こんにちは。ゆるふわのオーディオやってるすのーです。
今日はNOBUNAGA Labs Advanceから発売されているイヤホン用ケーブル「 CASSINI-AXIS 2pin4.4mm」をWiseTech様よりお借りしたのでその簡易レビューです。
〇ケーブルレビューの注意
注意:ケーブルによる音の変化はオカルト的な要素を過分に含み、科学的に見れば音質の変化に対する決定的な証拠はありません。幸いながら私はイヤホンではケーブルによる音質の変化を強く感じられるのですが、個人差がありますので万人におすすめするものではありません。
気になる方は読み進めるのを中断いただければ幸いです。
■結論:太く重い!それでも有り余る魅力を持つ重厚かつ上品な音色
CASSINI-AXISは、NOBUNAGA Labsのケーブルの中で音質重視しつつコストバランスが優れた良ケーブルです。重く太く仰々しい黒色は弱点でもありますが、黒という無難でどのようなイヤホンにも合わせやかったり、耐久性の高そうな皮膜であったりと、室内用で音質重視と考えれば問題ない方も多い仕様です。
同じ錫メッキの4芯ケーブルであるCASSINI-AXISの単なる上位版(8芯版)とも言えない音の変化も魅力的な部分です。CASSINI-AXISは様々な価格のイヤホンと組み合わせてみましたが交換する価値がある場合が多く、2万円程度とある程度リーズナブルでありながら上位シリーズのケーブルと渡り合える音色の特徴をもっている点は魅力的です。
CASSINI-AXISは音質とコスパのためならば太くても重くても構わない、寧ろ太い方が良い、というような方にオススメできるコスパ+音質重視ケーブルです。
音の特徴
・解像度が高い
・音色はきめ細かい
・分離と解像感も高め
・しっとりと上品な音色
・低域がやや強く音色が重くやや暗い音
・寒暖は機種にもよるが概ねニュートラル
・音の立ち上がり、アタックはソフト
・高域の音像を中心に、音像全体がやや下になりがち
・音場は広い
・帯域バランスはやや低音多めのフラット
Pros(優秀な点)
〇 解像度が高く音場も広く低域表現に個性があるサウンド
〇 しっとり滑らかで重厚で上品な音色
〇 格安中華ケーブルメーカーと比べてもコストパフォーマンスが高い
〇 NOBUNAGA Labsによるブランド力
〇 しっかりと丈夫な造り、高いビルドクオリティ
〇 3か月保証
ー イヤホンに合わせやすい無難な黒色
Cons(微妙な点)
ー 音が暗めで重厚なためぱっとしないイヤホンもある
ー 重心が低くなりすぎたり解像感は低めなので比較的安価なイヤホンと相性が悪いことが多い
△ 低域が強いがやや遅く感じる場合も
△ 重量50g後半とかなり重め
△ 直径5.58mmとかなり太め
■イヤホンとの音の相性
環境
M17(DC) -> CASSINI-AXIS -> イヤホン ->SpiralDot++
評価基準は5段階で、細かく決めてはいないのですがなんとなく以下のい感じです。
◎:標準ケーブルと比べて高相性かつ魅力的な音
〇:標準ケーブルと比べて高相性又は、良相性かつ魅力的な音
ー:標準ケーブルと比べても良相性又は魅力的な音、互角
△:標準ケーブルと比べて魅力を引き出さない組み合わせ、又はコスパが悪い
✖:標準ケーブルと比べて魅力を引き出さない組み合わせかつコスパが悪い
LETSHUOER x GIXAUDIO GALILEO 結果:△
個人的にはあまり良い結果にはなりませんでした。
サウンドバランスがやや低音寄りになることや、音像がやや下になります。ヌケ感はあるので重苦しすぎるということは無いのですが低音の響きがややあっさりしているGALILEO の表現とあまり相性が良く無いように思います。
全体の音色はややウェットで暗めでかつ表現が細かくなります。解像度はたしかに上がり、音色は滑らかになるのですが、解像感は下がるので少し玄人好みの音色だと感じます。
Tripowin PICCOLO 1DD 結果:○
価格差を無視すればかなり良い相性だと感じました。。
音場は上下左右と広大ですし解像度も相応に高いです。サウンドバランスも万人受けする弱ドンシャリになることや、音色がややウェットで暗めになることで全域に表現力を上げつつニュートラルな音色になります。
かなり太いケーブルなので使い勝手、価格においては覚悟が必要なケーブルではありますが音色は確かだと感じました。
SeeAudio x Z Reviews Rinko 結果:ー
イヤホン本体よりも高いケーブルになりますが、個人的にはまずまずの結果にはなりませんでした。
音の解像度、音の質感が大きく向上しすべらかかつ音の密度があがります。しかしながらサウンドバランスはほぼ変わらないのですが高域の楽器の音色がやや陰る感じがあります。低音の質感が良くなったうえで全体の音像がやや下になり、重厚な音色が更に強化される感じでしょうか。
元々のRinkoの特性にのることで全体の音色は表現が細かいねっとりとした質感と低音の響きが印象的になります。
