが無い、RLの記載が無いなどある程度イヤホンについて精通している方向けだということがわかります。
音質について
ファーストインプレッション
競合機種との比較について
競合で言えば価格帯が近く同筐体形状のC3、そしてT3Plus、ドライバ構成が違うものであればHM20やTRUHEAR ZEROでしょうか。HM20については好評な為かAmazonでの価格は中々10000円を割りませんのでA7KではなくA10Kにすべきなのかは悩んでいます。当然ながらHM20は標準ケーブルのためかなり実力に制約がある状態にはなりますね。
エージング(バーンイン)
3時間ほど通常使用で使い込んだ後、400時間ほどAGPTEKで試聴プレイリストを連続再生しました。その後、再度10時間ほど普通に使ってみています。エージング前後に関してはそれほど大きな変化は感じませんでしたがスピード感が下がり落ち着いた音色に変化した様にも感じます。
試聴環境
標準環境*4を使っていますが。今回は特にXperia10ivやM17を主体に聴きました。
帯域バランス 「フラット」
概ねフラットバランスと感じました。C3やT3Plusもほぼ同じ概ねフラットなバランスです。ZEROは低音が強い弱ドンシャリですし、HM20はドンシャリです。
音色(寒暖、明暗、響き、粘度、厚み) 「◎」
寒暖はやや寒色よりで中華イヤホンの中ではほぼニュートラルです。明暗はやや明るめで、響きがタイトでヌケ感も良くスピードが感じられるサウンドです。粘度はさっぱりとしていますが音の厚みもキッチリとあってリズムにのりやすい音色です。音場の広さも相まって音に包まれる感覚が強く、楽しい音色が聴けるチューニングです。
T3Plusと比較すると低音域にかけて弾力感は薄れれる一方でキレの良さあるので小気味よさがあります。高域にかけては膨らんで明瞭感に優れるT3Plusに対してあくまで冷静で全体域に渡って同じ音色でタイトさを感じる音色です。個人で気になかり好きな傾向であると共に、A10Kクラスと勝るとも劣らない個性と強みがあるのは素晴らしいと感じます。
ZEROと比較すると華やかでテンポが良い上に広い音場も広く包まれる感覚がある音色です。ZEROはどうしてもモニター的な音色の傾向を強く感じます。
HM20はKZ、CCAの音色の方向性を体現したかのようなサウンドチューニングでドンシャリなことも相まってパワフルですが、音色一つ一つが細かく分解でいる冷静さを持つKZ/CCAのフラグシップに相応しいサウンドです。
音場(広狭、重心、遠近) 「○〜◎」
横が広大ですが上下は一般的、前後はやや広めです。音像の重心はほぼ中央でニュートラルさがあります。ボーカルなどの中域は適度な近さはありますがやや俯瞰的な距離感があります。もちろんきっちり楽器などを分離しつつ広い空間で鳴らすのでA7Kの空間表現としても秀逸です。
競合のイヤホンと比較すれば、ZEROは音場が狭いこともあって音像が中心にあり、音源音を追いやすい反面、空間表現は乏しい印象があります。
HM20は音場が広大で適度な音の近さがあり、横の広さはほぼ同等でしょうか上下や前後はやや後塵を拝する形ではありますがこの価格帯のラインを考えるとOuranosはかなり良いと思います。
定位、音像 「◎」
A7Kとしてはしっかりとした音像があり定位も十分と感じます。広い音場を十分に使って音像を描写してくれます。価格帯を超えて大きく優れている部分でもないのですが全体としてレベルが高く、分離の良さも相まってこの価格帯を踏まえると音像の形も良い印象です。
HM20と比べると標準ケーブルであってもやや分が悪いです。ZEROと比べても横の音場の広さを上手く使って音像を作る特徴があるアドパンテージを活かせており、Ouranosの秀逸さを実感します。
解像度、分離 「○」
解像度と分離性能は概ね良質です。T3PlusやC3などと比べても遜色無いレベルなので秀逸ではあるのですがZEROやHM20などのハイブリット構成の解像度の高さと比べると一歩劣る部分は否めません。一方で一世代前のA10Kレベルの解像度と分離性能がある上に、分離についてはT3Plusをも上回っている部分なのでかなり優秀です。
低域の質について 「◎」
サブベース帯域からミッドベース帯域まで低域全体の量感は一般的です。音量は十分あるのですが、音の立ち上がりと余韻のキレが良く、量感がやや少なめに感じるのかと思います。
T3Plusの弾力性のある音色と響きとは大きく違い、音のキレと細かい質感で攻めるタイプで解像度も高めで付帯音の少なさも好感が持てます。音楽の下支えとしてアタック感のキレから楽曲全体のスピード感が早く、ノリよく聴けるサウンドに仕上げてくれています。
競合のイヤホンと比べても低音については量感と表現は控えめですが個人的な良質な低音と評価します。一方で量感が欲しい方はZEROやHM20のイヤホンに分があるかと思います。