個人的に好きな音ではないのですが、これはこれで好きな人がいそうな音色だとも感じます。少し玄人好みの相性だと感じます。
Unique Melody MAVERICK 結果:ー
音像の重心はやや下がり、少し重たい音色です。低音と超高域が強調される感覚で、女性ボーカルのサ行などの歯擦音がキリキリと刺さります。
横に広いので開放的ではあるのですがやや圧は感じます。解像度は高く音色はしとやかですが個人的にはあまり相性は良く無いかもしれません。
MADOO TYP512 結果 結果:◎
解像度、音の質感が大きく向上し、ややウェットになり音量が上がります。流石にエントリーシリーズとは格が違い、比べるのも烏滸がましいという音の差です。
音ひとつひとつがすべらかかつ音の密度感がありしっとりとした落ち着きがでます。高域の楽器も伸びやかでキラキラとした音色が彩りつつ質の良い低音が音楽全体を支えてくれます。音像がやや下になり、重厚な音色が更に強化される感じでしょうか。
持ち前のややドライで気持ち良い響きは後退しますが、引き換えに見事なバランスの音色を聴かせてくれたと感じます。音像も少し上に上がった上で音場も広く、ずっと聴いていたいと思える素晴らしい相性です。
DUNU KIMA Classic 結果:○
解像度、音の質感が大きく向上し、ややウェットになり、音量が上がります。音像はやや下がり標準的な高さに変わり、ほんの少し近づくことで迫力がでます。
低音の音の存在感が増してドラムやベースなどの楽器の表現力が大きく強化されます。量感は増すのですが他の帯域に被ることも無く見事な鳴らし分けだと実感します。音ひとつ一つに密度感があり、しっとりとした落ち着きがでくれる点も大きな変化です。
高域の楽器はやや音像が下に下がるのですがキラキラとした音色がはややデッドな雰囲気を纏いますが、質の良い音色なので個人的には好きです。
やや重い音色になってしまう点は人を選ぶかもしれませんが良い相性だと感じます。音色だけで言えば◎なのですがイヤホン本体の値段を超えてしまうので○としています。
RAPTGO BRIDGE 結果:◎
解像度、音の質感が大きく向上し、ややウェットになり、音量が上がります。音像はやや下がることで標準的な高さに変わり、ほんの少し近づくことで迫力がでます。
低音の存在感が増してドラムやベースなどの楽器の表現力が大きく強化されます。もともと他の帯域に被ることが無かったのですが、よりしっかりとした音像となり、彩々な表現です。元々高かった解像度と解像感の内、解像感が抑えられることで音の密度感増し、落ち着きと上品さを感じられる点も素晴らしいです。
高域の楽器はやや音像が下になるのですがスイッチなどの設定も駆使すれば調整も可能です。イヤホンの値段と同等の価格ではありますが1ランク2ランク上の音色と実感できる素晴らしい相性だと感じます。
Kiwi ears QUARTET 結果:ー
音はやや重めに変化するでしょうか、解像度と音の滑らかさ大きく向上し、ウェットさに磨きがかかるイメージです。音の輪郭がややほんの少し近づくことで迫力がでます。
低音の存在感が増して薄めだったドラムやベースなどの楽器の表現力が強化されていることを感じます。他のイヤホン同様に高域の楽器はやや音像がさがりますが全体の音場が広いためあまり気になりませんでした。
良い音に変化しているとは思うのですがイヤホンの値段より高い価格を正当化できるほどの魅力までは感じませんでした。
64 Audio Nio 結果:◎
ポタフェス試聴したときにも書いたのですがかなり高相性です。Nioは標準で付属するプレミアムケーブルの出来が良く、リケーブルを躊躇する部分が少なからずあるのですが、CASSINI-AXISは変更しても良いかと思える音色です。
横と縦の広大な音場はそのままに、前後感は少し失われますが音の厚みが増えて全体に音の上品さが付加されます。特に低音の質感の良いNioに更にパワーが足される様な感覚で、もちろんトレードオフの部分もあるのですがそれでも魅力的に思えるのは高域が華やかで音のバランスが取れていることが要因でしょう。音が近く迫力があることはもちろん高い解像度で色々な音を描写してくれるのはNioの醍醐味だと思います。
◎というほど標準ケーブルから大きなアップグレードではないのですが、本体との価格差を加味すれば概ね誤差程度の価格ですし、写真のとおりデザインもあっていますし重くて太いという点さえ何とかなればと悔やまれます。
■音以外の要素
〇動機とか
Giitaさんから依頼が来そうで怖かったので(笑)というのは冗談で、WiseTech様とポタフェス会場でお話させていただいていたところ、レビュー用のレンタルであればと快諾いただき、今回の運びになりました。過去のNOBUNAGA Labsのケーブルレビューはこちらです。
MMCX版の瑞鳳 颯のレビューはこちら
このような機会をいただきましたWiseTech様には感謝申し上げます。
〇スペックとか
毎度、ケーブルの線材とかそういうものにはあまり興味が無いのですが、錫メッキ線になるようです。細かい点は販売ページなどを確認してもらえると嬉しいです。
瑞鳳 颯およびCASSINI-AXISは同じ線材で、MMCX版が瑞鳳 颯、埋め込み2pinがCASSINI-AXISになるようです。NOBUNAGA Labsのケーブルの命名規則はよくわかっていないのですが、ちょっとこれはわかりにくいかもしれませんね。
←が瑞鳳 颯、右がCASSINI-AXISです。
〇重さ 「CASSINI-AXIS 59.5[g]」
その他のNOBUNAGA Labsのケーブルの重さはGilgameš-Omega 46.8g、CERES 26.6g、Matador NEXUS 30.2g、CASSINI 36.8gですので今回のケーブルが一番重いです。。
社外品ではJS Hifi 銀月が46g、白龍が53g、NICEHCK FOURMIXが39g、KBEAR KBX4937が38gでこれらの中でも最重量級だと思います。
イヤホン標準ケーブルでは、NICEHCK NX7 MK4デフォルトが23g、LETSHUOER S12デフォルトが30g、水月雨Moondrop KATOデフォルトが33g、AriaSnowデフォルトが13gですので最重量級であると共に圧倒的に重めになるかと思います。
ほぼ同じ重さです。
〇コネクタ 「埋込2pin 0.78mm」
ノギスでピンの太さを測ってみましたが0.78±0.01mmでした。
RLの表記は赤いラインがあるかどうかで見分けるようです。
〇プラグ
幾つかDAP等にプラグを指してみましたが接触不良なども無く挿し心地も良好でした。
尚、他の構造同様にプラグ部はネジ式になっており瑞鳳 颯は中をみることができました。尚、何が違うのかわかりませんがCASSINI-AXISははずれず、固定されていました。
〇導体 太さ5.58[mm]
黒い被膜で覆われているので導体は見えないのですが線材をマクロ撮影してみました。
こちらが分岐前で、ノギスで直径を測ると5.55-5.58mmでした。この太さも私の手持ちで最大級です。
こちらが分岐後で、太さは直径3.84mmでした。CASSINI(4芯)の分岐前は4.4mm程度でしたので単純に瑞鳳の線材を2倍使っている訳ではなさそうです。確認すると瑞鳳では
1芯あたり0.06mmの超極細高純度無酸素銅を133本使用と
書いてあったのですが、CASSINI-AXISでは1芯あたりの本数などが非公開になっていますので太さを踏まえて調整したのかと思います。
被膜は硬いのですが編み方が良いのか適度に柔らかく、思いの外手触りもよいです。癖は若干付きやすいきもしますが、反発力も小さく使い勝手は悪くありません。さわり心地もサラサラしており、そのうえ硬い被膜を感じるので丈夫さと使い心地を兼ね備えた良いバランスだと感じます。
とは言えかなり太いのでかなり存在感があり、その点は注意が必要かと思います。
ここまで手触りが固く丈夫な雰囲気を持ちつつ柔軟さを兼ね備えたケーブルは中々触ったことがないので個人的には好感触です。
〇スプリッタ&スライダ
スライダは摩擦で止まっているだけのものですが、被膜の適度な摩擦でホールドできるようです。室内利用でざっと使った感じは滑り落ちてくることはありませんでした。
○抵抗値(直流インピーダンス) 「HOT0.1[Ω], COLD0.1[Ω]」
テスタ―*1で実測したところHOT, COLD共に直流インピーダンスは0.1Ωでした。誤差レベルかもしれませんがCASSINIは0.2[Ω]と少しだけ高めでしたが8芯になり抵抗値も減っているようです。
〇その他、まとめ
お借りしたNOBUNAGA Labs Advanceの8芯ケーブルの中では比較的リーズナブルなのですが、見た目や重さのインパクトはGilgameš-Omegaとほぼ同じぐらいあった様に思います。そいういう意味ではインパクトのコストパフォーマンスは一番高い様に感じます(笑)。あまりケーブルの緑化について詳しいわけではないのですが、対策として色が黒になっている様に思います。
太さや重さはともかく個人的にはCASSINIのような無難な黒色のケーブルほうがイヤホンに合わせやすく使いやすいです。兎に角ふとく、重い、これが許容できるかがケーブルの評価の分かれ目かと思います。
所感
ということで単なるCASSINIの上位版とは思えないと思っていたところ、どうやら線の太さが違い、被膜なのか線材の量なのか、何かしら違う仕様になっているようです。
個人的にCASSINI-AXISは音質とコストパフォーマンスは今までのNOBUNAGA Labsのケーブル史上一番良い印象があり、Nioに購入するつもりでいたのですが、CASSINI-AXISの重さはかなりギリギリというか若干オーバーで、購入を断念しました(2時間ほどイヤホンを聴くと耳の部分が重さで痛くなってしまいました)。このあたりは使い方にもよるので気にならない人も多いかと思いますがご参考にお伝えしておきます。
最後に
WiseTech様、このような機会をいただきありがとうございました。
*1:KYORITSU KEW MATE MODEL 2000 オフセット除去