中域の質について 「○」
中域の表現は良質です。低域同様に量感は普通で決して前にでるような鳴らし方ではないのですが音色の適度な太さと近さ、そして低音に支えられた弾むスピード感が秀逸です。女性ボーカルなどの中高域の伸びはそこまで良くはないのですが、適度な華やかさと明瞭感があり、分離の良さも相まってとにかくノリが良いチューニングです。
ZEROと比べると、中域の音の太さ解像度の面でやや後塵を拝します。華やかさが無いZEROではありますが表現の基礎能力が高いのでやや分が悪いです。HM20と比べると決して主体ではない中域でも圧倒的な解像度の差を見せつけられる感覚があります。
高域の質について 「△〜○」
高域の量感は概ね一般的です。派手さや正確性は無いのですが中域、低域を上手く支える絶妙な存在感です。品質の高さは感じないものの全体の音色を邪魔しないよう上手くコントロールされているように感じます。中高域の女性ボーカルのサ行などの歯擦音もほぼ刺さらないチューニングで好印象です。弦楽器の倍音やチャイムやシンバルなどの高域を多く含む楽器の音像表現はやや荒々しい感覚があるのですが、定位や音像の位置にも違和感が少ないです。
ZEROと比べるとZEROの高域表現の正確さや質感に比べるとやや苦しいのですが、高音の楽器の音場の広さによる位置など描写の仕方はOuranosに分があり、個人的には表現力としては互角と言ってよいのではないかと思います。
HM20と比べると高域の量感は明らかに少ないです。解像度に関しても低いのでドンシャリ好きであれば迷わずHM20に分があると言えるのですが、全体との調和としてはフラットなOuranosに分があると思います。
SPL周波数特性測定
vs TinHiFi T3Plus
vs TinHiFi C3
vs Truthear ZERO
vs CCA HM20
こう比べるとHM20のドンシャリ具合が面白いですがグラフの概形は似ているのが興味深いですね。
相性について
ジャンルの得意不得意
スピード感がありノリが良いタイプのイヤホンではあるのですが比較的フラットなバランスなこともあり、オールマイティに使えるチューニングです。ボーカルを主体としつつ演奏もリスニングライクに聴きたいという要望に合うように思います。個人的には重厚で迫力がある重い楽曲にはあまり合わないように思います。
アンプ(上流)による印象の違いについて
上流を標準環境で聴き比べたりしたのですが大きく傾向は変わりませんでした。良いアンプほど解像度は上がる傾向があるのでできればアンプを使う方がより楽しめるチューニングだと思います。
ケーブルによる印象の違いについて(注意)
注意:
リケーブルについては科学的に見ればごく低品質なものを除いて音質の変化に対する定量性のある決定的な証拠はありません。
このためリケーブルは貼り付けなどと変わらないオカルト的な要素を過分に含みます。
幸いながら私はイヤホンケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。
M17 "AppleMusic" -> 「 」-> イヤホン -> SpairalDot++
デフォルトケーブルについての補足
リケーブルで遊びたいという用途でなければ音のチューニングバランスが大きく変わるリケーブルは不要かと思います。ただ、見た目ほど良いケーブルではないようで、より良い音質目的ではリケーブルを推奨します。
NICEHCK BlueDay 4,4mm セール中4550円 「○」
セールでおすすめのケーブルですので、このOuranusにも付けてみました。一聴してわかる圧倒的な解像度の向上、そして元々広かった音場は更に横に広く、圧倒的な広さを実感します。音色の傾向はほぼ変わらずやや寒色よりですが、全体的な明瞭さと解像度の向上からかソリッドさを少し感じます。低域は量感と締りが出てスピード感がでますし、中域の解像度は上がり中高域のボーカルの伸びも良くなります。高域の量感も上がりきらびやかさや華やかさも出て音色全体としてバランスはそのままにグレードアップした傾向を感じます。元々のOuranusの音色が気に入っていた方にはおすすめのケーブルなのではないかと思います。
NICEHCK BlueRose 4.4mm セール中6450円 「◎」
個人的にはかなり好相性だと感じました。音場が上下左右に拡張されるのですが元々上下や前後感が手薄だったのですがその部分が補強されて全体的に広い音場になり音像も少し上がります。BlueDayと比べると横は少し狭いですが解像度の高さは元より音色の厚みが付与されてやや暖色になることでニュートラルに近づきます。ボーカルの暖かさと主張の強さが適度に出てくれることに加えて、高域の表現にも程よい響きが乗り、重厚感のある曲調にも対応できる音色になります。。
個人的にはBluedayよりもバランスが良く、価格の差を納得できるほど好相性の様に感じます。
NICEHCK C4-3 3.5mm セール中5980円 「○」
音場は左右に狭く音がギュッと中央に寄ってしまいOuranusの特徴は薄くなってしまうのですが中域の密度、解像度、解像感は抜群です。輪郭がしっかりとして音の線が拾いやすく、モニター的に使いたい場合は最適なケーブルだと感じます。特にボーカルは主張が強く、ボーカルを目立たさせるケーブルではあるのですが明瞭でありつつ太さがあり、元々もノリの良さも相まって全体のしても小気味よさが引き立ちます。音場の狭さは確かにきになるのですが音色の良さとスピード感でながら作業などには最適なケーブルだとかんじました。元の音を考えるとかなり味変になる特徴のあるケーブルですが個人的にはかなり好きな変化でした。
JSHiFi 銀月 4.4mm 「◎」
ボーカルや中域〜高域の楽器の主張が強く、音像が近くなった上に音がやや丸くすべらかになります。特に高域のチャイムやシンバルの音色の鮮度があがったような生々しさがあります。銀月は横の音場は狭くなる傾向があるのですが元々が広いためかあまり変化がなく相性はかなり良好に感じます。上方の音場も大きく拡張されて音像が上にあがるため開放感も強く爽快です。音色の広がりや解像度、抜け感も良くなり、シンバルや鈴の音がはっきりとする点は銀月らしさがでています。加えて、元々低音の質が良いOuranusですが適度な音の太さが足されることで低域の表現と見通しがよくなりスキが無い変化だと思います。銀月はボーカルケーブルだと感じていますがOuranusとの相性も悪くありません。
BIGMANGO Zebra 4.4mm 「○」
全体的に透明感と彩度が上がり、音像が近くなります。音色がタイトでになります。明瞭さや解像度、分離が向上し、全体としてキラキラとした音色の傾向になるように思います。音場の広さのの変化はあまりありません。低音の量感はしっかりとした音色と感じられ他のZebraの傾向とは逆に感じました。その上で高域の量感が上がるので標準ケーブルよりもフラットなバランスに近づく感覚があります。Zebraとの相性も良いと感じました。
まとめると、音質を追求するのであればどのケーブルでもある程度変化がありますのでOuranusを購入してみたけれども少し好み違ったと感じたり、更に音質を伸ばしてみたいと感じた場合にもリケーブルをして遊べる機種になります。
尚、個人的には音場とバランス重視ならBlueRose、ボーカル重視なら銀月、コスパならばZebraが好きでした。
イヤーピースによる印象の違いについて
下記構成でイヤーピースを変更してみました。
M17 "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> 「 」
JVC SpiralDot++(音場、高域、低域重視) ◎
今回のデフォルトイヤーピース
Spinfit W1(中域、低域、解像度重視) ◎
全体域に渡って解像度と解像感、質感が向上します。SpiralDot++と比べると横と上下の音場は狭くなることが多いのですが元々が広くいためかそれほど大きな変化は感じませんでした。前後の音の立体感も良くでており、Ouranusの中央の音色の薄さが緩和されて適度な厚みがあると感じる人も多いかと思います。音色全体に締まりと音像の実在感が出ますので高いイヤーピースですが高相性だと感じます。
SednaEarfit Max(ボーカル重視、低刺激)
中域の質感の細やかさ、量感が増してややボーカル等の音像が近くなります。横の音場はやや狭くなりますが上下の音場はやや広がります。音像重心はやや上がり、横が若干狭まることで音の密度感が上がります。高域の表現はSpiralDot++でぼやけがちだった音像がやや鮮明になるため、向上する印象があります。
低刺激が
Moondrop水月雨 清泉(ボーカル重視、刺さり防止)
EarfitMaxほどボーカルが近くなることはなく適度な近さでボーカルを際立たせてくれている感覚があります。左右の音場は少し狭くなり、上下についてはやや上方に開ける感覚があります。もともとそれほど中高音が刺さらないイヤホンではありますが清泉はほぼ刺さりを更に少なくにしてくれる感覚があります。Max同様にやや音が中央にまとまる傾向がありますので一方で高域の表現はあまり向上しない印象があり、刺さり防止以外ではあまり合わないかもしれません。
結論としてイヤーピースでもある程度音が変わりやすいイヤホンかと思います。フィットするものを色々探してみると良いかと思います。
C3とT3plusの比較
C3については後日同様のレビューを上げる予定ですが先に傾向の話だけで言いますとこの3つのイヤホンの実力は拮抗しています。なのでほぼ好みで選んで良いかと思います。あまり詳しくないという方は安いほう、もしくはデザインが気に入った方を選んで良いと思います。
それでも細かい違いが知りたいという話を書けば、試聴機があり、そして発売されてからの時間が立っているT3Plusを基準に書けば、一番傾向が違うのはTKZKで音場が広くキレがよいやや寒色よりのサウンドです。低音に弾力が少なく個人的には一番好みの音色ではあります。
C3はT3Plusの系譜を受け継いでいるのですが細かく言えばより中低域にフォーカスが合いやすい傾向があり、筐体の品質は下がっている印象ですが逆にケーブルの品質が高いという違いがあります。こちらについてはレビューの方を御覧ください。
音質の総評、所感
暫定ではありますが個人の主観的な好みで言えば90点、私が客観的だと思う好みの点数としては87±8点です。
いやOuranusについては本当に驚きました。もともとT3Plusが定価で現在も1万円程度で売られている中で7千円程度でほぼ同等の完成度のイヤホンとして登場したわけですから。またビルドクオリティも高くフェイスプレートはこの価格帯随一の美しさではないかと思います。とはいえ欠点としてマニュアルなどのコストダウンが図られており、若干のマイナス点ではあります。しかしそれでも尚、サウンドのバランス、そしてチューニングの上手さは万人受けする商品としてまとまっていると感じます。
サウンドについてはHM20がある今ではTier1にするにはもう一歩決め手が欲しい・・・少し甘いかという気もしたのですが、EA500がA10Kに行ったこと、フェイスプレートの美しさと相まって一旦はTier1としました(*現時点ではHM20はA7K Tier1でもぶっちぎっているので)。いや本当に1年で中華イヤホンのレベルが着実に向上していることを実感できるイヤホンでした。
2023年1月11日追記
T3Plusの価格改定(7200円)に伴い価格帯と珍しさ等を加味したTierについてT3Puls Tier3⇢Tier2、Ouranos Tier1⇢Tier2に変更しました。若干甘めだったこともあるのですが、イヤホン自体は変わっていませんし本文も変更ありません。
最後に
この様な機会をいただきましたHiFiGo様には再度感謝申し上げます。
Appendix
現在は画面右の「全ての出品をみる」から「カートに追加する」という手順が必要です。
現在は画面右の「全ての出品をみる」から「カートに追加する」という手順が必要です。
*1:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000
*2:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000
*3:
ホワイトノイズが少ないADI2DAC fsとMacBook 15 Late2013 Rewにて左のみなど片方CHのみからリスニングボリュームのホワイトノイズ又は1KHzSin派を出力します。出力先CHでホワイトノイズやSin波を確認したのち、取り外して遮音し、もう片側を装着して出音をチェックします
*4:
M17DC(PL50) "AppleMusic" -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
M17"AppleMusic" -LDAC-> XD05BAL -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
iphone12"AppleMusic" -A1749-> -> 標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
Xaomi 11T Pro"AppleMusic" -LDAC-> BTR7 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
GV301"AppleMusic" -標準ケーブル-> Aiyima H1 ->標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
Xperia10iv"AppleMusic" -標準ケーブル-> イヤホン -> SpairalDot++
*5:
〇測定環境
ハードウェア:Apple Macbook pro 15 Late2013 BigSur11.6.4
ソフトウェア:REW V5.20.13
INPUT:MOTU M2 IN1 XLR (VXLR+)192KHz24bit
OUTPUT:MOTU M2 192KHz24bit 3.5mm変換
カプラ:IEC711クローン 刻印( IEC60318-4 Type E610A)※100〜10KHz用
イヤーピース:Final TypeE Black Mサイズ
〇測定パラメータ
入出力バッファ512K、Acoustic Reference
出力音圧レベル:−12dB
Length:2M(10.9sec) 、192kHz、0〜20,000Hz